あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

THE GUN OF ZERO-21c


ZEST JACK

『T-LINK!ナッコォ!』
 急行したガリア王宮、グラン・トロワ。
 そこを守るように多くのメイジと、そのメイジの操るゴーレムがたむろしていた。正面玄関前に陣取った見覚えのある特大のゴーレムに、飛び込みざまR-1が鉄拳をたたき込む。
「リュウセイ、ここは任せたぞ!」
『おうよ!Gリボルヴァー!』
 アストラナガンからクォヴレーとルイズが、サイバスターからマサキ、シャルロット、シルフィードが飛び出ると、


「先に言えってんだ!心臓に悪ぃ……」
「いや、俺っちもついさっきまで忘れててなぁ」
「魔法を吸収する、か……マサキ、前衛を頼めるか?」
「よし、任せな」
「リュウセイ」
「こっちは俺に任せろ!こんな岩やら泥やら相手に、鋼鉄のR-1が負けるかってんだ!」
 マサキを進行方向の頂点とした三角形の陣を形成し、残り二つの頂点にクォヴレーとタバサがつき、ルイズをトライアングルで囲む。
「タバサは先導を。ルイズ、後ろからも敵が来るようならお前の魔法を打ち込め」
「ええっ!?だって私は……」
「お前の魔法は詳細が不明な『虚無』という伝説の系統なのだろう。あの爆発も、ひょっとしたら単に虚無の系統であるが故に起きている単なる攻撃魔法なのかも知れない」
「そ、そういう考えも……あり、ね」
「いよっし!んじゃ行くぜ!クロ、一発やってくれ!」
「わかったわ!」
 ハイファミリアがグラン・トロワ正面扉に砲撃を打ち込み、そこに四名が突入する。


「フハハハハハハハ……!あの戦いより幾星霜。私はついに!あの力を取り戻したぞ!」
「超神ゼスト……!」
 クォヴレーが顔を歪ませて呻く。奴は、初めからこれが目的で……!
「フフフ……違うな。虚無の力すら手にし、今の私はかつてを更に凌駕している!さしずめ、ゼストジャックとでも名乗らせて貰おうか!」
「マサキ!サイバスターを呼べ!このままでは危険だ!」
 自身も再度ディス・アストラナガンを呼び込み、ルイズを抱えてコクピットに駆け入る。
「クォヴレー!何だあいつは!?」
 マサキ共々機上の人に戻ったクォヴレーにリュウセイが尋ねる。
「以前、ユーゼスは自身をも巻き込んでクロスゲート・パラダイム・システムで一つの虚構世界を作り上げていた。今回と同じく、システムの力を完全なものとするためにだ。
 そしてその際に奴が目に付けた力は、サイコドライバーでなければ虚無でもなく、光の巨人と呼ばれる者達の力だった」
「光の巨人?」
「ウルトラマンの事か!」
「ウルトラマンんんんん!?」
 リュウセイの言葉にマサキが驚愕する。見たことはなくとも、日本人であるのならばその名は聞いたことがある。
「そうだ!ウルトラマン達の力を奪い、DG細胞の力を使い!私はかつて神をも超えたのだ!」
 高らかに、ゼストジャックが謳う。
「そして奴は再び帰ってきた。今度は虚無の力もひっさげてな」
「よ、よく分からないわよ!簡単に言いなさい!簡単に!」
「つまり、俺たちでは、勝てない」
 ルイズの問いに悔しげにクォヴレーは答えた。
「お、おいおい、冗談だろ?いっぺん勝ってるんだろう?お前」
「正確には俺ではないが、ともかくあの時とは彼我戦力比が違いすぎる。かつて倒された超神ゼストは、その力の源であったウルトラマン達自身の力をぶつけることで大きくその力を削がれていたんだが、あれは……」
「そう、今の私はその失われた力に、虚無の力を充てたもの!もはや霊帝とて敵ではない!三千大三世界!余すところ無く全ては私の意のままだ!」
 そう叫びながらゼストジャックは右手を縦にそこに左手をクロスさせるように横に構える。
「やべぇっ!」
「あのポーズまさか!?」
 日本人二人は慌てて機体を回避させ、クォヴレーも急上昇を駆ける。だが、今度は完全に狙いを定められていた。
「ファイナル、ゼストビィィィィィムッ!」
「ぐぁぁぁぁああああああ!?」
「きゃああああああああ!」
 とっさに防御態勢を取ったが、打ち出された光線はディス・アストラナガンの左腕を撃ち抜いて断ち切り、そのボディに直撃していた。
 受け身もとれないまま落着し、片腕を失ったままの姿で何とか立ち上がろうとする。
「ぐ……く、奴め!」

『俺一人だけでは無理だ。お前だけでも無理だ。
 だが、俺たちが力を合わせれば、奴を倒す力を呼び込むことが出来る。そう、超神と共にあの世界の残骸に成り果ててしまった鋼の魂と鋼の殺戮者、そして遙か因果の彼方に棄てられた真なる虚空よりの使者を』


『間違えるな。俺を作ったのはお前ではない。地球を愛し、自然を愛したバード星人「ユーゼス・ゴッツォ」だ。例えアレがあの虚構世界におけるお前自身であったのだとしても、霊帝打倒に盲進し、もはや目的と手段の区別すらつかなくなった貴様とは全くの別人だ』
 姿無き声が響く。
「な、に……!?」
『唱えよ……!』
 ぱちり、とルイズの目が開く。
「テトラクテュス・グラマトン!」
 指に填めた水のルビーに光が集束する。
「ルイズ!?一体何を……!」
 クォヴレーの目の前で、ルイズの髪が蒼く染まる。
『座標算定はこちらで行う。後はただそこへ通ずる穴を空けてくれればいい』
「ユル・イル・ナウシズ・ゲーボ・シル・マリ
 ハガス・エオルー・ペオース!
 “世界扉〈ワールド・ドアー〉”オープン!」
『インフィニティ・シリンダー、始動!』
 再び世界が割れる。かつて存在し、今は跡形もなくなったありとあらゆる世界の残骸が眠る因果のゴミ捨て場。次元の狭間へ。
『リュウセイ、ヴァリアブル・フォーメーションだ!』
「あ、ああ!?ヴァリアブル・フォーメーション!」
 その穴から飛び出した三つの機動兵器のうち二つがR-1へ向かう。R-2パワードとR-3パワードだ。
『プラスパーツは、もう無理か。だがトロニウム・エンジンはまだ保つ……!」
 虚構世界に忘れてしまった19才という想定の自身の体を使い、イングラム・プリスケンは手早くARGANのポテンシャルを持ち直していく。
 ハイ・ツインランチャーの基部を外したARGANにゼストジャックは目を見開く。
「貴様、なぜ!」
「お前と同じ事をしたに過ぎんユーゼス・ゴッツォ。虚無であるルイズの力を借り、かつて失ったこの体とSRX、そしてR-GUNを復活させただけだ」
「天下無敵のスーパーロボットぉ!ここに見参!」
 見得を切り、SRXがその四肢を震わせる。
「くそ……!俺は、見てるだけか……!」
 反撃の動きの中、疲労で目眩のする身体をかかえ、マサキが唸る。
「ランドール」
 その膝の上に居る少女が、振り向きざまにそっとマサキの頬に手を添える。
「!……シャル……ロット?」
「あなたは、まだ戦える。だから、この世界を守って……」
 そっと、口づけが交わされる。
「お姉様大胆、なのね!」
「!?」
 シャルロット自身に、プラーナを扱う術があったわけではない。ただ、水が高きから低きに流れ落ちるように、シャルロットからマサキへとプラーナが流れ込んできた。
 くてっとプラーナの不足から力尽きてしまったシャルロットを抱きかかえ、力を分け与えてくれたその顔をのぞき込む。
「お前の気持ち……受け取ったぜ!」
 彼女の使い魔にその身柄を預けると、操縦桿を握り直す。
「クロ、シロ!全開で行くぜ!」
『わかったにゃん!』
「風の精霊様が……ううん、もっといっぱい!色んな精霊様がランドールに力を貸してるのね!」
「おおおおおおおおおおおお!」



 元より、自分の扱う初歩の魔法は正しい詠唱など無くとも発動していたのだ。
「“爆発〈エクスプロージョン〉”、デッド・エンド・シュート!」
 突きつけられた杖の先で閃光が走り、声すら上げられぬままユーゼスの身体は砕け散った。

「リュウセイ?」
「…………」
「……そうか、お前には、耐えられなかったか。ウラヌス・システムには……」
 ただの「物」になりつつある戦友を、画面越しに見つめる。
「だが、その魂だけは、なんとしても……」
 鋼の魂と鋼の殺戮者は二基のトロニウムの放つ力によって沈んでいった。



 揺れ始めた世界で、クォヴレーは目を伏せる。
「こうなるであろうことは、判っていた……この世界が、ユーゼス・ゴッツォに作られた物だと気づいたその日から」
「ど、どういうこった!?」
 問いかけるマサキに、クォヴレーは語る。
「ユーゼス、そして奴のクロスゲート・パラダイム・システムの消滅と共に、ユーゼス・ゴッツォが造り出した虚構の世界は抹消され、お前達は記憶を失い元の世界へ戻る」
「お、おいおい!元の世界に帰るのは判るけど、何で記憶までなくなるんだ!?」
「この世界がクロスゲート・パラダイム・システムによって構築されているためだ。ハルケギニアを含むこの大地を無理矢理にねじ曲げ、マサキやリュウセイを呼び込むように仕向けるのも、全てはあのシステムの力。
 その根幹となるシステムが消滅したために、この仮初めの世界全てが『無かった』事にされる」
「……私達は本来、出会うはずがなかった。だから、出会わないことになる?」
「そうだ」
 苦しげなシャルロットの問いに、クォヴレーは頷く。
「それじゃあ……それじゃあ今までの戦いは何だったんだ!?こんなに沢山の人間が死んで、なのに元の世界に戻れば何の意味も無くなるっていうのかよ!」
「いいえ、私達の行動は無意味じゃないわ。それぞれの世界に何らかの結果を生み出してる」
 クォヴレーの腕の中でルイズが告げた。
「ほんの少しずつだけれど、必ず影響はある。だから、無意味じゃない」
「ルイズ?」
「私だってイングラムと一時とはいえ同化したのよ?これぐらいの知識はもう持ってるわ」
「そうか……」
 揺れる世界の中、徐々に全てが透けていく。
「でも悪いわね、私はアンタみたいにはなれない。アンタほど強くはないのよ……」
「それが、普通だ」
 やがて、全てが光に包まれ――

エピローグ:約束の地

 ルイズが戻ったのは、魔法学院に通う二年前。つまり、ユーゼスによる介入が始まる前のタイミングだった。
(ここに戻ってくるのね……)
 僅か一時とはいえ、イングラムと同化したルイズもまた、因果律から半ば外れたような存在となっており、失われし時の記憶を持っていた。
 あの時空が閉じる直前、再び意識体となったイングラムが話しかけてきた。
『ユーゼスの言うとおり、お前はこのハルケギニアの大地で後に重大な役目を担うこととなる。そしてそのために、「虚無」の系統を身につける必要が出てくる。やがて自ずと、貴様の手に「虚無」の魔法を記した一冊の本がもたらされるはずだ』
 それがこの世界の正しい時の流れ方。例えルイズが半分因果律から外れていても、この世界がその立場に立つ者を要求してくるのだ。
『あの虚構の世界での記憶、お前にとってはつらい物ばかりの筈だ。俺が力を添えれば、お前自身の技で忘却することも出来るが』
「いい、私は覚えておく。いつだったかクォヴレーが言ってたわ。『いろんな人と過ごす楽しい時間に培った信頼こそが力になる』って。
 みんなはクォヴレーのことを忘れちゃうんでしょう?だったら、元ご主人様のよしみで私ぐらいは覚えておかないと、どこかでのたれ死なれても後味悪いもの」
『そうか……お前は優しい娘だな』
「べ、別に心配とかそういうのじゃないわ!」
 ぷいとルイズは顔を背けた。
『もう一度だけ、あいつはお前の前に顔を出すはずだ。それが、最後の別れになる』



 ブリーフィングルームで端末に向かって何やらリュウセイが必死に文章を打ち込んでいた。
「あらリュウ、まだ報告書の作成終わってないの?」
「そっちは終わったって。いやちょっとな、ピーンと閃いてさ」
 アヤ・コバヤシ大尉の呆れたような言葉に反論し、ディスプレイを指さす。
「何これ……企画書?」
「そ。ほらSRXってさ、格闘戦では結構強力な武器とかもあるけど、砲撃戦になったらどうも今ひとつだろ。艦隊クラスと真っ正面から撃ちあえるくらいの火力があれば、もっと使い勝手が上がる筈なんだよな」
「それで?」
「ああ、高出力のエネルギー砲に変形してSRXの腕で持つことが出来るPTってのを考えたんだ!そうすりゃ、変に機体のバランスが崩れることもなくてOSの微調整で済むだろ」
「あのねぇ、アニメじゃないのよ?そう簡単にいくはず無いでしょう?」
 呆れ顔でアヤが呟く。
「ま、物は試しって奴でさ。それに、一応ロブからもお墨付きはもらってるんだぜ?」
「はぁ……」
 やれやれとアヤは首を振ったが、リュウセイは気にしていなかった。
「へへ、いつかきっとR-1と並んで立たせてやるからな、R-GUN」



「何だよシュウ。いきなりやって来やがって」
 神聖ラングラン帝国、首都ラングランの一角ゼノサキス邸。
「いえ。どうも一瞬、あなたがラ・ギアスから消えた気がしまして……」
 マサキ・アンドーはヴォルクルス復活事件以来久方ぶりとなる人物の訪問を受けていた。
「別に最近地上へは行ってねえぞ。俺は」
「そのようですね。私の勘違いだったようです」
「? 変な奴だなぁ」
 突然の来客だが、まぁ知らぬ仲でもない。プレシア程美味くはないだろうが、茶ぐらいは出してやるとシュウを家に招き入れた。
(妙ですね……ルイズさんのサモン・サーヴァントと同等の力を関知したのですが……グランゾンのデータからも消えていますし……まぁどちらにしろ、彼女がいくつもの平行世界のうち他に存在しないとも限りませんか……)
 これはもう呼び出す方の世界よりも、こちらの世界の方を不作法な介入者から防ぐ結界を張る方が早いかも知れないなと、シュウはため息をついた。

 二年後。春、使い魔召喚の儀。
「ルイズ、あなた何でそんなもの持ってるの?」
 キュルケが呆れ顔でルイズに尋ねた。
「私の使い魔に持たせるのよ。悪い?」
「悪い悪くない以前に……使い魔が剣なんて握るの?」
 ルイズはその腕に長剣を抱いていた。身長が低くて持つのに苦労しているようだ。
「私の使い魔は剣を持つのよ。必ずね」
 自信たっぷりにルイズは言ってみせた。
「あなた、人間でも呼ぶつもり?」
「ええ、予定通りならね」
 本来、自分が呼び込みうる使い魔はたったの一人だけのはず。
 ところが、クォヴレーが呼び出された瞬間から、全ては狂ってしまった。彼が因果律から完全に逸脱した行動を取ったために、「世界」はその存在に対してのカウンターとして、ユーゼス・ゴッツォも呼び込むという選択を取ってしまった、とも言える。
 そしてとびきりのイレギュラーが二人も呼び出されたことで、因果曲線は狂いまくり、もはやこの場で自分に呼ばれるのは「何でもあり」になってしまっている。
 きっと既に、平行世界では「あり得ない誰か」が別な自分に呼び出されてしまっていることだろう。いや、あるいは次元振動の影響で自分以外が別な「誰か」を呼び出している可能性すらあるかも知れない。
「おかしな事言うのねぇ。そりゃあなたはコモンマジック『しか』使えない、変わり者のメイジだけど、人間を呼ぶなんてあり得ないし、そもそも何を呼ぶかなんて呼んでみないと判らないのよ?」
「ああもう、私のことは良いのよ!アンタはとっとと『微熱』程度の可愛らしいサラマンダーでも呼んでなさい!」
 しっしっと隣部屋のゲルマニア女を手で払う。
 失礼ね!でもサラマンダーって言うのはありね。とキュルケは一足先に担当教官のコルベールに指名されて召喚を始めた。
「おい娘ッ子。あの赤毛の娘の言うとおりだぜ。そりゃ万が一にも人間が使い魔で呼び出されたんなら、俺を買うのも納得出来る。けど呼びもしねぇうちに俺っちを買うなんてよ。これで剣を持てない使い魔が召喚されたら、俺っちはどうなるんでい?」
 ルイズの腕のなか。インテリジェンス・ソード、デルフリンガーが鍔を鳴らしながら訴えかける。
「大丈夫よ。アンタの使い手として、この上ない奴が呼ばれるはずよ」
 二年前のあの日から、ルイズは自身の虚無の系統についての書物を探り続けた。
 勿論、虚無用のルーンが書かれた書物などあるはずもなかったが、学院の図書室で一つだけ判ったことがあった。
 児童向けに書かれた絵本のなかで、始祖ブリミルの従える4つの使い魔のうちの一つ。ガンダールヴのルーンが、目にとまった。それは正にクォヴレーの左手に刻まれていたルーンと寸分変わらない物だった。
 ガンダールヴは虚無の使い魔。そして自分は虚無の系統。更に言えば、クォヴレーはガンダールヴであった。あんな巨大な機動兵器を乗り回しているのだから、ルーンは移動を助けるヴィンダールヴでも良かったはずなのに、何故か守り手のガンダールヴ。
 これは、何かしら強力な介入がない限り自分が呼ぶ使い魔はガンダールヴになるという事なのではないか?だとすれば、何者にも干渉されていないこの世界において、自分が呼びこむのはやはりガンダールヴになるはずだ。
 そう予測するや居ても立っても居られず、昨日虚無の曜日、一足先にデルフリンガーを購入していた。だが剣を買うのにわざわざデルフリンガーを選んだのは、少々センチメンタルすぎたかも知れない。
(でも、ちょっと期待しては居たのよね)
 自分以外の誰もあの戦いを覚えていない。思ったよりも、これには堪えていた。
 クォヴレーがもっとも近くに置いていたハルケギニアの物質であるデルフリンガーも、やはり覚えていなかった。
 今後生きていくうちに、自分もあれが夢だったのではないか、等と思い忘れていってしまうのだろうか。
 なんだか、自分が非道く薄情な人間に思えてきた。
「さ、ミス・ヴァリエールあなたの番ですよ」
「あ、は、はい!」
 思考の海に沈んでいたところを、現実に引き戻されて慌てる。
 コルベールに促されて、ルイズはその『約束の地』に立った。
 数多の平行世界に置いて、自分はここでいくつもの未来を手に入れた。今度は一体どんな者が呼び出されるのかと考え、そこで青い空を見上げて
「え?」
 己の目を疑った。

 自身の目をこすってみて、もう一度よく見る。間違いない。
「ミス・ヴァリエール?どうかしました……か……」
 コルベールもルイズの見ている方に目を向けて言葉を失った。
 4リーグほどは離れているだろうか。春の青空の下、見るからに悪魔然とした機体、ディス・アストラナガンが地上から600メイル辺りに浮かんでいた。
 既に召喚を済ませていた他の生徒達も異変に気づいて、そちらに目を向け、やはりぽかんと阿呆のように口をあんぐりと開いていた。
「クォヴレーっ!」
 デルフリンガーを放り出し、ルイズは杖を掲げて大きく振った。そのまま大声で呼びかける。
「私は!アンタのこと忘れないわよ!」
 スッとアストラナガンが腕を上げるのが見えた。
「アンタみたいに、なんだかんだ言いながら結局ご主人様を捨てて行っちゃうような薄情な使い魔なんて!死ぬまで忘れずに恨み続けてやるんだからねぇっ!」
 その言葉とは裏腹に、心底嬉しそうに、ルイズは叫ぶ。
 かすかに、ディス・アストラナガンが頷いたように思うと、その体は緑色のフレアを残しつつ空高くへと上っていった。
 ぐいっと袖で目元をこすり、目尻に浮かんでいた涙をふく。
「み、ミス・ヴァリエール……?今の、あれは……悪魔に見えましたが……?」
「私の……前の使い魔です。非道い使い魔なんです。主人を捨てて行ってしまうんですから」
「は、はぁ……?」
 コルベールは困惑顔だが、そんなのは些末事だ。
「テトラクテュス・グラマトン!」
 彼女がコモン・マジックを使う前に不可思議なルーンを唱えると、髪が蒼く染まるのは、学院では誰もが知っていた。クォヴレーとイングラムの残した遺産。秘宝の指輪を填めずとも魔法が使える秘密の裏技。
 そして杖を掲げて、ルイズは呪を紡ぐ。今度こそ、彼女本来の使い魔を呼ぶために。
「五つの力を司るペンタゴン!我の運命に従いし使い魔を召喚せよ!」




新着情報

取得中です。