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聖樹、ハルケギニアへ-04


聖樹、ハルケギニアへ―4




「・・・・ェクスデェス―――!!」
どばんと部屋のドアを開けルイズは自分の使い魔を探す。
だが目標は探すまでもなく、椅子に腰かけながら準備をしていた。
「息が切れているようだがどうかしたのか?」
「ぜぇ、だ、誰の所為だと、ぜぇ、思ってるのよ!」
「まずは落ち着くがいい」
とポットからグラスに水を注ぐとルイズに差し出す。
ルイズも椅子に腰掛けて水をゆっくりと飲み、もう一杯注いで貰うとさらにゆっくりと水を飲みほしてふぅっと息をついた。
「で、何かあったのではないのか?」
エクスデスの問いにはっと我に帰ったルイズ、まったりしている場合ではない。
グラスを持った手をドンとテーブルに振り下ろす。
「割れる」
「エクスデス!ご主人様の命令!決闘はやめなさい!」
「先に言った通りだ。やめる気は無い」
「・・・やめないならわたしの魔法で吹き飛ばすって言っても?」
すっ、と杖を見せるように取り出す。
「自分の実力を知らんわけでもあるまい。やれると思うならやればよい。
 だが、それなりに覚悟は出来ているのだろうな」
微かな殺気を滲ませてルイズを見る。
エクスデスは一歩も引く気はないらしい。
脅しも効果がないことはなんとなく分かっていた、いくら爆発で止めようとしてもこいつが止まるようには思えないのだ。
杖を机に置くとルイズは頭を抱えてしまった。
どうすればエクスデスを止められるかを頭をごちゃごちゃにしながら考える、その間にもエクスデスは黙々と準備を進めているのだ。
このまま時間が止まってくれればと思いつつ必死に考えるがまるでいい案が浮かばない。
焦りが思考を妨げる。
そうこうしているうちにエクスデスはマントを身につけ杖を持つとイスから立ち上がった。
「!」
もう考えている場合じゃない。
ルイズはイスから弾かれるように立ち上がると、エクスデスに正面に立ち両手を広げた。
説得も実力行使も通じない上に時間もない、咄嗟に思いついたのがこれ、つまり通せんぼである。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
エクスデスもルイズもお互いの顔を見たまま立ち尽くしている。
「「・・・・・・・・・」」
沈黙。
(・・・・・うぅ)
ルイズはこのエクスデスとの沈黙が苦手だ。
相手に表情を伺う顔があるならまだ会話の糸口も探りようがあるが、目の前の使い魔から表情は読めない。
真っ暗な目の穴が開いているだけでさっぱり分からないのだ。
それでも声を出してくれれば分かるのだが、だんまりだともはや喜怒哀楽どれなのか、ましてや起きているのか寝ているのかも不明なのだ。
(・・・・・多分怒ってるのよね・・・)
決闘に行くと意気込んでいるのを邪魔しているのだ、大方の予想は出来る。
「ルイズ」
「!」
ずいとエクスデスが近付く。
反射的に目を瞑り次に起こりうる事態に備えた。
「お前はもしや、私が本当にギーシュを殺すつもりだと思っているのか?」
「・・・違うの?」
おそるおそる目を開けると腰に手をやりやれやれといった感じのエクスデス。
「命を奪うつもりなら決闘などするものか。食堂ですでに終わっている。
 それに」
「それに?」
「初日にコルベールも交えて約束したではないか、ここで騒乱を起こす気は無いと。
 もう忘れたか?」
「あ」
確かにあの時そう言っていた。
エクスデスの言葉にルイズは安堵した。が、
使い魔が自ら宣言した約束を主人が忘れていたことに情けなくなった。
そんなルイズの内心を知ってか知らずか、
「理解できたならばそれで良い。
 さて、ギーシュをこれ以上待たせるのも悪かろう。ヴェストリの広場の場所を教えても
らいたいのだが、案内を頼めるか?」
「分かったわ。こっちよ」
「うむ」
部屋を出ると先頭に立って広場へと歩き出し、エクスデスもそれに従う。
歩いている途中、ルイズはごく小さな声で言った。
(・・・疑って悪かったわ)
「何か言ったか?」
「何も言ってない!早く行くわよ!」


学院の西側にあるヴェストリの広場。
そこはギーシュとルイズの使い魔との決闘が行われると聞いて集まった生徒たちでごったがえしていた。
ドットクラスではあるがギーシユはメイジ、そのギーシュにあの奇妙な風体のエクスデスがどう立ち向かうかで話題は持ちきりだった。
どちらが勝つかで賭けも始まっているが、大半はギーシュである。
やはり平民にメイジを倒すことなど出来はしないというのが圧倒的な考えなのだ。
「・・・暇なのが多いみたいね」
「あまり騒々しい場所は好まんのだがな」
広場に到着した二人はギャラリーの多さにため息をつきたいところだったが、そこで知った顔に出会った。
「主役は遅れてやってくる、ってところかしらね」
「キュルケ!・・・と」
キュルケの横にいる青髪の少女、確か名前はタバサ。
良く二人で一緒にいることは知っている。
「で、二人もこのギーシュの一人暴走劇観戦?」
「あたしは彼に興味があってね。どういう風にあのギーシュと戦うのか。
 タバサもそうらしいんだけど・・・ってタバサ!?」
「?・・・・!」
見ればタバサとエクスデスが一定の距離を挟んで見つめあっている。
見つめあっているといっても恋とか愛の類ではなく、すぐさま戦闘が始まりそうな緊張感に包まれているのだ。
互いに視線を放さない。
(・・・・・・・)
(この娘・・・・)
(・・・・・・・)
「待って、待って落ちついて!どうして二人が決闘を始めそうなのよ!」
「エクスデス!相手が違うから!」
キュルケがタバサの前にルイズがエクスデスの前に入り仲裁する。
やいやいと騒いでいる四人に待っている生徒達がなんだなんだと注目する。

「ん?・・来たぞ!」
二人の到着にギーシュを囲んでやんややんやと騒いでいた生徒の一人が声を上げた。
「随分とゆっくりとした到着だね。
てっきり逃げ出してしまったかと思ったよ」
髪の毛をさっとかき上げ余裕たっぷりでギーシュが歩み出てきた。
「では行ってくる」
「・・・加減はしてね。極力怪我もさせないで。
 それを守ってくれればいいわ。後の戦い方はあんたに任せるから。
 ・・・・・・・あんまり派手なこともやめて」
「可能な限りはな」
ルイズと簡単に方針を打ち合わせてエクスデスも進みギーシュの前に立つ。
「諸君!決闘だ!」
ギーシュが薔薇の造花を掲げ宣言し、歓声が巻き起こる。
「ギーシュが決闘するぞ!相手はルイズの使い魔の芸人だ!」
「気をつけろよギーシュ!どんな手品が飛び出すか分からないぞ!」
「ルイズの使い魔!玉乗りとかじゃギーシュは倒せないぞ!ははははは!」
(騒々しい事この上ないな)
エクスデスはやれやれといった感じに腰に手を当てている。
「僕はメイジだ。だから魔法で戦う。よもや文句はあるまいね?
 己の非を認めて降参するなら今なら認めるがどう」
「くどい」
ギーシュなりの平民に対する気遣いとしての降伏勧告だったが、エクスデスは一言で拒絶した。
「そうか。ならばもはや容赦はしない!」
ギーシュが手に持った薔薇の花を振った。
その花びらの一枚が宙を舞ったかと思うと、人と同じぐらいの身長を持つ、甲冑を身に着けた女戦士の像が現れた。
「傀儡の類か」
「僕の二つ名は「青銅」。従って、青銅のゴーレム「ワルキューレ」が相手をしよう」
ワルキューレを見るエクスデスの剣を持つ手が僅かに動く。
それを見たギーシュは先手必勝でかかることにした。
「何もやらせはしない!行け、ワルキューレ!」
青銅のゴーレムは一気にエクスデスに近寄ると、大きく振りかぶった拳をエクスデスの腹に叩きこんだ。
(・・・終わった)
その瞬間その場にいた殆どの生徒が決闘の幕切れを思った。
ギーシュ自身もあっけない幕切れだと思い、エクスデスの主であるルイズに慰めの一言でも送ろうと顔を向けた。
「もう終わったよルイズ。早く君の使い魔を医務室に運んだほうがいいんじゃ・・・?」
ギーシュは違和感を感じた。
なぜならルイズは慌てる様子もなくじっと見ているからだ。
しかも自分ではなくその前方、使い魔の方を。
普段の彼女なら自分の使い魔が倒れたとならば大騒ぎをするはず・・・
一体何事かとギーシュが思ったその時、

めきゃぐしゃばきん

まるで金属がひしゃげるような音。
ギーシュがルイズの視線の先、つまりはエクスデスの方を見て声を失った。
「あ・・・・・ああ・・・・」
そこには倒れたワルキューレの一撃で倒されたルイズの使い魔の姿など無く、逆に使い魔に片手で頭部を握りつぶされているワルキューレの姿があった。
ダメージなどまるでないかのようにエクスデスはその場に立っている。
ワルキューレの頭部を掴んだまま持ち上げると、ごきんと頭と胴体が別れた。
ワルキューレはそのまま崩れ落ちるとぴくりとも動かなくなってしまった。
その有様にギーシュのみならず、生徒達が仰天する。
「ギーシュの青銅のゴーレムの頭を・・・」
「に、握りつぶした・・・」
どよめきがどんどん大きくなる。
しかし、取り乱す生徒達とは裏腹に当のエクスデスはもう動く気配のないワルキューレを見ながら脆すぎると言わんばかりだった。
「この程度で行動不可能か」
視線を上げギーシュを見やるが、ギーシュは自分の自慢のワルキューレをいとも簡単に破壊されたことに口を開けて呆然としている。
(・・・魔法は使えても戦闘経験は無いようだな。
 いや、戦いは経験していたとしてもゴーレムを破壊されるような経験は無かったか?)
そんなことを考えながら、まだ呆然としているギーシュに声をかける。
「呆けているのは自由だが、これで終わりならこちらも動かせてもらうぞ」
「!」
エクスデスの一言で我に帰ったギーシュは薔薇の花を力強く振る。
花びらが舞い今度は六体のワルキューレが現れた。
「流石にあれだけというわけではなかったか」
「君のことを見くびっていたようだ。
 僕のワルキューレを破壊したのは見事だが、この数をどうにかできるかな?」
単体で駄目なら物量作戦に、一気に数で押しつぶす。
単純だが今の自分に出来るのはこれぐらいしかない。
ギーシュは意識をエクスデスの動きに集中させる。どんな動きをしても即座に対応できるように。
「次はこちらから行かせてもらおう」
エクスデスが持ったままであった妙な形の剣を構える。
(!斬りかかってくる!)
突っ込んでくるだろうエクスデスに警戒したが、その警戒心吹き飛ばす驚きがギーシュを突き抜けた。
なぜなら突っ込んできたのはエクスデス自身ではなく、手に持っていたその剣だったのだから。
自分の真横にいたワルキューレが胸を刺し貫かれ、破片をまき散らしながら押されるその勢いごと地面に崩れ落ちる。
「わぁああああっ!!!なんなんだぁあぁぁぁ!!」
ギーシュは自分でも今まで経験のない叫びをあげた。
その背後で別のワルキューレの首が飛んだ。


「け・・・・剣が飛んでる!しかもなんだあの動きと破壊力!」
生徒達が驚きの声をあげるが無理もない、ギーシュの周りを剣が飛びまわりワルキューレを次々と破壊しているのだ。
「み、見なさい!これがロバ・アル・カリイエの芸人の実力よ!」
部屋を出て廊下で打ち合わせた通り、ルイズはエクスデスのやることなすことは東の技だと大きな声で言い放つ。
ルイズとしても初めて見る事に内心大いに驚いていたが。
「なんなのあれ・・・・。テレキネシス・・・・・・?」
キュルケは目の前で起きている事態になんとか自分の知る限りの知識で答えを出そうとする。
だがタバサは皆が注目している飛びまわる剣ではなく、その持ち主エクスデスの動きを注視していた。
テレキネシスなら確かに剣を触れずに操ることも可能かもしれない、けれどそれには詠唱と杖が必要になる。
でもエクスデスは杖を持ってもいなければ詠唱をした様子も無く、ただ片手や時折指を動かしているだけである。
別系統の術、少なくとも自分たちメイジが知っている限りの魔法ではない。
その視線の先で最後のゴーレムが袈裟がけに切られ崩れ落ちた。
「あ・・・ああ・・・」
瞬く間にワルキューレを全滅させられ、ギーシュは尻もちをついたまま立ち上がれない。
数で攻めかかる以前に、相手は数など関係ないとばかりに力を振るい自慢の魔法は完全に打ち破られてしまった。
あと残されたものと言ったら残った一枚の花びらに変化させてある一振りの剣のみ。
しかし特別な効力もなく、エクスデスのように自在に手から離して動かすことなど出来るわけが無く、ただ持って戦う為の剣である。
青銅のゴーレムの拳を平然と受け止めあまつさえ握りつぶすような相手、接近して
捕まるようなことがあれば命の危機だ。
エクスデスの足もとに転がるひしゃげたワルキューレの頭を見てぞっとする。

「ふむ」
エクスデスは剣を手元に返し、手を拳にしたり開いたりとしている。
この世界にきて力を振るうのは初めてだ、使えないことはないと思ってはいたが制限を受ける可能性もあるのではないかとも考えていたが、その疑念はこれで晴れた。
確かな手ごたえ、これならば魔法も十分使えるだろう。
「さてギーシュよ、続きとゆこうではないか」
「ひぃっ!」
振られたギーシュとしてはたまったものではない。
「こ、降参だ!僕の負けだ!」
もはや打つ手は無かった。
「花びらはまだ残っているようだが?」
見逃してくれなかった。
「ゴーレムならば一体だけを残すとは思えんな。 一体ではどうにもならない
事というのは分かっているだろう。それは何だ」
もう隠していても仕方がない。
ギーシュは最後の花びらを舞わせ一振りの剣に変えた。
「これで本当にもうなにも無い!」
ガシャリと剣を置き改めて降参の意思をエクスデスに示す。
まだ腰が抜けていて立てないが。
「お前は負けを認めるというのだな?」
問いに頷く。
(これで終わりか・・・)
ギーシュが安堵のため息を吐いた矢先。
「ではこちらの攻撃をさせてもらおう」
「え・・・・」
思いもよらず帰ってきた言葉にギーシュが絶句する。
「そ、そんな許してくれるんじゃ」
「小僧、貴様が敗北を宣言するのは勝手だが。
 それを私が認めてやる必要がどこにある?自ら戦いを挑んでおいて勝手に降参して許されるとでも思っているのか?
 それに、」
エクスデスが剣を持ちながら歩いてくる。
「墓場に送る、つまり殺すとまでお前は言ったであろう」
ギーシュは慌てて逃げようとするが足がもつれてうまく動けない。
そうこうしているうちにエクスデスに腕を掴まれ無理やり立たされる。
「つき合ってもらおう」
「エクスデス何を――!」
(傷つけないって言ったじゃない!)
流石にただならぬ様子にルイズが駆け寄ろうとしたが、

「案ずるな」
「え?」

一言の言葉を残し、一瞬の輝きとともにエクスデスとギーシュの姿が消えた。






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