あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

裁きの後に

「神とは、期待していたほど万能ではなかった」
消滅してゆくその男の表情はどこか失望を感じているようでもあり、そして辿った半生からは似つかわしくないほどに清清しかった

第一話
  我、悠久の刻の渦中に身を委ねし者、汝は我が名を知るがよい、知らぬは己が知れた者と知れ
――我が名は冥王の烙印と化し、汝の楔となるだろう、そして刻め ――
  我が名は、レザード・ヴァレス

よく晴れ、澄み切った青空がどこまでも広がる―そんな朝だった
サモンサーバントを行い何かを呼び寄せた感触はあった
初めて実感する魔法の手応え、その喜びに浸りつつ、応じてくれた何かに対する期待と希望が膨らんでいくまでは良かった
大きな爆発とともに巻き上げられた砂埃と、その奥に隠れた使い魔が徐々に姿をハッキリとさせるにつれ怪訝な表情から
青ざめ、そして動転へと変わっていった
初めはとにかく何でも良かった―蛙以外ならば
サモンサーバントが成功するのなら、ワシとかフクロウとかとにかく何でも良かった
ドラゴンやグリフォンが来てくれたりして、来てくれないかなと僅かばかりは期待もしていたが
それは高望みが過ぎたと自分でも思う
砂埃が引いていき、視界に入ってきたのは倒れている紫だった
なんだろうと思いよく見るとなんだか人っぽかった
そんなはずないでしょと自分に言い聞かせ、よく見るとやっぱり人だった

幻獣でも動物でもなくて?人?なにそれそんなの聞いた事ないああでも人も一応動物に入るものね
予想外もいいところの予想外の事態に混乱するあまり、思考がするするすると勝手に脳を流れていく
ああ最初に見た紫はローブだったのねと思い至り―え?ローブ?
ってことはメイジ?呼んじゃったの?ああ、下手をしたら外交問題、お家取り潰し?!いえ、まだ呼んだだけだから未遂だから
でも万が一重要人物で一刻を争う重要な決断迫られているところを呼んでしまったなら―
もし呼ばれたのが自分だったら?ええ、勿論許さないわね
歓喜一転、反動の如く思考は悪い展開ばかり駆け巡る
ゼロどころかマイナス!マイナスのルイズ!語呂も悪い!
とりあえず混乱極まる脳内会議は平身低頭、誠意を持って何とか穏便に済ませてもらう方向で決定した
曲がりなりにも公爵家の末娘なのだから、余程の相手じゃない限りは分かってくれるわよねそうよね
そうよなあんだ余程の相手じゃなければ良いんじゃない
そう、詰る所重要なのは相手が何であるかね、まずはさり気無くこれを聞き出しましょう!
そう、詰る所ルイズは混乱していた

「気がつかれましたか?ここはトリステイン魔法学院、私はラ・ヴァリエール公爵家の三女
 ルイズ・フランソワーズと申します」
気が付いたら、覗き込まれていた
抜けるような青空と、奇天烈な色の髪を持った少女、それが目を開けて飛び込んできたモノだった
何とはなしに上半身を起こし、何とはなしに眼鏡をクイと持ち上げ、何とはなしに観察する―つまりは無意識的な行動だった
だったのだが、ルイズはそれを状況説明を求める相槌だと判断した
「実はサモンサーバントの儀式で―」
男が無表情、というか半眼のまま無言不動で続きを促す様は如何にも不服であると伝えているようで
メイジがサモンサーバントで呼び出されたのだから憤りも当然と思っているのもあり、ルイズは弁解をまくし立てる

小生意気そうな表情ながらも何処と無く高貴そうな顔つき、今はなんとも微妙な表情をしているが
まあ、なかなかに良い逸材ですね、纏う雰囲気に相応しく声もまた宜しい、若さもまた良いものです
そんなとり止めもない事を考えるまでも無く考えていると、普通まず最初に思うべき疑問が沸いてきた
「それであの、貴方のお名前をお聞かせ願えないでしょうか」
一体なぜ自分がこんな所に、いやそもそも自分は消滅したはずなのでは?
「ええと、言葉は通じていますよね?―」
ああ、もしや、もしや愛しの女神が私を?忌々しい王女と姉妹にとり憑かれ、変ってしまった愛しの―レナス
魂の消滅を、と慈悲なき断罪を宣告された筈なのですが―我が魂此処に在り、断罪しきれぬは躊躇、躊躇するは情故に!
「あ、あの、もしもし?―」
ああ!ああ!私の想いは彼女に届いていたのですね!
恐らくは融合されてしまった貴女の、自身も気づかぬほどの感情であったのでしょう!しかし、しかし!確かに其れは存在し
存在するが故に私は、今此処に―
「ふむ、ところで此処は何処でしょうか」
ふと思いついた疑問が口に出てしまい
「あんたは一体何なのよ!」
何故だか突然目の前の少女が癇癪を起こした
彼女の背後に見えた空はどこまでも広く、そして―澄んで見えた



最終話
――私にとってより大切なのは、ヴァルキュリアよ!!私があなたを愛しているという事実なのだから――

VSギーシュ
切欠はある少年のズボンから落ちた香水のビンを態々拾って差し上げ、一言添え紳士的にテーブルに置いた事だった
周りの者はそれを見、騒いでいたようだが何ら興味は無かった為、その場を去ろうとした所で事態は転化を迎える
時の悪戯―傍にいた下級生が弄ばれたのだと嘆き、少年は慌てて愛するは君しかいないと告げるも玉砕す
想いなき言葉、取り繕った偽念など通じる由もない
どころか始終目撃していたのはビンの送り主であった
気付き弁明するも浅薄な前言が無かった事になる道理もない
全ての音は消え、一瞬の永遠が生まれる
二兎を追い二兎に散った男の末路はしかし、このままでは他の者を逆恨む公算が大きいものであるが―

「下級生の輝きに目を奪われ、同級生を御する力を鈍らせた愚人」
それは唯の一言だったがしかし、誰もが何かも言い得ぬ僅かばかりの時の間隙を縫ったその一言は
確実に場を支配し、余人が飲まれるなか悠然とその男は歩み寄ってくる
「爆弾処理を怠れば破局に転じるは世の習い」
時が止まったかのような静寂を、ただ一人歩むは支配者のみ
ついには卓上の根源へ至り、その手を伸ばす
「このポーションを手にするに相応しきは―我なり!」
ポーションを手に取り鷹揚に振り返り睥睨する、その存在には―誰も抗えない

男がどこかにテレポートしてしまって僅かばかりしてから、ようやく時が動き出した
思考は突然の展開を理解できず―寧ろ理解する事を拒んでおり
なかった事にして話を続けようと
「あのレディたちはバラの存在の意味を理解していな―」
したのだが
「笑止!偽り、貫き通せぬ半端な情念など愛にあらず!
愛されるを求めるにあらず、己が愛するをこそ求めよ!」
最早ここにおいて神出鬼没かつ唐突に遮られた事など、この言葉の前には些事でしかなかった
「―!!」
愛の為に時を越え神に叛き、愛の為に次元を越え神になり、そして愛する者を目の前で奪われ
愛に闘い散った男ゆえのそれはまさに―力ある言葉
愛するが極致とは即ち、愛する者その当人に拒絶されようとも、自分のモノとするを望む狂おしいまでの自己本位の愛
しかし例え神の力をもってしても心を、魂を他者のモノにする事などできはしない―出来はしないと、識っている
未練、私の求めた愛はレナス、貴女にはついぞ判っては頂けぬままに―
しかし私の捧げた愛はレナス、貴女には確かに届いていた―私には、今の私にはその事実で充分なのです
そんな事は露知らぬギーシュ、だけではなくビンタをかました二人や周囲の者たちも、その高潔な観念
―愛されないのであれば魂ごとの融合という結論へ至るは妄念、されども妄執をこそ真意と捉える才能のある者は極めて少数であろう―
に自己を省み衝撃を受けたようであった
「己が愛するをこそ求めよ・・・」
ヨロヨロと打ちひしがれたギーシュはそう鸚鵡返しする
それが、それが愛!
なんてことだ、僕は愛を嘯きながら、しかし愛を識らなかった!
響いたのは心、だから紡がなくてはならない
己が傷付けてしまった二人に向き直り―心に伝える言葉を!
「モンモランシー!ケティ!すまない!僕は貴族として、いや人として恥ずべき事をしてしまった!
その場を取り繕いたい一心で君たちの名誉を、君たちへの愛を―」
大切な何かに気づいた彼の姿は、凛としていた
想いは言葉に紡がれ、言葉は想いに糾われ―現し世への現出の折より別たれた対極が
根元の太極へと昇華した瞬間であった
「ギーシュ様!私も、私も恥ずべきながら求めてしまっていたのです!」
ギーシュの誠心謝罪に声を被せ己が未熟を打ち明けるケティ
「私もよ!あなたを責める事なんて出来なかったのに!」
自らの軽率を恥じ入るモンモランシー
「ああ!こんな僕を赦してくれるというのかい!?このギーシュ、たとえ赦されずとも二人に愛を、今度こそ偽らぬ愛をここに誓う!」
感激に咽び入りながら雄々しく宣言するギーシュ
「「ギーシュ(様)!」」
三人を中心に芽吹いたユグドラシルで、偽りの愛に哂い囃し立てていた周囲の者もまた―愛を識る
アルヴィース達は陰ながらそっと見守りつつも、その眼差しは子供達の成長を祝福しているかのようだ
それはまさに愛を体現した光景、真理の顕現、美しい調和であった

まるでネズミ捕りを誘って役者を総入れ替えした歌劇の様ですね、と凡人には及びつかないような喩を抱いた男は
ある意味このハッピーエンドの立役者でもあり、しかしもとよりただ気まぐれで一言放っただけであるが故に
何を言うでもなく早々と立ち去っていった―ポーションは返しそびれた
その後姿に、あたかも最早これ以上の節介はいらないようですねと言わんばかりの振る舞いを幻想―
幻想した周囲の余人は、黙して誇らぬ、これぞ尊ぶべき精神その在り様!と勝手に魂を震えさせていた
独りルイズはその寸劇に他人を観ている気がせず―他の衆目とは別の意味で勝手に体が震えていた



オマケ
――たまらない、その冷ややかな瞳――

「で―それを、私に、返してきて欲しいって?」
昼間の騒ぎは私も見ていたので―いっそ気付けないでいたかったのだが
目の前にいる台風の目に向かい、半眼で呻く様に言った
先刻、自室で勉学に励んでいると、この男は部屋に帰ってくるなり私に頼み事をしだしたのだ
その内容を聞いて惨劇の羞恥が蘇り―全く不可解な事に自分を客観的に見せられているような、白昼の悪夢だった
私はやらないわよ!やってないわよ!やりたいとも思わないわよ!あんな―自己陶酔劇なんて!
だというのに、自分は潔白だというのに何故、あんなにも悪寒が止まらなかったのだろうか

狂宴の記憶に気が触れそうになったので思わず一言、あれを放っておいてどこいってたのよ!と文句を言いたくなった
なったのだが答えは聞かずとも判ってしまった為、眼で訴えるだけに留めた―どうせあそこだ、図書館だ、そうに決まっている
この男は目を離すとすぐふらふらと何処かに行っているのだが、どうも最近は図書館に入り浸っているらしい
その放浪癖について一度文句を言った事があるのだが
「すみません、図書館に行っていたのですよ
 私もまだまだ知らぬ事ばかりなので、つい」
なんて微笑を以って返されたものだから
目の当りにした、この若き賢者の賢者たる所以には大いに内省したものだった
賢者は一日にして成らず―その体現者の在り様に、魅せられた
奏でられた鳥の囀りが大きく聴こえたところで我に返り
だから出てきた言葉は
「そ、そうなの、それじゃあ仕方ないわね、うん、私も見習わなくちゃね」
ああ、もう、しどろもどろだった
それにしても、ついこの間まで私に文字を教わっていたとは思えない習熟の早さだった
貴女の教え方が良いからですよ、と笑みを返されたのだがそんな問題ではないだろう
なにせ簡単な単語と文章を幾つか教え、一応参考までにと辞書を貸しただけで
次の日ふと気が付いたら何時の間にか専門書を読んでいた程なのだから
私も魔法が使えない分、学習には力をいれており、理解力にもそれなりに自信があったのだが―
天才の努力という絶望の淵を見てしまったような―ううん、塞ぎ込むのは良くないわ、私だっていつか!
ええと、それはともかく

「ええ、このまま私が持っているよりも、やはり在るべき所へ返った方が良いでしょうから」
じゃあ何で持ってきちゃったのよ!とは言わない
数日間程度の付き合いだが、それでも身に染みて理解していた
なんというかこの男は、そう、ズレているのだ
頭が良くて、顔立ちも整っていて、紳士的で―しかしどこかズレている
まあ以前は塔というところで魔術の研究をしていた、と語っていたから何となく察せなくもないけどね
そういえば学院長には余り騒ぎを起こさないようにと念を押されていたのだが―
思考が再び横道に入ったのを自覚しつつ、苦笑しながらも首肯した
双つの月明かりは今宵も優しく穏やかだった



後日談
――我は一介の魔道師にあらず――

VSヴィダーシャル
「決してシャイターンの門に近づくな!その時こそ我らはお前たちを打ち滅ぼすだろう!」
そう言い放ってこの場を去ろうとするエルフの捨て台詞に、魔道師は表情を険しくする
認めぬ!この様な結末―私は認めぬ!
そう、天才が故に気づいてしまったのだ―投げ付けられた言葉の裏に隠されし、認め難い真実に
その様は明らかに先の戦闘時よりよほど危険な、比べるべくもないほど鬼気としたものだった
予想もしなかった魔道師の反応にエルフは気圧される
「エルフと言うだけの無能な人間が、私の舞台を奪った挙げ句―」
「む、人間ではないぞ」
反射的に返してしまったが内心で警戒感は高まっていく、寧ろこの状況は即発―戦闘前の緊迫だ

魔道師は頭に手をやり下を向いたため表情は伺えぬ、しかしそれでも伝わるは暴発寸前の憤怒
おかしいと思っていたのだ!半裸にすらあった出演依頼が、無かったのだ!
私がいないなどと!
だがその理由がこの目の前の忌まわしき男から告げられたのだ
「緻密な計算の上に書き換えた私の歴史を狂わせるとは・・・」
皆勤賞のお約束、様式美がなくなってしまえば今後万が一という事態も、ないとは言い切れない

「っ、何故今になって闘争の気配が押し寄せるのだ」
理解できない、私が退くのを見ていたはずだ、それよりもこの気配は先程の戦闘では感じなかった
目の前のアレは何だ、人間に似ているがそれでも人間ではないと直感する
覗き見た深遠の闇に逆に覗き込まれるような、そして知覚したと思い込んだ闇とは
自身を深遠に模造された人ならざる投影、余りに歪な何かと気付いてしまったような―
なにせ突然の敵意には全く理解が及ばない

体からは黄金の粒子が噴出し、最早激情は抑えるものではなくなっていた
門へと行けば敵対する、其はつまり自分は住人であるがお前は住人ではないとの宣言!
のみならず!決して近づくなとは、つまり明確な挑発!―其が意味するは単純にして明快!
目の前の男はこう言っているのだ―自分はお前に取って代わり熾天使の門の住人となったのだ、故にお前はもう関わるなと!
私の出番が無かったのも―あの時既にこの男が手を回していたのだ!
私は奪われたのだ!私が、私で在る事を許された、あの居場所を!掛け替えのない隣人を!
瞬間、深く暗い闇の如き情動と相反するかのように黄金の粒子は周囲へ爆発的拡散を遂げ、此処を此処ではない何かに変え―
「・・・許せん!」
地獄から響いてくるかのような声音と垣間見せた形相は、紛れも無い復讐者のそれであった



用語

 レザードヴァレス
愛に生きた天才魔道師
2では爽やか紳士にイメチェンを計り
創造神となった想い人に相応しい男となるため努力を重ねた
ラスボス戦後、その願いは叶わないという事を受け入れ消滅していった

 熾天使の門
準本編のセラフィックゲート、恒例のおまけ的なもの
咎を背負う者ではレザードの出演は無かった

 半裸
半裸の傭兵、通称アリューゼ
セラフィックゲート含めると皆勤賞



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