「…サモンサーヴァントは聖なる儀式。例外は認められません。」
今にも血が出んばかりに唇を噛み締めている少女に、彼は静かに告げた。
今にも血が出んばかりに唇を噛み締めている少女に、彼は静かに告げた。
この学院に奉職してから20年ばかり。
これまでに数え切れない程使い魔の召喚に立ち会ってきたが、流石に今回の様な事態に遭遇したのは初めてだ。
これまでに数え切れない程使い魔の召喚に立ち会ってきたが、流石に今回の様な事態に遭遇したのは初めてだ。
コルベールは、その少女の魔法成功率がゼロである事、それが元で級友達から『ゼロ』という二つ名を冠されている事を知っていた。
彼女が他の誰よりも努力家である事も。
彼女が他の誰よりも努力家である事も。
召喚は成功した。
『ゼロのルイズが魔法を成功させた』という事実は、その場に束の間の静寂をもたらした。
が、やがてどこからともなく笑い声が聞こえだすと、それは瞬く間に広場全体に広がった。
『ゼロのルイズが魔法を成功させた』という事実は、その場に束の間の静寂をもたらした。
が、やがてどこからともなく笑い声が聞こえだすと、それは瞬く間に広場全体に広がった。
彼女が召喚したもの―――それは『死体』だった。
嘲笑の渦巻く中、彼女は儀式のやり直しを求めてきた。
拳を握り締めて。唇を噛み締めて。
体全体で悔しさを表しながら、それでもそれを言葉にする事はなく。
毅然とした態度で、コルベールに儀式のやり直しを求めた。
出来るならば無かったことにしてあげたい。
初めて成功した魔法の結果が死体だなどと。
年端のいかぬ少女に対して余りにも過酷な仕打ちではないか。
だがしかし、使い魔の儀式は神聖なるもの。
何も呼び出されなかったならまだしも、そこにある死体は彼女の『使い魔』として呼び出されたのである。
ならば、契約は結ばれなくてはならない。
例外を認めるわけにはいかない。
初めて成功した魔法の結果が死体だなどと。
年端のいかぬ少女に対して余りにも過酷な仕打ちではないか。
だがしかし、使い魔の儀式は神聖なるもの。
何も呼び出されなかったならまだしも、そこにある死体は彼女の『使い魔』として呼び出されたのである。
ならば、契約は結ばれなくてはならない。
例外を認めるわけにはいかない。
コルベールがそう告げると、彼を睨み付けていた少女はくるりと踵を返し、諦めたように死体の元へと歩いていった。
やがて呪文の詠唱が行われる。
やがて呪文の詠唱が行われる。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」
……彼女の唇には、血が滲んでいた。