あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ウボァーな使い魔-04



無礼な元皇帝陛下がルイズに尋ねてきた事柄をまとめると2つ。

「この世界の魔法について」「この世界の戦闘について」

この世界の魔法については、いろいろ興味があるようで、
ドット、ライン、トライアングルと言ったメイジのクラスの話をマティウスは興味深そうに聞いていた。
特にスクウェアクラスの実力については詳しく尋ねられた。

ルイズとしては平民だか皇帝だかわからないマティウスを驚かせようと、
高位のメイジは巨大な火球ですべてを焼き尽くす…とか、
氷の吹雪であらゆるものを凍てつかせる…とか、大仰に語ってみせた。
だが、マティウスはときおり「ふむ」と言うだけでたいして驚いた感じもない。
一度だけ、伝説級の魔法ともなれば巨大な竜巻を発生させることもできると話したときに
「ほぅ、竜巻か」とニヤリとした笑いを見せたくらいだ。

戦闘の話まで聞き、マティウスはだいたいの算段をつけた。
スクウェアクラスのメイジと言えども、自分の手に負えない相手ではなさそうだ。
その他の武器についても魔法で白兵を圧倒できるようなので、あまり脅威ではないだろう。
あとはこの世界の国々とその情勢を知っておきたいところだ。

だが、すでには窓の外は墨を流したように真っ暗だ。

「あんたが勉強熱心なのはわかったけど、続きは明日にするわよ」

流石に眠くなってきたルイズが講義の打ち切りを宣言した。
まぁ、急ぐことはあるまいとマティウスもそれに同意する。
「で、あんたのベッドだけど」

まさか人間を召喚するとは考えていなかったので、この部屋にはベッドはひとつしかない。
あとはソファか床という選択肢になる。

流石に床に寝かせようとしたら、怒るだろうなとルイズは考える。
しかし、主人として自分のベッドを取り上げられるわけにはいかない。
ところがマティウスは意外な行動に出た。

「好きにするがいい。私は少し用事がある」

そういうとマティウスはドアを開けると外へ出ていってしまった。

「…あいつに用事?」

腑に落ちないルイズだったが、やがて疲れがどっと押し寄せ、
ベッドの上でその意識を手放した。


一方のマティウスは寮の外に出ると人目につかない場所を目指して移動した。
本来ならば、彼の衣装は非常に人目を惹きやすいのだが、夜ということもあり、
誰にも注視されることなく木立の陰までたどり着いた。そして――

ざわり…周囲の空気が一変する。
夜の闇が彼を中心に濃度を増していく。
激しい魔力の鼓動。

鋭敏な使い魔の中には、これに反応を示したものもいた。
青い髪を持つ少女「タバサ」の使い魔たるシルフィードもそのうちの一匹だ。
シルフィードは絶滅したとされている風韻竜であり、人語を操ることもできる。
このシルフィード、人前で喋ることを制限されているのだが、タバサと二人きりのときはかなりお喋りのようだ。

「こ、怖いのね~」
「どうしたの」
「な、何か恐ろしいモノが近くにいるのね~…」

そう言って部屋の隅で震える風韻竜の幼生。
窓の外に広がる闇の奥になにやら得体の知れぬ存在がいることを感じ取ったのだ。
シルフィードの怯えた声を受け、タバサが窓を開けて外の様子をうかがう。
だが、しっとりと濡れたような闇の中には何も見つけることはできない。
そんなタバサの脳裏になぜか昼間見たルイズの使い魔の姿が浮かんで消えた。
マティウスは、確かめておく必要があった。
自身の魔力が完全かどうか。そして地獄の扉を開くことができるのかどうかを。
かつては地獄から魔物の大群を呼び起こし、世界に溢れかえらせた男である。

果たして、その強大な魔力がこの異世界ハルケギニアにおいても地獄への路を探し当てた。
地獄から溢れた瘴気がゆっくりとあたりの闇に溶け込んでいく。

だが、マティウスの魔力は完全ではなかった。やはり、以前の世界で倒された身体が完全には回復していないのだろう。
世界が違うせいもあるかもしれない。地獄からの召喚は思ったほどの成果を挙げることができなかった。

地獄から自身の護衛になりそうな僕を4~5体程度召喚するつもりだったが、
目の前に姿を見せたのは、ベルゼブルやティアマットでもなく、紺色の猫のような魔物1匹だけだった。

「クぁ?」

トボケた鳴き声でマティウスを眺める魔物。誰が見てもただの猫にしか見えない。
成体なら豹程度の大きさの魔物だったことを考えると、まだ幼体なのだろう。

「これが護衛では心許無い。やはり魔力が充分に回復するまでは、派手な行動は慎まねばならぬようだな。
 …それならば、呪念体を作りだしておくか」

呪念体。
これは「こうていののろい」という名で恐れられた存在であり、皇帝と同様の姿をした分身である。
マティウスは知る由もないが、この世界には風の遍在という非常に似た魔法が存在する。
ただし呪念体というだけはあり、その姿は影のように暗く、本体である皇帝が死んでも消えることはない。
さらに呪詛魔法や即死魔法を扱える上、身体能力も人間体よりはるかに上だ。

自身があまり派手に動けないとしても、この呪念体を使役すれば事は足りるだろう。
近隣の国に送りこみ、君主の一人でも暗殺すれば簡単に争乱を引き起こせるかもしれない。
そのための世界情勢に関する知識は不足しているが、明日にでもルイズから聞き出せばよい。
そう考えながら、マティウスが魔力を行使しようとしたその時

「…!?」

マティウスは何者かの監視を感じ取った。見られている。
直接ではない。魔力を介した監視だ。

マティウスは考える。

(魔力の元をたどり、監視している者を消すか…
 いや、まだ事を起こすには早いだろう…相手の意図も不明。
 なにより急ぐ必要はない。部屋に戻るか)

時を同じくして、学院長室で一枚の鏡を見つめる一人の老人がいた。
彼は名はオスマン。この魔法学院の学院長であるとともに、伝説のメイジである。
一瞬ではあるが何者かが学院の中で強大な魔力を行使したことに気づき、
マジックアイテムである「遠見の鏡」で学院の中を探索したのである。

怪しい男はすぐに見つかった。まずその衣装が怪しい。
マントのついた金色の軽鎧を身にまとい、頭には角のような髪飾りをつけている。
それが木の陰に立っているのであるから、怪しく思わないほうが無理だ。その男の目の前には紺色の猫が一匹。
しかし、何か始めそうな素振りだったその男は、そのまま何をすることなく立ち去ってしまった。
どうやら寮に戻るようだ。遅れて猫も男の後を追う。

「今のがコルベールの言っていたヴァリエールの娘が呼んだという男かの?
 猫の餌付けでもしておったのかな…」

冗談めいた呟きとは対照的に、オスマンの目は鋭く光っていた。


――そして翌朝、床の上で眼を覚ましたルイズはベッドで眠るマティウスを発見したのであった。



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