あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ウボァーな使い魔-03



「とにかく皇帝だか何だか知らないけど、使い魔になったからには使い魔として扱うんだからね!」

魔法学院の寮へと戻る道すがら、ルイズが声を張り上げている。
先ほどから何度も唇を拭っているのは、コントラクト・サーヴァントによる契約のことを気にしているのだろう。

完全に冷めた表情の皇帝と顔を真っ赤にしたルイズとの口付けによる契約は、他の生徒たちがニマニマと見守る中で行われた。
ルイズの契約が完了し、無事に皇帝の右手に使い魔のルーンが出現すると、コルベールは安堵した表情を浮かべ儀式の終了を宣言した。
それを合図に他の生徒たちは使い魔を連れ、飛行魔法で帰途へつく。

「ほぅ」

それを見て皇帝は感心したような声を上げた。
彼の世界では、自在に空中を飛ぶ魔法は汎用的ではなかった。
高位の術者ならば、基本的な魔法を応用して空を飛ぶことも不可能ではなかったが、
純粋に空を飛ぶ目的の魔法は存在していない。

「なるほど…これがこの世界の魔法か。」
「さ、私たちも戻るわよ」
「なぜ貴様は飛ばぬ?」
「うるさいわね! 置いて行くわよ!!」

なんでもこれから寮へと戻るらしい。
さっさと歩いて行くルイズについて行きながら皇帝は考える。

(こやつ、なぜ飛ばんのだ。
 私が飛べぬと気をつかったか?いや、そんな様子ではない。
 だとすると、魔法無能者か?
 もしくは魔法が封じられている…とにかく何か事情があるのは間違いあるまい。)

ルイズには皇帝が後ろで何を考えているか知る由もない。
カシャカシャと軽鎧の音が後ろから響いてくるだけだ。

「そう言えば、あなた名前は?」

ふと思い出したようにルイズが振り返り 彼に尋ねた。
ルイズはまだ使い魔の名前を聞いていないのだ。彼の名前は「皇帝」ではないはずだ。
当の皇帝としても呼称にこだわるつもりは毛頭なかった。異世界で自身を「皇帝」と呼ばせるのも愚かな話だ。今はまだ―

「名前か…マティウスだ。」
「それだけ?」

ルイズにしてみれば、皇帝だったというからにはさぞかし立派な名前だろうと思っていたが、これは平民並の短さである。
やはり、この男はどこか遠方の平民で、貴族にあこがれた結果として妄想が膨らんだ男なのかもしれない。

「じゃあ、マティって呼ぶわ」
「好きに呼ぶがいい。私も貴様を好きに呼ぶこととする」
「ちょっと!使い魔が主人に向かって貴様とか、好きに呼ぼうなんて許されると思ってるの!?」
「ほう、では何と呼んで欲しい?」


寮に着くまでの間、ルイズは自身を「御主人様」か「マスター」と呼ぶよう主張を続けたが、マティウスに鼻で笑われただけだった。
それでもどうにか「異世界から来た皇帝」というトンデモな出身を伏せることについてはマティウスの同意を取り付けた。
恐らくクラスメートの誰も信じないだろう。笑われるのが関の山だ。なによりルイズ自身が信じていない。

そんな疑惑のこもったルイズの視線を受けながら、ルイズの部屋に入るマティウス。
その第一声はルイズを怒らせるに十分であった。

「なんだ、この狭苦しい部屋は」
「悪かったわね!この狭い部屋であんたと過ごすのよ!!」
「狭すぎる。せめて貴様は外で過ごせ。」
「御主人様と呼びなさいって言ったでしょ!!!」
「主人にふさわしい品位を身につけてから言うことだな。」

どうやら、この元皇帝は召喚主に敬意を払うつもりなど毛頭ないようである。

寮までの会話で、マティウスは気づいていた。
目の前の少女が他の生徒より一段劣った存在であることに。
自身の召喚も失敗の末の奇跡だったことに。

(この娘にとっては使い魔は唯一の成功の証だ。
 強がった態度をとっているが、使い魔を手放すことはできまい。
 特に遜る必要もないだろう。所詮は暇つぶしの道具に過ぎぬ。)

だが一方で、ここはマティウスにとって未知の世界でもある。
しばらくは事を構えるつもりはない。まずはいろいろ知らねばならないことがある。
ゆっくりと情報を集めるにも、使い魔という立場はうってつけに思われた。

「さて…貴様にいくつか尋ねたいことがある」
「だ…か…ら…御主人様って呼べって言ってるでしょ!」

何かをお尋ねになろうとする元皇帝陛下にルイズの怒りが炸裂する。

(なんでこんなヤツが使い魔なのよ!
 やっぱり私に才能がないから!?)

そんな悲しみに暮れるルイズと涼しい顔をしたマティウス。
1つの部屋に対照的な2人。そんな2人の横顔を窓から夕日が紅く照らしていた。



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