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ウボァーな使い魔-02



「使い魔…だと?」

地獄より多くのモンスターを召喚し、使役していた皇帝にとって、
使い魔の意味するところは見当がつく。要するに従者となれということだ。
皇帝たる自分を相手になんと無礼な話だろうか。

ルイズも当初は、人間…しかも皇帝を召喚してしまったことに、ショックを受けていた。
皇帝相手では契約不可能という考えも頭をよぎった。
だが、コルベールが彼に地名について説明している間に、ルイズは落ち着いて他の生徒たちを眺めてみた。
皆、自身の傍らに使い魔を従えている。そして皆、好奇の視線をこちらに送っている。
続いて自分の周囲の地面を見ると幾度となく起こった爆発により、それなりの広さで大地がむき出しになっている。
その2つの光景を見比べて、ルイズの心に強い意志がわきあがった。
これは最後のチャンスかもしれない。相手が何者であろうと、使い魔の契約を交わさねば…と。

そんな強い想いを持ってルイズは皇帝を直視していた。
そんなルイズを見返す皇帝。従者になれと言われて、喜べるはずもない。

男が不機嫌になる様子を見て、コルベールは慌てて召喚の儀の説明をした。
決して、相手を選んで召喚したわけではないこと、
召喚は一方通行であり、瞬時に元の場所に帰る手段は存在しないこと、
この儀式で生徒は使い魔と契約を行う決まりとなっていること、
使い魔と契約できない生徒は留年すること…

だが、皇帝である彼にとっては決まりとは自分の意思そのものである。
彼こそが法律である。どんな伝統だろうが彼の意思の前には意味をなさない。
コルベールの説明を聞き流しつつ、視線を目の前の少女に向ける。

「貴様は私を…」
「ルイズよ。ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール」

3度も貴様と呼ばれたことで流石に黙っていられなくなったルイズは皇帝の話を遮って名乗った。
人間であるが、自身の使い魔となるはずの男だ。名前くらいは覚えてもらわねば困る。
ルイズは続けて確認ともとれる疑問を投げかける。
「えーと…あなたもメイジなのよね?」

「メイジ?私は皇帝だと言わなかったか?メイジなどではない。」
そう答える彼の世界ではメイジは役職の名である。
彼はメイジなどではなく皇帝である。メイジではないという返答は正しいはずだった。

一方のルイズは「メイジ=魔法を使える者」の意で尋ねた。
これはこの世界の常識である。
いくら遠方の皇帝であろうとこの世界の者ならば、その常識がわからないはずはない。
「え!?メイジじゃないの!?」
皇帝であるからにはメイジだと思い込んでいたルイズは思わず大声を出してしまった。
少し離れたところにいる生徒たちにもこの言葉が届く。

「いま…メイジじゃないって?」
「じゃあ、貴族じゃないのか」
「平民ってこと?」
「杖は飾りか?」
「はっ!ゼロってだけはあるな」

ざわつく生徒達を余所に、ルイズとコルベールは共通の疑念を抱いていた。

メイジではなく、皇帝を名乗る男。
果たして本当にこの男は皇帝なのだろうか。
単なる妄想癖のある男ではないのだろうか。

疑念を確認すべくルイズは続けて尋ねる。
「皇帝って本当なの?どこの国の皇帝なのよ」

国名を聞かれた皇帝は、どう対応するべきか考えた。
(…この無礼者を含め、周囲の人間を始末することは簡単だ。
 この世界にはブラッドソードもなかろう。
 だが、一度死んだ身である余が呼ばれたのも解せぬ。
 パラメキアに戻れるかどうかもわからぬ。もう少しこの余興に付き合ってみるか。)

「私はパラメキア帝国の皇帝。どうやらこの世界はパラメキアと異なる世界にあるようだな。」
「パラメキア帝国…って、え?異なる世界!?」
ルイズの驚きももっともである。
異世界の君主であると信じるよりも、単なる妄想癖と考えた方が、まだ信じやすい。
「異世界から来たメイジでない皇帝」 or 「妄想癖のある平民」
どちらにせよ契約そのものには障害はなさそうだ。
あまり嬉しい使い魔ではないが―――

ルイズは改めて男に向かい直すと口を開いた。
「じゃあ、異世界から来た皇帝陛下。私の使い魔になって頂戴。」
「断る」
当然、皇帝は即答する。
皇帝たる自分を使い魔にしようとはなんという少女だろうか。
だが、その無礼者は言葉を続ける。
「な、なんでよ。召喚されたのならちゃんと使い魔になってくれなきゃ困るじゃない」
「…」
無礼にも程がある…下郎とはつきあっておれぬ そう考えたその時、
皇帝はルイズの瞳に宿る光に気がついた。見覚えのある忌々しい光。
何度も帝国に立ち向かい、そして自身を倒したレジスタンス達の目に宿っていたものと同種の光だ。

(この瞳の輝きはまぎれもなくフリオニール達のものと同じ。
 この輝きから生まれる力こそが、私を2度も倒したのだ…)

ルイズは押し黙ったままの皇帝に若干ひるみつつも、こちらを直視している。
その横では皇帝から滲み出る殺気を感じ取ったコルベールが杖を構えている。

わずか数秒の沈黙。皇帝は静かに何かを考えているようだった。
そして、皇帝がその沈黙を破る。

「…よかろう。娘…ルイズと言ったか?お前の使い魔になってやろう。ただし条件がある」
「じ、条件?」
「貴様が私を使い魔とするにふさわしくないと判断した場合、即座に契約を破棄する
 それが条件だ」
かつての皇帝からすれば、異常な提案。使い魔になることを受け入れるという。
だが、ルイズにとってみれば、異世界の皇帝だか、勘違い平民だかわからない男に
主人にふさわしくなければ契約破棄だと言われるとは思ってもみなかった。
第一、使い魔の契約破棄など簡単にはできない。

「そ、それは…」
「…ふ、自信がないか。確かに私を従えるだけの品位はなさそうだが」
「な…失礼な!私は貴族よ! いいわよ!
 その代わり、私を認めたらちゃんと下僕になるのよ!」

ようやく皇帝が笑み(とはいえ、人を見下した笑いではあるが)を浮かべ、恭しく礼をした。

皇帝と言えども、生誕時から君主であったわけではない。
先代のパラメキア皇帝に仕えていた魔術師がその前身である。それゆえ他人に仕えていた経験は充分にある。
もちろんそこから、先代を消し 自身が皇帝に即位するまでに至るのであるが…。

(先代に仕えていたときのことを思い出す。
 この娘に力を与え、この瞳の光を闇に染めてやろう。その後はこの世界を支配するのも面白いかもしれぬ)

皇帝は興味があった。力でねじ伏せようとしても決して輝きを失わなかった光が、
大いなる力、絶対的な権力を得ることで、支配欲の色に染まらないかどうかに。
幸いにも、娘はまだ幼い。権力を握らせ、力に溺れさせることで、瞳の色がどう変わるかを見てみたい。
レオンハルトのように力の支配を受け入れるだろうか。それまでは従者の真似ごとも面白いだろう。

「…えー では、『コントラクト・サーヴァント』を…」

急展開から取り残されていたコルベールが声を発したのは、
皇帝がかつて闇に落とした青年の顔を思い浮かべたのと同時であった。

かくしてルイズは異世界の皇帝を使い魔とした。



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