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夜刃の使い魔 第三夜

夜刃の使い魔 第三夜『再会は食堂で』

「あ~もう! 本当に頭にくるわ!」

ルイズは大変立腹していた。
折角召喚した使い魔が、何か勝手な事を言って何処かへ去っていったからだ。

「でもどうするのよ? 使い魔に逃げられましたじゃ済まないでしょ? 貴女このままだと退学よ?」
「知ってるわよ! だから当然追いかけるのよ!」
「・・・意気込むのはいいけど、せめてロープが全部解けるの待ちなさい・・・全然解けないわね、これ」

この状況にも腹が立つ。あの口に変なモノを仕込む妙な平民は、魔法のような手際でルイズをロープで身動き取れないようにしてしまった。
一見すれば、今のルイズはジャイアント・クロウラー(巨大いも虫)そのものだ。
もし頭までロープが巻かれていたら、キュルケはルイズとは気付かずに何か巨大な蛹か何かと勘違いしていたかもしれない。
今そのキュルケの手を借りて抜け出そうと四苦ハ苦しているが、縛り方が特殊なのか上手く解けない。
只でさえ忌々しいツェルスプトーの一族の女。その手を借りなければいけないのも最悪だ。
つまりは何から何まで腹の立つことばかりなのだ。

「あの平民、どうしてやろうかしら・・・泣いて謝るくらいに徹底的にお仕置きしてやら無いと」

底光りする目で呟くルイズに何気に(怖!)などと戦慄しながら、キュルケはそれは無理だろうと考えていた。
ルイズの話を聞く限り、彼女がこんな有様になったのは比較的夜早い時間であるらしい。
だとすれば歩くしか移動手段が無くとも、今頃近くの町に位は辿り着いているはず。
そうなったら後を追えるかどうかさえ怪しいものだ。
それに、とキュルケは思う。
(その時間って、確かエイジャックスと会ってた時間よね・・・そんな揉み合う音聞こえなかったわ)
つまりその使い魔は、隣室のキュルケに悟らせる事無く、ルイズをこんな目にあわせられる者と言う事になる。
ルイズがいくら魔法にことごとく失敗するといっても、失敗した時の爆発は強力無比。同時に簡単な魔法でも爆発が起きるので咄嗟に使おうとすれば一瞬で発動する。
それをろくに抵抗させることなく、些細な魔法さえ使わせずにルイズを捕縛する。
言うのは簡単だが、それが可能な人物とは一体何者だろう?口に妙なものを潜ませていたという話からしても、只者じゃないのは確かだ。
(考えように因っては、凄い使い魔を呼んだのかもしれないわね、この子。流石は私のライバル・・・って言いたい所だけど、逃げられちゃぁねぇ)
そして今のこの姿だ。あまりの姿にキュルケは何時ものようにからかう気も起きない。

「ねぇ、もう面倒だから炎で焼き切っちゃいましょうか?」
「無茶言わないでよ! せめてナイフとかで切りなさいよね!! そもそも何で普通に解こうとしてるのよ!?」
「え?・・・参考になるかと思って」
「何のよ!?」

面倒になったのか、キュルケが杖を構えると同時にルイズが悲鳴を上げる。
結局、ルイズが自由の身になったのはそれから半刻の後の事であった。

当然午前の授業に二人とも遅刻したのは言うまでも無い。


「全く、あいつの所為で最悪よ!!」
「付き合わされた私もね・・・で、どうするの? 午後の授業やめてその使い魔の平民を探しに行くの? もう何処か知らない土地にまで逃げてるんじゃない?」

時刻は昼。遅刻した事でミセス・シュヴルーズからお仕置き(頭の上に大量の粘土を載せて授業を受けなさい!)を受けた二人は、食堂で話し合っていた。
正確に言うなら、腹立たしさを隠そうともしないルイズに、キュルケがつき合わされているといった形だ。

「だったら追いかけるまでよ! 見てなさい! ヴァリエールの名にかけてアイツを絶対に捕まえて見せるわ!!」
「・・・その自信は何処から来るのよ?」

無駄に(無い)胸を張るルイズにキュルケがため息をつく。
と同時に、この決してあきらめない不屈さに舌を巻く。
実際この桃色の髪の少女は、その平民を見つけるまで捜索を決してあきらめる事は無いだろう。
それはゼロと呼ばれながらも魔法の修練を積み続けたたことからも判る。
そんな彼女を知っているからこそ、キュルケはこの少女をライバルと認めているのだ。
(・・・確かタバサが風竜を使い魔にしてたわよね。あの子に頼んで町まで運んでもらえば、少しは追いかけるの楽になるかしら?)
そんな事を思いついて件の少女を探すキュルケ。程なくタバサを見つける。
丁度旺盛な食欲でサラダの山を平らげている所だ。
次々空になる皿を新しいサラダを持ってきたウェイターが驚いた顔で見つめている。

「タバサったら、相変わらず身体に似合わない食欲よね・・・」
「あ、何? 今はそんな話じゃなくてあの馬鹿の話をしてるの! 誰が何を食べた、って・・・」
「・・・? どうしたのよルイズ。急に黙って」
「あ・・・あ・・・ぁ・・・」

急に言葉が止まったルイズを何事かと見やるキュルケ。
ルイズは、先ほどまでキュルケが見ていたタバサの方を指差して細かく震えている。
(なによ、やっぱりタバサの食欲に驚いたの? でも、それにしては・・・?)
疑問に思ったキュルケが震える指先の指す先を見ると、それはタバサではなく隣のウェイターが居た。
そこでようやくキュルケもその見慣れないウェイターに気がついた。
スラリとした手足に長い髪。端正な顔立ちはまるで育ちの良い貴族のよう。
昨日着ていた黒と赤ベースの服は、今日は学園で働く者達と同じ物へと変わっていたが、それは紛れも無く・・・

「ホーークアイッ!!! アンタここで何してるのよ!?」
「ん? ああ、お嬢ちゃんか。昨日は良く眠れたか?」
「あんな格好で眠れるわけ無いでしょ!! っていうか、そんな事はどうでもいいわ! アンタ、昨日私から逃げ出したじゃない! 何で普通に此処に居るのよ!?」

ルイズに呼び出され、本来使い魔となるはずだったホークアイは、何事も無かったかのように片目を閉じ微笑んだ。
何故か学園の使用人の姿をして。
ルイズの言葉も尤もな話だ。昨夜確かにホークアイは、自分で元居た場所に戻る方法を探すと言っていた。
それが何故こんな所で使用人のように振舞っているのか?
(ま、見つかったならいいわ。アタシは午後の授業潰してまで町まで出ずに済んだし)
何やら怒鳴るルイズとやんわりと受け流すホークアイを尻目に、キュルケは朝から続いていたルイズの世話に一段落つき、ほっと安堵の息をつくのだった。

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