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滅殺の使い魔-08


「な、何だったのよ、あいつ……」
ギーシュとの決闘を終え、広場の生徒達がまばらになっている頃……、ルイズは自室へと向かっていた。
頭の中には、豪鬼への疑念が渦巻いていた。
平民。 自分が召喚した、ちょっとごつい平民。 みすぼらしい服を着て、それでも超人的な力を持つ。
一体あれは何者? メイジでは無いらしい。 異世界から来たとか言っていたが、本当なのか?
途中キュルケに話しかけられたりもしたが、上の空で返事をしたから覚えていない。
でも……ギーシュを倒した時、ちょっとすっきりしたかも。
そんなことを考えながら部屋に着く。 ドアを開け部屋に入る。

――居た――

「ご、ゴウキ、ななな、なんで居るのよ!?」
鍵は掛けたはず。 そう思いながら、急いでルイズがドアを見ると、ドアの鍵が壊れていた。
「あ、あんた……鍵壊したの!?」
「ぬ……あのような物、有って無いようなものよ」
ふん、と豪鬼が鼻で笑う。
ルイズは、自分に必死に落ち着けと言い聞かせながら、あくまで笑顔で質問する。
「ね、ねえゴウキ?」
「何用だ」
「ギーシュのゴーレムを倒した、あの、なんて言うの? あれ、何だったのよ?」
「……技」
「わ、技ぁ!? いや、そんなはず無いでしょ、どうやったら技で青銅を真っ二つにするのよ」
「笑止。 日々鍛錬の賜物よ」
「あ、あんたねえ……」
どうせこの使い魔のことだ。 本当の事は教えてくれないのだろう。 本当かもしれないが。
そう考えたルイズは、しかし諦めきれない。
「ね、ねえゴウキ? 本当の事を教えて頂戴?」
「嘘は言っておらん」
なんか段々腹が立ってきた。 そういえば、こいつはさっき自分を馬鹿にしたでは無いか。
そういえばあの時も、あの時もと考えたルイズは、その理不尽な怒りを豪鬼に向けた。
「あんた、ちょっと調子に乗ってるんじゃない?」
「笑止」
なにかあれば笑止、笑止。 そんなに笑うのを止めたいのか。
溜まりに溜まった怒りが遂に沸点に到達してしまったルイズは、豪鬼に罰を与える事にした。 いや、気付いたらやってしまっていた。

「あ、あんた、何かにつけて私を馬鹿にして~~! もういいわ! あんたは一回使い魔という自分の立場を思い知る必要があるのよ!」
ルイズはドアを指差した。
「これからずっと、外で生活しなさい!」






次の日の昼間。
「ぬう……」
ルイズの部屋の前にいる豪鬼は困っていた。
と、言うのは、今、自分の隣に自分の胴着を必死に銜えて引っ張ろうとしている火トカゲ……フレイムが居るからである。 もう今日の朝からずっとそうして、豪鬼をどこかへ連れて行こうとしていたのだ。 それこそ、食事の時も、洗濯の時も。
「うぬは一体……」
いくら豪鬼とて、獣の言葉は理解できない。
そんな訳で、豪鬼は困っていたのだ。
とは言え、この火トカゲ、かなり必死である。 何故ここまで必死になったのか、という疑問と、これ以上は胴着が耐えられないという理由で、豪鬼はそれに引っ張られていく。
……筈も無く、豪鬼はフレイムに一発拳骨をくれてやると、今日の修練に向かった。





豪鬼がフレイムの意識とフラグを拳骨でへし折ったその頃……。
学院長室では、ロングビルが黙々と仕事をこなしていた。
仕事を一段落させると、視線をオスマンへと向ける。 オスマンは居眠りをしている。 よし、と小さく呟くと、すばやくサイレントの魔法を唱え、自身の足音を消す。
そして、薄ら笑いを浮かべながら学院長室を出るのであった。
実はロングビルは決定的な間違いを犯していたのだが、それに気付くことは無く……。
ロングビルが向かった先は、学院長室の一階下に位置する、宝物庫がある階だった。
宝物庫。 そこには、学院始まって以来の秘宝が納められている。 それ故、扉には巨大な鍵前で守られていた。
ロングビルは杖を取り出し、詠唱を始める。
詠唱を終え、杖を振る。 しかし、錠前には何も変化が起こらなかった。
ロングビルはまた違う魔法を掛けるが、それも効果を表すことは無い。 ロングビルは小さく舌打ちをすると、呟く。
「スクウェアクラスのメイジが、『固定化』の呪文をかけているみたいね」
『固定化』の呪文の前には、あらゆる化学反応から保護され、そのままの姿を永遠に保ち続けることが出来る。 『錬金』の魔法も効力を失う。 ただ、呪文をかけたメイジが、『固定化』の呪文をかけたメイジよりも実力で上回っているのであれば、その限りでは無い。
しかし、トライアングルクラスのロングビルに、スクウェアクラスのメイジに実力で上回れるはずも無く。
ロングビルはメガネを持ち上げ、扉を見つめていた。 そんな時、誰かが階段を下りて来ている事に気付く。
慣れた手つきで素早く杖をしまう。
現れたのは、コルベールだった。
「おや、ミス・ロングビル。 ここで何を?」
コルベールは、間の抜けた声で尋ねる。 ロングビルは、愛想の良い笑みを浮かべた。
「はい、宝物庫のの目録を作っているのですが……」
ロングビルは、困ったように笑う。
「あいにく、鍵を持っていないんです。 オールド・オスマンはご就寝中でして……」
「なるほど。 確かにあの方、寝るとなかなか起きませんからな。 では、僕も後程伺うことにしよう」
コルベールが歩き出す。 それを、ロングビルが呼び止めた。
「待って!」
コルベールは一瞬びくんと大きく反応すると、ぎこちなく振り向いた。
「な、なんでしょうか?」
ロングビルはもじもじとした仕草で、上目遣いでコルベールを見つめる。
「あの、よろしければ……、昼食を一緒にいかがでしょうか……?」
コルベールはその言葉に、満面の笑みで答えた。
「は、はいっ! 喜んで!」
二人は並んで歩き出した。
「ねえ、ミスタ・コルベール」
「は、はい! なんでしょうか!」
ロングビルから誘いを受けたと言う喜びと驚きと緊張でがちがちに見えるコルベールは、つい大声を出してしまう。
そんなことは気にも留めず、ロングビルは微笑む。
「宝物庫の中に、入ったことはありまして?」
コルベールは、ああ、と言うと、顎に手を添えた。
「ありますとも」
ロングビルが、ニヤリと笑う
「では、『悪夢の書』をご存知?」
「ああ、あれは、奇妙でしたなあ」
ロングビルの目が光る。
「と、申されますと?」
それは……、とコルベールが言うと、コルベールは急に真面目な表情になった。
「なんと言いましょうか……、あの巻物を見た瞬間、いや、あれが視界に入った瞬間、言いようも無い恐怖に襲われまして……。 何よりも不思議なのは……」
「不思議なのは?」
コルベールがごくりと唾を飲み込む。 顔には、冷や汗が流れていた。
コルベールは、一言一言かみ締めるように、恐怖に耐えるように言った。
「私はあれを見たとき、確かに、そう、確かに『悪夢』を見て、そして、いつの間にか、『死』を、あの場で、死んでしまうことを、覚悟していたんです」
ロングビルも、緊迫した表情になる。
「では、それはまだ、宝物庫に?」
「ええ……」
「でも、あの宝物庫には強力な『固定化』がかかっているんでしょう?」
「ええ。 しかし、宝物庫にも、一つだけ弱点があるのですよ」
「はあ」
「それは……。 物理的な力です」
ロングビルの目が、また光った。


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