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滅殺の使い魔-06


森――
「お、おい、エルフが居るぞ!」
みすぼらしい服を着て、何故か装飾品を体中に付け、杖も持った者が三人。 この者達を見れば、誰もがこの者達が『没落メイジ』と分かる。
この場にはティファしかおらず、自ずとメイジ三人がティファを取り囲む、という構図が出来上がっていた。
「おいおい、ガキじゃねーか。 何でこんなんにビビッてんだよ」
男が一人笑い出す。
それに呼応するかのように、他の二人もニヤニヤと笑い出す。
「いや……」
ティファが怖がるように後ずさる。
「まあいいや。 連れて行こうぜ。 エルフの女は高く売れるぞ!」
男たちはだんだんとティファとの距離を詰めていく。
「い、いや……」
その時。
「ティファっ!」






「……!」
「どうしました?」
「……いや」
豪鬼は、シエスタの仕事を手伝っていた。
……とは言っても、ケーキの乗った大皿を持つだけだが。
今、一瞬、本当に一瞬だけ、殺意の波動を感じたのだが、この世界にそれを使う者が居るはずは無い。
そう結論付けた豪鬼は、すぐに仕事(の、手伝い)に戻った。
シエスタと豪鬼は、順調にケーキを配っていく。
その途中で、金色の巻き髪に、フリルの付いたシャツを着た、気障なメイジを見かけた。 バラをポケットに挿している。 そのメイジを、周囲の友人達が口々に冷やかしている。
「なあ、ギーシュ! お前、今は誰と付き合ってるんだよ!」
「誰が恋人なんだ?ギーシュ!」
気障なメイジは名をギーシュと言うらしい。 彼はそっと唇の前に指を立てた。
「付き合う? 僕にそのような特定の女性は居ないのだ。 薔薇は多くの人を楽しませるために咲くのだからね」
俗物め。 豪鬼は特に興味を持たずに、仕事が終わるのを待った。
その時、ギーシュのポケットからガラスの小壜が落ちた。 豪鬼は勿論無視したが、シエスタがそれに向かっていった。
「あの……落し物です」
少しおどおどとしながらシエスタがギーシュに話しかける。
ギーシュはそれを一方的に無視し、振り向くことは無かった。
「お、落し物ですっ!」
シエスタが意を決したように大声を出す。 ギーシュはそれを鬱陶しそうに見ると、一言言い放った。
「これは僕のじゃない。 君は何を言っているんだね?」
しかし、その小壜を見た友人達はそれを見ると、大声で騒ぎ始めた。
「その香水は、ミス・モンモランシーの香水じゃないか!」
「そうだ、その色は、モンモランシーが自分のために調合している香水だ!」
「と、言う事は、ギーシュ、君はミス・モンモランシーと付き合っているんだね?」
「違う。 いいかい? 彼女の名誉のために言っておくが――」
「ギーシュ様!」
「ギーシュ!」
ギーシュの言葉を遮るように、二人の少女が怒鳴る。
片方は栗色の髪の少女。 涙をボロボロと流している。
もう片方は、いかにも気が強そうな金髪ロールの少女。 彼女は逆に、怒りに震えている。
「あ、いや、違うんだ、君たち……」
「嘘つき!」
弁解しようとするギーシュに、栗色の髪の少女がビンタ放つ。
ビンタはギーシュに命中し、ギーシュは唖然とその少女を見つめた。
「ち、ちょ、ケティ……」
「さようなら!」
ケティと呼ばれた少女が走り去っていくのをギーシュが唖然と見つめていると、今度は頭上からワインがどぼどぼとふってきた。
「嘘つき!」
その少女もまた、ギーシュのもとを走り去っていった。
沈黙が流れる。
ギーシュは、ハンカチでゆっくりと顔を拭くと、首を振りながら呟いた。
「あのレディ達は、薔薇の存在の意味を理解していないようだ」
余裕を演じてはいたが、その手は拳を握り、震えていた。 
そして、その矛先は後ろで震えていたシエスタに向かった。
「君のお陰で大変なことになったよ。 一体どうしてくれるんだい?」
「も、申し訳ありません!」
シエスタはギーシュに謝り続ける。
その様子を見ていた豪鬼は考えるより先に、体が動いていた。
「そこまでにしておけ」
「なんだい君は?」
「その者の知人だ。 名は豪鬼。 ルイズとやらの『使い魔』」
ギーシュは心の中でほくそ笑んだ。
いくら平民と言えど、女性に手をあげることは出来ない。 いいカモが入り込んできた。
「その君の知人のせいで、二人のレディの名誉が傷ついたんだぞ? どうしてくれるんだい?」
そんなギーシュを、豪鬼は一言で突き放した。
「うぬに責任がないとでも言うつもりか?」
ギーシュの周りがどっと騒ぎ立てる。
「そうだギーシュ! お前に責任がある!」
ギーシュは顔を紅潮させると、拳に入る力が強くなった。
「いいかい? 給仕君。 僕は知らない振りをしたんだ。 話を合わせる機転くらいはあって当然だろう?」
「笑止。 所詮俗物よ。 己の程度を知れ」
ギーシュの表情が固まる。
「き、貴様! 貴族に対してなんて口をきくんだ!」
「うぬの矮小な器で貴族だと? 下らん」
豪鬼は心底呆れたように言う。
「い、良いだろう。 君に貴族に対する礼儀を教えてやる」
「笑止」
口調こそ穏やかに戻ったが、ギーシュの顔からは、ありありと怒りが見てとれた。
「ヴェストリの広場で待っている。 ケーキを配り終えたら来たまえ」
ギーシュとその友人達は、食堂から去っていった。 一人残っている。 見張りのようだ。
豪鬼が後ろを見ると、シエスタが震えながら豪鬼を見つめていた。
「あ、あなた、殺されちゃう……」
そんなことを言うシエスタに、豪鬼は一度ふんと息を吐くと、こう答えた。
「笑止。 死など、既に覚悟のうちよ」
だが……、と豪鬼は付け足す。
「『餓鬼の喧嘩』で死ぬつもりは無い」
死すならば強者との死合いの果てで。 そう決めていた豪鬼にとっては、ギーシュとの決闘など喧嘩でしかなかった。
「だが、恩は返す」
「だ、だめ! あなた死んじゃうわ!」
シエスタは、とうとう食堂から走り去ってしまった。
豪鬼はそれを見送ると、見張りとして残っていたギーシュの友人に話しかけた。
「……連れて行け」
豪鬼の態度に、見張りの生徒は舌打ちをすると、豪鬼を広場へと案内した。




ヴェストリの広場。
広場の名の通り、それなりの広さがあるのだが、今は野次馬の生徒達で込み合っていた。
「諸君、決闘だ!」
ギーシュが薔薇の造花を掲げると、周囲の生徒達の興奮は最高潮となった。
「ギーシュが決闘するぞ! 相手は……ルイズの平民だ!」
ギーシュは手をあちこちに振り、歓声に応えている。
対して豪鬼は、たったまま目を瞑り、集中に入っている。
広場の中心で、二人は向かい合う。
「とりあえず、逃げずに来たことは褒めてあげようじゃないか」
ギーシュは芝居がかった、見下すような言い方で言った。
「……」
「さて、でははじめようか」
ギーシュが言った。
ギーシュはニヤリと笑うと、薔薇の造花を振る。
造花からは花びらが一枚落ちた。
その瞬間である。
なんと、花びらは甲冑を来た女戦士のの形の人形へと形を変えた。
「……」
「僕はメイジだ。 だから魔法で戦う。 よもや文句はあるまいね」
ゴーレムが突進を仕掛ける。 
豪鬼は初めて目を開く。
そして、大きく構え――






森。
「あぁ? なんだこのおっさん」
メイジの一人が、割って入った『白髪の男』に話しかける。
「君達はメイジかね?」
『白髪の男』は、三人のメイジに問う。
すると三人はニヤニヤと笑うと、持っている杖をわざとらしく掲げる。
「ああ! 俺達はメイジさ! トライアングルも居るんだぜ?」
それを聞いて、『白髪の男』は、ニヤリと笑う。
「そうか……」
「なに、そのエルフのお嬢さんを渡してくれれば、何もしねえ。 だが、もしも邪魔をするってんならなら……」
三人は一斉に『白髪の男』に杖を向ける。
「……クク……ハッハッハ……!」
『白髪の男』は三人を見渡すと、笑みを崩さぬまま、右手を目の前にかかげ、こう言った。
「良かろう。 では――」






異なる舞台で、遠く離れたその場所で、二人の声が木霊する――






        「滅殺!」
    「お手並み拝見と行こうか!」

   ――Ready?――
   Fight!



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