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ゼロの騎士団-15


ゼロの騎士団 PART2 幻魔皇帝 クロムウェル 5 「夢芝居と落ちこぼれ」

ルイズはその時、乾いた金属音を聞いた。
その音の方向を見ると、そこには彼女の知っている人物が片膝をついていた。
(ニュー!)
ルイズの声は届かずに、ニューは片膝を着きながら、衝撃で痺れた手を押さえていた。
その様子を見ていた、一人が声をあげる。
「勝負あり、そこまで!」
審判を務めていたであろう者は、ニューと同じような人物だった。
少なくとも人間には見えない。
ルイズにはいきなりの状況に、訳が分からなかったが、近くにもう一人見知った顔が居た。
(ん、何をやっているのかしら?あ、あれはゼータじゃない)
気付かなかったが、対戦相手は彼女の友人の使い魔のゼータであった。
おそらく、練習試合なのだろう――訓練場の様な場所を見てルイズはそう考える。
剣の技量は知らないが、ニューがゼータ相手に勝てるとはルイズも思わなかった。
「ありがとうございます」
ゼータがニューに試合後の礼をする。だが、そこには充実感や爽快感はなく、一種の含んだ空気が漂っていた。
その原因は外野の空気に思えた。
(またかよ、5戦全敗)
(ゼータが強いと言う事を差し引いても、これは異常だよな……)
ルイズの耳に、誰ともわからない声が聞こえる。複数の男達の声が聞こえる。
(え!何?何の声?)
誰とも知れない声に、周りにいる人物たちを見渡す。その顔には、蔑むような視線がルイズにも見てとれた。
ルイズにはその声が解らなかったが、周りの空気から何となく事情を読みこめた。
彼は馬鹿にされている――自分の様に
クラス内でルイズに対する視線と、今のニューに対する視線は同じ物を感じる。
だが、これは何なのだろう。思い当たる事は、つい最近の出来事。
(これは、夢、ニューの昔って事かしら)
数日前に見た夢に似ていると何となくルイズは感じ取った。
(そう言えばアイツ、騎士になりたいって、言ってたわね……)
以前、教室の掃除の際の話をルイズは思い出していた。
(しかし、アイツって魔法は使える割に、剣は本当に駄目だったのね)
ゼータの技はルイズも知っているが、それでも差があると思った。
あの時は謙遜とは感じなかったが、こうまで酷いとは。
(いつも偉そうな割に、こんな所もあったのね)
彼女の知っているニューは、どちらかと言えば自信家で毒舌な人物である。
自身を馬鹿にしてはいないが、少なくとも尊敬しているとは到底思えない。
だから、今の落ち込んだ顔を見て、少し微笑む。
それから、誰も居なくなった訓練場に、ニューとルイズが残される。
(慰めてあげようかしら)
優越感からそんな事を考える。
しかし、これは夢の為ルイズに気づかないのだった、ニューは近くに落ちた剣をじっと見つめている。
「はぁ、僕には才能がないのかな……」
肩を落として溜息をつく。
ゼータだけでは無い、昨日は弟弟子のリ…ガズィにも敗れた。
ある程度わかっていたことであったが、それでも、この現実は辛い物がある。
その様子を、最初はいい様と思っていたが、段々といたたまれないものを、ルイズは感じ始める。

才能がないのかな……

自分もよく口にする言葉、人の居ない所で練習して失敗する。
そして、いつもその言葉に落ち着く。
聞こえないとはいえ、何か声をかけたい。
その思いもむなしく、ルイズに声が響く。
(……いつもの所に行くか)
数秒考え込んだ後、深呼吸してから立ち上がり、ニューは歩き出した。


ニューの後を付いて行くと、そこは図書館の様であった。ニューが部屋に入ると、また人間とは違った者が出迎える。
緑色の体にローブをまとい、ニュー達と違い青いゴーグルで覆われている。
ルイズは知らないが、彼は法術隊の中で、もっとも古株の僧侶 ガンタンクⅡであった。
「ガンタンク殿、お邪魔します」
「こんにちは、ニュー殿」
やってきたニューに対して、ガンタンクは丁寧に挨拶をしてから、二人は手近な椅子に座る。
「また、ご教授して貰いたいのですがよろしいですか?」
「ええ、良いですよ」
ニューの申し出に、ガンタンクは喜んで応じる。
ルイズが何をするのか見ていると、ガンタンクは何やら話し始めたようだ。
(講義なのかしら)
詳しい内容は分から無いが、それは魔法学院で聞く講義の内容に似ている気がした。ニューはその話を聞きながら、何度も頷いている。
向かい合う様は生徒と教師の一言に尽きる。
タンクの言葉が途絶える。どうやら、終わりらしい。
次に、杖を取り出してガンタンクが魔法を唱える。
「では、今度は実践してみましょう。ミディ」
手から柔らかい暖かい光があふれる。
ミディ――ガンタンクの魔法は、ニューが使う魔法の中でも簡単なものである事をルイズは知っていた。
ニューも続いて、魔法を唱え手から暖かい光が溢れ出す。
どうやら、剣とは違い魔法の方は本当に才能があるようだ。
少なくとも未だに、魔法が正確に使えないルイズにはそう思えた。
タンクは休憩を促し、お茶を持って来る。
「しかし、貴方は勉強熱心ですな」
一息ついた所で感心したように、タンクはニューを見る。
タンクがニューに魔法を教え始めたのはここ一か月ほどの事であるが、少なくとも簡単な魔法でもこれほど早く習得するとは思いもしなかった。
「僕は剣が下手ですので、せめて簡単な魔法が使えたらと」
ニューがお茶を飲みながら、それに答える。
騎馬隊の中にはごく少数ながら、簡単な回復魔法が使える物が居る。ジムスナイパーⅡやジムコマンド等はリ…ガズィやゼータには剣で劣るが、そう言った面で貢献している。
ニューが自身に魔法が使える事に気がついたのは最近であり、今ではタンクの下で暇な時に教えを請う事が日課であった。
そして、この時間が弟弟子達への劣等感と訓練で負け続けるニューにとっても心の支えとなっていた。
(剣では貢献できないかも知れない。けど、こう言った事でみんなに貢献できるかもしれないから)
ニューの心の声はルイズにも聞こえていた。
タンクはそんなニューの葛藤には気付いているか分からない曖昧な表情を浮かべる。
あるいは、それに気付いているのかもしれない。
「しかし、貴方はもっと修業を積めば法術士になれるかもしれないのに、本当に勿体ないですな」
タンクが残念な感情を含んだ声で呟く。
今ではほとんど見る事がなくなった職業 法術士――回復だけでは無く、数多の攻撃魔法を使いこなす法術士は今では幻と呼ばれていた。
興味深く耳を傾けるニューに、タンクは思う所があるのか話を続ける。
「貴方なら伝説の魔法ギガ・ソーラも使えるかも知れません」
「ギガ・ソーラとは?」
ニューもその様な魔法は聞いた事無かった。
ここにきて、いろいろな魔法を聞いたがその魔法は初めて聞くものがあった。
「ギガ・ソーラは伝説の魔法と言われています。その力は絶大で戦局にも影響を与えると言われました。
しかし、絶大故に術者にも多大な負担を与える為に使える者がほとんど居なくなってしまいました」
「そんなにすごい魔法なのですか」
昔話を聞いた子供の様に、ニューは顔を輝かせる。
(僕も修行すれば、そのような凄い魔法が使えるのだろうか)
ニューはなんとなくそんな事を思った。
反対にルイズは疑問の表情を浮かべる。
(そんなすごい魔法、ニューは使えるのかしら?)
ニューの魔法を見てきているが、ギガ…ソーラだけはルイズも見た事がなかった。
「……話しはそれくらいにしましょう、ところで、どうですか、本当に法術隊に入りませんか?うちは人手不足なんです、貴方が来てくれたら歓迎しますよ」
先程までとは違い、声に戯れは感じない。
それを感じ取り、ニューも表情を硬くする。
「申し訳ありません、僕は騎士になりたいのです」
タンクの声を聞いて、ニューも申し訳なさそうに答える。
(私は、お爺様や父様みたいに立派な騎士になりたかったんだ)
ニューの言葉がルイズの心の中によぎる。
何となく何かを理解したのか、タンクはニューの顔を見て顔を崩す。
「そうですね、人には生き方があります。貴方はまだ若い、後悔しないはずがありません。だから、貴方の出来る事を、貴方にとっての答えを見つけなさい」
(え!……今の言葉、私に言った言葉じゃない)
ルイズの意識は、その言葉を最後に遠くなった。


夢から覚めたのかと思ったら、どうやら違う様であった。はっきりとは分からないが屋内に居るのだろう。
外は暗く、感覚はないが、何となく音で雨の気配を感じた。
そして、その室内にはうす暗い明かりの中十数人の人の気配を感じる。
「この雨が、我々の命を繋ぎ止めているのであろうな」
アレックスが窓から外を見ながら、緊張した面持ちで呟く。
丘の様になった地形から、アレックスに習い窓から外を見ると、少し離れた所には無数の明かりが森の中から見えていた。
「国境にまで偵察に来てみれば、これ程までの敵と遭遇するとは……」
この間までの均衡状態とは違い、近頃のアルガス王国は世代交代もあり、ムンゾ帝国に後れをとっていた。
アレックスはそれを感じ取り、今回国境まで威力偵察にきた。
しかし、ムンゾ帝国も同じ事を考えてたらしく、遭遇戦となる。
敵は九百近い数でありアレックスは退却を決断する。
幸い、歩兵を中心としたムンゾ帝国に対して、数十騎とはいえ馬に乗っていたから、降り出した雨の助けもあり、ここまで退却する事が出来た。
しかし、予想外の豪雨で川が氾濫し、結果的にムンゾ帝国の侵攻部隊と共に、ここに取り残される。
「ムンゾ帝国が近頃力をつけて来たのは本当の様ですな……」
アレックスに、タンクが言葉を入れる。
「そうだな、奴らの力は以前よりも増している、なんとかしないとな……夜明け頃には雨がやむ、向こうはそれと共に攻撃を仕掛けてくるだろう」
自身も語りたくないが、迫る危機に話題を変える。
その言葉に、声は出ないが空気は重くなる。
雨で敵が攻撃できないように、援軍もまた思うように進軍出来ないでいた。
このままでは……周りの顔は深刻であった。
戦争――とは言えないまでも相手と命をかけて殺し合う。
ルイズは、無言でその様子を見ていた。
一対一の決闘とは違う、自分の力が及ばない領域。
剣が使える、力が強い、魔法が使える。
それらの意味を嘲笑う物。
戦争とは常に有利な状況とは限らない。そして、今まさにその状況であった。
「アレックス団長、試したい事があるのですがよろしいですか?」
(……アレを試してみるしかない)
最後の言葉から数分の沈黙の後、不意に、ガンタンクはアレックスに提案を出す。
(……アレって、何かしら?)
「タンク殿、なにか考えでも?」
タンクは古株でこの中では相談兼知恵袋と考えている。
アレックスの返事には何か期待の意味がルイズは感じる。
タンクは自身の考えに絶対の自信はないのか、言葉はゆっくりとしたものであった。
「はい、私とメタス、そしてニュー殿でギガ・ソーラを試してみたいのです」
その言葉に、真っ先に二人がが反応した。
「無茶です、僧侶ガンタンク、我々二人の力でも無理だと言うのに」
オレンジ色の体に緑のゴーグルの僧侶メタスが反論する。
彼からしてみれば、それは干ばつの際に行う雨乞い程度の認識しかなかった。
ましてや、その中心人物に自分が来るとなれば猶更であった。
そして、もう一人も同じ考えであった。
「え!無茶ですよ、タンク殿、僕は簡単な魔法しか使えないんですよ」
(無理だよ、私に出来る訳ないよ)
タンクが自分の名を出した事に、ニューは狼狽する。
この中で、一番期待されていない存在の自分が、急に出て来た事に戸惑う。


(なんで僕なんだよ、僕の名前なんか出したら)
懸念は当たる。自分の名前を聞いて、周りの空気も再び重くなる。
しかし、タンクはニューが望むような冗談を言った訳では無い。
「もちろん解っています。しかし、貴方はものすごい力をお持ちだ、私達だけでは無理でも貴方の力を借りれば、出来るかも知れません」
(何を言ってるんだ、この爺さんは)
(無理だぜ、あぁ、ここで全滅かな)
タンクの言葉を聞いても、他の者達は呆れていた。
彼らの認識ではニューは頭数にすら入っていない。
せいぜい回復を頼むくらいの薬箱の様な存在である。
それを、周りの騎士達の言葉を聞いて、ルイズは憤りを感じる。
(何もしない癖に、何言ってるのよ!)
何もしないのに、ただ僻んだり、愚痴る。
そうなりたくないと考えるルイズにとって、彼らの考えや行いは最低と言えた。
アレックスはそれを聞いて、無言で考え事をしている。
もちろん、兵たちの空気も感じている。
(このままでは全滅は必至、ならば賭けるしかあるまい)
自分の決断を部下は無能と罵るだろう。
しかし、自身に案がなく、このままでは、遠からず全滅するのであれば、それに頼るしかアレックスには無かった。
(無能だな、私は)
ルイズ以外、その顔は見えなかった。
自嘲を含んだその顔は、皮肉にも最も人間らしいとも言えた。
「僧侶ガンタンクⅡの策を受け入れる、夜明けと同時に、ギガ・ソーラを唱え、それと同時に、奇襲を掛ける。全員、時間まで休んでおくように!」
アレックスの言葉を聞いて、ざわめきが聞こえ始めるが、アレックスが一喝するとそれは音を下げた。
しかし、騎士達の空気はいよいよ重くなっていった。


場面が暗転し多様な感覚で、ほぼ一瞬と言う間に、時間は夜明け前になっていた。
突撃のカモフラージュの為、騎士達は、小屋から出て事態を見守っている。
その中心には、アレックスと三人の術者達が居た。
(これで最後かな)
(母ちゃん、ゴメンよ)
騎士達の声にない悲痛な叫びがルイズにも聞こえた。
若い兵士の一人は、よく見ると槍を持つ手が震えている。
「では、頼む」
アレックスが開始の合図を出す。
先程までとは違い、危機が目の前にある今、すがるような視線が中心に集まる。
「ニュー殿、メタス、では行きますよ」
タンクが二人に呼びかける。
「はい」
(嫌だな……みんな期待している)
恐らく一睡もしていないであろう腫れた眼で、ニューはタンクの杖を握る。
三人は無言で集中し始め、晴れていた空は、心なしか、晴れかけた空が、また曇り始めていた。
その様子に、騎士達に期待の混じった声が少し上がる。
余裕があるのか、まだ、ムンゾ帝国の兵士たちは動く気配を見せない。
(まだ、これでは……)
周囲の期待に反して、タンクは焦りの表情を浮かべる。
「ニュー殿、メタス、もっとです!」
自分に向ける意味を含めて、若い二人に檄を飛ばす。
重なった杖により強い重さを感じる。
「はい」
(これ以上は無理だよ)
タンクの叱咤にニューとメタスが返事をするが、内心はルイズに聞こえていた。

自分の中で、二つ名と共に最も忌み嫌う言葉――無理

(アイツには無理だよ、だってゼロのルイズなんだぜ)
(また失敗したのか、だから無理だって言ったのに、ゼロのルイズ!)
ルイズにはその時、自身への言葉が思い出された。
拳を握る。覚えたくなかったが、いつの間にか覚えている感覚。
(ニュー……)
それだけを言った後、ルイズは黙っていた。

そして………


(馬鹿ゴーレム!アンタ何弱気になっているのよ!アンタが出来なかった皆が全滅するのよ!)
目を見開き走りだしたルイズが、触れる事が出来ないニューを叩きはじめる。
(アンタ何時も偉そうな癖に、口が悪い癖に………教室で私に偉そうなこと言ったのは嘘だって言うの!馬鹿ゴーレム、出来なかったら一生ご飯抜きよ!)

……どうでもよかった。

夢である事も忘れ、ルイズは必死にニューを激励する。
その声は届かない。しかし、ルイズは声を上げずには居られなかった。
使い魔は自身の鏡――思えば似ているかもしれない。
家の名前を背負っている所、自信家な所

……そして、本当は弱気な所も。

(アンタは騎士としては駄目かも知れない、けど、アンタにはアンタの出来る事があるのよ!)
自信家で口が悪く、性格も良いとは言えない。しかし、魔法が使える使い魔として自慢できる存在。
(アンタがそんなのだと、私まで……を諦める事になるじゃな(……けど)え!)
ルイズの言葉をニューの心の声が遮る。
(期待――今まで無意味だと思っていた。だけど、それは誰も本当は望んではいないからなんだ!)

立派な騎士になれ――本当に望んでいるのか?
その言葉に込められる意味、思いやり?社交辞令?騎士の家に生まれたから?

(期待……今までで一番嫌いな言葉。でも、今は違う!生き残る事を皆が望んでいる。……やらなきゃ、そうしなくちゃみんな全滅する!)
その言葉と共に、杖に輝きが増していく。
(僕にだって出来る事があるんだ!)
曇った空に一筋の光が見え始める。
(いける!)
「いきますよ!」
「はい!」
タンクが合図を送り、ニュー達が返事を返す。
そして、その声は同時であった。

「ギガ・ソーラ!」

それは、ルイズが見てきた中で、一番強い光であった。

遠くから見ると、暗い雲の中から、一つの光が降り注いだ様だった。
光は大地に突き刺さり、そして……

目を突き刺すような光の強さの割には、何一つ音がしなかった。


(何が起こったって言うの!)
ルイズも目がやられており、視界が開けるには十数秒を要した。
そして、光が終わり、自身の眼で何が起こったのかを確認する。
(何……これ……)
ルイズは目の前の森を見た。いや、見ている筈であった。
数秒前まで、森とその中には無数の殺気があった。しかし、それはすべて消えていた。
森があった所には、何一つなく、茶色い土の色のみであった。
ぬかるんだ土もなく、ただ、抉られたようなクレーターが広がるのみであった。
「おお、やったぞ!」
確認した誰かが、歓喜の声をあげる。
異常な事態よりも、自分達の生存が確認できて、彼らは素直に喜んでいた。
騎士達の歓声で、正気を取り戻し、ルイズはニューを探す。
そして、自身の使い魔を見つける。
彼はそこに居た。
(ニュー!)
本来、祝福されるであろう彼は、力なく倒れていた。
ニューに近寄ろうとするが、視界に暗幕が下りる。
そこから先は良く解らなかった。

時間、その他の感覚もほとんど感じ無い。
「ルイズ、何をやっているんだ?」
心配して、近寄った筈の男の声が聞こえた。
真っ先に回復しつつある聴覚で情報を求める。
声の方向を向くと、そこには倒れた筈のニューが居た。
「ニュー、アンタ倒れた筈じゃ………」
「寝ぼけているのか、ベッドから倒れたのはお前だ、ウォータ」
「うひゃ、あひゃ、なっ!何すんのよ、この馬鹿ゴーレム!」
水を顔にかけられて、ルイズは触覚と視覚を完全に覚醒させる。
そこには、いつも通りの憎たらしい顔があった。
ルイズが暖かい空気と、冷たい感覚に挟まれている事に気づく。彼女はベットから落ちたようであった。
「起きたようだな、全く、これから、姫様の命令を果たさなくちゃならん時に……」
腰に手をあてて、呆れた様子でルイズを見下ろす。
それが気に入らないので、ルイズは起き上がる。
「……てっ、解っているわよ!着替え持ってきなさい!」
ルイズはニューの後ろにあるクローゼットを指差す。
「はい、はい」
ルイズの不機嫌に慣れているのか、背を向けて、ニューがルイズのクローゼットを開ける。
ルイズは、さっきまでの頼りなさげな青年と、目の前の皮肉屋な青年と姿を合わせながら、ため息をついた。

「33 ニュー!アンタ、何弱気になっているのよ!」
ニューの過去
彼はその後……
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