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ゼロの騎士団-13c


ゼロの騎士団 PART2 幻魔皇帝 クロムウェル 3 「三人と吸血鬼退治」後編

村で馬を借り受け、ゼータは森の中を疾走していた。
「さて、そろそろだな」
ゼータはタバサの作戦に従い、合流地点に引き返そうとする。
(解っているとはいえ無茶をする。)
ゼータが伝令のふりをして、引き返しタバサと吸血鬼の基に行く作戦は昨日からの決定事項であったが、
それでも、タバサの身を危険にさらす事はゼータにとっては納得のいく事では無かった。
「今行くぞ、タバサ」
「その必要はありませんよ、騎士ゼータ」
突如森の中から自分を呼びとめる声がして、ゼータは馬を止める。
(なぜ私の名前を知っている)
自身の事を知っている者はこの世界にはそう多くない。そして、聞こえてくる声には敵意が含まれていた。

「私の事を忘れてしまいましたか、私は覚えていますよ」

「なっ!なんなんでぇ、アイツはよ!」
現れた物を見て、デルフが驚きの声を上げる。
森の中から、一つ目が浮かび上がりゆっくりとこちらにやってくる。鎧を身につけた赤い騎士が馬に跨っている。
それは、おおよそハルキゲニアには存在しない者であった。
「お前は!バウ、生きていたのか!」
それは、かつてゼータ達と死闘を繰り広げてた、ジオン三魔団の一人である騎士バウであった。
「お久しぶりですね、今はアルガスをクビになって少女の使い魔ですか……羨ましいものですね」
ゼータにバウが、厭味ったらしく皮肉を投げかける。
「だまれ!なぜ貴様がここにいる、それと、私はクビになった訳ではない!」
(昔から、慇懃無礼な奴だったけど相変わらずだな)
ゼータはバウの相手を皮肉る性格を思い出し、敵意をむき出しにする。
「おや、私はその猪の様にただ敵に突っ込むしかない能力に愛想を尽かされたのだと思いましたよ」
「ほう、では私の前に居るのは誰だったかなぁ、口が達者なだけの魔法に弱いヘタレ騎士のバウはもう倒したしなぁ、貴様は一体誰だろうなぁ」
ゼータはあさっての方向を向きながら、口笛を吹く。
意外な反撃に、それを見たバウは肩を震わせる。
「んな!言うに事欠いて言ってくれますね、魔法に弱いのはあなたも一緒じゃないですか」
自身と同じ弱点を持つゼータに弱点を指摘され、バウも少し声を荒げる。
「あなたこそ、アレックスの背中に居る事だけが取り柄のくせにずいぶん偉くなりましたね、
彼はここには居ないのですよ、私を前に如何して余裕なんか持っていられるのでしょうね?」
バウが、やれやれと言った目つきでゼータを見やる。その仕草が、ゼータの不機嫌を増幅させる。
ゼータとしても、作戦を実行するために急がなければならなかったが、バウを無視するわけにもいかなかった。
「貴様なぞ私一人で充分だ、あの時と違い更に激戦を経験したのだ、貴様には遅れを取らん!貴様を倒して、タバサと合流する」
「やっちまえ、相棒!」
剣を抜き、ゼータがバウに向けて馬を走らせる。慌てずにそれを見てから、バウも剣を抜く。
「相変わらず、優先順位も分からない馬鹿なところは健在ですね、貴方なんかを部下に持ったアレックスを尊敬しますよ」
軽口を叩きながら、バウも馬にけりを入れて、ゼータに向かった。


二人が一合目の剣を混じ合わせた頃、タバサはエルザと対峙していた。
「……悪魔?」
(やっぱり……)
タバサが拘束され、苦しそうに呟く。
「そう、人間は私達を悪魔と呼ぶけど、私たちから見ても悪魔に見える物」
(あんな生き物初めて見たんだから……)
それは彼女の目から見ても、悪魔だった。
「村人の血を吸っていたのは私、この村はいろいろと条件が良かったわ。
村にはあまり外に出無い親子が居て、私は村長の娘と言う事で余り疑われない。親が殺されたって事にすれば、それだけで人間は目が曇る。本当に容易かったわ」
村長についてマゼンダの家に行った時、アレキサンドルは自分の事を快く歓迎した。
彼の周りは敵だらけであり、自分の様な無防備な存在は近づきやすかった。そして、彼を僕にし、噛んだ後を、火傷でごまかす事にした。
タバサはエルザの独白を黙って聞いている。
「けれどね、困った事が起こったの、村長が騎士を呼ぶなんて言いだしたの。勝てなくはないけど、王国の騎士ともなれば手ごわいわ。それに、私はまだこの村にいたかったの」
彼女は村の女子供を順調に食事して行ったが、逃げると言う事を忘れていた。
村長は密かに、ガリア王国に連絡し騎士を派遣したのだった。食事を終えた次の日に、村長が自分の知らない間に騎士を読んだ事。
「どうしようか迷ったわ、そしたらあの悪魔があらわれたの」
騎士がエルザをおびき寄せようとして、森の中を散策しているのを監視している時にその悪魔と出う。
「その悪魔は凄かったわ、数分と経たずその騎士を倒しちゃった」
「!」
タバサは、未だに見つからない騎士の死体の話を思い出す。
メイジが気付いて、杖を向けた時には手の部分から先は無かった。そして、恐怖の絶叫と最後の断末魔はほぼ同時であった。
「その悪魔は騎士を倒した後、隠れている私に向けてこう言ったわ。ある人間達をおびき寄せてほしいと」
その様子をエルザは隠れながら見ていた。そして、悪魔は気配を消している自分に気付いたのだ。抵抗しようと思ったが、恐怖とから悪魔の提案を飲む事にした。
「それが、私達をおびき寄せる事……」
「そう、目的は何だか知らないけど、悪魔はあなた達に会いたがっていた。だから、私は知っていたの、お姉ちゃんがメイジでゼータがガーゴイルじゃないって事に」
事前に来る事を知らされていたが、その悪魔が望む物はすぐに分かった。
なにより、騎士の連れて来たガーゴイルはエルザも初めてで、
窓から見ていたが、ゼータを見てあの悪魔と同類である事はハッキリと解った。
「メイジがもう一人いたのは誤算だった、それに、どうやって気付いたのか知れないけど、あんなにあっさりアレキサンドルを倒すなんて思わなかったの……」
アレキサンドルを使ってシルフィードをおびき寄せようとしたが、どういう訳かタバサ達はアレキサンドルがグールである事に気付いてしまった。
「お姉ちゃん、人が生きるのに生物を殺すように私もそれに従っただけなの、従わないとあの悪魔に殺されちゃ」
エルザの言葉が終わる前に、言葉をかき消すような突風が視界と音をかき消す。
それが止んだ後、見上げると上空の青い竜がブレスを吐いた後だった。

「ラグーズ・ウォータル・イス」
後ろから声が聞こえ、エルザが振り返ると、タバサはいつの間にか自身の杖を持っていた。
力ある言葉を聞き、エルザは身を硬直させる。

「イーサ・ウィンデ」
気付いた時には、彼女の詠唱は終わっていた。
「ウィンディ・アイシクル」
氷の刃が、ほぼゼロ距離で放たれ、避ける間もなくエルザに突き刺さる。


一度だけ地面を跳ねた後、エルザは大地に倒れた。
「お姉さま、遅くなったのね、決して、日差しが心地いいから寝坊したわけでは無いのね」
上空から、元の姿に戻ったシルフィードが言い訳をしながらやってくる。
タバサの元に降り立ったシルフィードを、頭上に杖を落として歓迎する。
「……うそ、本当に寝てた」
それを聞いて、シルフィードは必死に言い訳をするが、タバサは許す気配がない。
タバサとシルフィードを瀕死の状態のエルザが見ていた。
「風竜?今までどこにいたの?」
「きゅい、痛いのね、ごめんなさいなのね。吸血鬼め、よくもお姉さまを酷い目にあわせてくれたのね!」
話の矛先をずらすように、シルフィードがエルザに向きなおり威嚇する。
「韻竜……伝説の竜なんてまだいたんだ……」
タバサはそのひとりごとを聞いた後で、今度はこちらから話す事にする。
「……あなた達が二人いる事は解っていた」
「え!どうして、いつからなの?」
タバサが自分達がの存在に気付いていた事に、エルザは驚きを浮かべる。
「気付いたのは、誰かがアレキサンドルの死体を運んだ時から、最初犯人の候補はあなた達を含めた三人だった」
村長が言った通り、もしも村人のなかに吸血鬼が居たら当の昔に村の住人はグールになっていただろう、だから、部外者の方が犯人の確率は高いとタバサは推測した。
「私達はグールがアレキサンドルで、マゼンダはただの人間だと言う事に気がついた」
この時点では、まだエルザは犯人としては不十分であったが、しかし、彼女はある程度、気が付いていた。
「けど次の日、私達が埋めた死体が運び出されていた。私があなたの所に戻る間に、死体を運び出す事は不可能だった。では、誰がマゼンダを運び出したのか?」
エルザが、アレキサンドルを掘り起こして村に持ち帰るのはほぼ不可能とされた、あの後タバサは一睡もせずにエルザを監視していたがついには彼女は動かなかった。
「あなたは動かない、だからこそもう一人誰かが居るんじゃないかと思った。そして、ある事に気がついた、どうしてあなたは私が風のメイジだって知っているのか?」
タバサはずっと従者として通していた、そして、シルフィードが風のメイジである事を知っているのは村には居ない筈であった。
「決定的な証拠はなかった、だから罠をかける事にした。ゼータが居なくなって、私と二人きりになると、あなたは襲ってくるかもしれない……そして、目論見は当たった」
タバサにとってこれは賭けでもあった。もしゼータの伝令が嘘だと分かれば村の不信感をさらに煽ってしまうし、解決していないのに本当に騎士を呼ぶ訳には行かない。
村もすでに解決の空気が漂っており、ここで下手に油を注ぐような真似は出来なかった。
タバサの話を聞いていたエルザは、その事に納得しつつも自身の命の終わりには、まだ諦めがつかない表情を浮かべる。
「そういう事なのね……ねぇ、たすけて、私は生きる為に殺したの、それに殺されたくなかったから、あなた達も同じでしょ、生きる為、殺されない為に人を殺す」
「……そう同じ、だからこそ、人の命を守るためにあなたを倒す」
タバサはシルフィードに指示を出して、エルザに土をかぶせる。
「この杖をあなたに……」
その言葉と共に、彼女に向けて最後の詠唱を唱える。
タバサの言葉を聞いて、エルザは自嘲的な顔をしている気がした。
「そう……あなたも同じだったのね……」
土はエルザの最後のベットとなって、炎の音に彼女の声はかき消える。
「行く、ゼータの元に」
彼女は感慨にふける事もなく、自身の友人に向けて指示を出した。


「てやぁぁ!」
ゼータの掛け声とともに、デルフが光の軌跡を描く。しかし、その軌跡は乾いた音を奏でる。
バウは上体を反らして避けた後、戻すと同時に、剣を突き出す。
それをゼータは盾で受け止める。
そのまま押し返し、自身も反動で、後ろに下がる。
「今度はこちらからですよ!」
バウは馬を左に走らせながら、右腕の剣でゼータを狙う。それをゼータは左の盾で防ぎながら、バウの空いている腹を狙う。
しかし、バウが馬をゼータの馬に体当たりさせてバランスを崩す。それにより、お互いが距離を置く。
「あの野郎、口の割にはやるじゃねぇか」
バウの技量にデルフが悔しながらも認める。
「だが、早くタバサの元に向かわねばならん」
そう言って、ゼータはもう一度、馬を走らせる。しかし、聞き手の方向とは逆に馬を走らせる。
「愚かですねぇ、方向も分からないのですか」
バウが、ゼータの行動を呆れながら愚弄する。
「私のやることが分からないようでは、お前も落ちた物だな、許せよ」
ゼータはそれに応じながら、馬を反対につける。そして、バウの乗っている馬の首を薙ぐ。
「何だと!」
「騎馬戦では馬を狙うのは有効な手段の一つだ、そんな事も忘れたのか!」
馬が生命を失った事で、バウはバランスを崩し地面に落ちる。ゼータが馬を反対に走らせたのはこれが狙いであった。
バウが倒れたと同時に、上空に風の流れる気配を感じる。
「タバサ、シルフィード!」
「遅いんだよ、馬鹿竜」
自分が行く筈であった援軍の役目を彼女達が果たし、それぞれが異なる反応を見せる。
「きゅい、うるさいのね、ナマクラ。ん、お姉さま何なのね、あれは!青トンガリと似たような奴が居るのね」
「……あれが悪魔」
バウを見て、二人も驚きの表情を上げる。
「悪魔とは酷な事を……エルザを倒しましたか、使い魔とは違い貴女は優秀の様ですね」
「減らず口は其処までだ、エルザは倒され馬も失った以上貴様に勝ち目はない、貴様の後ろに居る者の名前を聞かせてもらおうか」
ゼータが勝利を確信してバウに勧告するが、しかし、それを聞いてバウは突如笑い出した。
それを見て、全員が不審な顔で見合わせる。
「のほほぉ、中々面白い事を言いますね、そのお嬢さんの力も認めましょう……しかし、あなたは愚かですね、あなたが力をつけたように、私も力をつけたのですよ。ドライセンの様にね!」
その場で立ち上がりバウが飛びあがる。それをタバサ達が見上げる。
「悪魔……」
それから起きた光景を見て、タバサはそれだけ呟いた。最初の変化は背中であった。翼人種の様な羽が背中から生えた、しかし、彼らのような物では無く赤い血塗られたような羽が現れる。足にも猛禽類の様な白い爪が生まれる。
それは、ガリアで作られているガーゴイルその物であった。
「これがあの方より頂いた力、新しく生まれ変わった姿ですよ」
バウが嬉しそうに、自身を讃える。その姿は悪魔と呼んでも差し支えなかった。
そして、ゆっくりと地面に降りて剣を握る。
「さて、皆さんを送ってあげましょう。あの老婆の所にね!」
その声と共に、バウが飛翔する。そして、ゼータに目がけて急降下する。
それは、以前のシルフィードとはスピードは変わらないが、威力はけた違いであった。
「このっ!」
ゼータが横に跳んで地面に伏せる。そして、その上を暴嵐が駆け抜け、嵐がやんだ後、森の中に広場が出来る。
しかし、嵐は止まずその勢いのまま、上空に居るシルフィードに向かってくる。
「よけて」
「簡単に言わないでね!」
タバサの指示に悪態をつきながらも、何とか身を捻ってかわすが、風圧でシルフィードの羽根に傷が出来る。
「タバサ!奴は魔法に弱い、旋回する所を狙い撃て」
地上からゼータが指示を飛ばす。詠唱しながらタバサは頷き、ちょうど旋回しようとする所に魔法を放つ。



常人ではとても避けきれない様な速さで、氷の槍が殺到する。しかし、バウは余裕な態度を崩さなかった。
「たしかに、私は魔法は苦手でした……ですがね!」
氷の槍を前に、ある物を差し出す。
「私も馬鹿では無いのですよ、そこのお嬢さんに対して、それ相応の対抗策を持ち合わせていますよ」
白い蒸気の中から、バウの声がするがゼータにはそこから見える物に集中していた。
「それは竜の盾!なぜ貴様が持っているんだ!?」
(あれは私が最後まで持っていたはず、なぜ奴が!)
竜の盾――かつて、ドライセンが持っているとされる盾であらゆる攻撃を防ぐと言われた、獅子の斧と同じ三獣の武具。
そして、ゼータがジーク・ジオンとの最終決戦の際に愛用していた物であったが、その竜の盾がバウの手の中にあった。
「見つけたのは偶然ですよ、しかし、この盾の力を知っている物はこの世界には余り居ませんがね」
「どうすんだよ相棒、あれが有るんじゃお嬢ちゃんの魔法も気かねぇぜ!」
デルフが鞘を鳴らして口をは挟む。タバサの魔法が決定打になる筈であったが、竜の盾により、それも困難な物になった。
「乗って、地上では不利」
タバサがシルフィードをゼータの元に近づけ、乗るように促す。シルフィードが何か文句を言う前にゼータが飛び乗る。
「どうしますか、空の上では剣は届きませんよ!」
その声と共に、再び高速でバウが突撃してくる。ゼータはタバサの前に出て盾で防ごうとする。
「甘いですよ!」
しかし、高速で勢いのついたバウの一撃は、ゼータの盾を弾くほどであった。無防備になった腹にバウの爪が繰り出される。
それを避けようとするが、シルフィードに跨っている状態では碌にかわす事が出来ない、ゼータの脇腹に三本の線が刻まれる。
「くっ!」
「離れるのね!」
首を振り、風のブレスをシルフィードが放つが距離を取って回避される。
「ウィンディ・アイシクル」
離れた所を、ゼータの陰に隠れたタバサがバウを狙う。
「無駄ですよ」
それを見越していたのか、タバサの攻撃を盾で防ぐ。
(竜の盾を如何にかしなくては……剣を自由に振るえたら……そうだ!)
ゼータはこの状況で自分が剣をふるう為の手段を思いつく。
「タバサ、シルフィード……」
「無茶なのね!この青トンガリ!」
ゼータの提案に、シルフィードが反対の態度を示す。
「やるしかない、シルフィードお願い」
タバサはそれを聞いて、実行を許可する。この状態での不利は変わらずだったので、現状を打開する事が必要であった。
「お姉さま!……もう、解ったのね」
シルフィードも二人の覚悟に腹をくくる。
「作戦タイムは済みましたか?」
剣を弄びながら、バウが余裕を持った態度で応じる。
バウにしてみれば、この状況は覆る可能性は無く自信の有利な展開にご満悦とも言えた。
「ああ……行くぞ!」
その声と共に、風のブレスを吐きながらシルフィードを全力で突撃させる。そして、バウにめがけて剣を振り下ろす。
「相変わらず馬鹿の一つ覚えですか」
何無く余裕で受け止める。そして、もう一度足の爪で、ゼータを狙おうとするが
「私の方が早いのね」
止まらずに、そのまま駆け抜ける。そして、少し離れた所で急停止する。
「いまなのね!」
「ウィンディ・アイシクル」
タバサが反対に跨った状態で魔法を放つ。
「背後を狙うつもりですか、しかし」
振り向くと同時に盾を出し、その攻撃を防ぐ。
「行くのね、青トンガリ」
「何!」
バウはそこに居る筈の人物が居ない事に気がついて慌てる。

探すよりも早く、それの方が先にバウの元にやって来た。
「ゼータ乱れ彗星」

バウにとってそれは、太陽より降り注ぐ火球の様であった。バウとシルフィードが重なった時、ゼータはブレスに紛れて、垂直に飛んでいたのだ。
「馬鹿なっ!」
魔法を防ぐのやっとで、ゼータの必殺剣の直撃を受ける。
腕は突きで切り落とされ、羽根には無数の穴が開き、断末魔をあげる事無く、地面に墜落して行った。
「……これは返してもらうぞ」
タバサにフライをかけてもらいながら、自身の愛用の竜の盾を持つ。
「やったのね!」
シルフィードが歓喜の声をあげる。
「駄目、まだ生きている」
タバサは、シルフィードの声に緊張感を保ったまま応える。
墜落したと思ったが、バウは地上数メイルの所で、かろうじて着地する。
「……やりますね、今回は退く事にさせていただきますよ」
満身創痍になりながらも、バウは丁寧な態度を崩さない。
しかし、バウにしてみれば自身の余裕から失態を犯してしまっただけに、内心では余裕がなかった。
「いかにもなセリフだな、2流の貴様には相応しいがな」
嬉しそうな声でゼータが追い打ちをかける。魔法の苦手な彼にしてみれば、竜の盾が手に入った事もあり、傷口に塗る塩は最高の物と言えた。
「くっ!そう言っていられるのも今の内ですよ、あなたの仲間達はアルビオンで地獄を見るでしょう、勿論あなた達もお待ちしておりますよ、我が主、幻魔皇帝オリヴァ―・クロムウェル様が」
その言葉と共に、バウは森の闇に消えて行った。辺りから緊張感が消える。
「オリヴァー・クロムウェル、それが奴らの主か」
聞き慣れない名前を聞いて、ゼータはタバサの方を見る。
「アルビオン反乱軍の主、虚無を使うと言われている」
ゼータに対して、タバサが自信が持つ情報を教える。
「アルビオンにはキュルケ達が居る……心配……」
「そうだな、報告を終えたら、急いでアルビオンに向かおう」
ゼータにしてもバウを逃した事、そして、そのバウの口から出てきた言葉が気にかかる。
次の方針を決めて、いったん村に戻った後、ゼータ達はヴェルサルテイル宮殿へと向かった。


「タバサ様がお帰りになられました」
家臣の一人がタバサの帰還を告げる。その報告は主を不快にさせた。
「ふん、帰ってきたようだね」
(吸血鬼を倒して来たって言うのかい、ガーゴイルの奴め)
イザベラはタバサがこんなにも早く任務を終えたのが不満であった。
だが、彼女が吸血鬼を倒してその報告に来た以上応じない訳にはいかない。
「タバサ様をお連れしました」
そこで、連れられてきたタバサの格好を見て、イザベラは機嫌が良くなる。
「御苦労だったね、どうしたんだい、吸血鬼に貞操を奪われそうにでもなったのかい。」
(いい様だね、危険な目にはあったようだね)
タバサの格好は体中が小さな傷だらけで、服も破けてしまったのでシルフィードの分を代わりに着る事にした。
タバサは何も言わずに無言を貫いている。
イザベラの楽しげな顔と笑い声の中、一つの声が響く。
「それが、苦労をして任務をこなした騎士をねぎらう言葉か!」
イザベラの気分をぶち壊すようにその扉が開いた。
その姿を見て、イザベラは真っ先に声を出していた。
「お前は!」
(アレックス!?いや違う)
彼女の使い魔と同じ顔のゼータを見て、イザベラが驚愕する。
「お前は何者だい?」
「私はタバサの使い魔のゼータと申します。我が主はあなたの命で命がけで任務をこなしました。そして、傷も癒えぬまま、報告に来たと言うのに、愚弄するなど!」
家臣達の青ざめる顔に気にも留めず、ゼータは真ん中を堂々と歩いてくる。

「そいつは、それが任務だからさ、しかし、そのガーゴイルに似て気に入らない奴だね」
自身に対して、意見する存在など、一人しか知らないイザベラにとっては、それがとても屈辱的であった。
(ああ、何て事だ、シャルロット様が……)
家臣達はゼータの行いに、戦々恐々とわが身の様に体を固まらせる。
その場に流れる空気は最悪の一言に尽きた。しかし、一言で風の流れが変わる。
「ただいまイザベラ、お客様かい?」
場の空気をぶち壊すような暢気な声であったが、全員にはその声は神のささやきにも感じられた。
「アレックス帰って来ていたのかい!ちょうどいい、そいつを切っておくれよ!」
金切り声と言う言葉がふさわしい、イザベラの声が場に響く。
しかし、その声に反して、タバサとゼータは固まったままであった。

「おどれーた、相棒にそっくりな奴が他に居るなんて」
「貴方は……」

「……ガンダム」
タバサのつぶやきが、先ほどとは反対の静けさの中に響いた。


「29 騎士バウが襲いかかって来た。」
騎士 バウ
ゼータ達をおびき寄せる。
HP 1700


「30 私の本当の力をお見せしましょう」
悪魔騎士 バウ
真の姿を現す。
HP 2500 (2100+400)


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