あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

タバサの大尉-1

タバサは緊迫していた。神経がビリビリと緊張を伝えてくる。久々に思い出したこの感覚はなんていう名前だっただろうか?……そう、恐怖と言う感覚だ。
「おい……平民二人だぞ」
「しかもあのタバサが平民を呼ぶなんて」
周りの連中が何かを言っているが気には成らない。というよりも何故彼らは気がつかないのだろうか?目の前の物体の異常さに。
「……」
沈黙するその影、私が召喚したソレは長身だった。白いコート襟付きのロングコートに円筒形の帽子を被り、腰の辺りには何か金属製の物体。武器だろうか?
直立の姿勢で手を後ろで組み合わせ、襟と帽子のつばの間からじっと周りを窺っている。戸惑いはあっても迷いは無い。臨戦態勢である事が直ぐに分かった。
「……」
「……」
睨み合う。相手の様子を窺う。それだけが今に出来るすべてだ。動いたら殺し合いが始まる。周りのボケた同級生達は虐殺の対象にしか成らないだろう。
状況を理解しており、尚且つ役に立ちそうなのは……ミスタ・コルベールぐらいだろうか? 既に杖を構えられる体勢であるその中年教師が珍しく心強く見える。

「……」
相手もそれがわかっている。自分の正体を理解し、牙を向く相手をちゃんと理解していた。既に先ほどまで辺りを見渡していた視線が既に目の前の私に止まり、気配を察知する感覚はコルベール氏へと固定されている。
「おい……なんで誰も動かないんだ?」
「知らないよ……なんか空気が重いんだ」
ようやく周りも気がついた様だけどそれだけだ。何の対策にもならない。
「……」
私を睨み付けて放さない瞳。ガラス玉の様に感情を感じさせないのに、その奥底では闘争の色が渦巻いている。忠実に何かを守秘しているようでも有る。
さて……どこかでこんな眼を見たことがある。何処だっただろうか?すでに捨てて来た記憶である宮廷ではない。
戦場でもこんな眼をしている兵士やメイジは居ない……アァ、未開の山奥で名も無い古い魔女が飼っていた獣……『狼』がこんな眼をしていた。
あの狼は強かった。生き物であるくせに死への恐怖が無く、そのくせ油断もない。殺すために的確な攻撃を繰り返してきた。数日の激戦の果てに討ち取ったのだ。
あれほど強い相手とはあれから戦っていない。じゃあ今目の前に居る『人』の形をした『狼』は?それ以上だろう。今度は勝てる気がしないが。
「なあ、なんか有ったの?」

「あんたは黙ってなさい、平民!」
何処かでゼロのルイズと彼女が召喚した平民が戯れている声が聴こえる。私もそんな平和なやり取りが出来る使い魔を呼びたかった。
イヤ……もしこの人?を使い魔とすることができたら?さぞ心強いはずだ。悲願の達成に確実に前進できる。私は対処法に一つの選択肢を加えて……実行する。
「名前は?」
「大尉だ。それ以上でもそれ以下でもない」
低い声だけど、しっかりと聴こえる声だった。獣の唸り声のように辺りを揺らす。
「私はタバサ。貴方をここに呼んだ者」
「……何が望みだ?」
「貴方が欲しい」
「……」
ザワリと闘志が色を強くする。背筋を走る寒気の感覚が増す。ガラス色の瞳に更に濃い闘志と殺気が渦巻き出した。そして私もそれに答える。
詰まらない日常で感じる事ができない生の証。死の恐怖だけが教えてくれる価値がある。
目標を見失う事がある。ただ過程である闘争を満喫している自分がいる。
彼もそんな異端なのだろうか? 命令とその過程に価値を見いだす飼われながらも牙を失わない狼。アァ……私にソックリだ。皆親友に言われたことばかり。笑えるが笑えない。
何てお似合いな主従だろう。

「……良いだろう。似た者同士」
「……」
まさか通じていたとでも?そして同じ結論に至ったという事?
「闘争と命令を与えよ。戦火と戦果で答える」
「契約成立」
唱えるのはコントラクト・サーヴァントの呪文。いざ契約……届かない。確実に届かない自信がある。大尉の身長が高いからいけないのだ。私の身長が低いからではない。断じてない。
「……しゃがんで」
「……」
「あっ……」
しゃがむのはどうやら気に入らないらしく、逆に私が持ち上げられた。この体勢は……お姫様ダッコ……行けない、契約に集中しなければ。これで高さでは同じだ。契約可能。
『チュッ』
そんな音が立ちそうなキスだった。私のファーストキス……
「……(ポッ)」
「……(ポッ)」
大尉の顔が赤くなるのが見えて、私も自分の顔が熱を持つのを感じた。似た者同士なのだと、新ためて思った。



「なんか和んだね」
「生き返った気分だわ」
ともう一組と平民とメイジが言ったとか言わないとか。

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