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Louise and Little Familiar’s Order-10


今まで散々色々なお宝を貴族の屋敷から盗み出してきたフーケにも流儀という物が人々に知られていないだけだがある。それは盗みの際に人死にを出さないといった物だった。
平気でそんな事をするようになっては巷の火事場泥棒にも劣る。それに彼女はハニートラップなぞに迂闊に手を出すほど頓馬ではないと自負していた。
今フーケは自分が作り出した巨大土ゴーレムの肩辺りで小さく息を吐いていた。足元にいる学院生が、ゴーレムを見て慌てふためき、この場から退散して行ってくれたからだ。
これで自分の顔を見られる心配は無いし、怪我人も出ることは無いだろう。
それにしても仕事はやりやすくなったが、あの桃髪の生徒が放った魔法は一体何なのだろうか?
ゴーレムでも破壊が不可能そうだった本塔の壁をあっさりと破壊、いや爆破してみせた。既存の魔法体系ではどうやっても説明がつかない。
しかしフーケは頭を振って仕事に集中する事にした。このチャンスをみすみす逃す訳にはいかない。フーケはゴーレムの手を壁の穴に伸ばさせ、そこから宝物庫の中へ入った。
中は大半が換金すれば大金に化けそうな宝で一杯だったが、狙いは「鉄拳の箱」である。そして高価そうな箱が並んでいる一角にそれはあった。
小さく白い色をしたそれはたんまりと埃を被っており、箱の上部には丁寧に「鉄拳の箱、持ち出し不可」と書いてあった。フーケは堪えきれなくなったのか小さくほくそ笑むが、流石に中身をその場で開けるのは自重した。
それからフーケは腕伝いにゴーレムの肩に乗り、最後の仕上げとばかりに杖を一振りして壁に「鉄拳の箱、確かに領収いたしました。土くれのフーケ。」と残す。
今回の仕事は上々だった。早くこれを遠くの質屋で換金して田舎に残してきた妹の下に送金したい。
最近は彼女が使い魔召喚で喚び出したという青年―彼もこの世界で一応仕事をしている―も加わって食い扶持が増えた事もある。今回は喜んでくれるだろう。そんな事を考えながらフーケはゴーレムを動かし始めた。
ゴーレムは魔法学院の城壁を軽く乗り越え、重低音の地響きを辺りに轟かせながら草原を歩いていく。だがそれはあと少しで学院に一番近い所にある森に着くという時になって突然ぐしゃっと潰れる。
一部始終を中庭の奥で見守っていたメンバーの中で一番先に口を開いたのはギーシュだった。

「あれは……土ゴーレムだ。多分作ったのはトライアングルクラスだろう。でなきゃあんな大きなゴーレムなんか作れやしない。」
「でもあのメイジ、ルイズの作った穴から何かを抱えて出て来たわ。確かの階層の辺りは……」
「宝物庫。」

キュルケの質問に答えたのはタバサだった。そしてその言葉にキュルケ、ギーシュははっとお互いの顔を見合わせる。

「泥棒!!」

叫んだのはほぼ同時だった。しかし、それが分かったとてギーシュの推測が合っているなら、今ここにいる四人に対抗する手段は何一つ無かっただろう。
太陽の光を借りて白みかけていた空は、ゴーレムの潰れた地面を煌々と照らすだけだった。

Loise&Little Familiar's Order「For show or brave. That is the question.」

そこそこ日も昇ってきた頃になっても起床の時間と共に伝播した盗賊騒ぎは続いていた。
宝物庫の中では学院中の教師達が当直の教師であったミセス・シュヴルーズ、或いは警護に当たっていた平民の衛兵に責任の所在を擦り付け合っていたが、オールド・オスマンの登場によって漸く場は静まりと落ち着きを取り戻していった。

「皆の者!責任の所在は今回の問題点に非ずじゃ。この中でまともに当直をした者だけがそれをとやかく言う資格があるはずじゃが、その資格があるという者だけ意見を述べよ……と言ったところで誰も何も言えんのはわし自身もう掴んでおる事じゃ。
君らがそんな態度を取るから生徒が真似をするのじゃぞ。生徒はいつも君らの背中を見て大きくなるものじゃ。各自それを良く覚えておくように。
さて責任の話は一先ずさて置いてじゃ、犯行の現場を見ていたのは誰かの?」
「この四人です。掃除を終えて直ぐの出来事だったようです。」

コルベール氏が自分の直ぐ後ろにいた四人にさっと手を伸ばした。キュルケの隣には今や首輪の付いたヒメグマを鎖でもって離れないようにしているミーがいたが使い魔なので人数には入っていない。

「ふむ……君達か。詳しく説明してくれんかね?」

オスマン氏の質問に答えたのはギーシュだ。

「はい。突然大きな土ゴーレムが姿を現して、肩の辺りにいたメイジが壁に開いた穴から中に入っていったんです。そして何かを……恐らくは『鉄拳の箱』をだと思うのですが、とにかくそれを抱えて出て来たんです。
それから再びそのメイジはゴーレムの肩に乗りました。ゴーレムは城壁を跨いで外へ逃げて行き、いきなり崩れたんです。後には小さな土の丘があるだけでした。」
「有り難う。つまり後を追おうにも手懸かり無しというわけか。」

オスマン氏は困った顔をして顎鬚を弄り始めるが、その時長い黒髪に黒いマントをした教師の一人が話しに入ってきた。

「しかし、今の話には一つだけ合点のいかぬ所がある。
ミスタ・グラモン。メイジこと土くれのフーケは本塔の壁に開いた穴に入って盗みを働いたと言うが、そもそもその穴は何時開いたのだ?これだけ分厚く、またスクウェアクラスのメイジが何重にも『固定化』の魔法をかけていたというのに。」

その言葉を聞いてルイズの顔がさっと青くなる。
まさか国法で禁じられている貴族同士の決闘をやっている最中に自分が唱えて失敗した魔法が壁に命中したからなんて言えやしない。結果としてそれが過失にせよ、フーケの盗みの幇助をすることになってしまったのだから。
どう言おうか迷っていると、横からキュルケが助け舟を出した。

「ミスタ・ギトー。それ以前に開いていなかったのでしたら、フーケが自分で開けたのではありませんか?私たちはフーケが穴を開ける瞬間は見ていませんでしたが、少なくともここにいる全員は誰も本塔の壁に手を出していませんわ。
第一、もしそれが虚偽だったとしても学院生である私達がフーケに手を貸す理由が何一つありませんもの。」

それを受けてオスマン氏もギトー氏を宥めるように言う。

「ミス・ツェルプストーの言う通りじゃ。ここにいる四人の証言こそが昨夜の真実なのじゃ。フーケがそれだけの実力者であったとする事にしましょうぞ。
ところで、誰かミス・ロングビルを見なかったかね?今朝から姿が見えないのじゃが?」

オスマン氏の質問にその場にいる全員がばらばらに首を横に振る。と、そこへ本人がやって来た。訊くと、フーケの居場所を独自に行った調査の結果、突きとめることに成功したとの事である。
それによるとフーケはここから馬車で四時間近く行った所にある森の廃屋を隠れ家としているらしく、農民が黒尽くめの怪しい者がそこに入っていくのを見たというのだ。
一通りの報告を聞き終わったコルベール氏はオスマン氏に進言を行った。

「オールド・オスマン!直ぐに王室に報告しましょう!王室衛士隊に頼み、兵を差し向けてもらわねば!」

しかしオスマン氏はそれを話にもならないという表情で一蹴した。

「愚か者。そうしている間にフーケはお宝と共に逃げてしまうわ。大体当事者である我等が何も行動を起こさず、その様に他人に全てを任せる姿勢でどうする?
我々の身に起きた災難は我々自身の手で解決する。それが貴族として取るべき行動ではないかの?我々は赤子ではないのじゃぞ。
さて、そういう事でこれから捜索隊を編成する。我と思う者よ、杖を高く掲げよ。」

しかし誰の杖も上がらない。その様子にオスマン氏は嘆息したが、ややあって勢い良く杖を眼前に掲げる者がいたのを見た。ルイズである。


「ミス・ヴァリエール!あなたは生徒ですぞ!」
「でもコルベール先生、誰も杖を掲げていませんよ?」

しかし杖を掲げる者は直ぐにもう一人増えた。キュルケがその一人である。これにもコル
ベール氏は驚きの声を上げた。

「ミス・ツェルプストー!あなたも生徒ではありませんか!」
「ヴァリエール一人では何かと心配なもので……私がいた方が何かと安全かと思いましたの。」

その台詞にルイズは危うく噛み付きかけたが、これまでの経緯、そして昨晩の決闘の結果を考え、慌てて言葉を引っ込めた。そしてもう二人分杖が上がる。タバサとギーシュだった。

「心配。」
「淑女の危機を看過する事はグラモン家の恥。この捜索是非自分も参加させて下さい。」

二人の目はどこまでも真剣そのものだ。オスマン氏はそれを見て納得したように頷いた。

「そうか。行ってくれるか。ふむ、しかし生徒だけというのものう。ミスタ・コルベール。すまんが随行を頼めるかね?」
「かしこまりました。」

コルベール氏はオスマン氏からの頼みに恭しく頭を下げる。オスマン氏はそれを見て再度頷き、それぞれに励ましの言葉を送る。

「ミス・タバサ。君は若くしてシュヴァリエの称号を持つと聞いておる。それに恥じぬよう、己の実力全てを出して頑張るのじゃぞ。
それからミス・ツェルプストー、君はゲルマニアの優秀な軍人を多く輩出した家系の出であり、君自身も強力な炎魔法の使い手と聞いておる。君の放つ炎が皆を窮地から救わん事を願おう。
そしてミスタ・グラモン。軍門の家の出として、そして土メイジとして皆を守る確かな足場となるのじゃぞ。それからミス・ヴァリエールは……」

そこで言葉が途切れる。ルイズにとってそんな事は想定していた事の範疇だった。一体何を言うのだろうかと気にはなったが何とかそれを気取られないよう澄ましてみせる。
五秒ほどの間があってから、やっと言葉が見つかったのかオスマン氏は励ましの言葉を続ける。

「数々の優秀なメイジを輩出したヴァリエール家の息女。使い魔も従順でよく主人の為に尽くしてくれていると聞くが?」

その一言だけでもルイズにとっては救いだった。褒めるとは言ってもまさかヴィンダールブの一件を話す訳にはいかないだろうし。

「さて討伐隊として出る者は決まった。魔法学院長として諸君等の努力、そして貴族の義務に期待する。」

討伐隊の皆はオスマン氏がそう告げると真顔になって直立し、「杖にかけて!」と唱和する。
それからコルベール氏とギーシュは深々しくお辞儀し、ルイズ、キュルケ、タバサはスカートの端を摘んで恭しくお辞儀をする。それを見ていたミーは慌ててその真似をした。

「うむ。ミスタ・コルベール。出立に当たって数点渡しておく物があるから後で学院長室に来てくれたまえ。それから現地まで行く為の馬車はわしが用意しよう。道中の案内に関しては……ミス・ロングビル、頼みましたぞ。」

オスマン氏の要請にミス・ロングビルはにっこりと笑って応じた。

「元よりそのつもりですわ。」


ミス・ロングビルが御者をする屋根無し馬車は暗い森に続く一本道をひた走る。
荷台に乗っている五人はこれから待ち受ける相手の事を考えていたので暫く黙っていたが、やがてそれに耐え切れなくなったのか、キュルケが真っ先に口を開いた。

「ルイズ、何であの時手を上げたの?見栄なの?一応昨日の晩にも言ったけど、あなたの使い魔は今のところ私の手元にいるんですからね。あなた一人がゴーレムと対峙するんならあなた一人でどうにかしなさいよ。」

ルイズは隈の出来た半開きの目で小さく「五月蝿いわねえ」とだけ呟いた。大体そんな事は分かっているし、今の‘見栄’という指摘に嘘が無いとは言えない。ただ自分の、どんな時でも体裁を繕おうとする意図しない言動に嫌気が差していたのだ。
だがキュルケは尚も厳しい口調で続ける。

「相手は沢山場数踏んでいそうなトライアングルクラスのメイジなのよ。全員が無事に帰れるっていう保証があるかどうかも分からない危険な事なのに、どうしてあなたは使い魔まで連れてここにいるのよ?
まさか……あなた、使い魔との関係のルールを知った上で、この任務に自分から率先して参加したんじゃ……」
「ねえ、間違ってもその先の事で口を開いたらキュルケ、私この荷台からあんた蹴り落とすわよ。」

不機嫌極まりない視線を向けるルイズだったが、キュルケは何処吹く風といったような表情で消えるように「どうかしらね……」と呟く。
それを宥めるようにコルベール氏が両者の間に、やっと聞き取れるほどの小さな声で割って入った。

「二人とも。寝不足で気が立っているのかもしれないが、言い争いをしている余裕は無いぞ。何しろ我々の相手は直ぐ近くにいるのだからね。」

一瞬言葉の意味が判らなくてきょとんとするルイズとキュルケ、そして居眠りをしかけていたギーシュ。相手が直ぐ近くにいるとはどういうことだろうか?

「先生、それはどういう意味ですか?」
「……いいか、みんな。とにかく私の近くに寄るんだ。なるべく馬車より大きな声を出さないように気をつけるんだぞ。」

訳の分からぬまま三人はコルベール氏に近寄る。タバサもそれが何か大事な話をするサインだと気付いたのか、読みかけていた本を閉じて皆と一緒の事をした。
それからコルベール氏は御者台にいるミス・ロングビルに、自分達の動きが気付かれていない事を確認した後、声を潜めて話を始めだした。


「いいか諸君。フーケはミス・ロングビルである可能性がある。」
「ええっ?!!それはどうして……!」
「しーっ!!大きな声を出してはいけない!……今朝、彼女が周辺住民に対する聞き込みの結果、学院から馬車で四時間ほどの所にフーケの隠れ家があると報告した。それは覚えているね。だけどそれには大きな嘘が一つある。
考えてみたまえ。フーケに因る襲撃が行われたのは今日の未明である事を踏まえれば、日も出て間もない頃に外へ出て往復八時間かかる道程を行って帰って来る事はおかしくないかい?聞き込みをやっていたのなら尚更のこと時間がかかるだろう。
彼女が竜の様に高速で移動出来る手段を、動物にしろ魔法にしろ持っていたというのであれば話は別だが、私や学院長の知る限り、彼女はそのどちらも持っていない。
まあ、これはあくまで学院長の推論だが、私としては十分考慮する価値のある情報に思えるからこそ、君達に伝える事にしたのだが。」
「なら今の内にふん縛ってしまえば良いのでは?」

そこでギーシュが逸る心で提案してみるが、コルベール氏はしっかりと首を横に振って落ち着かせるように言った。

「ミスタ・グラモン、貴族が『ふん縛る』などという言葉を使うものではない。それに重ねて言うが、今私が言った事は未だ推論の域を出ない。
例えそれが事実であったとしても、状況、物的、何れの証拠も無しに捕まえた場合、相手が上手く立ち回るためにそれなりの用意をしていたら、圧倒的にこちらが不利になる。
必要なのは待つ事だ。相手が言い逃れ出来はしないボロを出した時、つまりこちらにとって決定的な好機の時、一気に仕掛ける。」

だがその作戦に納得がいかないのか、キュルケが少し訝しんだ様な表情でコルベール氏に対して言う。

「先生、期を待つ必要なんて無いと思いますわ。あちらはトライアングルクラスが一人、こちらは同格の人間が二人若しくは三人いますのよ。
未熟な私達に教える立場の先生が、まさか自分自身を卑下した上で戦力外だと思いになられて?」

隣でギーシュが「僕は戦力外なのか!」と小さく叫ぶのを無視してキュルケはじっとコルベール氏を見つめる。
コルベール氏は一瞬苦しそうな表情をしたが、一息吐いてからその返答をしだした。

「ミス・ツェルプストー、仮にもトライアングルの君が口にするべき言葉ではないな。
私は被るであろう被害を最小限に抑えようとして今の提案をしたのだ。もしフーケに金銭的な余裕があって貴族崩れの傭兵でも雇っていた上で我々を待ち構えていたらどうする?
それに我々の任務、学院長は討伐と仰ったが、フーケを罰するのは王宮等行政が、それも公平な審判の元で行う事だ。
我々はなるべく無傷でフーケを彼らの元に突き出さなければならないのだ。息の根を止めるというのは我々のするべき事ではない。分かったかな?」

コルベール氏の念押しにキュルケは渋々といった感じで頷く。元が軍人の家系の出だから腕を振るえないというのが不満なんだろう。
それから暫く行くと暗く鬱蒼とした森に着いたので、六人と一匹は馬車を降りて細くて狭い曲がりくねった道を進んでいく。
やがて開けた場所に辿り着いた。その脇の辺りに嘗ては炭焼き小屋だったらしい廃屋がある。怪盗の隠れ家には御誂え向きの様相だ。一行は一旦森の茂みに身を隠す。

「情報によるとフーケはあの中にいるという話です。」

ミス・ロングビルは廃屋を指差して言うが、今のところ中に人がいる気配は無さそうである。

「なるほど。しかし人がいる気配は無いですね。今の内に中にあるかもしれない『鉄拳の箱』を取り返しましょう!」
「ミスタ・グラモン。油断してはいけませんぞ。フーケはもしかすると、こうなる事を見越して罠を仕掛けているかもしれませんぞ。全員一斉に出て一巻の終わりなんて事もありえるのですぞ。」

急ぐギーシュをコルベール氏が抑える。しかし此処で何時までもじっとしていても埒が開かないのも事実だ。そこでタバサが自ら立案した作戦を披露した。
その作戦とはこうだ。先ずルイズが偵察兼囮として小屋の様子を確認。フーケがいなかった場合、全員を小屋へ呼び、『鉄拳の箱』奪取後、出来るならば学院に戻る。
もしフーケが現れた場合、コルベール氏中心の下、フーケが土ゴーレムを作り出す前に集中砲火で沈めるといったものだった。
一連の流れを聞いたルイズは溜め息一つ吐いて、「何で私なの?」と訊ねたが、タバサは一言「動きが素早い。」と言ったきり黙る。他の皆もそれに相違なかったようである。
どうにもならないと観念したルイズはいきなりミーの手を引っ張って小屋まで行こうとしたが、ミーはそこから一歩も動かずに恐る恐るルイズに訊く。

「御主人様、ミーも行かなきゃならないんですか?」
「そうよルイズ。さっきも言ったでしょ。この子はあなたの使い魔という立場を一時的にせよ離れてるのよ。あなたの行動に追随する理由なんて無いわ。」

キュルケがミーのもう片方の手を握りながらルイズに向かって冷たく言い放つ。
だがルイズはそれを上回る力でぐいと自分の元に引っ張り、黙って自分の後について行かせだした。
先に着いたルイズは中の様子を伺ってみるが、埃の厚く積もった家具や床は、そこに人が長くいないという事を如実に示していた。フーケは宝を持ってどこか遠くへ逃げてしまったのだろうか?
ルイズは一応小屋の全周囲を回ってみるが、やはり誰かが隠れている気配も無い。
ルイズは誰もいないという時のサインを出し皆を小屋の近くまで呼び寄せた。中の様子を見た感想がコルベール氏とキュルケから出る。

「中に誰もいないな。」
「誰も中にいないわねぇ。誰か中にいたら魔法の腕を振るえたのに。」

それからタバサはドアに魔法をかけてみるが、何の反応も無かった事から「罠は無い。」短く呟き、ドアを開けて中に入る。
そこで皆は事前の打ち合わせどおりに動く事になった。ミス・ロングビルは近辺の偵察、コルベール氏とギーシュは戸口でフーケが来るかどうかの見張り、そしてルイズ、タバサ、キュルケが小屋内部の捜索である。
小屋に入ったミーを含む四人は各々で怪しいと睨んだ箇所を調べる事となった。
だが探し始めて三分としない内に、タバサがボロボロの古ぼけたチェストから一つの白い箱を見つけ出す。それを見たキュルケは驚きのあまり目を丸くして叫んだ。

「『鉄拳の箱』じゃない!またあっけなく見つかったわね!」

だが『鉄拳の箱』を見て驚いたのはキュルケだけではない。

「ねえ、キュルケお姉ちゃん。それって本当に『鉄拳の箱』なの?」

その言葉を発したのはミーだった。キュルケはなんて事は無い様に気軽に話す。

「そうよ。宝物庫を見学した時に見たことがあるのよ。ミーちゃんもこれに興味あるの?」

話しかけられたミーは熱病にうかされた様にキュルケへ歩み寄り、まじまじと『鉄拳の箱』を見つめた。
ミーは『鉄拳の箱』、延いては白い箱の正体に気づいたのだ。中に何か、いや何の‘わざ’が収められているかは定かではないが。
その様子を見ながらルイズは腕を後ろに組んで言う。

「ま、これだけ早く『鉄拳の箱』を見つけて、しかもフーケに遭遇しないなんて思ってもいない僥倖よね。さ、みんなで早く帰……」

しかしそれは外から響いてきたギーシュの叫び声によって途切れた。何事かと思い戸口の方へ全員が向かおうとした時、いきなり景気の良い音をさせて小屋の屋根が吹き飛んだ。
屋根が吹き飛んだそこには……青空をバックに巨大な土ゴーレムが、そこにいる皆を威嚇するように立っていた。


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