あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロの社長-19


「と、勇ましく出て行ったは良いものの、ついた小屋には既に誰も居なくて、
土くれのフーケのその後の行方は不明。
フーケ捜索隊はそのまま学園への帰路を辿らざるを得なくなったと…。」
「うるさいわねぇ…。全く…とんだ無駄足だったわ。」

フーケ事件から丸1日が経過した。
ルイズ達4人のフーケ捜索隊は、結局土くれのフーケを発見する事はできなかった。
海馬が口にしたとおり、森の小屋にいって返ってくるだけの結果になってしまったのだ。
もっとも、その捜索隊の中にフーケが居た上に、捜索の指令を出したオスマンもその犯行に荷担しているともあれば
見つける方が無理というものだろう。
結局、盗まれたとされる『召喚銃』はそのままコルベールの私物と相成り、
事件をたくらんだオスマンの思惑通りに事は進み、事件は幕を閉じたのであった。
が、事件として片をつけたものの、フーケを捕まえる気満々で出て行ったルイズからすれば
不完全燃焼であり、その鬱憤がいまだ晴れずにいたのだった。
そのためルイズは、休日であるにもかかわらず、朝から部屋で愚痴をこぼすばかりである。

「まぁ、いいわ!過ぎた事をうだうだ言ってても仕方ない。
それよりセト。今日はこれから街まで買い物に行くわよ。」
「あぁ、いってこい。」
「えぇ、いってくるわね……じゃない!あんたの買い物に行くのよ!」
「…今特別に必要なものは無いと思うが?」

海馬は見当がつかないという顔をしているので、ルイズははぁ…とため息をついた後、ビシッと海馬を指差す。

「服よ!前にとりあえず下着だけは用意させたけど、毎日同じ物を着っぱなしっていう訳にもいかないでしょ。」
「ふむ…」

海馬の服は、召喚された日に着てきたもの1着しかない。
いきなりデュエル中に召喚されたのだから、それは仕方が無いことだろう。
キッチリと旅行支度をして『さぁ、召喚しろ!』という状態で召喚されることなどあるはずも無い。

「そのほかにも日用品なんかを買い揃えたりしなきゃいけないから…城下町まで行くわよ。」
「ふむ…いいだろう。支度をして出かけるとするか。」

学院の正門前には、馬が2頭用意されていた。
(ふん…乗馬をする機会など無いと思っていたが。あの英才教育…無駄にならなかったな)
さっと、苦も無く馬の背にまたがる海馬。
ルイズはといえば、これもまた苦も無くまたがっていた。
てこずる様子も無く馬に乗ったルイズに、ほう、と感嘆の声をかけた。

「貴族は馬車の方に乗る専門だと思っていたがな。なかなか様になっているじゃないか。」
「乗馬は得意なのよ。さ、いくわよ!」

そういって二人を乗せた馬たちはそれぞれ走り出した。


トリステインの城下町、ブルドンネ街
トリステインで一番の大通りであり、その道の続く先には、トリステイン宮殿が存在する。
大通りとは言うものの、道幅は5メートルほどであり、また人の通る数も多いため非常に通り辛い。
ルイズと海馬は、人を掻き分けるように通っていた。

「狭い道だ。これだけの人が通るのだから、もっと広く区画を作ればよいものを…。」
「なに言ってるのよ。ここはトリステインでも一番大きな通りよ?」
「交通量と道幅のバランスが取れていない。これだけ人が詰まっていれば、スリなどが横行するだろうに。」
「えぇ、まさにその通りよ。特に、魔法なんかを使われたらおしまいね。」
「?貴族がスリをするのか?」

意外そうに海馬が尋ねた。

「貴族=メイジだけど、メイジ=貴族ではないのよ。例えば、家が没落して山賊まがいの事をしているメイジもいるわ。
それに…裏通りでは人攫いみたいな事件もおきているらしいし…。
姫様のいらっしゃる城の近くにもかかわらず、あまり治安がよくないのよ。」
「ふむ…」

犯罪が、人の集まる場所でおきやすいのはトリステインでも地球でも変わらないようである。
警備兵やらの詰め所を各所に作って巡回させるなど対策もあるだろうが、やはりこの道幅ではどうしようもないだろう。
(しかし、おれが気にしてどうなるという事でもあるまい…。)
と、海馬はふと、左手に何か触れるような感覚があることに気づく。
目を向けてみると、ルイズの右手が恐る恐る触れそうになっては離れるを繰り返していた。

「どうかしたのか?」
「ふぇっ!?」

声に驚いたのか慌てて手を引っ込めるルイズ。

「あ、あ、あ、ああああのその、こ、これだけ人が多くて、瀬、セトが迷子にでもなられたらこ、困るから!
そ、そうよ!しかたなく、仕方なくて、ててて手をつな…ひゃっ!」

海馬はルイズが言い終わる前にルイズの手を握った。

「そうだな、貴様が迷子にでもなられたら面倒だからな。」
「ちがっ、私じゃなくて、あ、あんたの方が心配なのっ!この間だって、勝手に3日もどっかへふらっと…」
「さて、まずはどこの店だ?」

そういって海馬はルイズの手を引いていく。

「ちょっと、人の話を…!って、そっちじゃないわよ!服屋はこっち!」

悪態をつきながらも、どこか楽しそうに、ルイズは海馬とともに街を歩いていった。
…が、服屋に入ってからが問題だった。
ルイズ達が入った店は店主が意匠を施したものが人気の店で、トリステインでも有名な服屋であった。
ルイズもはじめの内は「これなんかいいんじゃない?」と、いくつか見繕ったものの、
やれ柄が気に入らないだの、裾の形が気に入らないだの、色使いが悪いだの、生地のさわり心地が悪いだのetcetc…。
店主のコメカミがぴくぴくしているのを気づきもせずに悪態をつくものだから、ルイズは気が気ではなかった。
結局2時間かけて店の中の商品を見回った上で、「ろくなものがない」
などと言い放ったものだから、店主は笑顔に憎悪をチューニングしたような恐ろしい表情を浮かべていた。
流石にこれはまずいと思ったのか、慌ててルイズは海馬を連れて店を出たものの…
その後もいくつかの店にも回ったが、全ての店で同じような結果に終わり、結局何も買わずに時間だけが過ぎていた。

「あぁ…2度とあのお店には行けない…。」

軽食も兼ねて入った喫茶店で、机に突っ伏しながらルイズはため息をついた。

「全く…ろくな物がないな。」
「言っておくけど、もう私の知っている店はないわよ?」
「そうか。では仕方がないな。…おい、そんな格好をしていると制服にしわが寄るぞ。」
「なにいってるのよ。学院の制服には固定化の魔法がかかっているから、放り投げたって皺なんかつかないわよ。」
「そうか。」
「そうよ。」

そんな話をしながら、運ばれてきたお茶をすすっていると、ふと、ルイズは見慣れない看板が目に付いた。

「あれ…?あんなところに武器屋なんかあったんだ。」
「武器屋か…。まるでファンタジーのようだな。」
「?どういう意味よ。」
「俺のいた世界では、個人が武器を持ったりする事のない世界だったからな。
必然的に武器屋などという商売は成り立たないし、あるとすれば昔話なんかででてくる程度のものだ。」
「武器がなかったら、平民はどうやって身を守るのよ。」
「武器を持っていなかったら身を守れないような事件に遭遇する事が、あまりないからな。」

もっとも、海馬の場合は拳銃を突きつけられても、カードを使って何とかしたり、
カードの詰まったジュラルミンケースで相手をぶん殴ったり、
個人的にジェット戦闘機を持っていたりと、『平民』というところとはかけ離れているから、実際には参考にならないわけだが。

「ふぅん…平和なのね。…あ!」
「なんだ?」
「せっかくだから寄っていきましょう?」
「どこへだ?」
「武器屋」





ルイズ達が入った店内は、昼過ぎであるにもかかわらず薄暗く少しかび臭い、お世辞にも繁盛しているとはいえない店だった。
店主はといえば、50台くらいのおっさんで、客など来るまいとタバコを吹かしていたのに、
いきなり貴族!それも若い男女という武器屋には似つかわしくない組み合わせが入ってきたので、訝しげに口を開いた。

「旦那、貴族の旦那。うちは真っ当な商売をしていまさぁ。お上に目をつけられるようなことは、これっぽっちもありませんよ。」
「客よ。」
「おい。俺は剣などいらんとさっき言っただろうが。」
「いいじゃない、持ってて損するような事ないでしょう。」
「…えっと、こちらの方がお使いになるんで?」

入店早々買う買わないで言い争いになっている二人をみて、とりあえず会話に入ろうとしてみる店主。
せっかく来た金持ちの客を、逃がす手は無いと思ったのだろう。

「最近じゃ、貴族の間でも下僕に剣を持たせるのが流行ってますからねぇ。
そう言う方々が選ぶとしたら、このレイピアなんぞでしょうか。」

そういうと店主は、立てかけていたレイピアを手にとり、ルイズ達に見せた。
長さはおよそ1メイルほどで、小さめなハンドガードがついており、見た目には地味だが質実剛健という感じの代物であった。

「ん~…もっと大き目のがいいんだけど…セトあんたはどう…セト?」

意見を聞こうと海馬に声をかけたが、横にいたはずの海馬はまったく別のところに言っていた。
海馬はというと、いつの間にか鎧兜などが並べられている方に行っていた。
と、そのなかに、武器や防具とは少し異彩なものが混じっていた。
一言で表現するならば、鎖である。
長さは1メイルあるかないかといったところであり、鈍い光沢を放っていた。
ただし、何か分銅やら鎌やらが付いていれば、まだ武器ともいえるのだが、これには何もついておらず、
武器屋に置いてあるのは少し不思議な商品であった。

「おい、店主。この鎖は何だ?」

海馬はその鎖を手にひょいとつかむと店主の方へ振り向いた。

「あぁ、そいつはですね。最近仕入れたもんなんですがなかなかおもし―」
「ちょっと!人に剣見させておいてなに遊んで…なにこれ。」
「あっ!そいつを二人で持っちゃあ!」
『は?』

ルイズが海馬の持っている鎖を手に取った瞬間、ギチギチッっと金属のすれる嫌な音がして、
鎖が伸び、ルイズの左腕と海馬の右腕とを力強く結んだ。

「あ~あ…やっちまった…。」
「ちょっ!何なのよこれ!」
「くっ…外れん!」

腕に巻きついてしまった鎖をぐいぐいと引っ張ってみたり、引っぺがしてみようとしたが、なかなか外れない。
まるで手錠のように、ルイズと海馬をつないでしまっていた。

「すみません。そいつはあるメイジが試しにと作ってみたマジックアイテムでして。
『二人で触ったときにその二人の腕をつなげてしまう拘束用のマジックアイテム』
って言う代物なんですがね。
まぁ、頼みって言うかねぇ断れなくって、仕方なく置いておいたんですよ。」
「なんかえらく使用法が限定しているマジックアイテムねぇ…?」
「何でもいいからさっさとこれを解け!!」
「はっ、はい!すぐに鍵を!」

海馬の剣幕に押され、鍵を探しに行く店主。
やれやれ、と二人ともとりあえずそこにあった椅子に腰掛ける。
と、そのときなぜか店の中に口元に『銀色で光る金属的な何か』を咥えた黒猫がいることに気が付いた。
なぜだろう…凄く…嫌な予感がする。
恐る恐るルイズは店主に尋ねてみた。

「ね、ねぇ…。店の中に黒い猫がいるんだけど…。」
「えっ!?あぁ、そいつは近所の野良でさぁ。良くうちの店に来ちゃあ筆とか咥えてどっかいっちま…」

店主もたぶん、いや確実に、ルイズや海馬と同じ『嫌な予感』が脳裏を走った。
ルイズはもう一度、その『銀色で光る金属的な何か』をよく見てから、店主に尋ねた。

「も…もう一つ聞いていいかしら?その…鍵って…銀色で、細長くて、緑色の宝石がついていたりする?」
「………はい。」

返事と同時に黒猫は表へと駆け出した。

「やっぱりぃいいいい!!?」
「叫んでいる暇はない!追うぞ!」

黒猫の後を追ってルイズ達も店を飛び出していく。

「ちょっ!旦那方!?ええぃ!デル公!ちょっと店番たのまぁ!」

そう言うと店主は、さび付いたボロボロの剣を引っこ抜き、カウンターの椅子に縦にぶっ刺して
その剣に声をかけると、そのままルイズ達の後を追って店から出て行ってしまった。
ぽつーん…と店の中に残される椅子に刺さったボロボロの剣。

「え…?嘘?俺の出番ここで終わりかよおぃぃ!!?
嘘だろ?武器屋まで来たのに買わないとかありかよ!?おぃぃ!!」

錆びついた剣はカチャカチャと鎬を鳴らしながら叫んだが、悲しいかなその叫びを聞くものは既にいなかった。



鍵を加えながら裏通りを疾走する黒猫。
さっきまでは気ままに歩いていた黒猫が、走って逃げるようになったのにはわけがある。
武器屋を出てからずっとものすごい勢いで追っかけてくる2人の人間がいれば、
逃げる気がなくっても逃げる。
それが動物の本能であった。
一方追う側のルイズ達は、ゴミ箱を蹴飛ばし鉢植えを壊しながら、狭い道を逃げていく猫を追っかけていた。

「もー!!どうしてこうなるのよー!」
「泣き言を言っている場合ではない!見逃したら最後、二度と見つけられんぞ!」
『旦那!嬢ちゃん!』

と、どこからかあの武器屋の店主の声がした。
見回すと、ルイズと海馬、そして黒猫の進行方向にいつのまに回り込んだのか、店主が立っていた。

「挟み撃ちにしやすぜ!」
『了解した!』

店主が持っていた網を、猫に向けて振りおろす。
驚いて止まればそのまま網で確保、仮に後ろに振り返ろうとも、既にルイズ達が迫っている。

「もらった!」「いや、まだだ!」

二人が真逆の感想を持った瞬間、猫はなんと店主の方向に向けて加速した。

『なぁっ!?』

猫はそのまま店主の肩まで駆け上がり、そのまま蹴って駆け抜けた。
店主はまるで世界が遅くなったかのように感じるほどゆっくりと、自分の肩の上から飛び越えていく猫を見た。

「俺を…踏み台にしたぁ!?」

店主は空ぶりに終わった腕のふりと、あっけに取られて視線を離してしまった事により、大きくバランスを崩してこけてしまった。

「ぐあっ!?いってってて…」
「大丈夫!?」
「あぁ…それより猫を!一度見失っちまったら、見つける手段はねぇ…。
前に一度追っかけては見たものの、宮殿の辺りで見失っちまったんだ。
あいつが持ってった物をどこに隠してるかは…」

ハッ…と顔を上げると、鍵を咥えた黒猫はまた走り出してしまった。
しかも、人通りの多い大通りの方へ…。

「まずいわっ!」
「ちっ…人ごみに紛れ込まれたら…」
「急ぐわよっ!」

手に結びつけられている鎖などないかのごとく、息の合った動きで二人は再度、
黒猫の追跡を開始した。
細長く走りづらい裏道や、民家の屋根の上、他人の家の庭などを自由気ままに走り抜ける猫を追うのは流石に至難の業であったが
いろいろなものを壊しつつ走りつづけていると、少し開けたところにでた。

「って…ここはっ!?」
「武器屋の親父の言っていた通り…やはりここに来たか…」

そびえ立つ大きな門―
白く輝き、他とは比べ物にならない威圧感を豪華さを持つ、トリステインで最も重要な建物―
トリステイン王城


新着情報

取得中です。