第四話「授業」
(目玉の化け物っ……蛸人魚っ……くっ……訳がわからねぇっ……)
ルイズに連れられて入った講義室には、カイジが見たこともない生き物が並んでいた。
すべて使い魔である。
しかし、カイジを驚愕させたのは、その外見だけではない……カイジが目を合わせるたびに、その使い魔たちが喋ることっ……!
すべて使い魔である。
しかし、カイジを驚愕させたのは、その外見だけではない……カイジが目を合わせるたびに、その使い魔たちが喋ることっ……!
『人間の友よ、我はバグベアー!』
『わたしはスキュアの使い魔っ……友人よっ……!』
『わたしはスキュアの使い魔っ……友人よっ……!』
驚愕……呆然っ……!
が、カイジも幾多の修羅場を潜り抜けてきた頭の切れる男であった。
が、カイジも幾多の修羅場を潜り抜けてきた頭の切れる男であった。
(幻聴じゃねぇっ……! おそらくは何かの能力っ……力っ……!
だが、あの赤い髪の少女は言った……
『韻獣でなければ喋らない』と……どうやら全ての使い魔が喋るはずないらしい……
ならば、俺っ……!
特異な存在は、この俺のほう……! おそらくは、使い魔の声が聞こえるたびに光る、この烙印っ……!
ククク……奴隷の烙印どころか……
こいつはいいプレゼントだぜ……! せいぜい使わせて貰うっ……!)
だが、あの赤い髪の少女は言った……
『韻獣でなければ喋らない』と……どうやら全ての使い魔が喋るはずないらしい……
ならば、俺っ……!
特異な存在は、この俺のほう……! おそらくは、使い魔の声が聞こえるたびに光る、この烙印っ……!
ククク……奴隷の烙印どころか……
こいつはいいプレゼントだぜ……! せいぜい使わせて貰うっ……!)
ルイズによって床に座らせられようと関係ない。
カイジは熱心に、『赤土』のシュヴルーズの授業に耳を傾けた。
カイジは熱心に、『赤土』のシュヴルーズの授業に耳を傾けた。
(情報っ……! ここで俺が戦うには、まず情報っ……!
全てを吸収する……! 知っていて損をすることなど、何一つないっ……!
情報を制するものこそが、戦いを制するっ……!
たとえ魔法の世界だろうとっ……それは同じだっ……!)
全てを吸収する……! 知っていて損をすることなど、何一つないっ……!
情報を制するものこそが、戦いを制するっ……!
たとえ魔法の世界だろうとっ……それは同じだっ……!)
『土』『火』『水』『風』の四大系統……カイジはシュヴルーズの言葉に引かれた。
そっとルイズを見上げる。敵の性質を知ることは重要……カイジはそう判断した……! だがこれは判断ミスっ……!
そっとルイズを見上げる。敵の性質を知ることは重要……カイジはそう判断した……! だがこれは判断ミスっ……!
「おい、お前の系統はなんだ……?」
ばしぃっ!
ばしぃっ!
ばしぃっ!
瞬間っ……制裁っ……唸りをあげるムチの嵐っ……!
「うるちゃいっ……! うるちゃいっ……!
黙れっ……使い魔風情がっ……!! ご、ご主人に向かって系統を聞くなど言語道断っ……!
殺すぞっ……!! ひぃ~……ひぃ~……ふううぅっ……!!」
黙れっ……使い魔風情がっ……!! ご、ご主人に向かって系統を聞くなど言語道断っ……!
殺すぞっ……!! ひぃ~……ひぃ~……ふううぅっ……!!」
ばしぃっ!
ばしぃっ!
ばしぃっ!
「がっ……! ぐあぁっ……! なぜっ……!!」
見かねたシュヴルーズが声を張り上げた。
「見苦しいぞっ……ミス・ヴァリエールっ……! 前に出ろっ……!! 貴様だ……この石を『錬金』しろっ……!!」
ざわ…… ざわ……
ざわ…… ざわ……
ざわ…… ざわ……
教室がざわめく。
キュルケが叫んだ。
キュルケが叫んだ。
「よせっ……無謀だっ……!! 失敗っ……結果は明白っ……!
見ろっ……既にタバサは退却っ……撤退っ……!!」
「黙れっ……! 舐めるな……カカカ……キキキ……成功っ……! 成功させて見せるわっ……!! そこで見ておれっ……!!」
見ろっ……既にタバサは退却っ……撤退っ……!!」
「黙れっ……! 舐めるな……カカカ……キキキ……成功っ……! 成功させて見せるわっ……!! そこで見ておれっ……!!」
(上手くいくっ……!! わしこそ王っ……! 選ばれし者っ……失敗するはずがないっ……!)
口では大きいことを言いながらも、内心ではびくつきながら、ルーンを唱え、ルイズは杖を振る。
がっ……! 駄目っ……!!
途端に爆発っ……混乱っ……!!
途端に爆発っ……混乱っ……!!
(失敗っ……! ぐうっ……! また失敗っ……!!)
ボロ…… ボロ……
ルイズの瞳から涙が零れる……!
ゼロっ……魔法の才能ゼロっ……『ドット』にもなれない『ゼロ』っ……!!
ゼロっ……魔法の才能ゼロっ……『ドット』にもなれない『ゼロ』っ……!!
ルイズは居残りで掃除を命じられた。
破壊された惨状っ……!!
破壊された惨状っ……!!
「カイジっ……!! お前の仕事だっ……片付けておけっ……!!
あぁ~んっ……!! 主人のミスは、使い魔のミスっ……!! クズっ……クズっ……クズっ……!!」
あぁ~んっ……!! 主人のミスは、使い魔のミスっ……!! クズっ……クズっ……クズっ……!!」
涙を堪えて憎まれ口を叩くルイズであった。
カイジは黙々と片づけを行う。「返事はどうしたっ……!!」とルイズがムチを振るっても、静かにムチを受けるだけであった。
カイジは黙々と片づけを行う。「返事はどうしたっ……!!」とルイズがムチを振るっても、静かにムチを受けるだけであった。
(くっ……! 不可解ざんすね……どうにも不気味……!
まさか、気づいているざんすかっ……!? 私が魔法を使えないことにっ……!!)
まさか、気づいているざんすかっ……!? 私が魔法を使えないことにっ……!!)
ぐにゃぁ~
「と、とにかくやっておけっ……! 私は部屋に戻るっ……!」
混乱しながらルイズは教室を後にした。
途中、ルイズはぞろぞろと歩く幻獣たちとすれ違った。
途中、ルイズはぞろぞろと歩く幻獣たちとすれ違った。
(何かしら……?)
ルイズは不審に思ったが、後を付けることはしなかった。ただ部屋に帰って泣きたかった……。
教室の片付けにひとり残されたカイジは、不敵に笑っていた。
(ククク……どうやら、あのルイズもこちら側っ……!
魔法なんて使えねぇっ……! なら貴族じゃねぇっ……! 平民っ……!
ヤツこそ平民じゃねぇかっ……!
ククク……だが、それを今言っても無駄っ……! このカードは取っておくっ……!
奴隷は、皇帝を刺すのだからっ……! ククク……)
魔法なんて使えねぇっ……! なら貴族じゃねぇっ……! 平民っ……!
ヤツこそ平民じゃねぇかっ……!
ククク……だが、それを今言っても無駄っ……! このカードは取っておくっ……!
奴隷は、皇帝を刺すのだからっ……! ククク……)
と、そのときであった。
教室に使い魔たちが入ってきたっ……! 先頭はフレイムっ……!! ほかの使い魔たちもぞくぞくと来るっ……!!
呆気に取られるカイジに、フレイムが言う。
教室に使い魔たちが入ってきたっ……! 先頭はフレイムっ……!! ほかの使い魔たちもぞくぞくと来るっ……!!
呆気に取られるカイジに、フレイムが言う。
『手伝おうっ……友人よっ……!!』
「なっ……! おまえたちっ……!」
「なっ……! おまえたちっ……!」
思わず、カイジはフレイムを抱きしめていた。そっとフレイムはカイジの頭を撫でる。
ボロ…… ボロ……
カイジは膨大な涙を流した。やさしさに触れ、溢れる涙であった。
カイジは膨大な涙を流した。やさしさに触れ、溢れる涙であった。
(あったけぇっ……! 人間と幻獣っ……そんな区別がなんだっ……!
心がっ……! あったけぇよっ……!! 俺はっ……!!
くぅ~っ……!!
畜生っ……! 涙がとまらねぇっ……!)
心がっ……! あったけぇよっ……!! 俺はっ……!!
くぅ~っ……!!
畜生っ……! 涙がとまらねぇっ……!)
カイジは、初めてこの世界に本当の友人を見つけ出したのであった。
人間性っ……! それは、心の温かさっ……!! 時に幻獣は、人間よりも人間らしいっ……!!
第四話「授業」終わり