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ゼロの黒魔道士-31


裸のお姫様なんて、影も形も無いねって、アニエス先生と目で会話したんだ。
「む?――ゲホゲホッ」
「……アニエス先生、大丈夫?」
アニエス先生が突然咳きこんだんだ。
「――何ともないぞ。うむ、少々風邪気味だったかな?」
「大丈夫?アニエス先生?……モンモランシーおねえちゃんも……???」
なんか、モンモランシーおねえちゃんも顔が真っ青だったんだ。
……風邪でも、流行ってるのかなぁ?
「え?え、い、いえいえいえいえ、私は大丈夫よ?私は。
 あ、あの、アニエスさん、でしたかしたら?
 風邪気味ならば、無理をなさらず、医務室に行かれては――」
「――ふむ、そうだな、慣れぬ仕事が続いたことだし、一度診てもらうか」

……アニエス先生、大丈夫かなぁ?
顔、合わせてくれないけど……


―ゼロの黒魔道士―
~第三十一幕~ 愛にすべてを

―――
ピコン
ATE ~ラブレター大作戦~

ハァイ☆皆さん、こんばんは!
え、誰って?
ふっふ~ん♪
みんなのアイドル、ケティ・ド・ラ・ロッタでぇす♪

――はい、そこぉっ!誰がチョイ役よ!!
私こそが!私こそがメインヒロインなのよ!!プリマドンナなのよっ!!!
ルイズだかタバサだかモンモンだかキュルケだかシエスタだかがなんぼのもんじゃいぃっ!!

――あ、いっけな~い☆ケティったら、知らない誰かに怒っちゃった♪
これじゃただの危ない人、よね♪
そうそう、アイドルなんだから、いつもスマイルスマイル♪

そんなアイドルのケティちゃん、今、重大な作戦実行中なの!
え?『どんな作戦だよ』ですって?
いや~ん☆乙女の秘密を暴こうだなんて、乱暴はダ・メ・だ・ぞ♪

――あぁゴメンゴメンゴメンウソウソウソ!!
ウザいからってどっかに行かないで!
ちょっとは聞いてってよ!
寂しいんだから!乙女心はロンリー・ハートなのよ?

今、ケティは恋の作戦決行中なの!
そう、恋よ!ラブよ!フォーリンラブよ!
ケティはイエス、フォーリンラブなのよ!!

え?誰にって?
はいここ重要!テストに出ます!耳ほじってよくお聞きなさい!
愛しいケティのハートを鷲掴みにしちゃった罪な人、その名前は――
いや~ん、ケティ恥ずかしいぃ~♪

――ゴメン、本当反省してるから!呆れてどっかに行かないでって!!
言うわよ、言いますわよ、さっさと言っちゃえばいいんでしょ?
もう、せっかちなんだからぁ♪
――いやいやいや反省してますゴメンナサイスイマセン。

ギーシュ様なんです!ギーシュ・ド・グラモン様なんです!
ケティのハートをもうドキュゥゥゥンとズギャァァンと打ち抜いた殿方なんです!
あぁ、しかも姫殿下の任務から帰られたあのお方はっ!!
もう、なんて言いますの?男らしさあふれる?陰のある?ニヒルでダンディな?
あぁん、もうどうにでもしてぇ~♪

――本題に早く入れ?あー、どうもすいませんねー。
乙女心なんてどうでもいいってか、コンチクショー。

ギーシュ様は素敵なお人。だから、ライバルも多いのです。
もうライバルだらけなんです!バトルロワイヤルです!!所詮この世は弱肉強食なんです!!!
し・か・も!!
あのモンモンだかオモラシーだかが恋人気取っちゃってるんです!!
あぁもう腹立たしいですわ!!
あの香水だか怪しい薬でギーシュ様をたぶらかして!!
魔女ですわ!魔性の女ですわ!!きっとお腹まっ黒なんですわぁぁぁっ!!
ムキィィィィィッ!!

――はい、ケティちゃん深呼吸~。ビ・クール、ビ・クール。
いい女は叫ばな~い。はい、大丈夫?大丈夫ね?

で、一計を案じました。ケティ、寝る間を惜しんで考えました。
そして、書きあげました。一世一代のラブレターをっ!
渾身の一枚をっ!!感動の一文をっ!!!全ハルケギニアが震える恋文をっ!!!

内容?いや~ん、ケティ恥ずかしいぃ~♪
――あ、このくだりもういらない?ゴメンなさいね、はいはい、分かりましたよーだ。

では――コホン、とくと聞きなさいっ!この名文をっ!!!

   『夜空が月のペンダントで着飾る頃
    私はヴェストリの広場であなたが来られるのを待っています』

あぁん、ロマンチックぅぅぅぅ♪

え?なんだコレ、って?
ブーブー、乙女心を理解できない非モテ共めー!!
いーい?これは、作戦なのよ、作戦!!

あえて宛名や差出人を書かないことで、不安と期待を煽る!ここ重要!!
そして、夜――
みんなが寝静まった後、ひっそり会う二人、
はじめて分かる相手の顔、それはかつて好きあった恋人同士っ!!
そこに登場、私特製のクッキー(お酒多めですぐ酔う)!!
もうロマンチックに酔って?酔いどれて?あんなことやこんなこと――
ニヒヒヒヒヒヒ――
あぁん、もぅワクワクドキドキぃ☆コラコラ、静まれ、胸の鼓動♪

そんな乙女心がバーニング・ソウルな状況で、私は今、廊下を急いでるの!
ギーシュ様の部屋のドアに、そっと手紙を忍ばせるために!
足早に、風のように、滑るように!
廊下は走るな?知ったこっちゃありません!!
乙女心はランナーズ・ハイなんです!走ったら最後、ユーキャント・ストップなんです!!

そんな乙女心大爆走中に、何やら堅い物に当たりました。
障害物です。恋のバリケードです。おのれ、私の邪魔をする気か!!
「ちょっと!邪魔よ!!」
「――あぁ、すまない。
 ――あ、ついでだが、医務室は、こちらで良かったかな?迷ってしまってな――」
「えぇ、そうですよ!私は急いでるの!!」
あぁ、もう、とんだお邪魔虫もいたもんです!
鎧を着て突っ立ってるなんて!

――でも、多少の障害は恋のスパイス、ですよね?
あぁん、今宵の恋は燃え上がりますわ!!
今夜、燠火は愛の業火へと燃え盛りますわ!!!
あぁん、愛しのギーシュ様☆貴方がその手でロウソクつけて♪

階段昇ってすぐ曲がり、恋のゴールはもうすぐです!
作戦任務、ロックオン☆
想いを乗せて飛んでけ愛のファイアーボール♪
そう、乙女心はこのラブレターにっ!!
ラブレターに――
ラブレター――

ない?
ない!?
ないぃぃぃぃ!?!?
ないないないないないないない!?
確かに手に持ってたのに!?
この手にしかとにぎっていたのに!?
いずこに消えたか神隠し!?
何たる悲劇!何たる衝撃!!

――そうか、あのとき!!!
あの鎧にぶつかったとき!!
思い出すが早いか、ダッシュで戻る急ぎ足!!
階段降りて曲がり角、やっぱりそこにケティの手紙!!!

見つけたラブレターは鎧女の手の中に!!!
何たること!!!人の手紙を見るなんて!!
「ちょっと!!おばさ――」
「な、なんですか、この手紙は!?
 これは、もしかして――。 ビビから私へのラブレター?」
はい?何勘違いしてるですか?この鎧おばさんは?
「もしもーし?ケティの手紙を返してください?」
聞こえてるんでしょうか?耳まで老化しちゃってるんですか?
「――とすると、やはりこの体の火照りは――恋!?そ、相思相愛ということか!?」
なんか震えちゃってますよ、このおばさん。
ケティの手紙を、ケティが渾身込めて書き上げたラブレターに何勘違いしてるんですか?
何マイワールドに入り込んで引きこもってるんですか?

「――こうしてはおれん!!この胸の高まり、抑えてなどおけるものか!!!」
「え、あ、ちょっと!?待ちなさい!?待て!?」
な、なんかものすごい勢いで走って行っちゃいましたよ?
あれは、女子寮の方向ですけど――何なんですかね?
てゆーか、あんなゴテゴテ着ててよく走れますわね……
なんなんでしょう、ホント。
ケティ、さっぱり分かりませんわ……

廊下に一人残されて、
なーんかおいてきぼりなこのハート。
メインヒロインの私がなんでこんなロンリーになってるんでしょう?
あ、そうか、これはきっと夢ですね!ドリームですね!!
目覚めたら、ギーシュ様の膝枕な展開ですね!!
そうに決まってます!決めつけます!!
というわけで、ケティは寝ます!
それじゃ、ケティファンのみなさ~ん☆まったね~♪

―――

「……へぇ~、それで、ルイズおねえちゃんがその詔っていうのを詠むの?」
「なんでぇ、娘っ子、えれぇ出世じゃねぇの!」
ルイズおねえちゃんの部屋、
ギーシュも疲れているっていうことで、今日の夕食後の特訓は中止になったんだ。
タバサおねえちゃんとキュルケおねえちゃんも、
何か用事でいないっていうから、お話し会も今日は無し。
だから、のんびりと洗濯物を畳みながら、ルイズおねえちゃんに今日あったこととか聞いてたんだ。
「そうなのよ!オールド・オスマンが呼びだすから何事かと思っちゃったわ!」
ルイズおねえちゃんは、王宮から大事な大事な用事を仰せつかったんだって。
お姫様の結婚式で、巫女っていう大事な役をするんだって。
そのときに、詔っていう詩みたいなのを詠まなきゃいけないらしいんだけど……
「……本当に、真っ白だね、その本……
 それを持ちながらやるの?……あ、こっそり、言うことを書いておくとか?」
そのときに持ってなきゃいけないアイテム、『始祖の祈祷書』って言うらしいんだけど、
古ぼけてるわりには、真っ白で何にも書いてなかったんだ……
「ダメよ!歴史的に価値のある本なんだから!!!
 ――って言っても、なんか詔のヒントぐらい書いてて欲しいわよねぇ……」
ルイズおねえちゃんがため息をつく。
何でも、詔って、言うことは巫女、つまりルイズおねえちゃんが考えなきゃいけないらしいんだ。

「ん~――詩なんて考えたことないし――ビビ~、なんか無い?
 あんたの呪文って、詩みたいじゃない?」
「う~ん……詔って、縁起よくないといけないんでしょ?お祝なんだし……」
流石に、お祝いの場所で『大地に染み渡る、復讐の赤い血よ』とかはどうかなぁって思うんだ。
「そーよねぇ、『滅びゆく肉体に暗黒神の名を刻め』とかよね、ビビの呪文って――」
はぁ、とため息をつくルイズおねえちゃん。
……もうちょっと、良いこと言ってる呪文とかだったら良かったのになぁと思う。
「――あーもう、しょうがないっ!自分でがんばるしかない、か」
ベッドの上、真っ白な本を広げて、グッと気合を入れるルイズおねえちゃん。
「ケケケ!娘っ子、やる気出し過ぎて空振んなよ~!」
「……ボクも、手伝うことあったら言ってね?」
「任せときなさいっ!姫殿下の期待がかかってるんだから!」
拳を突き出すルイズおねえちゃんは、にっこりと力強い笑顔を見せたんだ。

ドンドンドンドン!!
夜もだいぶ更けてきたのに、大きなノックの音が聞こえてきた。
乱暴な、ドアが壊れるぐらいの大きな音。
「誰かしら?ずいぶんと下品なノックね――」
「は~い……今開けま」
ザンッ
ドアから、突然金属の棒が生えてきた。
「……え?」
ノブにかけた手が、『ブリザド』をかけたみたいに凍りつく。
ザンザクッザザンッ!
「え?え?え!?」
次から次に生えてくる鋼の光が、剣だって気づくのにちょっと遅れてしまったんだ。
ドゴォォンッ!!
「えぇぇぇ!?!?」
「ビビッ!?」
だから、木端微塵に破壊されるドアに押しつぶされちゃったんだ……

「――待っているのももどかしい!このアニエス!自ら出向いたっ!!ビビ、何処にっ!!」
潰されたドアの下、アニエス先生の声が聞こえたんだ。
「……こ、ここにいま~す……」
粉々のドアの影からよろよろっと立ち上がるボク。
剣とか握ってないから、全然避けれなかったのは、言い訳にならないよね?
……もっと鍛えなきゃな……
「おぉ、ビビ!?ボロボロではないか!!一体、誰に!?」
「いや、姉ちゃんにだろ」
デルフが、珍しく冷静に指摘した。
「おぉ、ビビ――聞いてくれ!!」
「……な、何を?」
目がうるうるしているアニエス先生。
……風邪、そんなにひどいのかなぁ……?
「このアニエス、女を捨てたつもりであった――が!!」
「ちょっと、貴女!何、人の部屋のドア壊してくれて――」

「このアニエス!!全身全霊をもって、そなたの心に応えよう!!!!
 そなたの愛に忠誠を誓うっ!!!愛しているぞ!!ビビっ!!!!」
アニエス先生が、力いっぱい、ボクを抱き締める……

「は?」
「……え?」
「――こりゃ、おでれーた」

なんで、こんなことになっちゃったのか、全然理解できなくて、
もしかしたら、風邪をひいてるのがボクで、
これは熱とかが見せる夢みたいなものかなぁって思ったんだ……


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