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ゼロの騎士団-06


ゼロの騎士団 PART1 始まりの地 トリステイン6

「うおぉっしゃあぁー!!!」
ダブルゼータが拳を振り上げる。
「ウソ……アイツ勝っちゃった……」
あまりの逆転劇にルイズは、それ以上声が出なかった。
「……儲かった」
その割には、タバサの表情は変わらない。
ニューとゼータが二人に近寄っていく。
「幾等なんでも、投げるか普通。」
ゼータが呆れながら、ダブルゼータの肩を後ろからつかむ
「いてっ!一応、ケガしてんだから、労れよ!おい、ニュー回復してくれ」
ダブルゼータが痛みをこらえながら、ニューに催促する。よく見るとハリマオスペシャルの炎に触れており、数か所が火傷している。しかし、ニューは近くに倒れている。ハリマオスペシャルの様子を見る。
「お前は後だ、そのくらい我慢しろ、ミディア」
ニューが素早く呪文を唱える。途端に、ハリマオスペシャルの傷がふさがれている。
「まったく、私がいるからと言って、そんな無茶な戦い方をするな、ウォーター」
手から出るシャワーのような水と、心地よい冷気が、ダブルゼータの全身の火傷を癒す。
ウォーター 火傷や火だるまを治す呪文で、旅の途中は飲み水などにも使われた。
「おいニュー、ミディアムかけてくれよ」
火傷を治しただけで不安なのか、ダブルゼータが不満をぶつける。
「お前はそれで充分だ、少しは大人しくしていろ。」
「おい!奴が気づいたぞ」
ゼータが気絶から回復した事に気づく。
ハリマオスペシャルは、傷は癒えたが、まだ、足取りは朦朧としていた。
ダブルゼータに近づき、ただじっと見つめている。
「うぉぉぉん!!」
親愛でも服従でもない咆哮であった。
それに対し、ダブルゼータもまた瞳から怒りの色は消えていた。
「……お前も大した奴だったよ」
素直に相手を讃える。
ハリマオスペシャルは咆哮の様な息を唸らせ、振り返る事無く専用の厩舎に向け歩き出していた。
「なんなのよ、あれ……」
ダブルゼータの怪力より、ニューの魔法よりも、得体のしれない友情の誕生がルイズには何よりも理解できなかった。
ギャラリーも、ただ二人のやり取りを見ているだけだった。
自分の使い魔の無事を喜んでいる、金髪の少年を除いて……

ダブルゼータの勝利宣言を、遠見の鏡から二人はじっと見ていた。
「勝ちましたわね、彼……」
唖然とした面持ちで、ロングビルは同意を求める。
「勝ってしまったのう……」
オールド・オスマンも、驚きが隠せないでいた。
「彼らは何なのじゃ?あんなゴーレム見た事無いぞい、しかもあの赤い羽根の奴は、見た事もない魔法を使ったではないか」
ニューのミディアムは、オールド・オスマンであっても始めてみる魔法だった。
ダブルゼータとほかの二人を鏡から見ながら、オールド・オスマンは独り言のようにつぶやく。
「彼らは、アルガスという国の騎士で、あの青いのはゼータといい騎馬隊の隊長だそうです。今、現在はミス・タバサの使い魔だそうです。
私は今朝、彼と会話しました。彼らは明確に自分の意識を持っています。」
今朝、ゼータと会った時の、情報を使える。
(そう、彼らはアイツのように自分の意思を持っている。)
心の中でロングビルは、三人を誰かに重ねていた。
「アルガスとやらは、あんなゴーレムが沢山いるのかのぉ……」
一体だけでも驚きであるのに、三体もいて、しかも、彼らのようなのが不特定多数存在する。
オールド・オスマンには想像もつかなかった。
(やっかいじゃのぉ、あんなものどうしろって言うんじゃい)
事態の異常さに、オールド・オスマンは頭を抱えた。
「失礼します。おや、どうかしたんですか?」
自室で遅めの朝食を終え部屋に入るなり、コルベールは空気の違和感を感じる。
コルベールはオスマンの近くに行くと遠見の鏡に気づく。
「何を見ているんですか?……ああ、生徒と使い魔の親睦会ですね。」
自分の使い魔の姿を見て、一人納得する。
「ハリマオスペシャルも、皆と馴染んでいるようですね。」
先ほどの光景を見てないだけに、コルベールの表情は暖かい。
(どこを、どう見てそう言えんだい、この鈍感男)
周りの生徒達の空気に気づかないコルベールを、口に出さず、ロングビルが罵る
「あれはミスタ・ダブルゼータじゃないですか、人見知りのハリマオスペシャルが懐くなんて、珍しい事ですね。」
周りが、唖然としている光景を見てコルベールは素直に感心する。
「コルベールくん、君は彼らを知っているのかね?」
ダブルゼータに驚かないコルベールに、オスマンは彼らとの関係を問いただす。
「彼らが、昨日報告した、ミス・ヴェリエール、ミス・ツェルプストー、ミス・タバサの使い魔ですよ。今日この後、彼らと会談する事を昨日伝えましたよね?」
コルベールが昨日の報告に不備がないか確認する。
「なにっ!彼らが、昨日の報告にあったゴーレムじゃと!」
(なぜ、そんな重要な事を詳しく話さんのじゃ、こやつは……)
事の重要性を理解していないコルベールの罵声と、それを軽視した自分への罵りがステレオとなってオスマンの心に響く。
一般的にゴーレムはメイジが作る物で、使い魔にはならない。使い魔を召喚する儀式で、それでは不合格になってしまう。
だからこそ、オスマンは、変なゴーレムを召喚してしまった三人への、進路の事だと思っていただけに、彼らとの面会は気が滅入った。
「そうじゃったな、もうすぐ親睦会も終わりじゃ、昼食の後に、彼らと生徒たちを呼んできたまえ……」
何かを注意しようにも、今のオスマンにはそれができなかった。
「そうですね、後、オールド・オスマン彼らのルーンの事なのですが、昨日一晩かけて調べたのですが辞典には彼らのルーンが見つかりませんでした。こう言ったルーンなのですが、何かわかりますか?」
シエスタが見た同じメモを、コルベールが差し出す。
オスマンはそれを一読するが……
「ふむ、これはわしも解らんのぉ、コルベール君、引き続き調べてくれたまえ。」
オスマンが持っていたメモを、コルベールに返す。
「分りました、オールド・オスマン」
一礼して、コルベールが部屋を出ていく。
コルベールの退出音と共に、部屋は長い沈黙に包まれた。

昼になり親睦会がお開きとなり、ルイズ達は昼食に向かう途中だった。
「どうだ、キュルケ嘘じゃないだろ。」
ダブルゼータが自慢げに3度目の同意を求める。
「わかったわ、アルガス一でトリステイン一の怪力、ダブルゼータさん」
しつこさから、さすがに呆れ始め、キュルケの対応もおざなりだった。
「けど、すごい力ね、魔法でも使ったの?」
ルイズがニューに秘密があるのかと聞く。
「私の魔法に失礼だぞ、ルイズ」
「さり気無く呼び捨てにしないでよ、私はアンタのご主人様なのよ!」
ニューの対応が、ルイズにとっては不満でならない。
「あら、仕方ないじゃない、ニューと違って、あなたは「ゼロのルイズ」じゃない」
ゼロを強調しながら、キュルケがルイズをからかう。
「キュルケ殿、ゼロとは何の事だ?」
ニューが疑問を口にする。
「ゼロはルイズの二つ名よ、メイジには能力に由来する二つ名があるの、ちなみに、私は「微熱」でタバサは「雪風」よ」
キュルケは自分とタバサの二つ名よりも、ルイズの二つ名を嬉しそうに言う。
「二人はともかく、ルイズは何でゼロなのだ?」
ルイズに向かって、ニューが由来を聞く。
「うっさいわよ!アンタ、飯抜きよ!」
ルイズが怒りで理不尽な命令を下す。
「あっ、みなさん」
天啓とも言えるタイミングで、シエスタが表れる。
「シエスタ、どうしたんだい?」
ニューがシエスタに、助け船を求める。
「はい、三人……ダブルゼータさんに料理長のマルトーさんが、何か言いたいそうです。厨房に来てくれませんか?」
主役はダブルゼータであるらしい。
だが、主と居るよりはよっぽどよかった。
「ルイズ殿、そういう訳だから厨房に行って参ります。」
二人とシエスタを引き連れ、早足で歩き出す。
「ああっ!待ちなさい、馬鹿ゴーレム!」
ルイズの罵声から逃げるようにニュー達は厨房に向かった。

「マルトーさん連れてきましたよ」
「おお来たな、待ってたぞ」
ある程度、調理が終わった厨房で、三人を料理長らしき男が笑顔で出迎える。
「あのハリマオスペシャルに勝つとは、大した奴だ。」
「うおっ!なんだいきなり」
マルトーが息子への抱擁のように、ダブルゼータに抱きつき、慌てて突き放す。
大男のマルトーが、2メイル程後ろに飛ぶ。
「なるほど大した力だ!アイツは、使い魔とは思えないほど傲慢で、下手なメイジより強いから、誰も手を出せなかったのに勝っちまうとはな!」
マルトーにとって、ハリマオスペシャルが投げられたのが、よっぽど嬉しい様だ。
「俺はお前さん達にお礼がしたいのさ、もっとも、俺が出来るのは料理くらいだけどな!さぁ、こっちに座んな!」
「こっちですよ、皆さん」
シエスタが中央の大きなテーブルに案内する。
そこには、朝の食事よりもさらに豪勢な食事が並べられていた。
「本来は貴族用なんだが気にする事はねぇ、俺からの気持ちだ!たくさん食べな。」
「ありがてぇ!ちょうど腹が減ったところだったんだ。」
ダブルゼータが二人に相談もせずに、席に飛びつき、皿を空にし始める。
「馬鹿、いきなりみっともない真似するな」
そんな、ダブルゼータを注意しながらゼータも席に着き、ニューもそれに続く。
「おお、いい食いっぷりだな!じゃんじゃん行ってくれ!」
マルトーが嬉しそうに言い、周りも頷く。
三人は5人前の食事を、あっという間に空にしてしまった。
「ウマかった、親父さんありがとな!」
「マルトー殿、大変、美味でした。」
「ごちそう様、とっても美味しかったよ。」
三人が、三者三様の感想を述べる。
「おう!また、来てくれよな!」
厨房を後にする三人をマルトーとシエスタが嬉しそうに見送った。

厨房を後にした3人は、同じく食堂を出たルイズ達と再会する。
「遅いわよ、アンタ達!ご主人様を待たせるなんて、どういうつもりよ!」
先に待っていたルイズが噛みつく。
「すまない、マルトー殿からもてなしを受けていた。」
「なんで、使い魔のアンタ達がもてなしを受けるのよ!」
納得のいかない様子で、ルイズがニューに詰め寄る。
「まぁいいじゃない、それよりも、今ミスタ・コルベールが来てオールド・オスマンが私達とあなた達に学院長室に来るようにって」
キュルケが3人に行動予定を伝える。
「アンタ達!オールド・オスマンはこの学園の学園長で一番偉いんだからね!馬鹿な真似は絶対しないでよ!」
ルイズが何も問題を起こさないように三人に注意を促す。
「いきましょ」
ルイズの返答を待つより早く、タバサが歩き出す。
「タバサ待ちなさい!いい事、絶対問題起こさないでよね!」
(ダブルゼータはともかくとして、私やゼータは何もしてないのに)
自分に対する信頼の無さに、ニューは少し寂しさを感じた。

学院長室の中で、ゼータはロングビルと再会する。
「ロングビル殿、お忙しい中、今朝はありがとうございます。」
「よろしいんですよ、ゼータさん」
ゼータがロングビルに今朝のお礼を言う。
「あなたって、真面目な割に手が早いのね」
ゼータに対して、キュルケが間違った感心をする。
「なっ!何を言ってるんだ、キュルケ殿!」
「慌てるところが、余計に変」「タバサ!」
妙な所で絶妙な連携を発揮する。
「君!ロングビルはわしの物じゃ、手を出されても困るよ。」
ゼータの事は冗談でも、ロングビルの所有権には冗談を感じられない口調で、オスマンが口をはさむ。
そして、ロングビルににじり寄る。
「勝手に所有しないで下さい、後、どさくさにまぎれないでください。」
口調の割には、えげつない肘打ちが、オールド・オスマンのこめかみをとらえる。
(マチルダさんみたいだな)
操られているとはいえ、かつて法術隊を壊滅寸前にまで追いやった女性を思い出す。
「いたた、ミス・ロングビル暴力はいかんよ……私はこの学院の学院長を務めるオールド・オスマンじゃ」
三人に改めて自己紹介をする。
「早速じゃが、お前さん達は三人に召喚されてここに来たと言うらしいのぉ」
「はい、私達は……」
異世界であるスダ…ドアカワールドのアルガス王国の騎士である事。魔王ジーク・ジオンを倒すため、また違う異世界である。ムーア界に行った事。そして、倒した後、この世界に呼び出された事等を語った
オスマンはひとしきり聞いた後、眉間に皺を寄せ重い口を開いた。
「わしも、いろいろな地方を旅したが魔法を使い、ハリマオスペシャルに力で勝つゴーレムなんか初めて見るぞ」
遠見の鏡の出来事が彼らが尋常ならざるものである事を、オスマンは受け入れていた。
「で、アルガスの騎士団であるお前さん達は、当然そのアルガスに帰らねばならんのう」
「はい、それで、貴方の力を借りたいのです。オールド・オスマン」
ニューが、そう言ってオスマンの助力を求める。
「それは……できん相談じゃよ、なぜなら『サモン・サーヴァント』で呼び出したものは、もとに返す事は出来ん。ましてや、異世界などと言えばなおさらじゃ」
彼らにとって、絶望的な言葉をオスマンは口にする。
「ふざけるなジジィ!!」
ダブルゼータがオスマンをアルゼンチンの形で担ぎあげる。
「うお!何をするんじゃ、やめてくれ誰か止めてくれぇ!!」
「ダブルゼータさんやめてください、そして出来れば、そのまま頭から叩きつけてください。」
「何気にワシを亡き者にしようとしてないか!ミス・ロングビル!!」
「おちつけ、ここでお前がその老人の頭をへこませて、剣で2、3回突き刺そうとも現状は変わらん!」
「ゼータの言うとおりだ、その後、爆風と電流とかを与えたって何も変わらん!」
「味方はおらんのか!!」
ダブルゼータがオスマンの背骨に致命傷を与えた所で、オスマンは解放された。
「はぁ、はぁ、むろんわしも何もしない訳ではない、色々調べてみる。さすがに、死にたくないからのぉ」
激痛で緩んだ膀胱の尿意を堪えながら、オスマンは口約束をする。
「その代わりと言っては何じゃが、もう少し使い魔をやってくれんかのぉ」
オスマンは取引を持ちかける。
帰れない事よりも、ルイズの使い魔の期限が無期限と化したのにニューは唯、泣きたくなった。


会談が終わり、夕方。
「……で、アンタは私の一生の使い魔になる事が決まったのね。」
部屋に戻るなり、ルイズは満面の笑みを浮かべる。しかし、その笑みは何かやましいものが含まれていた。
「アルガスに帰るまでだ、オスマン氏がその方法を見つけるまではここに留まる事にしただけだ。」
「ここに留まれるのは、そして、食事ができるのは誰のおかげかしら、隊長のニュー様?」
答えが分かっているような、声でルイズがニューを見下ろす。
「もちろん、お世話になる代わりに雑用くらいはしてあげますよ、ゼロのご主人様」
ニューはゼロが何かしらのキーワードであると知った為、それを皮肉に交える。
「この馬鹿ゴーレム、いい度胸じゃない!アンタなんか食事抜きよ!」
近くの部屋に聞こえるくらいの罵りあいが始まる。
「……サイレント」
タバサが世界の音を遮断し、本に視界を移す。
(さわがしい、二人だな)
動きと音のない静かな世界でゼータは二人のやり取りを少し羨ましく思った。

中庭では、人だかりが出来、その中心はキュルケとダブルゼータであった。
「さぁ、さぁ、ここにいる私の使い魔のダブルゼータは、あのハリマオスペシャルを打ち破った、トリステイン一の怪力よ、このダブルゼータをこの丸い円の中から出す事ができれば賞金2000エキュー、しかも、トリステイン一の称号はあなたの物、さぁ、挑戦する者はいないの?1回20エキューよ」
キュルケが丸い円を指差しながら、挑戦者を募る。
「なぁ、キュルケ、何でこんなことするんだ?俺は疲れてい「あなたが頑張ったら、さらに美味しい食事が出るわよ」おうおう、偉そうに貴族の看板掲げているくせに、俺にビビって誰もででこねぇのか、この腰抜け貴族ども!」
労働の意味を見つけ、睨みつけるように辺りを見回すダブルゼータ。
「その言葉、聞き捨てならないなぁ、ゴーレム君」
人だかりの中から、先ほどのモグラの主である金髪の少年が現れる。
「ヴェルダンデの敵を討ってくれた事には感謝するが、今の言葉は貴族として許せん」
そう言いながら、ギーシュがバラを掲げる。挑戦者が表れた事に、観客のテンションが上がる。
「ギーシュ、挑戦してくれるのね!あなたってやっぱ勇敢だわ!」
媚びているのが丸分かりで、キュルケがギーシュの果敢な挑戦を称賛する。
「キュルケ、賞金は僕とモンモランシーの華麗なデートに使わせてもらうよ!」
そう言ってキュルケに、参加費用を渡す。
「誰かと思えば、モグラの坊主じゃねぇか、モグラが俺の相手をしてくれるのかい?」
「ふっ!僕の可愛いヴェルダンデに、君みたいな野蛮なゴーレムの相手をさせる訳ないだろう、出でよ、ワルキューレ」
薔薇の杖を掲げ、5メイル程の青銅のワルキューレが誕生させる。
「君の相手は、このワルキューレが勤めよう、キュルケ異論はないね!」
ワルキューレがダブルゼータの前に立ちはだかった所で、観客のテンションは最高潮にヒートアップする。
「オールオッケーよ!ギーシュ」
そう言いながら、ダブルゼータの近くに行き、耳打ちする。
「少し手加減しなさい、圧倒的な力で勝つと挑戦者が現れないから。あなたも、おいしい食事がしたいでしょ?」
ダブルゼータに指示を出す。
「オッケー、任しときな!」
了解して、キュルケを円の中から出るように促す。
「じゃぁ、いくわよ……はじめ!」
キュルケが開幕のゴングを鳴らす。
「いけっ!ワルキューレ!」
ギーシュの掛け声とともに、ワルキューレがダブルゼータに突進する。
「うぉっ!結構やるじゃねぇか、この姉ちゃん」
(こいつは思ったより、力が在りやがる。しかも意外と重てぇ!)
圧し掛かられるような、圧力に苦戦の気配を感じ取る。
「どうしたんだい、ゴーレム君!口の割には大した事はないな!」
以外に、押している事に気を良くするギーシュ。
「なろぉぉぉっ!」
叫びと共に、身をかがめて懐に潜りこむ。そして、辺りをつかみ放り投げる。
「なっ!ワルキューレ!」
ギーシュが一瞬の出来事に驚く。慣性で飛ばされたワルキューレは、そのまま地面に墜落した。
「やるじゃねぇか、小僧」
相手の善戦に、ダブルゼータが素直に称賛する。
「ダブルゼータの勝ちね、さぁ、他に挑戦者はいないの?」
キュルケが相手を求める。
「次は俺だ!」
「嫌、この私だ!」
何かに触発されたのか、次々に参戦の声を表明する。
その日の夕方は、いつもより喧騒に溢れていた。

トリステイン 宝物庫
外の喧騒を聞きながら、ロングビルは秘書と本職の仕事を果たそうといていた。
「この扉は特別でして、カギと合言葉がないと開かないのですよ」
コルベールがそう言って鍵を見せる。
「けど、何故宝物庫に?」
コルベールが問う
「はい、モッド伯が、王宮に提出する、目録を作ってほしいとの事なので……」
「なるほど、最近モッド伯が、ここに多く来るのもそれが理由なのですね。」
ロングビルの答えに、ここ最近、よく訪れる伯爵に納得する。
「以前から、伯爵はある物を手にいれたがっているのですよ」
「ある物ですか?」
ロングビルの瞳に興味の色が出る。
「はい、百獣の斧というものなのですが、出自と効果が解らないマジックアイテムなのですが、モッド伯はなぜかそれを欲しがっているのです。」
(きっとそりゃぁ、訳ありな代物だねぇ)
そう言ったものは、何かしらいわくつきな物であり、欲しい者には高値で売れる事を経験から感じ取っていた。
「アイコトバヲオネガイシマス。」
突如、扉の無機質な音があたりに響く。
「え!どこから声が!?」
「マジックアイテムなんですよ。」
驚いた、ロングビルにコルベールが説明する。
「フカーヤノネギ」
「カクニンシマシタ」
鈍い音をたてて、扉が開く。
「こちらです。」
二人が宝物庫に入る。
「入口の方に比較的新しいものがあります。何年か前の目録がありますので、それを参考に作って下さい。」
「ミスタ・コルベール百獣の斧とはどういった代物なのですか?」
ロングビルが獲物を定める。
「百獣の斧ですか、こちらにあるのがそうです。」
そう言って、ガラスの箱に飾られた斧を指さす。
それは、煌びやかには程遠いが、片手用の斧であり獅子の顔が刻まれていた。
(これが百獣の斧かい、なんだか地味だね)
ロングビルは、その斧からあまり金銭的な価値を感じなかった。
「では、私はしばらくここで作業しています。」
「はい、分りました。カギはお貸ししますので、後で返して下さい。」
その声とともに、コルベールの気配は遠ざかる。
「さて、このまま、盗んでとんずらと行きたいけど、それだと、真っ先に疑われるしね。」
まだ、本業として仕事をしていく為に迂闊な真似は出来ない。
「それに、アイツ等がいる事を考えると厄介だしね」
(目録を作るついでに、目星を付けとくかい)
そう思い、ロングビルは宝物庫を調べ始めた。

モッド邸 深夜
モッド伯は寝室に呼ばず、客人を待っていた。
「お久しぶりですな、モッド伯様」
「来たか」
姿の見えない声にもさほど驚かない。
「あれは、今、学園にかけあっておる。余りせかすな」
モッド伯は手で待てのサインを送る。
「それも重要なのですが、一つ、力をお貸し願いますか?」
声と共に辺りの闇が強くなる。
「それは、あの方のご命令か?」
「いえ、ですが早めに手を打っておくべきかと思いまして」
(あの方の命では無いとは、珍しい)
目の前の声を聞きながら、モッド伯はそう思った。
「私は、何をすればいいのだ?」
「あるメイドを一人学園から連れてきて欲しいのです。」
「それは問題ないだろうが、それに何の意味があるのだ?」
メイドの価値などたかが知れている。モッド伯がそう思い疑問を口にするのは当然であった。
「そのメイドを餌にすると、ある物が釣れます。そのある物に価値があるのです。」
「お前の言っていた奴らか……ふん、まぁよい、それくらいなら容易い。」
モッド伯が承認する。
「では、私はこれで」
「あぁ、また会おう。……闘士ドライセン」
この世界の物でない闇の中、赤く光るモノアイが消えた後、体の寒気を忘れるべく、モッド伯は寝る事にした。


「11君の相手はこの青銅のギーシュがお相手しよう」
青銅のギーシュ
ゴールドには勝てない
MP 330

「12ギーシュがワルキューレを錬金した。」
ワルキューレ
7体まで現れる。
HP 360 (3体で)


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