あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロのアトリエ-20


ラ・ロシェールを挟む峡谷の上。険しい岩山のわずかな平地に人影がある。
フーケが、大の字になって倒れていた。
「あの女どころか…あんなガキどもにまでやられちまったよ!くそっ!」
もはや満身創痍、体中傷だらけではあるが致命傷は一つも食らっていない。
飛ばされている途中に『フライ』をかけて『アイス・ストーム』の向かう方向へ飛んだ。
簡単に言ってしまえば、死んだフリをしてやり過ごしたのだ。
「私にトライアングル二人の足止めさせといて、自分は愛しいルイズ様の騎士役だって?ハッ!」
あの女とガキどもは当然として、あまりに自己中心的な仮面の男に対しても怒りがこみ上げてくる。
仮面の男に限らず、組織そのものがフーケには肌に合わなかった。
フーケは自己の判断で自分の気に入らない貴族を襲ってきたし、それを変えるつもりも無かったのだが、
ご立派なお題目を掲げたレコン・キスタは勝手な行動を許してくれない。
せいぜい手駒として役に立てとばかりに、休みなしに勝手な命令を伝えてくるだけだ。

少し休もう。いい機会だ。自分が『アイス・ストーム』に飛ばされる姿は何人もが目撃している。
杖を握れぬほどの怪我を負ったので静養していた、とでも言えば何とかなるし、
気が向かなければこのまま消えるのもいいかも知れない。
「誰も知らない所で…あの娘の所にでも行こうかねえ」
フーケは懐の宝石を確認し、ゆっくりと、助かった事を確認するかのように立ち上がる。
あいつらがいなくなった後、次の船あたりでこっそりアルビオンに向かおうと計画を立てた。


ゼロのアトリエ ~ハルケギニアの錬金術師20~

その木の中は吹き抜けになっていて、各枝に通じる階段が所狭しと並んでいた。
ワルドたちは目当ての階段を見つけて駆け上る。
木の階段がきしむ音を聞きながら、途中の踊り場に差し掛かった時。
ヴィオラートは、きしむ音にもう一つの足音が混じっている事に気付く。
さっと振り向くと、黒い影が翻りルイズの背後に回る。
先ほどフーケのゴーレムに乗っていた、白い仮面の男だった。
(え?)
その男には見覚えがあった。見覚えのある男が仮面を被っていた。
だって、髪の色も、気取った仕草も、走る姿だって同じなのだから。
ヴィオラートは杖を向けると同時にルイズに怒鳴った。
「ルイズちゃん!」
ルイズが振り向く。一瞬で男はルイズを抱え上げた。
(まさか…まさか!)
男は軽業師のようにジャンプする。そのまま地面に落下するような動きだった。
即座にワルドが杖を振り、風の槌に打ち据えられた仮面の男は思わずルイズから手を離す。
ワルドは仮面の男を無視し、ルイズに向かって急降下していく。

ヴィオラートは一つの実験を試みる。
あるものが他のあるものと同一であるかどうか、同一条件で試し実証する。
対象は仮面の男、条件は杖の火球。
「えーい!」
仮面の男に向かって飛んだ火球は、予想通り…
風の魔法に散らされて、逆にヴィオラートを襲う。
だが、ヴィオラートは今度は額のルーンを光らせ、ほんのわずかデルフリンガーに顔を出させた。
「やいこら、またおめえはこんな時だけ急に―――」
背中のデルフリンガーに火球の全てが吸い込まれる。
「どぅあちぃぃぃぃ!!」
デルフリンガーの付け根あたりが黒いすすで覆われ、
その間に、ルイズを受け止めたワルドが『フライ』の呪文で階段に戻ってきた。
そして、仮面の男にもう一度『エア・ハンマー』を叩きつける。
仮面の男は力を失い、地面に向かって落下していった。
しばらく経っても、戻ってこなかった。

階段を駆け上った先は、一本の枝が伸びていた。
その枝に沿って一艘の船が停泊している。
ワルドたちが船上に現れると、甲板で寝込んでいた船員が起き上がった。
「なんでえ、おめえら!」
「船長はいるか?」
「寝てるぜ。用があるなら、明日の朝改めて来な。」
船員は、酒の瓶を啜りながらそう言い放った。
「貴族に二度同じことを言わせる気か?僕は船長を呼べと言ったんだ。」
ワルドは杖を抜き、船員に照準を合わせて脅す。
「き、貴族!」
船員は立ち上がると、船長室にすっ飛んでいった。

「何の御用ですかな?」
船長はうさんくさげにワルドを見つめる。
「女王陛下の魔法衛士隊隊長、ワルド子爵だ。」
「これはこれは。して、当船へどういったご用向きで…」
相手が身分の高い貴族と知って、船長は急に相好を崩す。
「アルビオンへ。今すぐ出航してもらいたい。」
「無茶を!」
「無茶でもだ。僕の『風』も力を貸す。僕は風のスクウェアだ。」
船長と船員は顔を見合わせる。
「ならば結構で。料金は弾んでもらいますが…」
「積荷全てと同額出そう。」
商談は成立し、船長は矢継ぎ早に命令を下す。
「出港だ!もやいを放て!帆を打て!」
帆が風を受けてぶわっと張り詰め、船が動き出す。
「アルビオンにはいつ着く?」
ワルドが尋ねると、
「明日の昼過ぎには、スカボローの港に到着しまさあ」
と船長が答えた。

ヴィオラートは舷側に乗り出し、地面を見た。『桟橋』大樹の枝の隙間に見える、
ラ・ロシェールの明かりがぐんぐん遠くなってゆく。結構な速さのようだ。
小さくなる桟橋を見つめながら、ヴィオラートは深い思索の海に沈みこむ。

ワルドはルイズにとっての敵だ。それは間違いない。
しかし、それをルイズに納得させるだけの材料は残念ながらない。
ヴィオラートが見つけた根拠は全て主観で、あるのは経験則による自己流の判断だけ。
例えそれが正しくとも、気のせいと言われれば返す言葉はない。
それにルイズは今、信じたいものを信じようとしている。そんな時の人間に届く言葉は、ない。
もしかしたら、最悪の状況でワルドと対峙することになるかもしれない。
そこで、あるいはその前に何としてもルイズの目を覚ます。
ヴィオラートはひそかに覚悟を決めて、前を向いた。

その隣にはルイズが立ち、同じように地面の方をじっと見つめている。
二人は一言も発せず、遠ざかる地面を同じように眺め続ける。
そんな二人の元に、ワルドが近寄ってきた。
「船長の話では、ニューカッスル付近に陣を配置した王軍は、攻囲されて苦戦中のようだ。」
ルイズがはっとした顔になった。
「ウェールズ皇太子は?」
ワルドは首を振った。
「わからん。生きてはいるようだが…」
「どうやって…連絡を取ればいいかしら。」
「…陣中突破しかあるまいな。」
ルイズは緊張した顔で頷いた。それから尋ねる。
「そういえば。あなたのグリフォンはどうしたの?」
ワルドは微笑んで、口笛を吹いた。グリフォンは甲板に着地し、船員達を驚かせる。

ヴィオラートは舷側に座り込んだ。とりあえず今は機会を待つしかない。
延々と続けられているルイズとワルドの会話を子守唄に目を閉じる。
どうやらまた危険な事になりそうだ、そんな予感を胸中に抱えて。


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