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ゼロの騎士団-05


ゼロの騎士団 PART1 始まりの地 トリスティン-5

トリスティン魔法学園 学長室

ロングビルはオスマンの部屋で秘書の仕事を行っていた。
部屋の扉が開く音がするがロングビルは気にも留めない。
「おはようございます、オールド・オスマン」
作業の手を休めずロングビルは挨拶を述べる。
「おはよう、ミス・ロングビル。おっと、失礼」
ロングビルに近づく途中でわざともたつき、椅子に座ったロングビルの太ももに頭を載せる。
「いやぁ、すまん、すまん、年を取ると転びやすくてな」
太ももに頬ずりしながら、オスマンは立ち上がろうとはしない。
「……」
無言のままロングビルはオスマンのこめかみにペンを突き刺す。
「ぐぉっ!ミス・ロングビルいきなり何をするんじゃ!」
オスマンは激痛に思わず飛び退く
「熱湯がよかったですか?」
事も無げに危険な事を聞いてくる。
「老人のお茶目なジョークじゃよ」
こめかみをさすりながら、自分の席に着く
「今日は何の予定じゃったかな?」
「今日は2年生が召喚した使い魔の親睦会ですよ」
作業に戻り、何気なしに答える。
「親睦会じゃと!!迂闊!今日がその日だったとは……」
「ひぃっ、どうしたのですか、オールド・オスマン何か問題でも」
いきなり声を荒げたオスマンにロングビルも思わず驚く。
「何も起こらなければ問題ない、だが今日はアイツにとっては、とても重要な日なのじゃ!」
「あいつとは、誰のことなのです?」
深刻そうなオスマンに、ロングビルは思わず聞き返す。
「ミス・ロングビル、君はまだ入ったばかりだから知らないだろうが、この学園では逆らってはいけないものが三つ有る。一つはわしじゃ」
オールド…オスマンが自分を指差す。
「では、後の二人は誰なのです?」
(そんな奴が他にもいるなんて………)
情報の不備に慎重になる。
「二つ目はコルベールじゃ」
「ミスタ…コルベールが?」
温厚そうな、中年教師の顔を思い浮かべる。
(あいつがねぇ………そうは見えないけど)
「奴、自身よりも三つ目のコルベールの使い魔じゃ」
「使い魔?人じゃないのですか?」
ロングビルはコルベールの使い魔を見たことない。
「見ればわかるぞい、あれは危険じゃぞ」
そう言って遠見の鏡の鏡を出し、親睦会の準備の映像を映し出す。
「何をしているのです?」ロングビルが問う
「監視じゃよ、問題を起こさぬようにな」
(そんなに厄介なヤツなのかい)
ロングビルも鏡を覗き込む。

朝食を終えルイズ達は広場に来ていた。
広場ではメイド達が準備をしており、遠巻きに生徒達が眺めている。
「キュルケ、何が始まるんだ?」
キュルケに向かってダブルゼータが聞く。
「今日は使い魔の親睦会なのよ、あそこのテーブルなんかでお茶するのよ」
キュルケが準備されているテーブルを指差す。
「キュルケ殿、それにしては空気が重々しいのだが」
場に張りつめた異様な緊張感がそこにはあった。
「……使い魔にとっては大事な日……」
タバサが何気なくつぶやく
「?確かに大事な日であるだろうが、なぜ空気が重くなるのだ?」
ニューがもっともな疑問を口にする。
「それはね「ふっ、ふっ、ふっ、その余裕も今のうちよ、この馬鹿ゴーレムども!」」
キュルケの会話を遮りルイズは場の空気に合わない位の声を上げる。
「ルイズ、どうしたのだ?」
ニューがいきなりの事に声が遠慮がちである。
「今日は、使い魔の親睦会であると同時に、あなた達のボスの挨拶の日なのよ!!」
空気の音が聞こえるくらいの勢いでルイズが指をさす。
「?コルベール殿の言っていた、オールド・オスマン殿の挨拶か?」
「違うわ、まぁ、いずれわかるわ。」
邪悪な笑みを浮かべながらルイズは来るべき時を待つ。
三人は疑問符を浮かべながら顔を見合わせた。
「みなさん、おはようございます」
コルベールの挨拶は場の空気をさらに緊張させる。
「おはようございます。ミスタ・コルベール」
生徒達が軍隊のような力の入った挨拶を返す。
(本当に、何が始まるのだ?)
三人はいよいよもって高まっていく場の緊張感に目を配らせる。
「今日は召喚した使い魔とのコミュニケーションを取ってもらいます。私は用事があるので自室にいます。是非とも使い魔と良い関係を作り上げてくださいね。」
コルベールのあいさつが終わる。
その時、ニューはなぜか震動を感じた。
「そうだ!せっかくなので私の使い魔を紹介しましょう、出不精なんですけど、こうやって使い魔親睦会の日には出てくるんですよ、こいつは、さびしがり屋なんですよ」
最後の方は振動で聞き取れなかった。
「何だ!あれは……」ダブルゼータが驚く
「なるほど……」ゼータが状況を理解する。
「そういうことか……」ニューがルイズの言葉の意味を理解する。
三者三様のリアクションでそれに対応した。
それは山であった。コルベールの背で見えなかったが彼の背には山が見えた。
コルベールが横に退くと、それが何であるかわかった。

「な!なんなのですかあれは!?」
ロングビルが鏡を指差す。
「知らんのかい?サラマンダーじゃよ」
「サラマンダーはもっと小さいはずです。」
「個体差じゃよ」
そう言って、旧敵を見るような眼でオスマンは鏡を見ていた。

サラマンダーは平均で高さ0.6メイル、全長1.6メイル位である。しかし、コルベールの使い魔はその常識を超えていた。高さ2.2メイル、全長4メイル、背中には大きい傷と様々な物で傷つけられた模様が亀の甲羅にも見える。一歩、歩くだけで振動が起こり、呼吸音さえも唸っている様に聞こえる。尻尾の炎の熱気が少し離れた所からでも感じられる。

「どうです、これが私の使い魔ハリマオスペシャルです。可愛いでしょう?いかつい外見に似合わず照れ屋なのですよ。皆さんの使い魔も仲良くして下さいね。」
コルベールに応えるように、ハリマオスペシャルは咆哮を上げる。
その声に気の弱い女性徒は既に足が震えていた。
「おい!お嬢ちゃん、何だよあれは!?」
ダブルゼータが小声でルイズに詰め寄る。
「ミスタ・コルベールのハリマオスペシャル、名前の由来は、物語のサンダー将軍記の主人公のペットからよ。ちなみに続編の主人公のスーパーオラシオンと、どちらにするか迷ったって言っていたわ!」
嬉しそうに、ルイズが名前の由来まで説明する。
「そういう事を聞いているんじゃない!!なんだあの怪物は」
ダブルゼータに便乗するようにニューもルイズに詰め寄る。
ニュー達はスダ…ドアカワールドで数多くの敵と戦ってきた。もちろん、あるより凶悪なのも沢山いた。だが、それは倒すべき敵であって、ましてや、ペットなんかではありえないレベルだった。
(コルベール殿は、あれが可愛く見えるのか)
ニューの中でコルベールの株が急落した。

しばらくして、親睦会は始まった。しかし、それは異様な光景であった。
コの字型に丸テーブルに椅子が並べられて、上座の中央にハリマオスペシャルが寝そべっており、それを取り囲むようですらであった。
「すごい光景だな」
ゼータが呆れながらも、どこか納得している。
「アレにいちゃもんつけた、トライアングルの教師が二人、学校を辞めたわ」
キュルケが紅茶を飲みながら、視界に入れないようにしている。
隣では、タバサは、皿の上のクッキーを独占している
「サラマンダーは火、だから火のメイジは相性が悪い、土のメイジのゴーレムも金属だと溶けるし土や石だと体当たりと尻尾で壊される。20メイルのゴーレムでも踏みつぶせなかった。
風のメイジの魔法も表面に傷を入れるだけだったし、雷も大してつうじない。背中の大きな傷をつけたのは水と風を得意とする。オールド…オスマンただ一人だけ。」
タバサが特徴と過去の戦歴を淡々と語る。その様子は、どこか嬉しそうだ。
(ダバサもこんな顔をするのか)
うすら笑いだが、主の表情の変化を見られて、ゼータは少し嬉しくなる。
「しかし、暴れる様子もない様だし、問題ないじゃないか」
ニューがケーキを食べながら、動きがないことに安心している。
「甘いわよ!恐怖の親睦会はこれからが本番よ!」
結果的に、そのルイズの一言が合図だった。
その言葉に反応するようにハリマオスペシャルが咆哮を上げる。
途端に、何人かの生徒達の使い魔が、クッキーなどを持ちハリマオスペシャルに近づいて行った。
(腹でも減ったから、分けてやるのか?)
自分の感想を、ニューは事態の異常さに気付いてなかった事に舌打ちするだろう。
いくつかの使い魔達が、神にお供えをするようにお菓子を置いて、思い、思い服従を誓ったのだ。
クッキーなどを一瞥して一口で平らげた後、ハリマオスペシャルは行けと言わんばかりに首を横に振った。
頭を下げて一礼するように使い魔達は主たちのもとに戻っていく。
主たちは無事に帰ってきた使い魔達を子供のように抱き抱える。
その様子は、命がけの試練を終えた子供を祝福する親のようでもあった。
「何なのだあれは……」
劇に出てくるような絵に描いた暴君劇を見せられニューは困惑する。
「当然、アンタ達もやるのよ」ルイズは心配するよりも、むしろ嬉しそうだ。
「使い魔だからか?」「当然」
ニューのジト目にもルイズは嬉しそうな顔が消えない。
ルイズ達が話している間にも、他の生徒達の使い魔がハリマオスペシャルにお供え物を差し出していく。
積まれていき、小山のようになったお菓子は、信仰のそれである。
「あ!ニューさん」
唐突に声をかけられニューは後ろを振り向く、そこには心配そうな顔のシエスタがいた。
「知り合いか?」隣のゼータがニューに聞く
「あぁ、洗濯途中に知り合った。シエスタは給仕かい?」
「はい、そちらの方々はニューさんの知り合いですか?」
二人がそれぞれに自己紹介をする。
「はじめまして、私はメイドのシエスタといいます。そうではなくて!ニューさん行かなくていいのですか!?」
シエスタが心配そうに詰め寄る。
「なにがだい?」
「ハリマオスペシャルに対する“お供え”ですよ。」
どうやらニュー達が、未だにお供えをやらない事を危惧しているらしい。
「別にかまわんだろう、たかがペットに餌をやらない位で問題は起こるまい」
「大問題ですよ!!去年も」
空気を叩く衝撃音でシエスタの言葉は打ち切られた。
音の方に振り向くと、モグラが空を飛んでいた。
そして短い滞空時間の後、モグラはルイズ達の近くに着地した。
「ああ!!僕のウェルダンテ!」
頭を抱えながら金髪の少年が悲鳴を上げる。
「!何があったのだ!?」
「お気に召さなかったようね、彼」
痙攣したモグラの口にくわえられた、ミミズを見ながらキュルケが声を上げる。
「今年の犠牲者はギーシュか……」
周辺では喧騒が起きる。生徒達は同情の眼付でギーシュの使い魔を見る。
(さすがにこれはまずいな……)
モグラの様子が危険な事に気づき、立ち上がろうとすると……
「ニュー、そのモグラの治療を頼む」
「お前が言わなくてもやるつもりだよ、マディアム」
ダブルゼータに促されるまでもなく、近づき、魔法をかける。
大きく腫れた部分は消え、痙攣も治まる。
(うそ!アイツ、あんな事もできるの!)
瞬く間に傷を治したニューに、ルイズは思わず目を見張る。
「おおっ!ヴェルダンデ無事だったんだね!ありがとうゴーレム君」
モグラが助かった事が嬉しかったのか、ギーシュはニューの魔法を気にも留めなかった。
だが、周りで様子を見ていたギャラリーはニューが瞬く間に傷を治した事に驚きを隠せない。
「ニューさん、すごいです……」
ニューが魔法を使えることを知っている、シエスタでもその様子に驚いている。
だが、ギャラリーの興味は別のところに移つりつつあった。
先程までルイズ達の席の近くにいた。ダブルゼータがハリマオスペシャルの目の前にいたのだ。
「やっと、お供えする気になったのね、あれを見ればお供「おい!トカゲ野郎!!」」
ルイズの声をかき消すくらいの大音量が周囲に響く
「トカゲ野郎!てめえが威張り散らすのは勝手だがよ、餌が気にくわねぇからって張り倒すのは、お門違いもいいところじゃねぇか!」
ダブルゼータが睨みつけながら啖呵を切る。
「何やっているの……アイツ」
「喧嘩を売っているのだろうな、多分」
ニューはそちらの様子を見る事なく、モグラの状態に気を配る。
「アイツ、馬鹿じゃないの!」
「ルイズ殿、今頃気づいたのか」
ゼータが相槌を打つ。
「ニューさん止めて下さい!ダブルゼータさんが死んでしまいます!」
泣きそうな声でシエスタが、ニューに止めるように求める。
「問題ないですよ、シエスタ殿、あいつはあれを既に敵としてあれを見ています。」
ゼータがニューの言葉を代弁する。
「何を言っているんですか、トライアングルのメイジでも勝てない代物なんですよ!あ」
話が途切れたのは、飛んできた物体の不時着した音だった。
目を離していたので解らなかったが、何かしらの方法でダブルゼータが飛ばされたらしい。
テーブルに激突し、あたりが散乱する。
「ルイズ、何があった。」
ニューが状況を見ていたルイズに、何が起こったかを問いただす。
「尻尾で吹き飛ばされたのよ……」
刺激的な光景を望んでいたが改めて見せられるとさすがに青くなる。
「キュルケ、アンタなんで留めないのよ!」
ルイズがキュルケに責任を追及する。だが、当のキュルケは椅子にすわり、考えた様子でダブルゼータを見ている。
「……ダブルゼータさん……」
青ざめた表情で、倒れたダブルゼータを見ている。
「ニューさん、さっきの魔法「いらないよ、シエスタ」え!」
ニューの薄情な答えに言葉を失う。
ゼータもニューとおなじ様な表情で倒れたダブルゼータに目を向けている。
「油断しすぎだ馬鹿物」
「いっつー、あのトカゲ野郎、言うだけはあるじゃねぇか!」
「え!ダブルゼータさん大丈夫ですか!?」
シエスタが驚く、ダブルゼータがいつの間にか立ち上がり首を鳴らしていた。
「大丈夫ですか!?骨は折れてないんですか?」
本気で心配そうにシエスタがダブルゼータに駆け寄る。
「ああ、チョッち、痛いけど問題ねぇっ!さぁ第2ラウンドと行こうかい!」
そう言って、ハリマオスペシャルに向けて猛突進するダブルゼータ。
「ちょっと、大丈夫なの!?なんで向かって言ってるのよ」
ルイズがゼータに、ダブルゼータの異常さに同意を求める。
「ルイズ殿、あいつはそれしか取り柄が無いからです。」
「答えになってないわよ!」
ルイズは回答に不満を示す。
そう言っている間にダブルゼータが組みつく。
ラグビーの様に首と首を合わせて力を比べ合う様は、さながら闘牛の様であった。
得体のしれないゴーレムが、ハリマオスペシャルと力比べをし始めた事に、周りの生徒達は見世物の様相を呈してきた。
「また向かって言ったよ」
「無謀だよね」
「牛みたいだな」
「キュルケも牛だからな、一部が」
下賤なヤジが、当たりに飛び交う。
組み合ったが一方的に見えた。地面にダブルゼータの足の形をした二本の棒が描かれる。
「やっぱ押されてるじゃん」「偉そうな事言った割に対した事ないのね」
気がつけば、地面の棒が2メイルまで伸びていた。
「キュルケ!アンタそれでいいの!?」
ルイズがキュルケに詰め寄るがキュルケは何も答えない。
(まかせておけよ、キュルケ、俺は魔法が使えないが、アルガス王国一の怪力なんだぜ!)
昨日のダブルゼータの言葉が脳裏をよぎる。
だが、当事者に最も関わりがありながら、キュルケはぼんやりと必死なダブルゼータの顔を見ていた。
(べつに今、ここで証明しなくてもいいのに……それに、充分、力は強いじゃない)
一部を除き、誰も気づいてないが、ハリマオスペシャルと組み合って食い下がっている時点で、ダブルゼータの力が尋常ではない事はキュルケには充分にわかる。
去年、ハリマオスペシャルと馬5頭の綱引きのトトカルチョで、倍率の高い馬五頭に賭けて、引っ張られて馬が空を飛んでいく様を、券を握りしめながら見ていたキュルケには忘れられない光景だった。
(まぁ、善戦したし、後で慰める位はしてあげるわ)
思考から、現実に意識を戻したところで、ダブルゼータはキュルケの足元にいた。
「おかえりなさい」
「ただいま、また行ってくる」
ゆっくりと身を起しながら、ダブルゼータはその身を起こす。
その様子に呆れ、溜息をつきながらダブルゼータに近寄る。
「ねぇ、もういいじゃない、あなたの力が強いのは十分にわかったわ、もうやめなさい。」
彼女を知る者からすれば、その声は異様なまでに優しかった。
「悪いが、やめられないね。」
「どうして!?」
(なんでそこまで意地になるのよ?こんな馬鹿げた事して!)
理由が分からず少し苛立った声をキュルケは上げる。
「周りの事を気にしているの、別に構ないわよ!けど何で貴方がそこまでするの
ギーシュのモグラのため?それとも私を含めて馬鹿にする。ギャラリーの鼻を明かすため?モグラの為なんてカッコ悪いし、私はそれが分らない程、馬鹿じゃ「言っただろ」え!」
ダブルゼータの言葉がと手がキュルケを遮る。
「キュルケ、俺は魔法も技もないが、アルガス王国一の怪力なんだぜ!」
親指を立て拳を握りながら、土のついた薄汚れた顔で笑う。
「これは喧嘩じゃねぇ、この学園の怪力一を賭けたタイトルマッチだ、もっとも、タオルを投げ入れられたってやるけどな。それによぉ……」
途端に少し照れた顔になる。
「カッコよくて、賢いなんて、俺らしくないだろ?」
言いながらすぐに振り返る。
(そう、そうかもね……)
人はキュルケを妖艶で狡賢いという。しかし、鏡ともいえる使い魔のダブルゼータは。そういったものからは程遠い。
(私はダブルゼータを否定もしなければ、肯定もしなかった。それは、ダブルゼータが他人だと思っていたから……けど、彼は私の鏡、ある意味で私自身、彼は私の使い魔なのよ!)
何かを決意した瞳で、ダブルゼータを見つめる。
「確かに、あなたらしくないわね。」
「はっきりと言うなよ!」
彼の表情は見えないが笑っているのだろう。
「じゃあ、主として出来る事をしましょうか……」
キュルケは周囲のギャラリーを見渡した。
「さぁ、トトカルチョよ、私の使い魔が勝つか、ハリマオスペシャルが勝つか!オッズは1対10よ、もちろん私はダブルゼータに賭けるわよ」
「カルチョにならないぞ、キュルケ!」
少年達が彼女の愚かな提案を笑う。
「あら、だったら、私が負けたら全裸で学園一周してあげるわ!」
「すばらしい!ハリマオスペシャルに1000じゃ」
聞こえはしないが、遠見の鏡からオスマンは興奮気味に参加を表明する。
「おい、聞いたか、僕はハリマオスペシャルに100賭けるぞ」
「俺も100だ!キュルケ、絶対やれよ」
生徒達がカルチョへの参戦を次々に表明する。中にはキュルケを妬む女性ともカルチョに参加していた。
「やれやれ、話を大きくしやがって、俺はプレッシャーに弱いんだぜ」
「使い魔のお尻を叩くのも、主の役目よ!必ずベルトを奪取なさい」
キュルケが喝を入れ、力強く送り出す。
「おう、まかしとけ!」
再び、ハリマオスペシャルに突っ込むダブルゼータ。
「キュルケ!アンタ頭がおかしいんじゃないの!?」
「ルイズ、あなた私の二つ名をご存じ?」
「何、言ってるのよ!「微熱」でしょ!アンタほんとに熱でもなったの?」
「そうよ!「微熱」に浮かされたのよ」
妖艶とも母性とも違う目で、キュルケがダブルゼータを見つめる。
「彼に50エキュー」
キュルケの眼に気付きながらも、タバサがいつの間にか近くにいた。
「タバサ、あなたも一緒に脱いでくれるの?」
「大丈夫……あなたが賭けたから」
確保していた、タバサがクッキーを頬張る。
「……去年のトトカルチョでも、そう言って負けなかった?」
去年の出来事を思い出しながら、他人事のようにキュルケはつぶやいた。

第2ラウンドが始まっても、誰もダブルゼータに賭けるものはいなかった
今度は、前より善戦していた。押すことはないが、かといって押されるわけではない。
それは場を盛り上げる為の、演出であった。どうせ勝つのだらある程度の見せ場くらいあってもいいだろう。
金銭を賭けた当事者たちの傲慢な驕りであった。
だが、ダブルゼータの顔は、むしろ徐々に明るくなって言った。
「お前は確かに強えよ………だがなぁ!!」
そういって、咆哮と共にゆっくりと進んでいく。
その様子にギャラリーは動揺する。
「どうして……」
ルイズも、なぜダブルゼータの方が押し出してきたか、理解できないでいた。
「スタミナ……」
タバサがポツリとつぶやく
「え?だってあっちの方がスタミナありそうじゃない」
「力の強い動物はパワーや瞬発力があっても、スタミナや瞬発力が少ない。それに、そういった訓練もしていないからああやって持久戦になると弱くなる。」
「それに、ルイズ殿、アイツはあれでも山ごもりしていたから、ああいった動物と戦うのは得意なのですよ。」
始めて会ったとき、フロッグアッカイを飼いならして、それに乗っていたのを思い出しながら、ゼータがアピールポイントを付け足す。
一部は勝利を確信し始めていた。
そして、それは起こった。
押し始めた、ダブルゼータがブレーンバスターで持ち上げて地面を叩く。
轟音と共にハリマオスペシャルがひっくり返る。
「まだまだぁ」
仰向けになったままの状態をジャイアントスイングでまわし、近くの壁に叩きつける。
固定化を忘れたのか?そう言えるように壁にヒビが入る。
「これで、ラストだぁぁぁ!!!」
「うそ……」
ルイズは地面と垂直になったハリマオスペシャルを見て口をあけていた。
「だりゃあぁぁぁ!!」
左手で首をロックし倒れこみながら右腕を相手の腹に巻きこむ。そして、地面に叩きつける。
大技であるジャックハマーが、トリスティンに局地的大地震を引き起こす。
ハリマオスペシャルは今度こそ動かなくなっていた。
「うおぉっしゃあぁー!!!」
勝手な勝利宣言を止める者は誰にもいなかった。

「9ミス・ロングビルは太ももも捨てがたいのぉ」
オールド・オスマン
こんなのでも学園長である。
データ不明 (負けてもカードを取られない)

「10山のように、ハリマオスペシャルはあらわれた。」
ハリマオスペシャル
コルベールと合体はしない
HP 880

ゼロの騎士団 PART1 始まりの地 トリスティン
専用の厩舎でハリマオスペシャルは目を覚ました
「おはよう」コルベールが朝食を届ける。
「今日は使い魔の親睦会なんだよ」
嬉しそうに、コルベールは告げる。
「みんなと仲良くしてやってくれよ」
そう言ってコルベールは厩舎を後にする。
主の願いを叶える為、彼は厩舎を出た。
使い魔達の王としての役割を果たすべく……


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