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雪と雪風_始祖と神(6)


 ラ・ロシェールを囲む山並みに夕陽が沈もうとする中、荷役夫たちが行き交う広い階段を駆け上がる。
雪風と雪の名に違わず、闇夜にまぎれた二人はまさに疾風のようである。

「七番……あそこ――」
 なんとか桟橋までたどり着くも、マリー・ガラント号は既にタラップを切り離し、浮上し始めようとしている。

「置き去りにされた。やはり、わたしたちが同行するのは都合が悪いのかもしれない」
 と長門は呟き、タバサに問う。
「どうする?」
「フライで飛ぶ。ユキ、飛べる?」
「飛行は不可能。でも、わたしが桟橋を蹴るから、その勢いであなたが飛んで」
 そう告げると、長門はしゃがみ、タバサに背中に乗るよう促した。
 半信半疑のままのタバサが背負われると、長門は助走もつけずに岸壁から身を翻す。

 しかし、それだけでは舷側にはわずかに届かない。
二人が自由落下を始めようというところでタバサがフライを唱え、
今度はタバサが後ろから長門を抱きかかえる格好となる。マリー・ガラント号まではおよそ二十リーグ。
フライの魔法であればものの距離ではない。やがて難なく船へと辿りつき、手摺に手をかけようとする――。
ところが背後から、何者かが電撃を二人に放った。

 ライトニング・クラウドの直撃に意識を手放し、タバサはフライを継続することができない。
一瞬の自由落下のあと意識を回復し、なんとか桟橋の一つへと降り立つも、
しかしその間に、船は追いつくことが不可能な距離まで離れていた。

 着地すると同時にタバサは膝をつく。
「ユキ、大丈夫?」
「それより、あなたが――」
 長門有希のマントも未だ端が燻っていたが、深刻なのはタバサである。
杖をかばったのか、杖を持つのとは反対の左腕は、袖は焼け、皮膚は見るも無残な状態に焦げている。
「大丈夫、治癒をかける……」
「その傷を秘薬もなしにというのは無謀。わたしの方を向いて」
 長門はタバサの肩を掴むと、強引に自身へと向き直させた。
 そして顔を見つめると、
「唇を入れて」
 タバサは長門の発言に目を見開く。そして一瞬の後、その行為を理解して顔を真っ赤に染めた。
「言うとおりにして」
 長門はそれだけ告げると、タバサに口付ける。
タバサにとってコントラクト・サーヴァント以来、そして人生で二度目の口付けである。
 タバサは長門に言われたとおりの行動を取り――、
「痛いッ」
 舌を軽く噛まれたタバサは、顔を離すと長門を突き飛ばした。

 タバサは我に返り、口をぽっかりと開ける。
「すまない――」
「――わたしは大丈夫。気にしていない」
 長門は立ち上がると、マントの埃を払いつつ言った。
「……何をしたの?」
「細胞を修復するナノマシンを注入した。夜明けまでには、跡も残らずに傷が治るはず」
「ナノマシン?」
「情報を帯びた、目には見えない機械のようなもの。あなたたちのいう、精霊に近い」
「精霊――」
 タバサは、長門有希であれば母の病を治すことができるという確信を更に深める。
しかし一瞬彼女の頭を過ぎった希望に満ちた考えは、何者かが再び二人を襲撃しようとする気配に中断された。

「ユキ、飛んで。誰かが魔法を詠唱している」
 タバサと長門は左右に飛び退く。すると二人がいた場所を電撃が襲った。
 そして二人の目の前に、姿形の寸分違わない、二人の白い仮面のメイジが姿を現したではないか。
 ほぼ同時に二人が身をかわすと、ブレイドの魔法をまとった杖が空を切った。

「ラナ・デル・ウィンデ」
 タバサはエア・ハンマーにて相手を吹き飛ばそうとするも、後から詠唱し始めた仮面のメイジに追いつかれ、
空気の塊は打ち消される。手負いのタバサにとって、精神力を多く消費する魔法を連続して使用することは難しい。
一歩一歩を削られるようにして、防戦一方のまま、後退させられるほかなかった。

 長門もまた、フーケと同様にして、杖を情報操作によって消滅させることを試みた。しかし――、
「操作する対象が存在しない――?」
 長門を襲う氷や風、雷は確かに目の前に存在している。
しかし、目の前に立つ男は、認識できても存在していないのだ。まるで空っぽの紙風船のように。
小さなバリアーで魔法を一つ一つ受け流しつつ、彼女もまたじりじりと後退する。

 そして二人は、もはや背中合わせに立つ他なくなる。タバサは膝を付き、長門有希だけが前後から来る攻撃を跳ね返していた。
「タバサ」
「なに」
「この有機生命体には存在を感じない。いったい、なにもの?」
「おそらく、風の偏在」
「偏在?」
「そう。自身の分身を作り出す。わたしたちメイジには本物と分身は判別できない。
だけどあなたがそう感じたのならば――、おそらくこの二人は本体ではない」
「わかった。――いかに実体がなくとも、そこに情報は繋がっているはず」

 情報統合思念体とのコンタクトが不可能な状況下でありながら、
長門はハルケギニアを飛び交う目に見えない情報網の存在を仮定する。
もし風の偏在が、何らかの情報網を経由して制御されているのならば、それを断ち切ればあるいは――。
このハルケギニアという空間もまた、閉鎖空間のようなものである。ならば、不可能な筈がない。
「あなたが瞬きを一回する間だけ、時間を稼いで欲しい」
 長門はタバサに告げる。

「まかせて」
 タバサは杖を支えに立ち上がり、短く詠唱する。地面を蹴ると、タバサはフライで勢いよく上昇した。

 フライ――コモンマジックの短い詠唱ではあるが、一瞬だけ目を逸らさせるには十分である。

 その間に長門は、ハルケギニアの存在する空間全体を張り巡らされた閉鎖的なネットワークの中から、
仮面のメイジ二人に繋がる糸を手繰り寄せる。

「みつけた」

 一旦発見してしまえば、それを切断することなど、長門にとっては容易なことであった。

「くっ、ウェールズを生き延びさせるわけには――」
 仮面のメイジは光の塵となって、足元から消失していく。
 断末魔だけが響き、そこにはタバサと長門だけが残った。

「……気付いた? あの男と同じ風を感じる」
 長門はタバサに問う。
「そう」
「なんとしてもアルビオンに渡らないと。ミス・ヴァリエールが危ない」
 タバサにとってルイズの危機を守ることは、親友に託されたことである。
親友の親友も守れずして、なにがシュヴァリエ、なにがトライアングルだろうか。

 + + +

 二人は近くに停泊していた小型の貨物船に駆け寄ると、荷役を行っていた水夫に話しかけた。
「この船はアルビオンに向かう?」
「貴族の嬢ちゃん、このような船になど乗るもんじゃありませんぜ」
「アルビオンに向かうのかと聞いている」
 タバサが問い詰めると、水夫は肩をすくめる。
「……本当はその筈だったが、状況が変わってな。今から戦場になろうとしている場所になんて、誰が向かうもんか」

「――これでも?」
 するとタバサは懐から、リュティスから送られてきた手紙に同封された小切手を取り出し、
さらさらと金額とサインを書き込み提示する。サインは東花壇騎士名義、
ただしガリア王宮内部では自動的に北花壇騎士のものとして会計処理される、実在しない部署である。
「新金貨で二千? まさかこんなボロ舟のチャーターに、嬢ちゃん、大人をからかうのは……。
なんだ、このサインは? ガリア花壇騎士? まさか、嘘をいっちゃあ……」
「嘘だと思うなら、船長に見せて」
 水夫は納得のいかない様子で船内へと消える。

 ――しばらくすると水夫の代わりに、マントをつけた船長らしき人物が戻ってきた。船長は寡黙な様子で、
「乗りな。すぐに出航する」
 と一言だけ告げた。
「ユキはどう思う?」
「危険性はないと判断する。水夫の歩く様子からして、おそらくただの貨物船」

 タバサと長門は船内へと入り、簡素な二段ベッドが作りつけられた船室へと、船長自ら案内される。
「貨物船だからな。この船室で我慢してもらうぜ」
「……どうしてわたしを乗せたの?」
 タバサは、船室を出る船長に問う。
 一瞬の沈黙のあと、
「俺は――、いや、私は今こそ平民だが、ガリアの出でな。元はオルレアン派だった。
いかにお嬢様たち、東花壇騎士様が今のガリアのために動いているとはいっても、
祖国を裏切ることなんて、できる筈がない。それに――」
「それに?」
「お嬢様が、一度だけ遠くから見た、亡くなられたシャルロット様に瓜二つだと――」
 船長は、はっとした様子で、
「……いや、貴族のお嬢様に失礼な言葉を。
――アルビオン、スカボロー港には、明日の夕方の到着になる。しばし、よい夢を。シャルロット様そっくりのお嬢様」

 船長が扉を閉めると同時に、タバサの頬を涙がつたう。父を信じた者を欺いて船に乗り、
それどころかその目的が、ハルケギニアをただ戦乱に巻き込もうとする、
単なる叔父の遊戯のためにすぎないなど――、許される筈がない。
 思わず顔を覆うタバサ。長門は彼女の背中に腕を回すが、タバサの悲しみは、未だ癒されることはない――。

 + + +

 船で過ごす一日の間、長門はただひたすら、甲板に出て、どこか遠くを見つめていた。
「なにをしてるの?」
 タバサが近付き、話しかける。
「この空間における情報網をたどっている」
「情報網?」
「そう。情報の流れ。昨日、風の偏在が何らかの情報伝達手段を使用していたことから、
この空間にも、あなたたちには観測できない形の情報網が存在していると予想できた」
「それは、存在するの?」
「する。でも、ほとんど利用されていない状態」
「なぜ?」
「おそらくこの空間が、外部から独立しているため。インフラだけが最初からあって、
だれもその存在を認識していない状態。――たまに、魔法を使用する媒体となっている痕跡が確認できる」
「そう。ということは」
「この情報網から得られる情報は、ほとんどない」
 タバサは溜息をつく。情報の伝達、言葉だけ抜き出せば、長門有希のことである、
何らかの有益な情報をそこから得られてもおかしくないと思えた。
しかし実際は、そこにあるだけで、何の役にも立っていないとは。

 + + +

 翌日の夕刻、小さな貨物船は、難民でごった返すスカボロー港へと接岸した。
その頃にはタバサの腕の傷も、何事もなかったかのように完治している。

「無理を言ってすまなかった」
 タバサは船長に礼を言う。
「いや、いいってことさ。――どんな任務か知らないが、死ぬなよ、シャルロット様」
「わたしはシャルロットではない」
「おっと、いけない、いけない。お嬢様があんまりにもシャルロット様に生き写しだったもんでな」
「そう」
 タバサは軽く受け流すと、何事もなかったのように、長門とともに雑踏へと消えていった。

 しかし、アルビオンに上陸こそしたものの、埋められない時間の差、距離の差は如何ともし難い。
「スカボローからニューカッスルまで、馬で一日。どんなに急いだとしても、到着は明日の朝――。
いつ総攻撃が始まるかも分からない状況で。むざん」
「……あなたらしくない」
「できる限り、任務の遂行を目指す。でも今回ばかりは。ルイズに同行できなかったのが失敗」
「ニューカッスルに、できるだけ早く到着するしかない」
「ええ」
 タバサは力なく歩き出すと、港の厩舎に繋がれた痩せこけた馬の中から、
比較的毛色のよい二頭を選ぶ。二人は可能な限りの速さで、日の沈む街道を駆け抜けていった。

 + + +

 ニューカッスルに近付くにつれ、街道に障害物が増えていくのがはっきりと分かった。
それが何かは分からないが、恐らくはすれ違う難民か、追い越す傭兵かのどちらかであろう。
 長門有希は何十リーグ走っても、顔色一つ変えない。そして、表面上はタバサも同様に見える。
しかし、たとえ北花壇騎士といえども、前日の精神力の消費は、明確に体力の低下として表れてくる。
現にタバサの額には汗がにじみ、彼女の腕には、手綱ではない何かを掴む感覚が、幻覚として現れ始めていた。

 もう夜の闇の中を何時間走ったであろうか。タバサの意識が離れようとしたとき――、目の前に明るく視界が広がる。
「着いた――」
 長門がタバサに告げる。

 平原には、レコン・キスタの軍勢が兵営を張っていた。かがり火が歓楽街のように空を照らすが、不気味なほどに人の気配はない。
 二人は馬を乗り捨て、マントのフードを目深に被る。

「時間がない。部隊がここまで集合しているなら、総攻撃は時間の問題。どうやって王党派に接触する?」
 と長門。しかしタバサはそれに答えず、歯を食いしばるようにして言った。
「……わたしたちは、ゲームに負けたのかもしれない」
「弱気。なぜ?」
「――あなたも、あの男、ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルドについて、わたしと同じ認識を持っているはず」
「おそらく、わたしたちとは反対の任務。ウェールズの暗殺か、それに近い何か。つまり、レコン・キスタ」
「……わたしたちの任務の根拠となった、アンリエッタ王女が使者を遣わすという情報の出所は、おそらくワルド」

 タバサの言葉に、長門の眉がぴくりと動く。
「どうして。理解できない」
「ワルドがアンリエッタに命じられた内容は筒抜け。レコン・キスタを経由してジョゼフに伝わった。
――レコン・キスタの黒幕はジョゼフ。そして、わたしたちとワルドは、彼のゲーム盤の上で競争させられているだけ」
「なぜ、そう言えるの? 正反対の任務を同時に命じるなんて、
有機生命体の非合理性から考えたとしても、ガリア王がそのような行動をとる根拠が薄い」
「……ガリア王ジョゼフは、そういう人間。わたしたちもワルドも、駒に過ぎなかった。
そして、負けたのはわたし。そもそもワルドは、元々わたしたちの正体を知っていたのかもしれない」
「そう――」

「……勝ちたい?」
 唐突に、長門が口を開く。
「何を言ってるの、ユキ?」
 長門はタバサを、透き通った眼差しで見つめる。それはいつか、彼女が射手座の日に見せたのと同じものである。

「ユキ?」
 かがり火に照らされた二人の影が揺れる。
「――ユキ、あなたは、負けず嫌い?」
 先ほどまでの深刻な表情とうって変わって、タバサの口元がわずかに緩む。
「許可を」
「わかった。やって」
 長門の高速言語が、夜の帳を切り裂く。

 + + +

「……ここは」
「この一帯……、正確には、ここからニューカッスル城までの幅五メイルの直線を、
わたしの情報制御下に置いた。いわばわたしが作った細長い密室。誰も中に入ることはできない」
 二人がいる空間は、確かに変わらずテントが密集してはいるのだが、かがり火は消え、
その代わりに、青白く輝く空が地を照らしている。色彩からはどこか彩度が失われているが、
だというのに、昼間のように明るく見えた。
 タバサは五メイルという言葉に、壁があると思われる場所まで歩み寄る。
すると、さしずめガラスの壁とでも言えるであろうか、見えない壁にぶつかり、その先に見える景色が歪んだ。
「ありがとう、ユキ」

 二人は誰もいない空間の中を、ニューカッスル城へと駆け出した。距離はおよそ二リーグ程度。まだ時間はある。

 そして、二人はニューカッスル城の城壁に立っていた。
「ユキ、この空間を維持したまま、城壁を錬金することは可能?」
 長門の情報制御下からは見えないが、二人の背後には、
レコン・キスタ軍の最前線が迫っている。もし二人が姿を現せば、危険に晒されることは容易に想像できた。
「可能」
「……羨ましい。同時に二つの魔法を使うなんて、メイジにはできない芸当」
 長門は杖を向けると、城壁の一部の情報を再構成し穴を開けた。
二人は再構成の跡が金色に輝く通路を抜け、城内へと入る。
長門が穴を再び城壁に戻すと同時に、二人は長門の情報制御下から出、城の廊下へと姿を現した。

 もちろんニューカッスル城に残る者にとって、タバサと長門は侵入者にすぎない。
二人もそれは承知のこと、発見されれば素直に身分を明かすつもりでいた。
 しかしどれだけ歩いても、衛兵一人として会わないではないか。
「……おかしい。もぬけの殻」

 実際のところ、二人が侵入した時点でニューカッスル城に残っていたのはおよそ三百人。
その殆どがメイジ、すなわち貴族である。彼らは最早、城の核心部以外の防御を放棄していた。
すなわち、敵を奥深くおびき寄せ、各個撃破する戦法である。
 よって二人は、当直、いや、最後の夜を眠れずに過ごすメイジが集合し、
語り交わしていた大広間に、突如として躍り出ることとなったのである。

 タバサは大勢の気配を感じると、彼女の背丈の倍はあるであろう木の扉を押し開く。
「ガリア王国花壇騎士タバサ。大使として遣わされて参りました」
 明日になれば彼らの命が散ることは分かりきっている。
ならば、二人がいまここにいる事実は、歴史書のページの狭間に消え去るであろう。
タバサはあえて身分を名乗り、二人はアルビオンきってのメイジ達の前に跪いた。
大広間の全ての視線が二人を刺し抜く。

「ほっほっほっ! 彼らが最後かと思っていたが、まさかもう一度、客人を迎えることができるとはのぅ」
 沈黙を破ったのは、将官の服に身を包んだ老メイジであった。
「もはやこの城に忍び込もうとする間諜などいまい。しかし、もてなす事もできぬがのう。して、この落ちかけた城に大使とは……?」
 無能王の差し金か、とタバサたちが噂される中、老メイジは二人に歩み寄る。

「申し遅れた。アルビオン将軍パリー。ガリアの使者殿、歓迎を致す。面を上げてくだされぬか」
 タバサは顔を上げると老メイジに、ガリアからの手紙に同封されていた文書を差し出した。
パリーは封を開き一読する。その内容は、外交文書としては何の意味も持ってはいない、儀礼的なものである。

「……なるほど、われわれの武運への心遣い感謝する。――ところで、まさかこれだけのために、
包囲された中、危険を犯してまで派遣されたのではあるまい。まことの理由を、聞かせ願えぬか」
 タバサは跪いたまま、
「――ウェールズ王太子への面会を許可願いたい」
 と申し出る。
「……よかろう。ただし、儂も同行させていただく。
もう一つ、すまぬが、王子は今、お主らとはまた別の使者と面会中じゃ。今しばらく、待ってはいただけぬか」
 タバサは呟く。
「……遅かった」

 すると長門は前触れもなく立ち上がった。タバサは長門をたしなめる。
「礼節を守って」
「――ルイズとワルドが魔法を使った痕跡を感じた。二箇所同時」
「どういうこと?」

 長門は答えることなく、ルイズから感じた情報の糸を手繰り寄せ、壁を砂に変えるとその中へ飛び込む。
タバサはパリーに一礼すると、度肝を抜かれた様子であるアルビオンのメイジたちを背後に長門を追った。

 追いついたタバサに、長門は語る。
「わたしの情報制御下を出てから今まで、ずっと情報網を検索していた。おそらく、二人とも偏在――。
両方の組のルイズとワルドは、それぞれ一緒に存在する。どっち?」
 長門が感じたのは、ルイズとワルドが本体と偏在を繋ぐ、ハルケギニアに張り巡らされた情報網に流れた情報の波である。

「――ウェールズ王太子のいる場所へ」
「いいの?」
「……これは任務」
その間にも二人は次々と壁を破り、ニューカッスル城のある一点へと突き進む。
そして最後の壁を抜けると、そこははたして、ウェールズの寝室であった。


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