あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

使い魔でドッコイ

 彼が召喚された時、ルイズは激しく落胆した。
 何十回もの失敗の末にようやく召喚出来たのが、どこからどう見ても冴えない平民にしか見えなかったからだ。
 しかしやり直しが効くはずもなく、ルイズは渋々彼と使い魔の契約をするのだった。


 最初は彼の方もいきなりの事に驚いていたが、何だかんだでルイズの理不尽な命令に対しても従ってくれた。
 生活環境に少々不満はあるみたいだが大した文句を言わず、それどころか授業で失敗したルイズに対してやさしく接してくれた。
 使い魔本来の働きとしては全く期待出来なかったが、ルイズは少し彼の事を気に入りはじめていた。

 ルイズの彼に対する印象が大きく変わった最初の事件と言えば、やはりギーシュとの決闘騒ぎだろう。
 ギーシュがメイドに突っ掛かっている所をルイズが注意したのがそもそもの切っ掛けである。
 ルイズ自身どうしてそんな事をしたのかよく分らなかった。
 もしかしたら平民の使い魔を召喚して、平民に情が移ったのかもしれないなどとも思った。
 だが一度振り上げた矛を自ら先に収めるなんて事がルイズに出来る訳も無く、感情のままに口論となって果てには決闘にまで発展してしまった。

「さてと、では始めるか」

 決闘の場、ヴェストリア広場で両者が対峙するのを他の生徒達が見守る。
 野次馬の様に集まったギャラリーは徐々に増え、いよいよ決闘が始まると思ったその時。
 ソレは突然現れた。

「なあ~~~っはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!」

 決闘前という緊張感漂う空気を全て吹き飛ばすような景気の良い笑い声がどこからか響く。
 生徒達はその声の主を捜そうと辺りを見渡した。

「だ、誰だ!?」
「どこから聞こえてくるの?」
「見ろ、あそこだ!」

 生徒の一人が声の主を発見して指を指した場所は風の塔。その頂上にソレはいた。
 透き通るようなブルーの肉体。
 肩と胸と膝など部分部分は固そうな厚みのある金属で覆われてはいたが全体的には薄いプレートで覆われているだけのようだった。
 ヘルメットを被ったような頭部にはまん丸く光る目が二つ。
 そして額には一本の飾りのようなアンテナ。
 少々子供向けデザインのような気もしないでもない。
 腰に巻かれたベルトが幼稚なデザインに拍車をかけている。
 それでも通俗的なヒーローとしての格好良さがソレにはあった。
 しかし、何より生徒達を一番驚かせたのは、ソレが身に纏った真っ赤なマントだろう。

「夢だと思いたい異世界暮らし。夢でないなら覚悟を決めて。多少の理不尽あるけれど。生活のためにも頑張ります。
 株式会社オタンコナス製造、超特殊汎用パワードスーツ、ドッコイダー!!
 助太刀せよとただいま参上!」

 この世界ハルケギニアではマントはメイジ、強いては貴族を意味する。
 そんな事は知るよしも無いドッコイダーはポーズを決めたまま笑い続けていた。

 この時ルイズだけはドッコイダーが自分の召喚した彼だと気が付く。
 だが他の人たちはどういう訳かその正体に気が付く者は居なかった。
 実はこの一件の後も何度かバレてしまうようなシチュエーションがあったはずなのに、みんな気が付いた様子は無く。
 しまいには「マントを羽織っているのだから、その正体は顔を見られる訳にはいかない何処かの有名貴族だ」なんて噂まで広まった程だ。

「だ、誰だか知らないが君がルイズの代わりに相手になるっていうのかい? おもしろい!!」

 いきなりの乱入者に一度はギーシュも驚いたが、その見た目から大した相手ではないと判断したのだろう。
 すぐに余裕を取り戻してドッコイダーに向けて杖を構える。

「なに、メイジだか貴族だか知らないが燃える正義の熱血α波発生装置に不可能は無い。いくぞ!」

 ドッコイダーは風の塔から跳躍した。
 かろやかに空中を舞うその雄姿に誰もが目を奪われる。

「ミラクルハイパーエキセレントダイナマイツキイィィィィィィィィィィィィック!!」

 音声入力によって発動するドッコイダーの必殺技が、ギーシュを狙う。
 しかし、そのキックが決まる事はなかった。
 重たいヘルメット頭の所為でバランスが崩れ、ドッコイダーは頭から落下。
 さらに運が良いのか悪いのか、落下先にギーシュがいてそのまま激突。

 意図して行った行動とは思えなかった。
 起き上がった後で何事も無かったかのように「計算通り」なんて言っているが、誰もそんな事信じなかった。
 突然のヒーローの登場に一時でも目を輝かせた生徒達は、早速見せつけられたヒーローの醜態に唖然となった。


 しかし結果的にはギーシュをやっつけた様に、ドッコイダーはその後も色んな戦いで勝利を掴んだ。
 少々棚からぼた餅のような勝利も多かったが、運も実力の内と言うから良いのだろう。
 もちろんフーケのゴーレムと戦った時などピンチを迎える時だってあったが、

「燃える正義の熱血α波に、不可能は無い!」

 そう言っては耳元から流れてくる妙な音楽と共に何とか切り抜けてきた。
 武器屋で購入された彼の相棒曰く、その音楽に心の震えへの影響があるとは思えないらしい。
 だがどういう訳か彼の心の震えは強くなっているそうだ。

 そんな彼が最も心を強く震わせたのは、ルイズをワルドから救った時だろう。
 斃れたウェールズと気を失ったルイズを目にして、彼は正義の炎に燃えた。

「反逆者閃光のワルド! お前の敗因はただ一つ!!
 お前は傷つけてはいけないものを傷つけた! それだけだぁーッ!!」

 偏在を全て撃破しワルドを退ける事に成功。
 さらにはアルビオンからの脱出まで果たした。
 この時ばかりはルイズも、おまぬけ顔の彼が何よりも格好良く見えたと言う。


 そして彼は今また強く心を震わせていた。
 ステンドグラス越しの夕日が、荘厳な雰囲気を仕立てている寺院の中。
 彼はルイズと共にいた。

「変な使い魔で最初は何よこいつって思ったけど、今はあんたで良かったって思ってる」
「僕も、ルイズに召喚されて良かった。みんなと、ルイズに会えたから」

 寺院の外で事の成り行きを見守っていた金髪の美少年、ジュリオ・チェザーレは「そろそろいいかな」と呟いてから中へと足を踏み入れた。
 二人だけの時間も良いが、近づいてくるアルビオン軍が気になるころだ。
 少しからかってから二人に逃げるように言おうとしていたジュリオだったが、その事を口にする事はなかった。

「やあ、使い………スズオ…くん……?」

 ジュリオが思わず彼を名前で呼ぶ。
 確かに寺院に入ったのは彼とルイズの二人だけだったはずだ。
 しかし今ジュリオの目の前にいるのは、深い眠りについたルイズと彼女を抱き上げたブルーの人影である。

「いや、私は桜咲鈴雄ではない」
「きみは……いったい?」
「私の名前はドッコイダー。
 株式会社オタンコナス製造、超特殊汎用パワードスーツ、ドッコイダーだ!!」

 ルイズをジュリオに預けると、ドッコイダーは走り出した。
 本来ルイズが作戦を行うはずだった丘の上へ。
 その丘の上からは草原の地平の向こう、進軍中のアルビオン軍が見える。

「相棒はてんで義理がてえや」
「どうやら僕は困っている人を見過ごせない性分みたいなんでね」

 総勢七万もの軍。普通の人ならば逃げだしたくなるだろう。
 だが彼はその七万の軍と真っ正面から立ち向かって行くのだった。


 敵が七万いようとも! 怯む心はナッシング!!

 目指せ、正義の大勝利!!!

 熱き心で、ただいま参上!!!!



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