「世界のどこかにいる私の使い魔よ、現れよ」
薄暗い森の中に声が響いた。
土くれのフーケは苛立っていた。
宝を狙ってトリステイン魔法学院に潜入しようとオールド・オスマンに接近したまでは良かったのだが…、あまりの度を越えたセクハラぶりにオスマンを殴って学院を飛び出してしまったのだ。
宝を狙ってトリステイン魔法学院に潜入しようとオールド・オスマンに接近したまでは良かったのだが…、あまりの度を越えたセクハラぶりにオスマンを殴って学院を飛び出してしまったのだ。
(あのジジイが悪いんだ、あんなに触りまくった上にあんなことまでしようとするなんて……グスン)
フーケは鼻をすすった。
だから仕返しも兼ねて、自分の力で宝を強奪してやろうと決めた。
しかし相手は優秀な魔法教師達、一筋縄では行かないだろう。そこで必要としたのが優秀な相棒だ。
だがフーケは泥棒、今まで多くの人間を騙して来た。そんな自分が人間を信用する気にはなれない。
そこで使い魔を呼ぶことにしたのだ。使い魔は人間のように見返りや報酬を求めないし、主人を裏切らない、いらなくなったら殺せばいい。良いことだらけだ。あとは使える使い魔が出るのを祈るだけ。
だから仕返しも兼ねて、自分の力で宝を強奪してやろうと決めた。
しかし相手は優秀な魔法教師達、一筋縄では行かないだろう。そこで必要としたのが優秀な相棒だ。
だがフーケは泥棒、今まで多くの人間を騙して来た。そんな自分が人間を信用する気にはなれない。
そこで使い魔を呼ぶことにしたのだ。使い魔は人間のように見返りや報酬を求めないし、主人を裏切らない、いらなくなったら殺せばいい。良いことだらけだ。あとは使える使い魔が出るのを祈るだけ。
キーン…と高い金属音が響いた。眼の前が急に明るく照らされる。あまりの眩しさに彼女は眼を手で覆った。
光が止み、眼を開けたフーケの前には黒光りする身体をした小型の[何か]が立っていた。
どことなく竜に似ている…、だが火竜でも風竜でもない、なんだこいつは?
光が止み、眼を開けたフーケの前には黒光りする身体をした小型の[何か]が立っていた。
どことなく竜に似ている…、だが火竜でも風竜でもない、なんだこいつは?
「グゥルルルル」
警戒しているようだ。
どうするか…、何だかわからないが、ハズレではなさそうだ。契約するとしよう。
フーケは彼を驚かせないようにそっと杖を当て、呪文を唱え、頬らしき所に唇を当てた。
使い魔の左肩が輝き、ルーンが現れた。契約完了だ。
ここでおかしな事が起きた。フーケの左手にまでルーンが現れたのだ。
どうするか…、何だかわからないが、ハズレではなさそうだ。契約するとしよう。
フーケは彼を驚かせないようにそっと杖を当て、呪文を唱え、頬らしき所に唇を当てた。
使い魔の左肩が輝き、ルーンが現れた。契約完了だ。
ここでおかしな事が起きた。フーケの左手にまでルーンが現れたのだ。
「な、なんだいこりゃ!?」
慌てて擦ったり解除魔法を唱えたが消える気配が無い。それで今消すことは諦め、使い魔の方へ向き直って二つ尋ねた。
「あんた、名前は何ていうんだい?見た事無いタイプだけど、何て種族だい?」
「グァオオー」
「グァオオー」
と答えた。
(やっぱり言葉が通じるはずないか、オーガノイドで名前がシャドーだなんてわかるはず無い。)
フーケはため息をついた。
「あれ?今あたしシャドーって…?何だそりゃ?なんで…」
「グォアアー」
「グォアアー」
シャドーが鳴くとフーケの左手のルーンが輝いた。
「そうか、このルーンがあんたの言葉を伝えてるんだね。でもオーガノイドっていったい何なんだい?」
「グオオー」
「あんたにもわかんないのかい、変な奴だねぇ。そうそう、あたしゃ土くれのフーケってんだ。これからよろしくね」
「グァァー」
「グオオー」
「あんたにもわかんないのかい、変な奴だねぇ。そうそう、あたしゃ土くれのフーケってんだ。これからよろしくね」
「グァァー」
こうして、シャドーは土くれのフーケの相棒となった。
私、ルイズは今とても幸せだ。
原因はこの前行われたサモン・サーヴァントの儀式で彼女が召喚した使い魔だ。
綺麗な白い身体、私にどこまでもついてくる愛嬌、ちょっと間抜けな表情。どこをとっても可愛い!
原因はこの前行われたサモン・サーヴァントの儀式で彼女が召喚した使い魔だ。
綺麗な白い身体、私にどこまでもついてくる愛嬌、ちょっと間抜けな表情。どこをとっても可愛い!
「ほーらジーク!おいで~」
呼び寄せて頭を撫でてやる。
「キュアアー」鳴き声までかわゆすぎる。
と、ここで私とジークの愛を邪魔する邪魔者が現れた。
と、ここで私とジークの愛を邪魔する邪魔者が現れた。
「ほ~らジィ~クおいで~じゃないわよ!朝から晩まで一日中使い魔を眺めてるなんて異常よ!」
「五月蝿いわねツェルプトー!私がどうしようと私の勝手でしょうが!私とジークの愛を邪魔しないで!」
「五月蝿いわねツェルプトー!私がどうしようと私の勝手でしょうが!私とジークの愛を邪魔しないで!」
こう言うとキュルケは悲しそうに言った。
「初めて魔法が成功して嬉しいのはよくわかるわ、でも授業くらい出なさいよ。留年したらどうするの?」
「だっ、だって授業なんか出てジークが誰かにさらわれちゃったらどうするのよ!こんなに可愛いんだから!」
「だっ、だって授業なんか出てジークが誰かにさらわれちゃったらどうするのよ!こんなに可愛いんだから!」
ジークが奪われるなんて想像しただけで涙出て来た。
「誰も盗ろうとなんてしないわよ、こんな不気味な竜モドキなんて」
こいつ!私の愛しいジークに向かって不気味ですって!?竜モドキですって!?許さない!
「私の事はまだしもジークを馬鹿にする事だけは許さないわ!ツェルプトー!決闘よ!」
「はぁ、まぁそんな理由でも外に出てくれるならいいわ、あなた召喚してからずっと引きこもってるんだもの。じゃあ今夜でいいわね?私が勝ったらちゃんと授業出なさいよ」
「今夜ね、いいわ!私のジークを馬鹿にした報い!受けるがいい!」
「はぁ、まぁそんな理由でも外に出てくれるならいいわ、あなた召喚してからずっと引きこもってるんだもの。じゃあ今夜でいいわね?私が勝ったらちゃんと授業出なさいよ」
「今夜ね、いいわ!私のジークを馬鹿にした報い!受けるがいい!」
その夜、魔法学院
フーケは外から宝物庫を探っていたが手も足も出かった。何て厳重なんだ。
シャドーは少し離れて待機。ルーンのおかげで離れていても指示を出すことが出来るのだ。
突然誰かが近づいて来る気配。急いで物影に隠れた。≪以下()はフーケの思考≫
シャドーは少し離れて待機。ルーンのおかげで離れていても指示を出すことが出来るのだ。
突然誰かが近づいて来る気配。急いで物影に隠れた。≪以下()はフーケの思考≫
「さぁ!勝負よ!ツェルプトー!」(なんだガキか、焦って損した。少し様子を見るか)
「…あんた、ホントに勝てると思ってるの?」
「あんたなんかに誰が負けるもんですか!」(こっちのガキは五月蝿いね)
「キュアア!」(何?今の声?)
「ありがとう!ジーク!ツェルプトーなんかとっとと倒して今夜も一緒に寝ましょうねo(^-^)o」(キモい)
「ルイズ…その顔文字キモいからやめなさい」(同意)
「五月蝿い!いくわよ!ファイアーボール!」
「…あんた、ホントに勝てると思ってるの?」
「あんたなんかに誰が負けるもんですか!」(こっちのガキは五月蝿いね)
「キュアア!」(何?今の声?)
「ありがとう!ジーク!ツェルプトーなんかとっとと倒して今夜も一緒に寝ましょうねo(^-^)o」(キモい)
「ルイズ…その顔文字キモいからやめなさい」(同意)
「五月蝿い!いくわよ!ファイアーボール!」
「何も起こらないじゃない。やっぱりゼロのルイズね」
「そっ、そんなぁ~。今の私ならいけると思ったのに…」(やっぱりガキだね)
「そっ、そんなぁ~。今の私ならいけると思ったのに…」(やっぱりガキだね)
三人がそれぞれ息をついた次の瞬間。
ドォォォォーン!!!
「「え?」」(え?)
キュルケの背後の党が轟音と共に大爆発を起こし、党に穴が開いた。
「え?え…?何?ドッキリ?」
状況を飲み込めないルイズ。
眼を見開いて呆然とするフーケ。
いち早く自分を取り戻したキュルケがルイズの腕を掴む。
眼を見開いて呆然とするフーケ。
いち早く自分を取り戻したキュルケがルイズの腕を掴む。
「ほら!とっととずらかるわよ!ばれたら退学になるかも!」
「え!?う、うん!わかった!行くわよジーク!」
「キュア!」
「え!?う、うん!わかった!行くわよジーク!」
「キュア!」
(どうやら行ったようだね)
フーケは立ち上がると党を調べる。やっぱりだ!宝物庫に穴が空いている!
フーケは顔がにやけるのを抑えられなかった。
フーケは顔がにやけるのを抑えられなかった。
翌朝
フーケはトリスタニアのはずれにある森の山小屋にいた。
どうやらシャドーは優秀な使い魔のようだ。学院から逃走する時、自分を抱えてまるで黒いファイアーボールのようになって山の麓まで飛んでくれた。
どうやらシャドーは優秀な使い魔のようだ。学院から逃走する時、自分を抱えてまるで黒いファイアーボールのようになって山の麓まで飛んでくれた。
(なかなか役に立つね。こいつを殺すのはやめだ)
しかしフーケは気付いていない。シャドーに運ばれた後森に入るとき、地元の農民に見られていたことを。興奮していて気付かなかったのだ。
彼女は盗んできた宝『異界の書』に眼を通す。
彼女は盗んできた宝『異界の書』に眼を通す。
「なんだい!この字は!」
『異界』というだけあって全く読めない。
その時、左手のルーンが輝いた。読める。
その時、左手のルーンが輝いた。読める。
(本当に便利だね、このルーンは)
「それにしてもきったない本だねぇ、文字が読めてもこれじゃ読めないよ。んーと…なになに…………滅びの魔獣を甦らせてはならない。一晩で町は焼かれ、空を奪われ、希望は砕かれ、ついに我々ゾイド人は滅びた。
小鳥が歌い、人とゾイドが戯れ、日が暮れるまで笑いあったあの世界はもうない。滅びの魔獣を甦らせてはならない。
滅びの魔獣、その名はデ………ここから先は読めそうにないか、滅びの魔獣なんて物騒な名前だわ。それにゾイドってなに?」
「それにしてもきったない本だねぇ、文字が読めてもこれじゃ読めないよ。んーと…なになに…………滅びの魔獣を甦らせてはならない。一晩で町は焼かれ、空を奪われ、希望は砕かれ、ついに我々ゾイド人は滅びた。
小鳥が歌い、人とゾイドが戯れ、日が暮れるまで笑いあったあの世界はもうない。滅びの魔獣を甦らせてはならない。
滅びの魔獣、その名はデ………ここから先は読めそうにないか、滅びの魔獣なんて物騒な名前だわ。それにゾイドってなに?」
フーケは書を近くの棚に放った。
この物語のハルケギニアには世界各地にとても多くの遺跡がある。しかし、ほとんどが深い森の奥や地下、更には湖の底などにあるため、発見されている遺跡となると十指にも満たないかもしれない。それくらい見つける事は難しい。
そして、全ての遺跡には共通点がある。必ず最低一体、獣や幻獣の石像があるのだ。
因みにフーケは一つだけ発見している。とある深い森の奥の奥、光もささぬ闇の森、そこに1平方メートル程の地下への入口が隠されているのだ。
本当に偶然の発見で、それ以来彼女はそこをアジトとして使っている。今回も日が落ちたらそこに移ってほとぼりをさまそうと考えている。
そして、全ての遺跡には共通点がある。必ず最低一体、獣や幻獣の石像があるのだ。
因みにフーケは一つだけ発見している。とある深い森の奥の奥、光もささぬ闇の森、そこに1平方メートル程の地下への入口が隠されているのだ。
本当に偶然の発見で、それ以来彼女はそこをアジトとして使っている。今回も日が落ちたらそこに移ってほとぼりをさまそうと考えている。
第二話「獣王光臨」へ続く