あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

日替わり使い魔-04




フェオの月第三週 エオローの週第五曜日 ラーグの曜日


 今日もまた、リュカが『使い魔代理』を連れてきた。

 人間でもなければ、昨日のジュエルでもない。水色の、水滴のような形をした、ぷるぷる震える変な生き物。随分間の抜けた顔のそいつはスライムという種族で、名前を『スラりん』というらしい。
 昨日のジュエルもそうだけど、リュカの連れてくるのはこんな珍妙なものばかりなのかしら? 早くも不安になるけど、何も考えてなさそうなスラりんを見てると、なんかどーでもよくなってくるから不思議ね。
 「ピキー」とか鳴きながらぷるぷる震えてる様子を見てると、ついつい突っついてみたくなった。ちょいちょいっと指先でツンツンしてみると、そのたびにぷるぷる震える。なんか楽しいわね、これ。
 突っついてると、スラりんはだんだん嫌になってきたのか、「ピキー、ピキー」って抗議してきた。でもごめんね、止められないの。このプニプニした感触、病み付きになっちゃいそう。
 まあ、今日はあんたが私の使い魔なんだから、文句言わずにご主人様に従いなさいね。通じるとは思わないけど、とりあえずそう言ってみた。
 すると意外にも通じたのか、スラりんは途端に何も言わなくなった。……結構従順じゃない。見かけによらず、賢い子なのかしら?

 とにかく、私はそれからも突っつき続けた。


 ぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷに……


 …………気がついたら夜になってて、リュカが迎えに来てた。

 スラりんは助かったとばかりにリュカに飛びついた。気がついたら夜だったなんて怪奇現象、初めて体験したわ……一体何が起こったのかしら? もしかしてスラりんって、時間を操る能力でも持ってるのかしら?
 うん、そうだ。そうに違いない。この由緒正しき公爵家の三女ともあろう者が、時間を忘れてぷにぷにしてたなんて、そんなことあるはずないんだから。そーに決めた。今決めた。
 あとツェルプストーが、いつの間やらやってきてた。私の使い魔に勝手にひっつかないで欲しいわ。なーにが「ダーリン、私ジュエル譲ってほしーなー」よ。金銭欲丸出しじゃない。これだからゲルマニアの女は下品よね。
 リュカもリュカよ。なっさけない顔してるわねー。あんた妻子持ちでしょーが。もっとしっかりしなさいよね。
 私がそう言ってやったら、慌てて離れた。……結構流されやすい性格なのかしら、こいつ?

 で、リュカはスラりんを抱きかかえ、私とツェルプストーに別れの挨拶をした。
 ご主人様の私に挨拶するのはいいけど、ツェルプストーなんかに挨拶する必要はないわよ。私がそう思ってると、いきなりスラりんが「へくちっ!」ってクシャミした。

 ……と思ったら、目の前の景色がいきなり真っ赤に染まった。

 気が付けば、翌朝になってた。一体何がどーなったのかさっぱりわからない……あと、なんで私の髪が、いきなりアフロになってるんだろう? 一体誰のしわざ? 誰が直すのよ、この頭。
 とゆーわけで、この日記は翌朝に書いていたのでした。まる。





フェオの月第三週 エオローの週第六曜日 イングの曜日


 今朝日記を書いてたら、今日もまたリュカがやってきた。
 リュカは今日も代理を立ててきた。連れてきたのは小さなドラゴン。大きさは大型犬ぐらいかしら? タバサが子供の風竜を召喚してたけど、あれにしたって人間より大きい。ってことは、赤ちゃんなのかな? 名前はコドランだって。
 欲を言えば、もっと大きいのが良かったけど……うん、これはこれで、可愛いから許す。そーよこれよ。こーゆーのが欲しかったのよ。やればできるじゃないの。
 でも、リュカの様子がなんかおかしかった。どことなく、私に遠慮してるよーな、申し訳なさそうにしてるよーな……自分が使い魔としての仕事をまっとう出来ないのを、そんなに負い目に感じてるのかしら? だったらちゃんと使い魔やりなさいよね。
 そしたらリュカってば、私の髪を一生懸命直してくれた。意外に気が利くわね? ほんと、この私の髪をアフロにするなんてイタズラ、誰がやったのかしら? ヴァリエール家の三女にこんなことするなんて、いい度胸よね。

 かなり時間かかっちゃったけど、一通りの身支度を済ませて部屋を出たら、ツェルプストーの部屋の扉が開きっぱなしになってた。
 無用心よね。何かあったのかしら? そんな疑問を持って覗いてみたら、ツェルプストーが一生懸命髪を直していた。
 ……私と同じアフロだったんで、指差して笑ってやった。リュカがまた変な顔してたけど、気分が良かったんであまり気にならなかった。
 扉が閉まってなかったのも、自分の頭の惨状に気を取られてて、ついつい戸締りを忘れてたとか? あ、だめ、思い出したらまた笑いが……ペンが震えるからちょっと休憩。

 とりあえず、笑いが収まったんで再開。
 その後ツェルプストーと掴み合いの喧嘩してたら、タバサがツェルプストーを迎えに来た。授業時間が迫っていたのを思い出し、急いで教室に。
 また違う使い魔を連れて来たってはやし立てる奴もいたけど、それがドラゴンだったかしら。羨望の眼差しも混じってたわ。ふふん。こーゆー視線が欲しかったのよ、私は。
 その日の授業は、特に何事もなく終了。
 その頃にはコドランは、ツェルプストーのところのサラマンダーと、タバサのところの風竜と仲良くなってた。同じ竜種だからかしら? 特にタバサの風竜……シルフィードっていうらしいけど、お姉さん風を吹かせてしきりにコドランを構っていたわ。
 タバサの風竜はいいとしても、ツェルプストーの使い魔なんかと仲良くしないでよね……と思ったけど、無邪気にはしゃいでいるコドランを見てると、どーでも良くなってくる。ま、今日ぐらいはいいか。
 放課後は、そうやってじゃれ合っている三匹を、ツェルプストーとタバサと三人でぼーっと眺めていた。よく飽きずに遊び続けてられるわねって思ったけど、今思えば、それをずっと見てた私たちも同じよね。ああ、平和ってこーゆーことなのかしら……

 夜はやっぱりリュカが迎えに来た。
 リュカが来たら、コドランが嬉しそうに飛びついた。昨日のスラりんもそうだったけど、よく懐かれてるわね。
 コドランがクルクルと喉を鳴らしているのを聞いて、リュカは何度も相槌を打っていた。なんでも、コドランが「友達ができた」ってはしゃいでるとか。言葉、わかるのかしら? どうやらコドランがここを気に入ったみたいだから、明日も連れて来るってさ。ラッキー♪
 でも、今思ったけど……ジュエル、スラりん、コドラン……あの子たちとリュカの関係って、なんだろ? 明日にでも聞いてみようかしら。
 そうそう。明日はコドランと一緒に、あの子の兄貴分も連れて来るって。それもドラゴンなのかしら? 楽しみだわ。





フェオの月第三週 エオローの週第七曜日 オセルの曜日


 今朝は、リュカの訪問と共に目が覚めた。

 リュカと一緒にいるのは、昨日と同じコドラン。新しい友達が気になるのか、部屋に入らずにツェルプストーの部屋の方ばっか見てた。……ま、しょうがないわよね。
 私は寝ぼけた頭で昨日のことを思い出した。確か、コドランの兄貴分を連れて来るとか何とか……それをリュカに尋ねたら、窓の外を指差された。言われるままにそっちを見てみたら……驚いたわ。窓の外に、黄金の鱗を持つ巨竜がいたの。
 リュカはグレイトドラゴンのシーザーって言ってたけど、そりゃもう立派なんてもんじゃなかったわ。これほど見事な巨竜は、ハルケギニア中探してもいないんじゃないかしら? 火竜よりも大きいわよ、これ。
 ここまで立派すぎると、喜ぶより先に不安になるわ。こんなのを私が従えていいのかって。
 もちろん、学院は蜂を突っついたような大騒ぎ。教師がわらわらやってきて、見たこともない巨竜に杖を向けてた。リュカが自分の友人だって紹介したら杖を収めてたけど……あれ絶対、不審がられてるわね。ってゆーか友人? 使い魔じゃなくて?
 昨日の疑問と一緒に聞いてみると、なんともあっさりとした様子で、「コドランもシーザーも、みんな僕のかけがえのない仲間たちだよ」って答えが返ってきた。使い魔の契約とか、そういうのはまったくやってないらしい。
 契約もなしに、あんなドラゴンと友好関係を築けるって……ほんとに何者なのかしら? リュカが暇な時にでも、じっくり聞いてみようかしら? 今のところ、代理の送り迎えに来るだけで、あまり話す時間ないんだけど。

 リュカが帰った後、コドランを連れて教室に行ってみたら、シーザーのことで質問攻めにされた。
 私も見たまんまのこと以上は、リュカの『友人』ってことしか知らないから、ほとんど答えられなかったけど……それは結局、リュカの方に興味の矛先を変えさせただけだった。とは言っても、こっちの方もそんなに多くは答えられないんだけどね。
 グランバニアという、ハルケギニアじゃない場所にある国からやってきた、謎の青年。身なりはみすぼらしく、貴族っぽい妻がいて、多くの珍しい幻獣を友とする……うん、自分で書いてて何がなんだかわからないわ。確かにみんなの疑問ももっともね。
 窓の外を見てみると、シーザーがシルフィードにじゃれつかれてた。きゅいきゅいきゅいきゅい話しかけるシルフィードに、なんとなく戸惑ってるような感じに見えた。ドラゴン同士、一体何を話してるんだか。

 放課後、シーザーとシルフィードは、並んで学院の上空を旋回していた。随分仲良くなったものね。コドランも、小さい翼を一生懸命羽ばたかせて後を追ってたけど……何回周回遅れにされたのかしら。最後にはシーザーの背中に乗っけられてたけど。
 ああやってコドランを背中に乗っけてる姿を見ると、確かにシーザーはコドランの兄貴分なんだと思える。いえ、むしろ親子ね、あれは。……あんなコドランでも、大きくなったらシーザーみたいになるのかしら?





フェオの月第三週 エオローの週第八曜日 ダエグの曜日


 リュカが今日連れて来たのは…… 一言で言えば、変な騎士だった。
 ラーグの曜日に連れて来たスライム……の色違いにまたがった、小さい騎士。子供かと思ったけど、どうやらそうでもないらしくて、こういう体の亜人だって話だ。スライムナイトって種族で、名前はピエール。今までのとは違って、言葉が話せるみたい。
 ちょうどいいから、昼休みとかの時間を使って、リュカのことを聞いてみた。
 それでわかったのは、リュカはエルヘブンとかいう一族の血を引いていて、スラりんやコドランみたいなのと心を通わせる力は、その血筋によるものだってこと。
 世の中変わった一族もいたものね。まあその血筋のおかげで、こうやって色々な幻獣……と呼んでいいのかわかんないのも多いけど、とにかく珍しい生き物と多く接する機会に恵まれたんだから、悪くはないわよね。
 ついでだから、フローラさんのことも聞いてみた。リュカと彼女が結婚した時、ピエールは既にリュカの仲間だったらしくて、結構細かいところまで教えてもらえたわ。リュカって、結婚するために無茶な冒険やったみたいね……火山の洞窟に入るなんて、大したものだわ。
 そんな話をしてたら、急に婚約者のワルド様のこと思い出しちゃった。
 あの人もやっぱり、私と結婚するためなら、危険にも飛び込んでくれるのかしら? うーん、でも昔の話だし、親同士が決めた婚約者だし……よくわかんない。ワルド様、今どうしてるんだろう? 私のことなんか、もう忘れてるかしら?

 そんな感じで、なんとなく授業時間を過ごしていたら、放課後になった。アウストリの広場に出て、ピエール自身は何が出来るのかって聞いたら、案の定「剣」って答えが返ってきた。
 どれぐらいの腕前なのか聞いてみたら、答える代わりに広場にある木に体当たりした。何のつもりか聞こうとしたら、いきなり剣を振って、落ちてきた葉っぱを一枚残らず全て真っ二つにした。
 ……ものすごい早業。これぐらいの腕前があれば、メイジキラーって呼ばれる存在にだってなり得るわ。しかも聞けば、魔法の方も多少だけど出来るって。
 で、どんな魔法が出来るのか実践してみてって言ってみたら、見せてもらったのは『イオラ』とかいう空間爆砕――要するに爆発魔法。何よそれ。私に対する嫌味? ……ちょっと鬱になった。

 …………その威力を見て、「爆発もいいかもしんない」なんて一瞬でも思った自分が悔しい。どちくしょう。





 それから更に一週間、リュカはルイズのために毎日違う『代理』を立ててきた。

 コドランのようにルイズが気に入る者もいれば、ピエールのようにルイズを微妙な気分にさせる者もいた。ゴーストのドロンを連れて来た時なんかは、タバサが丸一日真っ白になっていたものである。
 ちなみに腐った死体のスミスを連れて来た時、一回気絶した後に「チェンジ」と言い渡されたのは、当然と言えば当然のことであった。さすがにそれはリュカが悪い。

 やがてルイズのクラスでは、ルイズが毎日違う使い魔を連れて来ることに、みんな慣れてきた。最近では、『明日のルイズの使い魔』というタイトルでトトカルチョが開かれるぐらいである。
 なお、主催はキュルケ、協賛――というか単なる付き合いでタバサ、そして後援でオールド・オスマン、ついでにツッコミがミス・ロングビルという完璧な布陣のトトカルチョである。このトトカルチョは、後にオスマンのドタマにルイズの怒りの失敗魔法が炸裂するまで続いた。

 そして、リュカが召喚されてから、もうすぐ二週間を数えようとしている頃――虚無の曜日を翌日に控えた、ダエグの曜日。例によって『代理』を迎えに来たリュカは、翌日が休日と聞くなり、ルイズにとある提案をしてきた。

「ふぅん。子供……ねぇ」

「そ。こっちに来たがっててね。明日は休日なんだよね? 僕も一日付き合うからさ」

 そう言うリュカは、どうやらこの国を子供に見せたいらしい――と言うよりはこの様子からして、子供にせがまれたと言った方が正しいか。まあルイズとしても他に予定もないし、別に構わないとは思うのだが。
 むしろ、いつもは『代理』の送り迎えをするだけのリュカが、珍しく一日付き合うと言うのだ。それならば、ルイズとしても願ったり叶ったりである。子供が一緒というのは気にはなるだろうが、それほど問題でもあるまい。

「まあ、いいけど……そうね。それだったらトリスタニアでも行こうかしら?」

「トリスタニア?」

「この国の首都よ」

 そこならば、観光としてはうってつけだろう。事実リュカも、その提案に満面の笑みで頷いた。
 というわけで、明日はリュカとその子供を連れて、トリスタニアに出発である。





 それから少しだけ時間が経った頃――ハルケギニアを後にしたリュカの姿は、魔界にあった。

 毒の沼地に隠れている入り口から、地下へと潜る。中に広がる洞窟は広大であったが、彼が向かうのはその最奥部ではなく、入り口にほど近い一つのフロアだった。
 そのフロアにある、一つの大きな扉。リュカは迷うことなくその扉を開き、中へと入って行った。

 扉をくぐった先――そこにあるのは、広大なすごろく場。

「えーと……」

 世界最大規模のそのすごろく場を、リュカはぐるりと見渡す。すると、一番最初に目に入ったのは、コースの上に立っている二本の剣を持った巨体――



 ――ただ今絶賛プレイ中のエスタークであった。



 このすごろく場は、本人いわく、『ひそかな楽しみ』であるとのこと。
 とはいえ、あの巨体がすごろくをする姿は、いつ見てもシュールである。リュカは苦笑しつつ、彼に声をかけた。

「エスターク」

「グゴゴゴゴ……リュカか……久しいな。手合わせならば後にしろ……」

「いや、今日はそうじゃないんだ。うちの子供たちが来てるはずだけど」

「それならば、スタート地点にいるぞ……」

 相変わらず、半分寝てるようなゆったりとした口調。リュカは言われた通り、スタート地点に視線を向けた。そこでは彼の子供たちが、こちらに向けて手を振っている。

「お父さーん!」

「こっちこっちー!」

 そんな二人の手には、それぞれすごろく券が握られている。どうやら順番待ちらしい。
 普段多忙なリュカと違い、彼らは暇を見ては頻繁にここを訪れていた。エスターク同様、子供達にとってもここは『ひそかな楽しみ』であるのだ。

「……タークはいないの?」

 子供達に応えるより先に、リュカは小首を傾げてエスタークに尋ねた。
 それは、エスタークの息子を自称する魔物の子供。子供達を迎えにここに来る時、いつもならば一緒にいたはずの彼の姿が、今日に限って見えない。

「タークはしばらく前に修行の旅に出て以来、音沙汰がない。だが奴のことだ。心配はいるまい……」

「ふぅん」

 記憶のないエスタークにとって、彼が本当に自分の息子かどうかなどわからない。だが彼の実力は本物であり、それはエスターク自身も認めている。そんな彼の強さを思い出し、リュカはエスタークの言葉に納得した。
 リュカはそこでエスタークとの会話を切り上げ、子供達の近くまで歩いて行く。ちなみに子供達の名前は、息子がレックス、娘がタバサだ。
 そういえば、向こうには娘と同じ名前の学生がいたな――とリュカは思い出していた。何の因果か、髪の色も似ている。そんなことを思っているうち、リュカの足はすぐに子供達のところに辿り着いた。

「お父さん、どーしたの?」

「それはこっちの台詞だよ。今何時だと思ってるんだい? ここは昼も夜もない魔界……というかそれ以前に地下だから、わかんないのも仕方ないけど」

「え? 嘘! そんなに時間経ってるの!?」

「道理で眠いと思った……ふわぁ」

 その言葉にレックスは驚き、タバサはあくびをして目をごしごしとこすった。どうやら、時間を忘れて遊んでいたらしい。そんな二人の反応に、リュカは苦笑を漏らした。

「ほら、遊びの時間はもう終わり。グランバニアに帰るよ。明日はトリステインに連れてってあげるから」

 リュカがそう言って帰宅を促すが、二人はその内容に「え?」と目を丸くして驚いた。
 そんな二人の反応に、リュカはイタズラが成功した子供のような笑みをその顔に浮かべ、二人の頭にポンと手を乗っける。

「トリステインだよ、トリステイン。前々から行きたがってただろ? 向こうじゃ明日は休日らしいから、ルイズが首都に連れてってくれるってさ」

「ほ、ほんと!?」

「もちろん。だから、明日は寝坊しないように、早く寝ないとな?」

「「うん!」」

 リュカの言葉に、二人は満面の笑みで頷いた。
 そして二人の手を引き、グランバニアへと帰ろうとし――その時。



「落とし穴……!? グゴゴゴゴゴ……」



 階下に落っこちるエスタークが、視界の端に見えた。

(……いつも思うんだけど、なんであの巨体であんなに小さな穴に落ちられるんだろう……?)

 きっとその答えを知る者は、誰もいない。




新着情報

取得中です。