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異聞零魔郷 ~ Servant of Interstice-4



錯乱したルイズを何とか落ち着かせたオスマン氏は、
未だ光と音のバーゲンセールが続く場所を向きながらルイズから事情を聞いた。
曰く、召喚したのが世にも恐ろしい化物であった。
曰く、後ろに裂け目が現れてその中の目と目が合った。
曰く、夢の中で恐ろしい歌を聞いた。

─ううむ、全く分からんのぅ。

結局ルイズの証言では、相手の正体に関して何も得る事が無かった。
分かった事といえば、単にルイズは化物に驚いて気絶しただけという事。
そして現在行われている戦闘は、目撃した生徒達の証言から推測するに、
コルベールは倒れたルイズを見て早合点したのだろうという事だけだった。

─化物の方に敵意があったのかどうかはともかく、あれは早く収めんといかんなぁ……

戦闘を収束させる方法を探すため、暫し黙考するオスマン氏。
ルイズの方といえばオスマン氏と戦場を交互に見やり、挙動不審にしていた。
直接戦闘に加わるべきではない。正面をきって戦っても、負けるとは思わないが勝てるとも限らない。
彼は戦場からそれ程のプレッシャーを感じていた。

「そう言えば、ミス・ヴァリエール。既に使い魔との契約は終えたのかね」
「えっ、あの、ま、まだですオールド・オスマン!」
「ふむ……」

自分が召喚した怪物が仕出かした事態。
一体どんな叱責を受けるのかと戦々恐々としていたルイズは、裏返った声でそう答えた。
彼にはそのような気は全く無いので、その心配は杞憂であるのだがルイズには知る由も無い。
オスマン氏は考えを纏めると、生徒達に向けて声を上げた。

「ミス・ヴァリエールとミス・タバサ以外は、学院に戻って寮内待機を命ずる。
 以上、解散。……さて、二人はわしと一緒に手伝ってもらう」
「はっははははいっ!」
「……」
「ま、ミス・タバサにはスマンがあの使い魔を利用させてもらいたい。
 ミス・ヴァリエール、君は自分の責任を果たしてもらうぞ」

オスマン氏の言葉に無表情で肯くタバサと、青い顔で激しく首を縦に振るルイズであった。

コルベールは既に死に体となりかかっていた。
打ち破ったと言うより、ただ只管に耐え切って紫に使わせたスペルカードは既に六枚。
先程は余裕のあった精神力も既に心許なくなり、体は何故動いているのか理解出来ないほど疲弊している。
時計を持っていないため正確には計れないが、大体一枚のカードの効果時間は70~90秒前後。
もうすぐ七枚目も終わりそうだが、その時は自分も終わっているだろうなとコルベールは感じていた。

─こんな事になる前に、ミス・ロングビルをちゃんと口説いておけば良かった……
生命の危機にこの様な考えが浮かぶ当たり、割とまだ大丈夫のようである。
いよいよ次のカードまであと僅かというその時に、コルベールの頭に待ち望んだ声が響いた。
『聞こえておるかね、ミスタ・コルベール。まだ生きとるか』

オスマン氏は戦場から約500メイル離れた場所より、コルベールに向かって念話を飛ばしていた。
『今からわしがその化物の動きを止める。簡単にはやらせてくれんじゃろうから
 隙を見つけたらわしに教えてくれんか』
『は、はぁ。それは良いのですが、動きを止めた後はどうなさるおつもりで?』
『ミス・ヴァリエールがコントラクト・サーヴァントを行う。契約のルーンの効果は知っとるじゃろ』
『……承知しました。では──』

コントラクト・サーヴァントの際に刻まれるルーンに、とある効果がある事は知っていた。
召喚される幻獣には当然人間にとって危険な種もいる。
それらを大人しくさせるため、さらに使い魔を手足のように使えるように、ルーンによって主人への忠誠を刷り込むのだ。
正直言ってコルベールはルーンの効果がこの八雲紫に通用するのか疑問であった。
しかし現状これ以上の策は無いのだろう。オスマン氏が決めた事だ間違いはあるまい。多分。
自分で考える事を既に放棄しかけているコルベールは
八雲紫が『スペルカード宣言』する時に、一瞬動きが止まる旨をオスマン氏に伝えた。


所変わってこちらはタバサの使い魔、シルフィードの背中。
乗っているのは主のタバサとルイズ。オスマン氏の命により待機中である。
飛んでいる場所は戦場の直上、約50メイルであった。
オスマン氏が厳重に『消音』をかけたため、まだ八雲紫に感づかれてはいない。
『ふむ、分かった。次の宣言はいつじゃ?』
『後20秒ほどと思われます』
『もっと早く言わんか、馬鹿たれ! 聞こえたか二人とも。準備は良いな』
「は、はい!」
「不備無し」

「ほ、本当にやるの?」
「……」
土壇場でビビっているルイズに胡乱げな視線を送ったタバサは、抑揚の無い声で答える。
「上手くやる。貴方も上手くやって」
漸く覚悟を決めたのか、ルイズはコントラクト・サーヴァントの呪文を唱え始めた。

コルベールの動きが変わった。
『彼女ら』のように特殊すぎる力を持たない人間の割に、よく頑張った方だと思ったが
ついに覚悟を決めたのだろうかと思い、紫は再び声をかけた。

「もう終わりかしら? 蛇さん。このままでは私が勝ってしまいますけれど」
「気にしないでくれたまえっ。まだまだ諦めてはいないよ」
「あら、そう。それにしても貴方、全て時間いっぱいまで避けるとは思わなかったわ。
 流石の私も驚きよ? 点数は低いけれど」
「また訳の分からない事を……」

必死に弾を避け続けるコルベールを、紫が支離滅裂な言葉で精神を疲労させる。
その間も時間は過ぎていき、とうとう、七枚目のカードの効果が切れた。
ここからだ、とコルベールは気合を入れ直した。

「はい終わり。地面を走りながらここまで耐えられる人は中々おりませんわよ?」
「それは……っ光栄な事だねっ」
「ふふふ、貴方がどこまでいけるのかちょっと楽しみになってきたわ。
 さて、次は……藍がいないからこれね」
紫が袖に手を入れたその瞬間を逃さず、コルベールは念話を飛ばす。

『今です! オールド・オスマン!』
「応よ!」
オスマン氏は連絡を受けて直ちに杖を振りかぶり、詠唱を開始する。
土+土+火+水のスクウェアスペル!
「わしの必殺技! パート──何じゃったかの?ええい、発動!」

「いきますわ。『人間と妖怪の境か──ってあら?」

宣言途中の紫の下から突如、大量の『触手』が現れ、紫を絡め取る。
一本の触手は首を絞め、また一本の触手はスペルカードをもぎ取った。
全身雁字搦めにされた八雲紫であるが、その様はまさに──
「……破廉恥ですぞ、オールド・オスマン」
卑猥であった。


上空50メイル、既に呪文を唱え終えたルイズ達は機会を待っていた。
そしてコルベールの声と、オスマンの気合が響き渡る。今がその時だ!
意を決したルイズは即座にシルフィードから飛び降り、目を見開いて紫を視界に入れる。
タバサは風のスペルを使い、ルイズの落下軌道を細かく修正していく。
あわや紫とルイズが激突する寸前、絶妙のタイミングでルイズに向かって『レビテーション』かけた。
そして重なる唇と唇。ここに契約は交わされた。

「(美少女+触手)×美少女……計画通り」

邪悪な顔つきをしつつも鼻の下を伸ばすという、器用な真似をしながらオスマン氏は満足げに頷いた。



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