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ゼロの黒魔道士-26


「光り輝く使い魔、か」
「まさに『神の盾』と呼ぶにふさわしい」
「その力を失うのは惜しいな」
「今も、俺に仕える気はないのだな?」
「主共々生かしてくれてもいいが」
5人のワルドが、嫌悪感しかもたらさないセリフを次々と続ける。
周りを取り囲まれて、間合いをゆっくりと取りながら聞こえるそれは、
嫌悪感と合わさってさらにゆらゆらと揺れて聞こえた。
「誰が、お前になんか!」
デルフをまっすぐ構えて気持ち悪くなるのをごまかした。

「(おい、相棒、大丈夫か?ちーっと足がやべぇんじゃね?)」
デルフが小声で話しかける。
ありがたいことに、『ガンダールヴ』の力か、
両手の怪我は気にならない程度になっている。
でも、左足は……深く傷つけられて、思うように動かない。
正直に言えば、絶好調とは言えない状況だ。


でも……

「ボクは……守るんだ!」
そう、ボクは……


―ゼロの黒魔道士―
~第二十六幕~ この刃に懸けて


ルイズおねえちゃんを守るんだ。
視線の端っこに、ルイズおねえちゃんがへたりこんでいるのが見える。
ボクがこの場所にいる限り、ルイズおねえちゃんが巻き込まれることは無いだろう。
……確かに、一歩も動けそうには無いんだけど……
「ひとつ、若いお前に忠告しよう」
「戦闘において」
「余所見は厳禁だっ!!」
「っ!?」
キィィンンッ
背後から2人のワルドが、杖で襲いかかってきた。
デルフを逆手に持って後ろに払い、これをなんとか押しとどめる。
でも、これで左手がふさがれた状態になってしまう。

「そしてもう1つ」
「戦闘の基本は戦力の封殺に他ならない」」
「お別れだ!」
「「『エア・カッター』!!」」
正面から2つ分の風の刃が飛んでくる。
魔力を吸収するデルフを封じた上での、魔法の雨。
間違いなく、このワルド達は今までのボクを見て戦略を練っている。
そのままだったら勝ち目は無い。

でも、だからこそ、

「地の砂に眠りし火の力目覚め
         緑なめる赤き舌となれ! ファイラ!」

付け入る隙は、あるんだ!


中級クラスの火炎弾で風の刃もろとも、目前のワルド2人を退かせる。
「なん――だと?」
「あの手合わせでは本気では無かったということか?」
やっぱりだ、ワルドが考えていたのは、
あの手合わせで使った『ファイア』や『サンダー』が最高火力ってことだろう。
怪我の功名ってことなんだろう。
あのときに最低クラスの魔法を使ってて良かったと思う。
(あのときは、もっと長期戦になると思ったから温存してただけなんだけど)


誤算が1つ。それは新たな油断を生む。
「よいしょっ!」
ドテッとワザとその場に前のめりにコケる。
「なっ!?」
「くっ!」
それで後ろでデルフを押さえつけていたワルド2人がバランスを崩す。
油断、それはボクの機動力を削いだとワルド達が思っていること。
だからこそ、デルフを封じれば物量で押し通せると思ったんだと思う。
だけど、残念ながらボクは「トロくさくてよくコケる」。
そう、足りなければ足せばいい。
機動力が無いなら、それを逆手に取れば戒めから逃れられる。
全部の力は、守る力に変えられる。
ワルドは……それに気づいていないんだ。

「肉体の棺に宿りし病める魂を
         永劫の闇へ還したまえ… ブレイク!」
コケた勢いで回転しながら、右後ろのワルドに石化の魔法を詠唱する。
トランスしているおかげで、口が素早く動くし、魔力の流れも素早く整う。
だから、もう1人のワルドにもデルフで同時に攻撃することができる。
ザンッ
「ぐぁっ!?」
「か、体が固まって――!?――」
胸の辺りをデルフで突かれたワルドは煙みたい消えてしまった。
……分身のワルドは幻、なのかな?
でも『ブレイク』をかけた方はしっかり石になってるなぁ……

「やるな、使い魔風情が!」
「だがまだ物量ではこちらに利がある!」
「3方向から行くぞ!」
「「「『カッター・トルネード』!!!」」」
石になったり消えたりしたワルドに気を取られている隙に、
素早い詠唱で魔法を唱えられてしまった。
「相棒構えろっ!!!」
「うんっ!」
さっきよりも強い風が渦を巻いて襲ってくる。
「ぐぅぅぅっ!!」
服に、帽子に、怪我をした左足に、
デルフで凌ぎ切れなかった風がビシビシ当たっていく。
「ぐっはっ!こりゃ腹一杯だわ!腹ぁねぇけど――相棒、大丈夫か?」
「な、なんとか……」
やっぱり、回避行動が取れないのが痛い。
ワルドのニヤニヤ顔が3つ重なる。
こちらの機動力はもうバレてしまったみたいだ。
このまま物量でジワジワと押しつぶすつもりだろう。

「相棒よぉ、近づけりゃなんとかなりそうなんだけどなぁ?さっきからすげぇ力で光ってやがっし――
 あれ?なんかこの力、おれっち何かを思い出しそう?ありゃ確か――」
デルフが何かブツブツ呟いている。
確かに、この距離が問題だ。
ワルドが作る三角形の真中にボクがいる形。
全体魔法をかけようにも、ワルド同士の距離が離れている。
今なら同時に2つぐらいの魔法を放つことはできなくはない。
けれども、2人を相手している間にもう1人の風を防ぐのは至難の業だ。
今は防御に徹したとして、『トランス』の輝きはいつまでも持たない。
輝きが消えたら、なんとか立ててる左足がどうなってしまうか……
なんとか、なんとか距離をつめたい。

「――思い出すっつーからにゃ、昔の話だよなぁ?えーと、相棒と出会う前の武器屋の客ぁ――」
デルフと出会う前、ふとその言葉に引っかかる。
デルフと出会う前……ギーシュとの決闘騒ぎがあった日……
あのときも、やっぱりボロボロになって……
『ブレイク』で石化したギーシュの鎧人形を……
「……そっか!」
「――結局あのメガネの金髪貧乳姉ちゃんはおれっちのことバカにして買わなくて――あん?相棒、どうした?」

「年貢の納め時だ、ガンダールヴよ」
「最期に聞こうか?俺の盾になる気は?」
「その力、悪くは無い」
ワルドが再び杖を構える。
余裕の態度でボクをなぶりものにするつもりみたいだ。
今は、その油断しているところがありがたい。
「……ルイズおねえちゃんを、泣かせるようなヤツに、従うつもりは無い!」
左足を少し引きずって、石化したワルドの陰に隠れる。
おそらく、正面のワルドから見れば盾にするつもりと思われるだろう。

「惜しい、実に惜しい」
「まぁいい。所詮思い通りにならぬ力だ」
「剣だけは後で使ってやろう」
「――ケッ!髭っ面の老け顔腹黒オヤジに使われるぐれぇなら、自分で錆びまみれになって朽ちてやるぁ!!――ってあぁ!?」
ワルドが杖を構える。
次の一瞬は賭けになる。
ガンダールヴの力と、『トランス』の輝き、ギーシュとの特訓で鍛えた戦略眼、
それと、ルイズおねえちゃんを守りたいっていう気持ち、
足りない速さは、全部で足すんだ!

「「「死ね」」」
「行くよデルフっ!」
「相棒!お、思いだしたぁ!!おれっちってばこんな重要なことをなんだって――」
ワルドの杖が光る。……風の魔法じゃない!!

「「「『ライトニング・クラウド』!!」」」

閃光が、石化したワルドを襲う。
ボロボロと崩れるワルド像。
だけど、そこにはボクはもういない。

「消えた!?」
「上だ!」
「『フライ』か!?」
石化したワルドをつかんで、腕の力だけで跳ぶ。
ボクの体は小さくて軽い。
ギーシュとの特訓でも、運悪く殴られたときは、安々と吹っ飛んでしまったこともある。
だから、ボクの腕の力だけでも体を空へ投げ出すことはできる。
「やるな」
「だがそれはミステイク」
「『フライ』で飛んだとていい的だ!」
もちろん、これで狙われるのは分かり切っている。
その動きや速さは予想されてしまうだろう。
だけど……きっと、これは読めないはず!
「飽食なる星よ、魔空より来りて
         光も闇も平らげよ! グラビデ!」
『グラビデ』、本来は相手を重力の力で包み込んで押しつぶす魔法。
これを、ボクと2体のワルドの“間”、何もない空間に放つ。
元々のアイディアは、ダガーおねえちゃんの召喚獣の『アトモス』の技なんだ。
重力によって、吸い寄せられて、引きつけられて速度が上がるボク。
「な、なんだこれは!?」
「吸引の風魔法か!?」
それと黒球に引き寄せられてバランスを崩す2体のワルド。
「相棒っ!相棒っ!俺様、思いだしたんだ!おれっち実は――」
「時を知る精霊よ、因果司る神の手から
         我を隠したまえ… ストップ!」
         「命に飢えた死神達よ、汝らに
                  その者の身を委ねん… デス!」
2つの魔法を重ねるように詠唱しながら、何かを喚くデルフを構える。
後はワルドがボクに忠告した「速さ」の勝負だった。
2体のワルドが体勢整える前に、残る1体がボクの動きに対応する前に、
重力球に引き付けられた2体を倒す。
「ぐぁっ!?」
1体は頭にデルフを突き立てた瞬間にうめき声を上げて、
「――」
もう1体は自分が止まったことにも気づく前に、
2体共、霞のように消え去ってしまった。

「……残ったのが、本物のワルドだね」
やっぱり、本体は一番攻撃してこなかったワルドだった。
こういうのなんて言うんだっけ?「お約束」、かなぁ?
「――おいおい相棒ぉ~!?ちょい修羅場ってやがっけどおれっちの話聞けよ~!」
デルフを構えて、残ったワルドに向ける。
着地のときに少し左足が痛んだけど、まだ耐えれる範囲だ。

「こんな――小僧ごときにっ!」
ワルドの顔が醜く歪む。
こんな男がルイズおねえちゃんの婚約者だったなんて信じたくなかった。
「……大人しく、帰ってくれるなら、何もしない」
「おい相棒ぉっ!?」
でも、それでも、ルイズおねえちゃんの婚約者だった人だ。
できることなら、殺したりはしたくなかったんだ。

「情けをかける気か?――使い魔ごときが、貴様まで俺を愚弄するというのかっ!!!」
ワルドが、獰猛な獣のように怒りをむき出しにして吼える。
それが何か……悲しかった。
「でも……もう、分身は出せないんでしょ?出せるなら、最初に2体消したときに出したはずだし……」
きっと、魔力をものすごく使う魔法なんだと思う。
……便利すぎるもんね、自分を増やせるなんて。
「かー!相棒はなんでもお見通しってぇことか!やるじゃねぇの!あ、でもついでだからおれっちの話聞いて?ね?実はおれっち――」

「うるさい!!黙れっ!俺の力は、俺の力はこんなものではないっ!!まだ、勝負はついていないっ!!」
ワルドが突然駆け出した。それは獲物を見つけた狼のような動き。
そしてその狙いは、デルフを持ったボクじゃなかった。
「!!しまった!!!」
ルイズおねえちゃんを、狙われた!
こちらも駆け出そうとするけど、足が思うように動いてくれない。
左足がズキリと痛む。
「くっ!!」
ワルドの方が距離はあったのに、はるかに速い。
「最後の忠告だ!勝負は最後の瞬間まで分からん!!」
ワルドがルイズおねえちゃんに届く目前の所で勝ち誇った笑みを浮かべるのが分かった。
届かない、あと1歩。

「相棒ぉぉぉ!!」
「ビビぃぃっ!!」
2人の声が、届かない1歩を埋める考えを呼び起こしたんだと思う。
「……砕けよ岩よ、天より堕ちて」
普段よりも2倍近く速い詠唱が、ボクの口からこぼれ落ちた。
「愚か者達への鉄槌となせ! コメット!」
礼拝堂のステンドグラスを突き破り、愚か者への鉄鎚が、『コメット』が降ってくる。
「なっ!?」
痛む左足をただ前に、
キラキラと降り注ぐガラスの破片をかいくぐって、
ルイズおねえちゃんに辿り着く。
『コメット』は1人を対象にした魔法だから、被害は及びにくいはずだけど、
それでも降ってくる破片はデルフで全部なぎ払った。
そして……
「なんのこれしきっ!!」
迫りくる『コメット』をなんなく避けようとするワルド。
ワルドはその場を跳んで避けようとしているのが分かる。
全てが、『ガンダールヴ』のお陰か、『スロウ』をかけたようにゆっくり見える。
「……滅びゆく肉体に暗黒神の名を刻め
         始源の炎甦らん! フレア!」
デルフに、『フレア』をかけて、自分の持てる全ての力を、一点に集中する。
デルフにオレンジ色の光が集まって……あれ?なんかフレア以外の光がする?
「はっはっはぁ~!!俺様Wシャイニング~!!!これで相棒ともお揃いだなっ!!」
「えぇっ!?デルフどうしたの!?」
ワルドにもう突きかかる姿勢だった。
「これが俺様の真の姿よぉっ!!」
デルフが光り輝く大きな剣に生まれ変わっていた。
……デルフも、トランスするのかなぁ?
「いけいけぃ!俺様最大の見せ場だぜぇぇぇっ!!」
そんなことを気にする余裕もなく、『コメット』と、ワルドと、デルフが一直線に並ぶ瞬間は目前だった。
「……行くよっ!」
「おぅっ!」

……実際は、こんな会話は全部できなかったはずって、後でルイズおねえちゃんが言っていた。
それぐらい、一瞬の間だったのに、デルフと通じたのは、なんだったんだろうって思うんだ。
心で通じ合った、とか?もしかして、そうなのかもしれない。

「ち、ちくしょぉぉぉぉぉぉ!!」
「いっけぇぇぇぇぇぇっ!!」
「『フレア剣』突きっ!!!」

朝日のように眩く輝く切っ先が、ワルドに突き刺さった。



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