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ゼロHiME~嬌嫣の使い魔~ 第二十話


 アルビオンを脱出したルイズ達は、静留の治療とアンリエッタに報告のためシルフィードでトリステイン王宮の中庭に乗りつけた。
 だが、王宮はアルビオン王軍敗れるの報を受け、厳重警戒中だったため、不審者とみなされたルイズ達は魔法衛士隊に取り囲まれてしまった。
 ルイズは自分の身分を明かし、王女との面会を求めたが信用されず、衛士隊との間で押し問答をしてると、宮殿からアンリエッタが現れた。衛士隊に囲まれたルイズに気づき、慌てて駆け寄ってくる。

 「姫様!」
 「ルイズ!」

 皆が見守るする中、二人はひっしと抱き合った。

 「ああ、無事に帰ってきたのね。アルビオンの王軍が敗れたと聞いて一時はどうなることかと……よかった、本当によかった……」
 「姫様……」

 アンリエッタの言葉にルイズは思わず涙ぐむ。

 「件の手紙は、無事、この通りにございます」

 ルイズは胸ポケットに入った手紙を見せる。アンリエッタは頷くとルイズの手を両手で握り締めた。

 「ルイズ、あなたはわたくしの一番のお友達ですわ」
 「もったいないお言葉です、姫様」
 「あなたとあなたの友人に心よりの感謝を。それと聞くまでもないのでしょうけど……ウェールズさまはやはり父王に殉じられたのですね、ルイズ?」

 寂しげな口調で問うアンリエッタにルイズは無言で頷く。

 「……して、ワルド卿は? 姿が見ませんが、別行動を? それともまさか……いえ、あの子爵に限ってそんなはずは……」

 動揺するアンリエッタの様子に、ルイズは一瞬、逡巡した後、ありのままの事実を伝えようと口を開く。

 「実は……」
 「ワルドはんは裏切り者だったんどす、姫様」

 ふいに背後から聞こえた声にルイズが振り返ると、そこには静留の姿があった。

 「裏切り者?」

 アンリエッタの表情に影が差すが、静留の格好に気づくと衛士隊の隊長に声をかける。

 「隊長どの、彼らはわたくしの客人ですわ。杖を収めて衛士を下がらせてください」
 「さようですか」

 アンリエッタの言葉に隊長はあっさり納得すると、隊員たちと共に持ち場へと去っていった。

 「どうやら道中で何かあったようですね……とにかくわたくしの部屋でお話しましょう。他のかたがたは別室でお休みになってください。それからシズルさんには着替えと水のメイジの準備をさせますので」

 キュルケ達と分かれた後、ルイズは着替えと怪我の治療を終えた静留と共にアンリエッタの居室に招かれた。

 ルイズはアンリエッタにことの次第を説明した。
 ラ・ロシェールで襲撃を受けたこと。
 アルビオン行きのフネでも空賊に襲われたが、それは皇太子の変装で無事にニューカッスルにたどり着けたこと。
 そして、決戦の朝にワルドとの結婚式を挙げようとしたこと。
 その最中にワルドが豹変してウェールズを殺害し、手紙を奪い取ろうとしたが、静留の働きで手紙は奪われずにすんだこと……。
 しかし、これで同盟を妨害する敵『レコン・キスタ』の企みが阻止され、任務は成功したというのにアンリエッタは悲しみの表情で一杯だった。

 「あの子爵が裏切りものだったなんて……わたくしが、ウェールズさまのお命を奪ったようなものだわ。裏切り者を使者に選ぶなんて、わたくしはなんということを……」

 アンリエッタは我が手に戻った自筆の手紙を抱きしめ、はらはらと涙を流した。

 「姫さま……」

 ルイズは、思わずアンリエッタの手を握った。

 「あの方は、わたくしの手紙をきちんと最後まで読んでくれたのかしら? ねぇ、ルイズ?」
 「はい、姫さま。間違いなくウェールズ皇太子は姫殿下の手紙をお読みになりました……やはり皇太子に亡命をお勧めになったのですね?」

 ルイズの問いに掌中の手紙を悲しげに見つめたまま、アンリエッタは小さく頷いた。

 「ええ、死んで欲しくなかった……だって、愛してたんですもの」

 それからアンリエッタは呆けたようにぽつりと呟いた。

 「わたくしより、名誉の方が大事だったのかしら?」
 「……それは違いますえ」

 それまで二人の様子を黙ってみていた静留が口を開く。

 「あのお人は姫さんが大事やったからこそ、自分が亡命することで反乱軍が攻め入る口実を与えるより、敵と戦って少しでも長く姫さんとトリステインの平穏を守ることを選んだんどす」
「敵は攻めてくるときは攻めよせてくるでしょうし、攻めぬときには沈黙を保つだけのこと。それはウェールズ様が亡命しても変わらないのではありませんか?」

 どこか投げやりなアンリエッタの問いに、静留は否定することなくうなずく。

 「確かにトリステインの状況は変わらんと思います。ただ皇太子は亡命しても碌なことにはならんでしょうな」
 「……どういうことです」
 「そらこの同盟はトリステインとってはレキン・コスタに対抗するのが目的かもしらんけど、ゲルマニアの狙いはトリステインとアルビオンを将来併合するための布石を打つことや。
 当然、その邪魔になるアルビオン王族の生き残りの皇太子の引渡しを要求、トリステインはその要求に応じるざるをえない――そうなれば最悪レキン・コスタとの取引きの贄にされて殺されるか、良くても生涯幽閉は免れんやろね。
 それが分かっているからこそ皇太子は戦おうと考えたんや思います。姫さんかて、愛する人を奪われた上に、そんな辱め受けるとしたら同じことをするんと違いますか?」
 「―――!」

 静留の言葉にアンリエッタは一瞬はっとした表情を浮かべた後、両手で握り締めた手紙をじっと見つめた。
 そんなアンリエッタを気遣うようにルイズが声をかける。

 「姫さま、私が手紙で亡命を勧められたのではと聞いた時、ウェールズ殿下は『アンリエッタが、そんな愚かなことをするはずがない』とおっしゃって姫さまを庇っていました……殿下は姫さまを愛しておられた、それだけは確かです」
 「ルイズ……」

 アンリエッタは顔を上げると、そう断言したルイズに向かってぎこちなくにっこりと微笑んだ。

 「わたくしの婚姻を妨げようとする暗躍は未然に防がれました。これで、わが国はゲルマニアと無事同盟を結ぶことができるでしょう」

 アンリエッタは何かを悟ったような表情で無理矢理に明るい声を出した。心なしか先ほどまで淀んでいた瞳に精気が戻ったようにも見える。

 「姫さま、これをお返しします」

 ルイズはポケットから水のルビーと風のルビーを取り出し、アンリエッタに差し出す。

 「まあ、水のルビーだけでなく風のルビーまで……ウェールズ皇太子から預かってきたのですか?」
 「はい、殿下から受け賜ってきました」

 ルイズはアンリエッタのせめてもの慰めにと思って嘘をついた。
 アンリエッタは早速風のルビーを指に通した。そして、アンリエッタは風のルビーを愛おしそうになでると、ルイズの手に水のルビーを戻した。

 「それはあなたが持っていなさいな。せめてものお礼です」
 「こんな高価な品をいただくわけにはいきませんわ」
 「忠誠には、報いるところがなければなりません。いいから、とっておきなさいな」

 アンリエッタに促され、ルイズは渋々とそれを指にはめた。そんなルイズの仕草にアンエリエッタはくすりと微笑むと、静留の方へと向き直る。

 「ありがとうございます、シズルさん。もう少しでわたくしはウェールズ様の想いを疑うところでした。私たちが愛を誓い合ったことに嘘はなかったというのに……だから、せめてあの方の意思を無駄にしないためにも、わたくしは強く生きていこうと思います」

 そう言って、アンリエッタは風のルビーを見つめた。


 「……まあ、何はともあれ全員無事に帰ってこれて本当によかったわ」

 王宮から魔法学園に戻る途中、分かれて以降の顛末をルイズから聞いたキュルケがほっとした表情で軽口を叩く。

 「そうね、一時はどうなるかと思ったけど……シズル、体のもう平気なの?」

 ルイズはキュルケに相槌を打ちながらシズルに尋ねる。

 「へえ、おかげですっかり良うなりました。城で治療してもろうたし、なによりその前にご主人さまからたんと元気の元を補給させてもらいましたさかいに」

 その静留の言葉に一瞬、ルイズは怪訝な表情を浮かべるが、すぐに自分が脱出のときにしたことを思い出して頬を染めた。

 「あああ、あれは単なる感謝というかご褒美というか……って、あなた、一体いつから目を覚ましてたのよ!」
 「そうやねえ、ルイズ様がうちにキスするちょっと前には目覚めてましたな」
 「ちょっ……だったら目覚めたのになんでわざわざ寝た振りしてたのよ!」
 「せやかて、うちが起きてるの分かったらルイズ様はキスなんか絶対せえへんですやろ。それにせっかくのチャンスをふいにするなんてもったいないことできますかいな」
 「~~~~~~~~~!」

 静留がそう言って悪戯っぽく微笑むと、ルイズは何も言えずに赤らめた顔を更に紅潮させてうつむく。

 (私としたことが、キスの時にシズルが目を覚ましていたのに気づかなかったなんて! しかもその前の恥ずかしい台詞も聞かれていたのは確実なわけで……うあぁぁぁ、このルイズ・フランソワーズ一生の不覚だわ)

 あまりの恥ずかしさに頭を抱えて悶絶するルイズに、キュルケがニヤニヤとしながら声をかけてくる。

 「へえ、ルイズったら後ろでそんなことしてたんだ、ふ~ん」
 「う、うるさいわね! 大体、あくまでご褒美であってやましいことなんてないんだからね! 男だけじゃ飽き足らず、色んな娘にちょっかい出してるあんたとは違うわ」
 「あら、失礼ね。私は相手が誰であれ、いつだって本気よ……情熱の炎が消えないかぎりわね」

 食ってかかるルイズの言葉にキュルケは悪びれもせずに答えると、艶然とした笑みを浮かべた。

 「……そのうち刺されても知らないわよ、ツェルプストー」
 「その点なら心配には及ばないわ、ヴァリエール。生憎と私はギーシュと違って、恨みをかうような覚えはないもの……そういえばギーシュが嫌に静かなんだけど、まさかタバサ、王宮に忘れてきてないでしょうね?」
 「……そこにいる」

 タバサが面倒くさそうにシルフィードの後方を指差す。そこには虚ろな表情でなにやらブツブツと呟いているギーシュの姿があった。

 「はあ……やっぱりモンモランシー、絶対怒ってるよな……帰ったらおしおきは免れないか……ああ、考えただけでも恐ろしい」
 「壊れた……」
 「……悪いけど、自業自得としかいえないわね」
 「うわ、キモイ……」
 「まあ、うちらには分からんことがギーシュさんとモンランシーさんの間にはあ
るいうことなんですやろ……タバサさん、どないしました?」

 どこか恍惚とした表情で怪しく身もだえするギーシュの様子にドン引きする女性陣に苦笑しながら、静留は自分の服をくいくいと引っ張っているタバサの方へと顔を向ける。

 「ご褒美……」
 「……はい?」

 自分の言葉に困惑する静留におかまいなく、タバサは静留の方へとぐっと身を寄せてきた。

 「ご褒美って……まさかタバサさん、うちにキスして欲しいんどすか?」

 静留の問いにタバサはコクンとうなづく。そのやり取りを聞いていたルイズがタバサに噛みつく。

 「ちょっと、タバサ! 人の使い魔相手に何勝手なこと言ってるのよ!」
 「私も手伝った……でも、それはルイズじゃなくてシズルのため……だからシズルからご褒美が欲しい」
 「……どういう理屈よ、それ?」

 タバサの説明に納得のいかない様子でムッとするルイズをなだめるように、キュルケが声をかける。

 「別にいいんじゃない? タバサのシルフィードがいなかったらアルビオンの王城から脱出できずに皆死んでたかも知れないのは事実なわけだし……」
 「まあ、それはそうだけど……そうね、キスじゃなくてタバサをぎゅっと抱きしめるぐらいなら許可してあげるわ」
 「タバサさん、ご主人様もああ言うとることやし、それで堪忍しておくれやす」

 ルイズの許可を受けた静留はそう言ってタバサに微笑む。それを聞いて納得したのかおずおずと手を伸ばしてきたタバサを静留は優しく抱きしめた。

 「あ……」
 「うふふ、タバサさんはほんにかわいいどすなあ」

 抱きしめられてほんのりと頬を染めるタバサの様子に静留は目を細めながら、ちらりとルイズの方へと視線を向けた。
 二人の様子をうらやましげな表情で見ていたルイズは、その視線に気づくと慌てて顔の表情を引き締め、静留に抱きしめられているタバサに向かって声をかける。

 「いいこと、こんなことは今回だけよ! あくまで静留は私の使い魔なんだからね」
 「はいはい、焼餅もほどほどしなさいね」
 「う、うるさいわね! 私はシズルの主人として当然のことを言ってるだけのことであって――――」

 キュルケのつっこみにルイズが真っ赤になって反論し、それをきっかけに言いあいが始まる――そんないつも通りのバカ騒ぎをしながらルイズ達は学院へと帰還したのだった。



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