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ゼロのアトリエ-19


裏口の方にルイズたちが向かったことを確かめると、
キュルケはヴィオラートにもらった太鼓を叩き始めた。
「これで…一体何が起こるのかしら?」
あたりに規則正しい太鼓の音が鳴り渡る。


ゼロのアトリエ ~ハルケギニアの錬金術師19~


その音を聞き流して、タバサは三叉音叉を見つめていた。
破壊の像が盗まれた時、一撃で土ゴーレムを崩壊させた道具。その使用法から推察するに、
おそらく、これであの岩ゴーレムを壊せという事なのだろうが、
これを安全に、確実にあのゴーレムに叩きつける方法が見つからない。何か簡単な方法がありそうなのだが…
答えを探しつつ風のルーンを唱え、飛来する矢を逸らし、太鼓の音を風に乗せる。
「ひえっ!」
飛来し損ねた矢と巻き上がる突風に、思わず声を上げたのはギーシュ。
デニッシュの籠を抱えつつ、自己の果たすべき役割について思いを巡らす。
ヴィオラートがギーシュに渡したデニッシュは、回復用のサポートアイテムだ。
トライアングルの二人のサポートに、一人だけドットのギーシュが回るのは理に叶っており、
そのこと自体について異論があるわけではない。ないが、しかし。
(こんなことはそのあたりの平民にだってできるじゃないか!)
何とか自分の貴族としての力を示そう。そう決意し、ない頭を回転させてみるが…
タバサが不意にギーシュの腕を引っ張り、今までギーシュのいた場所に逸らし損ねた矢が一本突き刺さる。
「ひっ…」
「気をつけて」
それだけ言うと、タバサはまた風の魔法を詠唱し始めた。
ほどなくして、飛来する矢が目に見えて減り始める。
「あらら…効き目は抜群ねえ。」
キュルケが一小節をたたき終わる度、一人また一人と傭兵達の足取りが重くなり、目つきが濁り…
ついには武器を投げ出し、座り込み、また大の字になって動きを止める。
「ふふ、残りはゴーレムさんとフーケさん、だけかしら?」
そう言いつつも、キュルケは演奏を止めようとは思わないようだ。
「まるで微熱に浮かされて倒れたように…何だか楽しいとは思わない?」
楽しそうに、そう囁いた。

傭兵があらかた片付いたのを見て、タバサはギーシュに顔を向ける。
「…な、なんだい?」
「ワルキューレ」
「ぼ、僕のワルキューレが?」
タバサはゴーレムを指し、音叉をギーシュに手渡すと、言った。
「七分の六を、一分の一にする」

ゴーレムの肩の上で、フーケは舌打ちをした。
今しがた突撃を命じた一隊が全滅したのだ。おそらくは風に乗って聞こえるこの音が関係しているのだろう。
歴戦の傭兵が、まるで訓練で潰れるひ弱な新兵のように疲労困憊し、動けなくなってしまう。
フーケ自身も、まるで微熱に浮かされたような倦怠感に襲われていた。
隣に立った仮面に黒マントの貴族に、フーケは呟く。
「これは…あの女ね。ねえ、どうするのさ。」
「あれでよい。」
「あれじゃあ、あいつらをやっつけるなんて無理じゃない?」
「倒さずとも、分散すればそれでよい。」
仮面の男はそう言うと、フーケに告げる。
「よし、俺はラ・ヴァリエールの娘を追う。」
「私はどうすんのよ。」
フーケはあきれた声で言った。
「好きにしろ。合流は例の酒場だ。」
男はゴーレムの肩から飛び降り、暗闇に消えた。


「ったく、勝手な男だよ。何考えてんだか教えてもくれないし…」
フーケは苦々しげに呟いた。
ゴーレムの足元では傭兵達が大の字になって転がっている。
フーケは下に向かって怒鳴った。
「ええいもう!頼りにならない連中ね!どいてなさい!」
フーケが、ゴーレムの足を一歩進ませたその時。
フーケの叫び声に反応したのか、太鼓に合わせて酒場の入り口から小さなゴーレムが六体顔を出した。
女騎士をかたどったのであろうその像は、それぞれの手に一本ずつの…

三叉の音叉を携えていた。

「あれは!!」
忘れもしない。破壊の像を手に入れ、逃げる途中に見たあの光景。遠目だったが間違いない。
あの女があの音叉を使って、一撃でゴーレムを崩壊させた。
あんなものが量産できるのか?それともフェイク?判断する間もなく、
氷嵐の竜巻がフーケに向かって駆け上る。水と風のトライアングルスペル、『アイス・ストーム』。
フーケはとっさに、ゴーレムの両腕を壁代わりにしてガードを試みる。
そして、女騎士のうちの一体を踏み潰そうとゴーレムの足を上げ、下ろす。

ゴーレムの足が下り始めた瞬間、酒場の脇の路地から勢い良く何かが飛び出す。
それは唯一本物の三叉音叉を持った、七体目のワルキューレ。
「これが僕の本命さ!」
他の六体は全て囮、他の六本は全てすかすかのフェイク。全てはこの一撃のために。

壁代わりの手は動かせない。足はまだ地面に下りきっていない。
なすすべのないゴーレムに七体目のワルキューレが踊りかかって、
三叉音叉が、ゴーレムの軸足を叩いた。
「わ、ちょっとっ、これはっ!」
軸足全体が崩壊し、バランスを崩したゴーレムは倒壊。
壁を失ったフーケはアイス・ストームの竜巻に巻き込まれ、
はるか上空、はるか遠くへと飛ばされた。

フーケがアイス・ストーム空の旅を楽しんでいる頃。
ルイズ達は桟橋へと到着していた。
「桟橋なのに、山に登るの?」
ヴィオラートは言った。ワルドは答えない。
長い長い階段を登ると、丘の上に出た。そこから見える光景に、ヴィオラートは息をのむ。
巨大な木が、四方八方に枝を伸ばしている。
そして、その巨大な枝からぶら下がっている木の実のようなものが、果たして船なのであった。
「これが『桟橋』?これが『船』?」
ヴィオラートが驚いた声で言うと、ルイズは怪訝な顔で言い返した。
「そうよ。あんたのとこじゃ違うの?」
その問いかけに答えようとしたヴィオラートは、何かに思い当たって沈黙する。
(神の…浮船…)
その様子にルイズは肯定の意を感じ取ったのか、
「海に浮かぶ船もあれば、空に浮かぶ船もあるわ。」
こともなげに言い放つ。
ヴィオラートは答えず、ただじっと空に浮かぶ船を見つめていた。


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