あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

第4話


 キュルケとタバサへの対応をどうしようかと迷いながらしばらく待っていると、思ったよりも早くフィアースが戻ってきた。
「もうよかったの?」
「あぁ、あのあと少し話をしただけだ。それより」
 そこで言葉を切ると、キュルケとタバサを見てから訊いて来た。
「何かあったのか?」
「この娘……タバサが、あなたに話を聞きたいんですって」
「俺に?」
 そこまで話すと、タバサがフィアースに話しかけた。
「さっきの決闘も、教室でのことも見てた。やり方、教えて」
 ものすごい単刀直入ね。しかも訊きたい事を伝えるのと同時にごまかせないようにしてる。
 フィアースの顔を窺うと、ちょっと渋い顔をしていた。
「ルイズ」
「な、何よ」
 あうぅ……沈黙が痛いわ。何を言いたいのかもよく分からないし、どうしろっていうのよ?
「し、仕方ないじゃない!というかわたしは何も言ってないわよ!?」
 そう言い返すと、さらに渋い顔。
 するとすかさずキュルケが口を開いた。
「それって~、人には言えないような秘密、ってことよね~?」
 ぐさッ。
 ツェ、ツェルプストーめ。なんて痛いところを突いてくるのよ。
 というかさっきの返答って、もしかして自爆?
 ちらりとフィアースを窺うと、目を閉じて黙っている。けどそれがわたしの自爆を肯定しているみたいに見えた。
 ……がっくり。

 さて、一体どうしたものかしら。
 内緒にしておくようにって学院長先生にも釘をさされたばかりなんだけど、この状況じゃ無理があるわよね。
「ルイズ」
 突然フィアースがわたしを呼んだ。見ると、何かを決めたような顔をしている。二人に聞かれない方がいいかと思い、わたしはフィアースに歩み寄った。
「何よ?」
「もう誤魔化しきれまい。他言無用にして、ある程度話すしかないだろう」
 う~ん、それしかないかぁ……。
「分かったわ。じゃあそうしましょ」
「相談は終わり?」
「えぇ、これからちゃんと話すわ。でも、このことは絶対に誰にも言わないで。お願い」
 わたしはそう言って、頭を下げた。
 ツェルプストーにお願いをするなんてホントは嫌で嫌でしょうがないんだけど、事が事だけにそうも言っていられないわ。
 家族が待ってるって言ってたフィアースをアカデミーに引っ張られるのも忍びないし、下手をすればフィアースを召喚したわたしまで研究所に連れて行かれかねないもの。
 わたしの言葉に、キュルケとタバサは顔を見合わせている。
 キュルケ自身もわたしがツェルプストーを嫌っていることは知っているはずなので、先ほどの言葉の意味に驚いているみたい。
「わかったわ。ヴァリエールがそこまで言うのなら、それだけの話なんだろうし。タバサもいいわよね?」
 キュルケに振られると、タバサも頷くのが見えた。


    ◇◆◇


「それで、フィアースに訊きたい事って、具体的にはどんなこと?」
 ルイズが話を振ると、タバサが俺に目を向けて訊いてきた。
「決闘の時に使ってた技と、魔法の受け流し方」
 やはりそこか。
 しかしあれらは、ほとんどがARMによるクラスのスキルである以上、この娘には使えないはずだ。先ずはそこから説明しないといけないだろうな。
「では少し遠回りになるが、先ず俺の話をしなければならないな」
 タバサは目で続きを促してくる。
「俺はこの世界……ハルケギニアの人間ではない。こことは別のファルガイアという世界からルイズに召喚された、異世界人だ」
 その言葉が予想外すぎたのか、キュルケとタバサはぽかんとした表情だ。
「ハルケギニアじゃない別の世界?別の国とかじゃなくて?」
「違う。何しろ、ファルガイアには月が一つしかない」
 一番分かりやすいだろう例を挙げて説明する。
「月が一つしかない世界なんて、とてもじゃないけど信じられないわ」
 ルイズの時と大体同じような反応が返ってくる。まぁ当然か。
「何か証拠になりそうなものでも無いの?」
「あの決闘が証拠」
「そう言われても……」
 早くもタバサは立ち直っているようだが、キュルケの方はまだ混乱中のようだ。
 さて、どうしたものか。ARMを見せるにしても、効果を実証しづらいのが問題か。
 少し考えていると、ルイズが脇をつついてきた。
「どうするの?ARMじゃ分かりづらいんじゃない?」
「いいものがある」
 そうルイズに切り返しながら、懐から懐中時計を取り出した。これは別にエミュレーターの防具ではなく普通の懐中時計なのだが、この世界の技術力ではおそらく作れないものではないだろうか。
「何これ?」
「懐中時計だ。振動によってねじを巻き、半永久的に動作する」
 そう言いながらキュルケに渡す。受け取ったキュルケは、ものめずらしそうにそれを見ていたが、ある程度見て納得したらしい。
「……確かに、こんな細かい機械は見たことが無いわね。それに装飾もきれいだし」
「こっちの絵は何?なんかすごく綺麗な絵だけど」
 横からルイズに問いかけられた。懐中時計のふたの裏に入っていた写真が気になったらしい。クラリッサとアレクシアを中央に、ブランクイーゼルのみんなで撮ったものだ。
「ファルガイアにいたときの仲間たちの写真だ」
「写真?」
 ふむ。この反応だと、懐中時計より写真の方が証明になりそうだな。
「瞬間的な絵を残す機械で撮ったものだ」
「へぇ、便利なものがあるのね。これは確かにハルケギニアには無いものね。時計の方ならどこかにあるんじゃないかと思ったんだけど」
 どうやら納得してもらえたらしいので、話を続ける。
「話を続けよう。ファルガイアでは旅人……渡り鳥と言うのだが、ほぼ例外なく持っているのが」
 そこで言葉を切って、懐からARMを取り出して二人に見せる。
「このARMだ」
「なに、これ?」
 よく分からないといった表情の二人に向けて、言葉を続けた。
「Artificial Reincarnate Medallion。様々な状況に対応するために、クラスという形でまとめられた戦い方を記録した機械だ」
 ARMをタバサに手渡すと、説明を続ける。
「俺が先ほどの決闘で使った技や教室でルイズの魔法を受け流したのは、これに記録されたクラスの能力だ」
「私にも使える?」
 タバサが問いかけてくるが、俺は首を横に振る。
「ARMは個人用に調整が必要だから、これをタバサが使うことはできない。ファルガイアなら一部を除いて普通に売られていたから問題は無かったのだが」
「そう」
 タバサは残念そうな表情を浮かべながら手の中のARMを俺に返す。
「だが、ある程度の原理なら説明もできるかもしれない。それで構わないのであれば、力になれないこともないだろう」
「原理?」
 俺の言葉が予想外だったのか、疑問の表情を浮かべながら訊き返してくる。
「例えば最初のワルキューレを攻撃したリタイエイションは、受けた攻撃の衝撃を相手に叩き返すという行動を極限まで短縮したものだ」
 意味がよく分からないのか、ぽかんとした表情を浮かべる3人。
「攻撃を捌く場合は、衝撃を自分の体からずらす方向へと逃がしてダメージにならないようにするわけだが、リタリエイションは体を使って相手に衝撃を叩き返すんだ。
 そうだな、タバサのその杖で横殴りにされたとしよう。その杖からの衝撃を左手で受け止めながら回転の力に変換し、反対の右手で叩き返す……と言ったイメージになるのだが」
 正確には少し違うのだが、わかりやすくするための説明なのでこれで我慢してもらおう。
 ルイズとキュルケはよく分からない顔をしているが、タバサは何か思うところがあるのか考え込んでいる。
「教室の方は?」
 ルイズの爆発を受け止めた、レジストブロックのことか。
「大まかなところでは物理攻撃を受け流すのと変わらない。違うのは、相手が魔法であるがゆえに物理的に受け止められないことだ。
 ならば同じ状況にしてやればいい。『魔法を受け止められる術式』を組み上げ、それによって魔法を受け流す。術式の構造上、常時展開はできない上に成功確率も高いわけではないのだが」
 俺の説明に頭をひねり出すルイズとキュルケ。タバサも流石に考え込んでいるようだ。
「ねぇ、今でてきた『術式』ってどういう意味?魔法のことじゃないわよね?」
 ルイズが訊いて来る。
「基本的には同じだ。例えば、魔法で火の玉を出すとしよう。火が燃えるためには、燃える元となるものが必要になる。ランプや暖炉を思い浮かべればいい。油や薪が無ければ、火は燃え続けないだろう?」
 ハッとした表情で頷く3人。
「その状況を、環境を操作して作り上げる。燃える物と燃焼に必要な熱量を準備し、それを火の玉として現象化するという手順になる、と言うのが俺の予測だ」
「そう言われればそうね。そんなこと考えたことも無かったけど」
 そういえばキュルケは火のメイジだったな。
「おそらく術式展開を感覚的に行っているか、もしくは呪文にすべてが集約されているのだろう。
 それはともかく、魔法によって引き起こされる現象にも一定の形式や手順があるということだ。それらを総称して『術式』と呼んでいる」


    ◇◆◇


「結論としては、魔法を受け止めることができる術式さえ組み上げてやれば、物理攻撃と同じように受け流すことができる」
 そんな簡単な事のように言われても。
 ……ってちょっと待ちなさい?
「ねぇフィアース。物理攻撃と同じように受け流せるのなら、さっきのと同じように跳ね返すこともできるの?」
「可能だ。リフレクトという技術がそれにあたる」
 あきれた。スペルキャスターだっけ?それってメイジみたいな能力なのに、メイジ殺しの能力も持ってるなんて。
「話を戻すが、ではどういう術式を使ってレジストブロックをしているかというのは」
 その言葉に身を乗り出すわたしたち。
「実は、よく分からない」
 がっくり。
「なによそれ。期待させるだけさせといて」
 キュルケも文句を言っている。
「掛け算のようなものだ。3×4は3が4つあるからではなく、3×4だから12だろう?」
「もったいぶって、何が言いたいのよ?」
「原理はともかく『そういうもの』として覚えてる?」
 あぁ、なるほどそういうこと。
 タバサの返答に、フィアースは首肯を返す。
「あぁ。そしてそれを可能にしているのがこのARMというわけだ」
 ホントに便利いいわね、ARMって。

「もう一つ。最初のゴーレムに止めを刺した技」
 タバサが話を続ける。
「ウェポンボルトは俺個人が作った技だ。衝撃波を一点集中し、投げつける。
 効果範囲は狭いが高低差があっても当て易いし、何より俺自身の慣れもあってすぐに展開できる。
 あの時は素手だったから切り裂くにとどまったが、武器があればイメージが固めやすい分威力もまだ上げられるだろう」
 とどまったってアンタ、素手でアレだけの威力が出せれば十分でしょうよ。
「なんにしても、お前たちの魔法ほど便利なものでもないと思うのだが……それはいいか。
 基本はいま言った通り、イメージによる衝撃波の一点集中だ。衝撃というものは、針のように当たる面積が小さければ威力は大きくなるからな」
「フィアースが作ったって事は、ARMがなくても使えるの?」
「適性や訓練が必要になるだろうが、できないことはないだろう。だが、メイジが使う必要があるとは思えないのだが」
 そっか。それは確かに。
「いや」
 あれ、タバサが反論してる。
「素手で遠距離に攻撃できるのは便利」
「確かに、あたしたちメイジは杖が無いと無力だものね」
「いざというときのための、ということ?そんな状況がそうそうあるとは思えないけど」
 あたしの疑問に、しかしタバサは何も答えない。
「さっきの捌きと合わせて、教えて欲しい」
「どうしたのよタバサ、やけにこだわるじゃない」
 キュルケの疑問にも何も返さず、フィアースを見ている。
「……ルイズ」
「はぁ、好きにしなさいよ」
 わたしに伺いを立てるのはいいけど、こう何度もとなると段々面倒になってきたわ。
「だそうだ。時間のあるときにでも声をかけてくれれば」
「ありがとう」
 あれ、タバサ少し顔がゆるんだかしら?無表情だから分かりづらいけど。
「お礼は」
「いや、俺は特に望むものは無いんだが」
 フィアースが困惑してる。面白いけど、助け舟を出してあげようかしら。
「何か思いついたらその時に、でいいんじゃない?」
「ふむ。それならそういうことでどうだろう」
「わかった」
 わたしの提案で、意外とあっさり決まってしまった。まぁ悪くない提案だと思ってたし、これでいいでしょう。
 はぁ、ホントに一時はどうなることかと思ったわ。

「ところでフィアース、さっきの絵のことなんだけど」
 何とか一段落したと思ったら、さっきの写真のことが気になってきちゃった。
「あの人たちが家族?」
「そのようなものだ。アウィルの姓を持った家族ならクラリッサだけだが」
 懐中時計を開けて、再びみんなに写真を見せる。
「中央左側にいるのがクラリッサ、その右側にいるのがアレクシア。後列は俺から順に、ラブライナ、レヴィン、ログナー。みんな一緒に旅をした、かけがえの無い仲間であり、家族だ」
 クラリッサ、っていうのがフィアースを待ってる娘よね。隣のアレクシアって娘は姉妹かしら?ものすごくそっくりだけど。
「ねぇ、旅をしていたって言ったけど、どんな旅だったの?」
 興味を惹かれたか、キュルケが旅の話を求めてきた。
 もうフィアースのことは話したあとだし、ファルガイアでのことを話してもらったとしてもそれほど問題はないかしらね。わたしも気になるし。
「そうね、わたしも興味あるわ。ついでだから話しなさいよ」
 わたしがキュルケの話に乗ると、フィアースは少し考えてから、口を開いた。
「それでは話すとしよう。エレシウス王国での戦火<クロスファイア>を駆け抜けた、つい先日までの日々のことを。
 話は、一人の男を追って俺とクラリッサがエレシウス王国へとたどり着いたところから始まる……」




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