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マジシャン ザ ルイズ 3章 (52)

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マジシャン ザ ルイズ 3章 (52)ウルザの意思

アルビオンへと潜入を果たしたキュルケ達は曲がりくねった鍾乳洞のような区画を抜け、階層を降りながら中枢へ向かっていた。
途中、動く屍や黒い油にまみれた戦争機械などとも遭遇したが、幸いこの作戦に選ばれた精鋭達の前では敵でなく、これまでのところ大きく被害を受けることもなく進んでいた。
順調すぎて、むしろ案内役のマチルダの方がへばっている始末である。
さて、そうこうして一同は新たなる区画に入った。
その場所はこれまで見てきた光景に比べて格段に人工の匂いが強い、明らかに人の手が入った作りであった。
床には歩くと乾いた音をたてるできた灰色のタイルが敷き詰められ、通路の形は正方形。
そこは、ハルケギニアとは全く違う、異質な文明の遺跡のようにも見えた。
「ここから進んだしばらく先に、アルビオンを浮かせている風石があるはずさ」
今は前から三番目を歩いているマチルダがそう口にすると、全員の注目が彼女に集まった。
「あたし自身はこれ以上先に進んだことは無いけれど、ワルドの奴はそんなふうに言ってたよ……」
堅い面持ちで言うマチルダ。
そう、彼らの目的はアルビオン下層部にある、アルビオンを浮かせている風石の破壊。
その意味するところは、アルビオンの『墜落』である。
彼女がどのようなことを思って自分の故郷を地面に叩きつけようとしているのかは、この場の誰にも分からない。
しかしキュルケは、呟いたマチルダの顔に、郷愁ともの悲しさを見た気がした。

通路を道なりに進んで少しすると、一同は突然開けた場所に出た。
その光景に全員が身を強ばらせて警戒する。
吸血コウモリしかり、戦争機械群しかり、これまで開けた場所に出ると決まって敵との遭遇戦に突入していた。
二度あることは、三度ある。
全員が警戒したのは、それぞれ戦士の勘とでも言うべき第六感によるものであった。

出た場所はすり鉢状に中心に向かうほどへこんでいる、ホールのような円形の大部屋。端と端までの距離はゆうに二〇〇メイル以上はあるだろう。
そして、その中心には高さ三〇メイルを超える、異彩を放つ巨大なモニュメントが安置されていた。
遠目から見た質感は、黒曜石の輝きを持った金属。
形は、この世のあらゆる動物と、あらゆる虫をツギハギに継ぎ足したらこうなるかも知れないといった、醜悪な姿をしている。
そして、それはあたかもそのままの形でこの世に生まれ出たように、どこにも継ぎ目が見あたらない。

その像の背後、キュルケ達が入ってきた出口の丁度正反対、そこにはこの部屋の出口があるのが見えた。
必然、そこにたどり着くためには巨大像を迂回して回るしかない。

キュルケが無言で手を振って進むジェスチャーをすると、一団は頷いてゆっくりと壁沿いに沿って移動を始めた。
移動しながらも、部屋の中央で不気味に鎮座している巨像の沈黙に、それぞれの警戒心が嫌が応にも高まっていく。
一歩二歩三歩、一団はゆっくりとだが確実に歩みを進めていく。
そうやって全員が中心の巨像を警戒しながら、壁沿いを半ば近くまで進んだとき、キュルケは小さな音が聞こえた気がした。

ミシリッ

という音。
同時、
「散って!」
「散れっ!」
キュルケとカステルモール、二人の声が残響を伴って、その場に響いた。
声に反応した隊員達が蜘蛛の子を散らすように一斉に散開する。


その直後だった、轟音をたてながら、巨大な質量が彼らに向かって動いたのは。

煙る視界、宙を舞う無数の破片、そしてなにより、聴覚を麻痺させるほどの衝突音。
見れば彼らが先ほどまで背後にしていた壁には、中央に鎮座していたはずの巨像がめり込んでいた。
三十メイルはあろうかという巨体が、一瞬の間にこれだけの距離を移動したという事実は、それだけで彼らにとって驚異以外の何者でもなかった。

「早く!」
舞い上がった埃によって十分な視界が得られない中、キュルケの切迫した指示が飛ぶ。
何を早くかなど問いかけるものはいない、精鋭達は一斉に行動を起こした。
一端ばらばらに散会し、次いで示し合わせたように目的地へと殺到する。
逃げ込む先は、巨像の図体では入り込めないその背後の通路。
あれだけの巨体を相手に、正面から戦う愚は冒せなかった。

こういった場合には風の機動力はものをいう。
カステルモールを含め幾人かの風のメイジは空気の対流で敵の位置を読み、迅速に目標地点へと駆けた。
だが、他系統のメイジにとっては、巨大な図体でありながら警告から襲撃まで一瞬の間しか許ぬような爆発的な突進力を持つ敵に狙われて、それを振り切るのは至難の業である。
だが、そのような状況の中、彼ら猛者達は、この局面を確実に切り抜ける手段を既に導き出していた。
それは誰かが囮となって敵を引きつけ、その隙に全員が逃げおおすという方法である。
彼らの目標は仲良く全員無事にアルビオンを堕とすことではない。
むしろ、誰か一人でも中枢にたどり着き、アルビオンを浮遊させている風石を破壊すれば、その目的は達せられる。
例え犠牲を払ったところで、その他の大勢が助かるのなら、それは是とするべきことなのである。

だから、キュルケの走る先に、曇る視界を切り裂き、地面を盛大に削る爆音を伴った巨像が滑り現れたときには、彼女も覚悟を決めていた。
「ウル・カーノ……」
キュルケは大急ぎで呪文を詠唱する。
せいぜい暴れて敵を引きつける、それが彼女に残された最後の見せ場であり、使命であった。
「ファイアーボール!」

しかし無慈悲な現実は、 非情なこの世界は、 そんな彼女を嘲笑う。

キュルケの放った火の玉は、相手の巨体に対してあまりに非力で、そして無力だった。
トライアングル以上の力で放たれた火球が、巨像のぬらりと黒い表面ではじけた。
――後には傷一つ残っていない。

巨像はキュルケの攻撃など露程にも気にしていないのか、躊躇無く彼女に向かって突進を開始する。
その動き、猛獣が飛びかかるよりなお早い。

決定的な死の前に、一矢報いることすらままならない。
一瞬の後には己が挽肉になるであろうことは、彼女にもはっきりと理解できた。
それは直感というより、すでに必定に近い。

人は時として、死を前にすると感情を爆発させる。
それは恐怖であったり、怒りであったりする。
自分の死を悟ったキュルケの胸にそのとき到来したのは、意外にも悔しいや憎いといった激しい感情ではなかった。
むしろ心地よい、これで楽になれるという安らぎですらあった。


諦念か、絶望か。

ここ二月の間、ルイズもそうであったように、キュルケの周りではあまりにいろいろなことが起こっていた。
学院の長期休暇に国元に戻り、そこで戦争が勃発した。
そしてその最初の戦火で、唐突に父を失い母を失い、そして続いて仲間を、国を失った。
得たものもあったが、失ったものはあまりに多く、それは何があろうと元の形には戻らない。
それでも、何かができる、何かをしなければと、彼女は今日この日まで生きてきた。
キュルケはここまでの短くとも濃密な時間を、必死に駆け抜けてきた。
振り返ることもなく、ただ、前だけを見つめて。
皮肉にも、せわしすぎる時間が彼女から顧みる余裕を奪っていた。
だが、末期の刹那、彼女にもようやくそれが与えられた。

〝ああ、これでもう、悲しい思いをしなくてすむ〟

自分はここまで十分すぎるほどに頑張った。
自分ができる限りの最善を尽くしてきた。ここで果てるのも、天命かもしれない。

そのような思いを抱き、彼女の心は凪いでいた。
心地よい達成感に似たものすら、抱いていた。


だが、そんな彼女の思いを
     良しとしない者がいた。

キュルケが轢き殺される直前、巨像に比べるとあまりに小さな黒い異形が煙の中から唐突に現れ、キュルケの前に立ちはだかった。
そして、重く堅い金属同士がぶつかり合ったような、鈍重な衝突音があたりに響く。

「……あ」
キュルケの口から、呆気にとられて言葉が漏れる。
唐突に現実に引き戻される。
誰かが自分を助けてくれたという現実に、認識が追いつく。
飛び出してきたそれは、彼女のよく知る人物であった。
「……キーナン」

横から飛び込んできた甲冑姿のキュルケの部下、元傭兵のアルビオン貴族キーナンは、両手でがっちりと巨像を受け止めていた。
その姿を見て、キュルケはとっさに助けなくてはと思った。
だが、それすら見越したようにキュルケに声がかかる。
「お嬢! 早くっ!」
遠くから、そう叫ぶ声が聞こえた。
いや、遠いと感じるだけで、実際にはそう遠くもない。
奥へと続く通路の口で、ヘンドリックがキュルケに向かって叫んでいた。
「そいつはキーナンに任せて、お嬢は早くっ!」
そんな見捨てて逃げるような真似は、と喉まで出かかった言葉を、キュルケは堪えた。

キーナンは行けた、一人でなら先へ行けた。その彼がここに残るのは、自分を先に進ませる為だ。
キュルケは血が出るほどに、拳を強く握りしめる。
自分のために身を投げ出した男の、最後の願いに気づかぬほど、彼女は愚鈍では無い。
彼はただ、キュルケに生きていて欲しい、そう純粋に願って、行動を起こしたのだ。
その思いを、無為にすることなど、できるはずがなかった。
「……っ!」
キュルケはヘンドリックが待つ通路へ向かって全速力で駆け出した。
その最中、奥歯にぎりりと力を込める。
今のキュルケには、そんなことくらいしか命をかけてくれた部下に対して、してやれることはなかった。





普段使う系統魔法のルーンに、古代のルーンを絡めた特殊な呪文詠唱を終えたモンモランシーは、自信の呪文の効果に目を見張った。
ギーシュを捕まえていたドラゴンの背後に、銀色に光る鏡が出現していた。
どこかで見覚えがあると感じたモンモランシーは、それがすぐに使い魔召喚の儀式の際に現れるものとそっくりであることを思い出した。

『ギャッギャ!?』
変化はすぐに訪れた。
あの巨大なドラゴンが、鏡のある方へ、背後へと引き寄せられ始めたのである。
『ギャギャギャッ ギャッギャー!』
身をよじらせ抵抗する意を示す赤竜。しかし、引き込む力はそれ以上なのか、どれだけ抵抗しても一向に開放される様子は無い。
そうこうしているうち、ドラゴンの手からギーシュの体がするりと落ちた。
「フ、フライ!」
慌てたギーシュの呪文。
荷物を抱えたまま二階ほどの高さから船の甲板へと叩きつけられる直前、何とか浮遊の魔法が間に合って、ギーシュは危ういところで怪我をせずに済んだ。
ギーシュが命からがらといった様子でルイズ達の方へ駆けてくる一方、ドラゴンを捕らえた呪文も最終段階を迎えていた。
暴れるドラゴンの存在感がどんどんと希薄になっていく。その姿も半透明に薄れ、その向こう側の景色が透けて見えるようになる。
この世界と別の世界をつないだ扉が、その存在を放逐しようとしているのだ。

『ギャッギャー、ギャシャーッ!』
咆哮一声。
ドラゴンはなおも抵抗しようとしたが、結局、断末魔にも似た叫びを残し、一気に鏡へと吸い込まれていった。

そして、その叫びを最後に、静寂が周囲を包む。
脅威は去った。
今やそのドラゴンがこの世界にいたという痕跡は、損傷したウェザーライトⅡのブリッジだけであった。

モンモランシーはこの日の為に、秘本に記されていた古代ルーンを絡めて構築された、ドミナリア呪文のハルケギニアアレンジ版とでも言うべき魔法を、二つ丸暗記してきていた。
今彼女が使ったのはその片方。
秘本に記されたところによれば、『送還/Unsummon』という呪文は、ドミナリアのウィザードが扱う、最も基礎的な呪文の一つなのだそうである。
その効果は、元の世界とのリンクを絶たれていない被召喚物を、強制的に元の世界に送り出すというもの。
非常に限定的な効果の呪文である『送還/Unsummon』を選んで暗記してきたのは、それが自分に扱えそうな呪文の中で唯一攻撃的な呪文だったからだ。
襲ってきたドラゴンが異世界からの被召喚物であったのは、幸運だった。
とは言え、ドラゴン一匹をこの世界ではないどこかに放逐して、危機に瀕している状況を脱したのは確かであった。

「も、モンモランシー! すごいじゃないか、ドラゴンを一発で倒してしまうなんて! そんなすごい魔法をいつ使えるようになったんだい!?」
そもそも、ドラゴン退治と言えば、成し遂げただけでシュヴァリエの称号を与えられるほどの偉業であり英雄的行為である。
駆け寄ってきたギーシュが、興奮した様子で開口一番そう言ってモンモランシーの手を掴んだのも、当然と言えば当然だった。
「え、ええ……」
しかし、そんな彼を前にして、モンモランシーの心中は複雑だった。
(確かにすごいけど……)
心中には自分の行為に無邪気に舞い上がって喝采を上げる自分がいる一方で、自らの得た大きな力に、不安を抱く自分もいたからだ。
(ドットの私が使ってこれほどなら、ラインやトライアングル、ましてやスクウェアなら、どれほどのものが使えるの? これは、本当に、使って良いものなの?)
あまりの成果に、モンモランシーは逆に落ち着かないものを感じていた。
しかし、そんな不安も目の前で鼻息を荒くしたギーシュが、自分の手を掴んで上下にぶんぶんと振り回しているのを見ていると、些細なことのように思えてくるから不思議だった。
今はただ、彼を救えたというその事実を喜ぶべきだと、心の底から思えた。


「モンモランシィィィ!」
だが、感極まったギーシュが勢いよく抱きついてくると、話は別だった。
「ありがとう、助けてくれてありがとうモンモランシー、僕ぁもう、僕ぁもう駄目かと思ったよ!」
よほど恐ろしかったのだろう、どんなときであれ外面を取り繕うのは忘れないギーシュが、涙声でそんなことを言っていた。
モンモランシーの豊かとは言い難い双丘に顔を埋めて、顔を左右に素早くふるふるさせて。

物思いに耽っていたモンモランシーだったが、そこでようやく乙女的に考えてちょっとあり得ないギーシュの体勢に気がついて、顔にぼっと火を付けた。
「ちょ、べ、別にっ!」
あまりに恥ずかしさに『あなたの為にやったんじゃないんだからねっ!』、と叫ぼうとしたところで、突然モンモランシーの膝が折れた。
「あ、あらら……?」
バランスを崩して、前から抱きついているギーシュに体重を預ける形になってしまう。
おかげでギーシュはモンモランシーの細くて柔らかい体を堪能できてご満悦である。

気がつけばモンモランシーの膝は完全に力を失っていた。
元来、彼女は胆力のある娘ではない。
生まれてからこの方、多くの名のある貴族の子女がそうであるように、彼女も大切に育てられてきた。
そんな彼女がドラゴンを相手にするなどと、普段なら考えもしないところである。
それでも友達の為、と思って自分を奮い立たせていたのだが、気が抜けてしまえばごらんの有様。本当なら膝どころか腰が抜けてしまってもおかしくなかったのだ。
加えて、先ほどの使用した魔法による精神力の消耗も深刻だった。
(くう、今更しょうがないことだけど……やっぱりこの呪文、反則よ。一回でこんなに消耗するなんて、異常じゃない!)
モンモランシーがこの日のために、ウルザの秘本から習得した魔法は二つ。そのどちらも、モンモランシーの普通使っている水魔法に比べ、格段に燃費の悪い代物だった。
モンモランシー自身の見立てでは、同様の魔法は三回が限度。それ以上はまだ試したことがないが、無事では済まないだろうと思った。

「モンモランシー……」
ギーシュの熱い抱擁にもがくモンモランシーに、ルイズが声をかけたのはそんな頃合いだった。
「あなた……」
言ったルイズの顔色は蒼白。
まるで悪夢を前にした子供のようだ。
そんなルイズに様子に気がついて、モンモランシーは強引にギーシュを振り切って胸を張った。
「見ていたかしら? どうせあなたは何でも自分でできるとか、何とかできるのは自分だけとか、そんなことを思ってたんでしょうけど。お生憎様、ごらんの通り、私にだってこのくらいできるってこと、分かったかしら」
挑発的な言葉。
かねてから言おうと思っていた通りに、モンモランシーはルイズに言ってやった。
「分かったら、これからは少しは私や……タバサ、キュルケ達、他の人も頼りなさいよねっ」
そう、何でも一人で抱え込もうとする彼女に、言いたかったことを、やっと言えた。
今までは言えなかった。力がない自分が言っても、何の気休めにもならなかったことを、やっと言えた。
その言葉には周囲が抱え込ませようとする、そしてルイズ自身一人で抱え込もうとする重責と負担を、少しでも肩代わりしたい、そんな気持ちが現れていた。


だが、それを聞いてもルイズの顔色は変わらない。
「そんな……そんなことじゃないっ! 今の呪文、誰が……誰があなたに教えたのっ!?」
なぜなら、ルイズが問題としているのはそんなことではなかったからだ。

虚無を除いて、ハルケギニアの魔法には『召喚』の概念はあっても、『送還』の概念は無い。
今となってはルイズはそのことを、恣意的に消された概念なのではないかと疑っている。
確証はない。ただ、歴然として存在する『外』の世界に対するアプローチが、ハルケギニアの歴史の中で一切生まれてこなかったということからの推測だ。
しかし、そこまで深く考えずとも、ルイズにはモンモランシーの使った呪文が、確実に本来のハルケギニアの枠からはみ出した呪文だということくらいは分かった。
問題は、誰がそんなものをモンモランシーに教えたのか。
誰がこんな場所に来るように、モンモランシーを唆したのかということだった。

「えっと、それは……」
モンモランシーが口ごもる。
けれどルイズにはその答えが分かっていた。
そんなことができる者は、今この世界に二人しかいない。
そして、モンモランシーに枠外の呪文を教えるなどということを実際に行おうとするのは、一人しかいない。
だから、
「あなたの呼び出した……ミスタ・ウルザよ」
その名前が出てきたことも、半ばルイズの予想通りだった。

「なんで……っ! なんでよっ!」
ルイズは力が入らない手に、それでも力をこめられるだけこめて握りしめた。
そして、怒りと困惑を隠さず吠えた。
「私はみんなが死なないために頑張った! みんなを生かす為に、ここにいる! それなのに、なんでモンモランシーも、ギーシュもここにいるのよっ!? これじゃあ意味がないじゃないっ! 何のために、私が……私がっ!?」
張り上げた声に、涙がにじんだ。
みんなが笑っていられる世界のために、せめて自分の視界に入る世界だけでも守るために、ルイズは虚無を手に取った。
誰かが犠牲になるなら、自分がそれになろうと。
自分の行いが誰かの為になるならと、体を蝕む病にも耐えるつもりでいた。

だというのに――

「何を考えているのっ!? ウルザッ!」


                             今、誰が笑っている?
                             そしてこれから、誰が笑う?

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