あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゴーストステップ・ゼロ-02


ヒュー・スペンサーは窓を見ていた、より正確に言うならば窓の向こうに広がるトリステイン魔法学院の風景を。
(なんともね…、多分とんでもない場所に連れて来られたんじゃないかと思っちゃいたけど、地球ですらないとは。
 ていうとあれか?噂に聞く火星ってやつか?)
窓の外には石造りの建造物と二つの月が浮かぶ夜景が広がっていた。



ゴーストステップ・ゼロ シーン02 “使い魔の仕事とポケットロン”

    シーンカード:チャクラ(調和/双方互角。自然な安定。何らかの均衡。和解。相互協定。)



そんなヒューに背後から苛立っているらしい声がかけられる。

「ちょっと!聞いてるのヒュー!」
「ん、ああ悪い。何だっけ?」
「ア、アンタねぇ。貴族を馬鹿にするのも大概にしなさいよ!
 わ、私だから良いけど他の貴族にそんな態度とってごらんなさい、死んだって知らないんだから!」
「いや、本当に悪いと思ってるよ。
 ルイズお嬢さん、どうか気を悪くしないでくれ、故郷じゃ中々見れない光景に吃驚してしまってね。」
「そ、そう、じゃあ仕方ないわね。
 たしか、とーきょーのばとかいう名前だっけ、聞いた事ない地名だからきっととんでもない田舎なんでしょうね。」

ポケットロンの事は風変わりな模様を見せるマジックアイテムとでも思っているらしいルイズ。
ふふん、と得意気な表情でヒューの方を見る御主人サマにヒューは特に抗議をする事もなかった。

「で。話を進めるわよ。
 ヒュー、貴方にはこれから私の使い魔として仕えてもらうわ。
 その件については、召喚した時にコルベール先生との話で承知していたから反論は認めないわよ。」
「ああ、別に反論するつもりも無いさ。
 契約書を交わさないっていうのは予想してなかったがね。」

といいつつ左手のルーンを見る、不思議な事にこの刺青(ルーンという物で使い魔の証明らしい)を刻まれてから、
絶えず身体を苛んできた痛みが止まっているのである。
どうやら、このルーンとやらには痛み止めかそれに類する効果があるらしい。悪し様に想像するのであれば使い魔に
なった以上、そう簡単に死んでもらっては困る…という事なのだろうか。
根本的に治癒されているか、それともただ痛みを止めているだけなのか、そこら辺は分からないが。華玲辺りだと
「キスだけで治るの?なら、その魔法ってファイブカードみたいね。羨ましいわ」とでも言うのかもしれない。

「ふん、まあいいわ。
 ところで使い魔には主人の目となり耳となる能力が与えられるんだけど…」
「で、見えるのかい?」
「ダメね何も見えないし聞こえない…。」
「まぁ、良かったんじゃないか?」

一旦瞑目して悔しそうに口にするルイズに対して、何でもない様にヒューはそう応える。

「何ですっ「いや、ルイズお嬢さんも人のベッドシーンとかトイレ」分かったから黙りなさい!
 ベッドはともかく、まぁ色々見えたりするのも良し悪しよね!
 ええ、そこは勘弁してあげる、感謝しなさい。」

人を使い魔にした弊害を告げたヒューの軽口に真っ赤になったルイズは、仕切り直すように咳払いをして説明を再開
する。

「まあいいわ、使い魔の次の役目だけど。使い魔は主人の望むモノを見つける事が出来るの!」
「望むモノって?」
「秘薬の材料になる植物や鉱石、とにかく色々よ」
「それって、地面掘ったり森の中に入ったり…って事だよな?」
「当たり前じゃない、お金を払って買ったりしても意味無いでしょ?」
「じゃあ無理だな、生憎そういった場所や特技には馴染みがない。」

華玲みたいなタタラや噂に聞くバサラやマヤカシとかいう連中ならどうだか分からないが。

「でしょうね、平民ってだけでもう期待してなかったわよ。」

この件に関して承知していたのか、ルイズもあっさりと納得する。

「そして、これが最後なんだけど。
 使い魔は主人の護衛を担う存在なんだけど…、アンタあまり強そうに見えないわね。
 背は高いけど痩せぎすだしあんまり力も強そうに見えないし、何より人間だもん。
 まぁ良いわ、その代わり雑用とかやってもらうけど文句無いわよね。」

そのルイズの言葉にヒューは肩をすくめる事で答える。
まあ「ご随意に」という所であろうか、ヒューのその仕草を見たルイズはいきなり服を脱ぎだした。
唖然とするヒューをよそに寝間着に着替えると、脱いだ服をヒューに投げて寄越す。
これは?と視線で問いかけるヒューを無視してベッドに入ると指を鳴らして部屋の照明を落とす。

「洗濯しておいて、それから明日は起こして頂戴。」
「あいよ、ところでルイズお嬢さん。
 視覚とかの共有代りに渡しておくものがあるんだけど灯りを点けてくれないか?」

ルイズはそんなヒューからの言葉をいぶかしみながらも部屋の照明を再び点ける。

「で、何を渡してくれるって?つまらない物だったら承知しないわよ。」
「少なくとも役には立つ、保証するよ。」

そう言いながらヒューは鞄の中からブレスレットを取り出して、サイドテーブルに置く。
銀色をしたそのブレスレットは装飾部分以外、全て細かい金属の部品で出来ているようだ。どうやら細かい部品を
調整して、個人に合うようサイズを変更できるらしい、唯一金属で出来ていない所は黒色の硝子板が嵌め込まれて
おり、枠には摘み等細かい部品が付いている。

「何、この安物のブレスレットは?言っておくけどこんな物で眠りを妨げたっていうのなら怒るわよ。」

不機嫌そうに睨むルイズだが、当のヒューはというとポケットロンを操作していた。

「ちょっとヒュー!」
「まぁ、落ち着けって…ああ、これだ。」

目当ての項目を見つけたのか、手に力を入れるとサイドテーブルに置いてあったブレスレットから音が鳴り響く。
すぐ横に居たルイズはいきなり鳴り響いた音に驚いて、ブレスレットをまじまじと見る…と、黒色をしていた硝子板
に妙な記号が踊っているではないか。

「な、これってオルゴールだったの?」
「違う、とりあえずその絵を軽く触ってみてくれ。」

ヒューのその言葉に、ルイズは恐る恐るブレスレットを手に取り、言われた通り絵を撫でてみる。
すると、瞬時に音は止まり踊っていた絵は変化して別の絵にすり変わった。
今度の絵は、同心円を2~3個重ねた様な絵だ、下の方には文字らしき記号が羅列されている。
ブレスレットのその変化をいぶかしんだルイズがヒューを見ると、当人は部屋の隅に移動しながらポケットロンを
耳に当てている。

「ヒュー、一体「聞こえるかいルイズお嬢さん」【聞こえるかいルイズお嬢さん】ふぇ?え、何?何でこのオルゴー
ルからアンタの声が聞こえて来るのよ?」

目の前のヒューが声を出した瞬間、手元からも同じ声が聞こえてきた為、ルイズは軽いパニックに陥っていた。

「悪い、さすがにそこまで驚くとは思ってなかったもんでな。とりあえずその手に持っているのに何か言ってみて
くれるか。」
「え…、これに?」
「ああ」
「何でも言いの?」
「どうぞ」
「じ、じゃあ。我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリーエール」
【我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリーエール】
「え?こんどはそっちから?」

今度は自分が出した言葉と同じ言葉がヒューの手元にあるポケットロンから響く。ルイズは信じられない物を見た
ような表情で、ヒューと自分の手元を繰り返し見ている。
ルイズの隣まで近付いてきたヒューは、持っていたポケットロンもサイドテーブルに置くと説明を始める。

「まあ、見た通りこいつはちょいと離れた場所なら会話ができる道具でね。
 俺は職業柄、何台か持っていたんだけど、とりあえず保険代わりに持っておいてくれ。
 ここら辺はウェブが無いから保証はできないけど、学園の敷地内位なら十分カバー出来るはずだ。
 ああ、それからあまり丈夫じゃないんでな、水に濡らしたり強い衝撃を加えたりすると壊れちまうから気を付けて
扱う事。
 使い方は…そうだな色々手続きがあるから明日にでも教えるよ、それまで弄くらない様にしてくれ。」
「すぐには使えないって事?」
「要するに誰がご主人様かこいつに覚えさせなきゃ俺の他には使えないのさ、それをルイズお嬢さんにも使える様に
しておく。」
「え?それってそのブレスレットが私専用のマジックアイテムになるの?」
「まぁ、そうなるかな?」

これにはルイズも驚いた、使用者を限定できるマジックアイテムなんてそうないだろう。
流石に使い魔の感覚共有には及ばないものの、こんな珍しいマジックアイテムを持っているなんて他の使い魔では
考えられない事だ。
しかし、ここで甘い顔をしては主人として使い魔に示しがつかない。
毅然と、そう!貴族らしい態度で臨まなくては!これからの主従関係に問題が起きかねない。
思わずニヤケそうになる頬を親譲りの頑固さで無理やり引き締め、再びヒューに向き直る。

「へ、へぇ。なかなか珍しいマジックアイテムじゃない。
 いいわ、本当はご主人様を驚かせた罰を受けてもらう所だけど、その殊勝な心構えに免じて許してあげる。」
「そいつはありがたいね。
 ところで、俺は何処で寝れば良いんだい?」
「そうね、今度寝具を買ってあげる、それまで床で我慢なさい。ああ、それとそこにある毛布も使っていいわよ。」

ルイズが言った毛布を受け取ったヒューは、毛布にくるまって鞄を枕にし、部屋の隅で横になる。



(ま、雨風凌げるだけましだろ)

トーキョーN◎VAにおけるレッドエリアの住民達の生活を知っているヒューは、別に文句を言うでもなく
別世界での最初の眠りに落ちていった。


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