あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロの黒魔道士-22


「ルイズおねえちゃん、危ないっ!?」
バルコニーをもぎとろうとする大きな手が、
夜空からニュッと伸びてきた。
「え?キャァァッ!?」
その手はバルコニーの柵をひねり潰したんだ。
この手って、まさか……
「ルイズおねえちゃん!?」
「いたたた――な、何よ!?何なのよ、いきなり!」

「あらあらあら、ちまっこいのが揃ってるわねぇ」
「「フーケ!?」」
大きなゴーレムの上、牢屋にいたはずの盗賊が、
ボクたちに月灯りのシルエットを見せたんだ。

―ゼロの黒魔道士―
~第二十ニ幕~ 走れ!


「嘘でしょ!?なんであんたがこんなところに!?」
「籠の中の小鳥は似合わないって出してくれたヤツらがいてねぇ――それで飼われてちゃ世話ないんだけど」
脱獄ってことなのかなぁ?
……籠の中の小鳥って、どっかで聞いたような言い方だなぁ……?
「さてと、あんた達にそこまで恨みはないけど、飼われてちゃ餌もらうために働かなきゃいけないんでね。大人しく――くたばってきなっ!!!」
土くれがみるみるうちに岩に変わって、堅そうな拳を作り上げる。
「ルイズおねえちゃんっ!?」
「逃げるわよ、ビビっ!」
ドゴーンッ
バルコニーが完全に砕かれてしまうちょっと前、なんとかルイズおねえちゃんと一緒に建物の中に戻る。
でも、ゴーレムの腕は2本あるわけだから……
「い、1階っ!1階にとにかく降りるわよっ!!」
「うんっ!!」
ゴシャーンッ
ゴーレムのもう1本の腕が廊下にまで突き刺さる。
『廊下は走ってはいけません』っていう規則なんて今は考えない。
とにかく、階段までルイズおねえちゃんに引っ張られながら走った。

「ビビ君!ルイズ!無事だったか!!」
1階も、ひどい様子だったんだ。
床には料理が散らばってて、倒されたテーブルにいくつも矢が刺さってて、
火矢も混じっていたのか、煙が視界を防いでて、
みんな倒れたテーブルの後ろで煙の隙間から外の様子をうかがっていた。
「相棒ぉ~、ちょいとピンチみてぇだぜ?おれっちの出番だなぁ~」
……デルフがうれしそうだから、かなり嫌な予感がしたんだ。
「えっと……これって……」
「どういうことよっ!?何よこれ!?」
……ルイズおねえちゃんの声って、ときどき大きすぎると思うんだ。
その声を目標にして2、3本矢が飛んでくる。
「危ないっ!?」
キィンッキキィンッ
デルフをひっつかんで、1本はボクが叩き落とす。
残りの2本は……
「静粛に」
「ふぅ、怪我はないかな、ルイズ?あぁ、使い魔君も」
タバサおねえちゃんとワルドおにいさんがそれぞれ杖で防いだんだ。
「ルイズ~、迂闊すぎよ~?もっと冷静に、ね?」
「う、わ、分かってるわよ!あんたに言われたかないわっ!」
「あら、ごあいさつね。そうやって場をかき乱すような――」
「きゅ、キュルケおねえちゃん、ルイズおねえちゃんも……」
状況が飲み込めないけど、喧嘩してる場合じゃないって思う。
「2人とも、敵の襲撃中だ。静かにしよう」
……意外にも、ギーシュがすごく冷静だったんだ。
……特訓の、成果、かなぁ?

「敵は平民の傭兵が2、30人程だね。メイジ戦を理解しているのか、距離をうまい具合に使っている」
ワルドおにいさんが分析する。
「フーケの他にもそんなにいるの!?あー、もう!なんだってのよ!」
「ルイズ?フーケって?まさか、あのゴーレムが来てるの!?」
どうやら、かなり困った状況みたいだ。
「敵に行動が筒抜けだった、ということですか、ワルド子爵?」
「いい女は居場所がすぐに知られて嫌になりますわね」
「だから、あんたはなんでいっつもそういう発想に――」
どこからバレちゃったんだろう……周りを見渡すけど、答えは出そうにない。
ともかく、今は敵に囲まれている、できることはそう無いと思うんだ。
「えっと……逃げる、ってできるかなぁ……」
戦うことは目的じゃない。今は、安全にアルビオンでお手紙を手に入れることが目的なんだ。
「状況から見て困難と言えるだろうね、使い魔君。敵の行動が読めないのだから、従って――」
「二手に分かれる」
タバサおねえちゃんがワルドおにいさんの言葉を引き継ぐ。
そう言って、ちょっと考えてから、キュルケおねえちゃん、ギーシュ、と指さして、
最後にタバサおねえちゃん自身を指示して「囮」と短く言う。
「――やるね、タバサ君。そういうことだ。誰かが傭兵達の目を引きつけておき、その隙に任務を果たす部隊を半数以上送り込む、これが正解だな」
「そんな!?それじゃギーシュ達は――」
ルイズおねえちゃんが心配して声を荒げる。
確かに、人数の差が大きいし、何よりフーケのゴーレムまでいるんだ。
メンバーを2つに分けるのは危険じゃないかなぁって思う。
でも……
「ルイズ、大丈夫さ。君は任務を果たしたまえ」
ギーシュがボクにデルフを渡しながら胸を張ってこう答える。
少しだけ、ほんの少しだけギーシュの手が震えているのに気がつく。
「守られてばかりでは、バラとしての名が廃るしね。せいぜい、ゲルマニアのお嬢様達にトリステインの男の実力を見せるとするさ」
「あらあら、ギーシュにしては言うようになったじゃない!でも、まだトリステインの男に守られるほど落ちぶれたわけじゃないわよ?」
「……ホントに、大丈夫?」
デルフを握りしめながら確認する。
キュルケおねえちゃんとタバサおねえちゃんは、強い。
それに、ギーシュもボクとの特訓で、頭を使った戦い方ならボクよりもずっと強い。
だけど、心配になってしまうんだ。
「カカカ、相棒~?ライバルがこう言ってんだ!俺様達は、俺様達のやれることをやろうぜ!」
「問題無い。行動は迅速に」
「ほらほら、ルイズ~、あんたもそんな情けない顔しないで!お国のための任務とやら、サクっと終わらせてきちゃいなさいな♪」
「きゅ、キュルケ――あんたに心配される筋合いは無いわっ!!勝手にくたばるんじゃないわよ?」
……話は、決まったみたいだ。
なら、ボクのするべき仕事ははっきりしている。
「……行こう、ワルドおにいさん」
「ふむ、なら船着場へ、だな。無理やりにでも飛んでもらうとしよう!それでは、状況を――開始する!」
ゴゥッと一陣の風が傭兵達の集団を煙ごと襲い、轟音をあげる。
それを合図にして、ボクたちは船着場へ。
ギーシュの引き締まった顔と、ルイズおねえちゃんの戸惑っている顔の対比が、
なんとなく、印象的だったんだ。

――――――

ピコン
ATE ―男ギーシュ、ここに立つ―

「で?どうするおつもりかしらトリステインの男代表さん。何か見覚えのあるゴーレムまで出てきちゃったんだけど――」
まだ体の震えが止まらない。
だが、自分より小さな子供が男を見せて行動をしている。
その子は自分のライバルだ。
ライバルががんばっているのに、何で自分が隠れていられる?
麗しの女性が2人もいるこの状況で、咲かずして何がバラだ?
「――ヴェルダンデ、いるだろ?」
地面に向かって最愛の使い魔に声をかける。
姿は直接見えないが、間違いなく、そこにいる相棒の気配に安心する。
大丈夫か、と気づかう素晴らしい使い魔の心づかいを感じる。

そうだ。

ライバルに自分自身が言ったんじゃないか。
立ち止まることは、許されないんだ。
「――特訓の成果、見せつけるよ。ヴェルダンディ」
杖を握りしめる手は冷汗にまみれ、
だが震えはおさまり、敵を見据える男の顔がそこにはあった。
「諸君、僕は援護に徹する。いくつか指示を出すから、よろしく頼むよ」
できることを、最大限のやれることへ。
少年の顔は、戦士のそれへと変わっていた。
「了解」
「――ま、いいでしょ。ぬるい援護してたら、あんたごと燃やすからね、ギーシュ!」
造花のバラから花びらが舞う。
今宵、少年の力が開花することとなるのは、まだ誰も知らない――。

――――――



灯りも消えて暗い街並みを走る。
敵の姿は全然ない。
……傭兵達、なんか、うっかりさん?
このまま、何も無いまま船に乗れればいいけど……
丘を上へ上へと駆け上がる。
足が何度かもつれそうになるけど、必死に走ったんだ。
ルイズおねえちゃんも息があがっている。
丘の上にはイーファの樹によく似たおっきい樹、
その木に階段が蔦のように巻いていて、
飛空挺っていうよりも海の上を走るみたいな形の船が何隻かくっついていた。
……こんな形で、本当に飛ぶのかなぁ……

「ワルド、どの船に乗るの?」
「一番上の桟橋だ!あれが一番速度がある!」
「あ、あそこまで登るの~……」
「相棒、もう一踏ん張りでぇ!泣きごと言うな!」
……デルフに足が無いのって、ときどきずるいなぁって思うんだ。

「て、てっぺんはまだ~……?」
足がガクガクする。
リンドブルムのお城みたいな昇降機って無いのかなぁ……
「ビビ!速くっ!追手が来るかもしれないじゃない!」
ありがたいことに、後ろから追手が来てる様子はない。
だからといって、のんびりするわけにはいかないけど……
みんな速すぎだと思うんだ……
「なぁに、娘っ子!ここまで来りゃ追手もねぇだろうよ!」
デルフが笑って言う。
……だから、ちょっとだけ不安になる。
デルフには悪いけど、デルフの機嫌が良かったときって、何か変なことが起こる気がするんだ……
「いや、安心はできなかったようだ」
ワルドおにいさんが杖を懐から取り出す。
おおきな樹のてっぺんの桟橋、その前には仮面をつけた人が立っていた。
ゆらりと、ゴーストみたいな妖気と殺気を放って……
「待ち伏せ!?」
「そのようだね。ルイズ!僕の後ろに控えていたまえ!」
ワルドおにいさんが颯爽と杖を構える。

ボクは、それよりも一瞬早く走り出したんだ。
決闘や手合わせなんかじゃない、これは実戦なんだ。
相手は不意打ちをしてくるかもしれないけど、
こちらも先制攻撃が可能。
ボクは、足や動きが遅いかもしれない。
それなら、
「相棒っ!魔法が来そうだぜっ!おれっちを構えなっ!」
「うんっ!」
足りないものは足せばいい。
判断力の速さと、ガンダールヴの剣技、ボクの持っている魔力、デルフの魔力吸収能力、
全てを足す、それだけだ!
仮面の人がボク達の動きに気づいて杖の方向をボク達に向ける。
そのとき、仮面の下の顔が歪んだような気がしたけど、気のせいかな?
ビシャァァンッ
サンダラ並の強力な雷が、デルフを伝ってボクにもわずかに伝わる。
デルフが吸収してくれなかったら、ちょっときつかったかもしれない。
でも、デルフが吸収してくれたんだ。
だから、ボクは止まらないでいられる。
「っかぁ~!しびれるけど、相棒の雷ほどじゃぁねぇなっ!いくぜっ!」
「無念の響き、嘆きの風を凍らせて
         忘却の真実を語れ… ブリザガ!」
デルフに雷を吸収されたことを驚いているのか、
一瞬うろたえた仮面の人、
その喉元にデルフの突きを、お腹のあたりにブリザガを同時に叩きこむ。
仮面の人の後ろは桟橋、左右に避ける隙間はあまりない。
一気に片付ける、そのつもりだったんだ。

カシャーンッパリッ

……凍りついたのは、桟橋だけだった。
デルフの切っ先が仮面に触れたと思った瞬間、フワッと、仮面もローブも何もかも消えちゃったんだ。
「え!?」
「お、おいおい、相棒?やっこさん、消えたぞ!?」

「――『風の偏在』、だな。敵はかなりの使い手らしい――」
取り逃がしたことを悔しく思うのか、
ワルドおにいさんが渋い表情で杖をしまいながらボクに解説する。
「『風の偏在』?……これも、魔法なの?」
「うむ。自らの分身を作り上げる高度な魔法だよ。しかし、君は見事打倒した――」
「ちょ、ちょっと!?スクウェア・クラスの呪文でしょ?ビビ、あんたよく倒せたわねぇ――」
ルイズおねえちゃんは無事みたいだ。
よかった、ボクは、守れたんだ……

「相手も、突然のことに驚いたようだし、偶々だろうね。えー――使い魔君、そのインテリジェンス・ソードには魔法吸収の効果でも?」
「あ、はい……デルフは、魔力を吸い取るみたい……」
「おう、ただのサビ刀じゃねぇぞっ!なめるなこんちきしょー!主役はおれっちだぜ!!」
……デルフって、本当に調子がいいと思う。
「なるほど、なるほど――いい剣を持ってるね、君は――あー、今日の昼間は少々言いすぎたようだ」
ワルドおにいさんがにっこりと笑顔を作りなおす。
「君は、護衛としてそれなりの力を持ているようだ。これからも、共にルイズを守ろうじゃないか、使い魔君」
そう言って、ボクの肩をポンと叩くワルドおにいさん。
ちょっとは、認められた、かな?

「さぁ、諸君!アルビオンに急ごう!また追手が来ないとも限らんしな!」
「えぇ、急ぎましょう!姫殿下のためにも!」
任務はまだ残っている。
お手紙を早く取り戻しにいかなきゃならないんだ。
帽子をきゅっとかぶりなおして、気合を入れた。

……色々考えてて忘れてた。
これから乗るのって、やっぱり飛空挺、だよね……?
「相棒、酔い止め薬ぐれぇ買っときゃよかったな?」
「……船の中で寝る場所ってあるかなぁ……」
目が覚めたら着いている、ぐらいだったらいいなぁって思ったんだ。



――――――

ピコン
ATE ―舞台袖の密会―

「ったく、どうなってんのさ!」
マチルダも走っていた。
走りながら怒っていた。
以前学院で働いていたときよりも、
例の事件で対峙したときよりも、
そして仮面の男に聞いた情報よりも、
ガキどもは恐ろしく手ごわかったのだ。
それも、ある程度予想していたトライアングルの女2人の戦力だけじゃない、
あのドットメイジのボンボンのバカたれがあんなに強くなっているのは予想外だった。
酒を可燃性の油に錬金し、火魔法のサポートをしたのを皮切りに、
矢の雨に対する的確な盾の役割、
さらには使い魔のデカモグラと一緒に落とし穴でこちらのゴーレムを封印。
ただ女の鎧でお人形ごっこをするだけの脳無しと思っていたが、
どこで鍛えたのか攻守に渡る大活躍を見せやがった。
そのサポートに支えられる形で、
トライアングルクラスの火球だの氷槍だのを飛ばされちゃクズ傭兵共じゃ役者不足にもほどがある。
せいぜい役に立ったのは、慌てて逃げ出すそいつらに紛れ自分もとんずらすることができたことぐらいだ。

「あぁ~、もうこんな役はゴメンだねっ!さっさと逃げt っ!?」
森に逃げ込んでしばらく走ったころ、目の前に見覚えのある銀髪オカマ野郎が立っていた。
「三文芝居のお手伝い、ご苦労さま。大根役者共を従えた割には名演技だったと思うよ」
逃げ出すのを見越しての待ち伏せか?
「及第点は君ぐらいかな?後は大根すぎて話にもならない。やはりオーディションは実技で見るに限るね」
オーディションだ?
この野郎、あたし達を試してやがったらしい。
ますますもって鼻もちならないくそったれ玉なし野郎だ。
「ハッ、仮面の野郎にも言っておきな!あたしゃもう降りるよ!契約期間はもう終わりだろ?」
何にせよ、もうこいつらの元に戻るつもりは無い。
「ん~?確かに、『レコン・キスタ』との契約はもう終わりかも、ね――」
含みを持たせたまま、妖しげな笑みを浮かべるオカマ野郎。
「あぁ?何が言いたいのさ、あんたは!いいからどきな!あたしゃ帰るんだよ!」
帰る?どこに?帰る場所があるとすれば、それは1つしかない。決まっている。
「あぁ、サウスゴータ近郊のウェストウッド、別名『物忘れの森』へ、かな?丁度いい」
脳裏に描いた場所、その名を言われ反応してしまう。そんなことまで調べていたのか?
「――あんたら、どこまで――」
「あぁ、このことは『僕達』しか知らないさ。『レコン・キスタ』のおバカさん達は自分たちの猿芝居に夢中だしね」
ご丁寧に身振り手振りを大仰に使ってこちらの疑問に答えてくれやがる。
この男、『レコン・キスタ』とやらとは関係ないということか?
その情報は、どこまで信用できる?
「――“丁度いい”ってのはどういう意味だい?」
「フフ、土くれの女騎士が守る麗しき女王様にお目どおり願いたくてね。道案内と紹介をお願いできないかな」

知ってやがる!
この男、何もかも知ってやがる!
殺すか?今すぐにでもこいつを殺して、あの子たちの安全を図るか?
しかし、こいつは“僕達”などとぬかしやがった。
裏に控えてるヤツらがいる?
こいつを殺したところで、新手が来るのは確実、か?
ならいっそ、この男が別のやつらと組んでいると『レコン・キスタ』にぶちまけて自分達の保身を図るか?
いや、そんな不確かな話で信用が得られるわけがない。
くそ、情報が足りない!
どうする?どうするのが正解だ?
裏社会で培った知恵が目まぐるしく動く。

「浅知恵の芝居はやめておきたまえ、マチルダ。失敗模様は、先ほど君が演じる羽目になったからご存じだろ?」
この男、この紫唇のオカマ野郎は仮面男の失敗を予測してやがった。
少なくとも頭があるのはこっちだ。
裏社会のもっとも単純な原則は『強い者につけ』だ。
飼われることになるのは癪だし、何より、大事なあの子たちが人質にとられているも同然だ。
だが、ここはこの男に従うフリでもしてなきゃ全てが終わってしまう。
自分が守りたかったものも、全て、だ。
「――あんた達の素性を明かしな。それが交換条件さね」
最大限の譲歩。
目には目を、情報には情報を、だ。
いざというときの保険はかけておく。
情報はかさばることのない、最もお手軽で価値の出る質種だ。
「フフフ、交渉成立、かな。ようこそ僕達の芝居へ、マチルダ・オブ・サウスゴータ!特等席から花を投げる栄誉を与えよう!」
そう言って、木の間から射す月光のスポットライトへ歩を進めるオカマ野郎。
舞台の真中には、風龍が一頭眠るように座って待っていやがった。
用意のいいことだ。
このままアルビオンにでも行くつもりか?
「善は急げ、さ。とりあえず、三文芝居の幕が降りるのは見なくてはいけないからね。君も来るだろう?」
拒否権などあるものか。
こうなりゃ自棄だ。
この男の全てを知って、あとでどこかに売りつけてやる。

「――交換条件に答えな。あんた、何者だい?」
風龍にまたがりつつ、何度したか分からない質問をする。
「僕達かい?僕達はね――」
何度したか分からない質問に、初めて見せる表情で銀髪の男が答える。
嘲笑と、悔恨と、野心の入り混じった、奇妙な表情。
それは男の化粧と相まって、艶美な魅力をかもし出す。
「僕達は、『運命に敗れ、運命を倒す者』さ。君も、そうだろう?」
風龍が月影を森林に残し高く飛びあがった。


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