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ゼロの黒魔道士-20


酒場って、色んな情報が聞けたりするから、
旅の基本であり、町に来たらまず行けって聞いたことがあるんだ。
……確かに、色んな情報は聞けるんだけど……
「きゅ、キュルケおねえちゃん、やめてよぉ……」
「いいじゃないのよぉ~!キュルケおねえちゃん嫌い?ね、ビビちゃんはどんな子が好きなのよぉ~♪」
……こんな情報を問いただされるとは思わなかったなぁ……


―ゼロの黒魔道士―
~第二十幕~  眠らない港町 ラ・ロシェール


ラ・ロシェールは山の中にある港町なんだ。
(飛空挺の港、なのかなぁ?)
岩を削って作ったってルイズおねえちゃんが自慢してたけど、
ここまで大きな町を作るって確かにすごいなぁって思う。

「残念ながら、明後日まで船は出ないそうだ」
お買い物をしながら情報収集をしていると、
(分かったのは、アルビオンの料理はそんなに美味しくないっていうこと、
 アルビオンの王党派はもう虫の息っていうこと、
 あと、武器やアビリティは装備しないと意味が……ってこれは情報収集の内に入るのかなぁ?
 買い物は、携帯用の食料を幾つか買いにいったんだけど、
 ルイズおねえちゃんが甘い物をばっかり選ぼうとしたり、
 タバサおねえちゃんが持ち切れないほど大量に買おうとしたり……結局決まらなかったんだ)
ワルドおじさんが船員さん達から運行情報を聞いてきたんだ。
「そんな!急いでいるのに!」
ルイズおねえちゃんが焦っているのがよく分かった。
王党派が危ないってう情報ばっかりだから、ボクも焦ってくる。
「何故明後日なんですの?」
「スヴェルの夜」
「なかなか鋭いね、タバサ君。そう、アルビオンは月が重なるスヴェルの翌日の朝、に最も接近するのでね。風石の節約のためにも飛ぶ時期は決められてくる、といわけだよ」
……接近する?動くの?アルビオンって?
「そうそう、そういうわけだよ、分かったかい?キュルケ君」
「いやなんであんたが威張ってんのよ、ギーシュ」
「あーもう!こんな所で足止めだなんて!」
「ルイズおねえちゃん……船が出ないなら、しょうがないよ。とりあえず、落ち着こうよ?」
とは言うものの、ボクもすごく心配になってくるんだ……
お姫様の手紙……無事だといいけど……

「なんとか、3部屋確保できたよ」
今日は疲れてるし、あと何日かは身動きが取れない。
ということで、女神の杵亭っていう宿屋さんに泊まることになったんだ。
結構高そうなお宿だけど、貴族の人たちって本当にお金持ちなんだなぁと思う。
「キュルケ君とタバサ君、ギーシュ君とビビ君、そして僕とルイズ、このような部屋割りでいいかな?」
ワルドおじさんが鍵束を渡しながらそう言う。
「な!?わ、ワルド!私たちまだ結婚前なのにそんな!?」
? ルイズおねえちゃん、なんでそんなに慌ててるんだろう?
「大事な話があるんだ。二人っきりになりたい」
ルイズおねえちゃん、顔がすっごく真赤になってるけど……大丈夫かなぁ?

「ずばり、告白ね!全く、ルイズったらあんな男をキープしてるなんてねぇ」
夕食の後、ルイズおねえちゃんとワルドおじさんは部屋にすぐ戻っちゃって、
残りのみんなでそのまま酒場で過ごしてたんだ。
告白……?婚約してるけど、やっぱり告白とかあるんだ……
「なんで分かるの、キュルケおねえちゃん?」
「フフフフフ!いい女はね、こういう匂いには敏感なものよ!でもまぁ、あの二人、まだくっつくのには時間がかかるわね~」
ワイングラスをくるくる回しながらキュルケおねえちゃんが分析する。
「? なんで?」
「自信不足と強引すぎる相手」
「ビンゴ!何よ、タバサ、案外こういうこと、きっちり分かってるんじゃない!」
「ただの勘」
「えっと、結局、どういうことなんだい?僕には話が見えないんだが……」
どうも、状況が分かっていないのはボクとギーシュだけみたいだ。
こういう話って、女の人の方が強いのかなぁ?エーコとか……
「っはぁ~、そんなんで薔薇を名乗ってるわけ、ギーシュ?」
「う  ま、まぁいいじゃないか!後学のために聞かせておくれよ!」
「う~ん――ま、いいでしょ、『キュルケおねえさんの恋愛講座』の開講ね!耳をかっぽじってよくお聞きなさい!」
新しいワインボトルの栓を抜きながら、キュルケおねえちゃんの授業がはじまったんだ。

「――つ・ま・り!ルイズは胸も魔法も徹底的に不足していて、自分を過小評価してるってわけよ!磨けばそこそこ光りそうなのにねぇ」
……ワインのボトルが何本か空いたころ、キュルケおねえちゃんの話がやっと本題に入ったんだ。
ちなみに、さっきまでは『いい女とは』とか、
『トリステインの男の見る目はザルだ』とか、
『大体、見合なんて邪道よ、邪道!恋愛とはもっとドラマチックかつロマンチックに――』とか色々言ってたけど、
ボクにはちんぷんかんぷんだったんだ……うーん、恋愛って、難しそうだなぁ……
「で、それと『強引すぎる相手』というのはどう繋がるんだい?」
「ギ~シュ~、あんた、ホンットダメダメね~!ようはね、自分に自信が無い、けどプライドはやたら高い、そんな女の子を無理やり引っ張ろうとしても、相手が困るだけってこと!」
「そういうものかい?ん~、大体、ワルド子爵はそこまで強引には――」
「いや、今日の態度を見てて分かったけど、あれは何か焦ってるわね!焦りすぎて周りがちっとも見えていないわよ。見た目はいいけど、やっぱり所詮トリステインの男ねぇ――留学、失敗だったかしら」
……キュルケおねえちゃん、色々観察してるんだなぁ……
そんなキュルケおねえちゃんが、さっきルイズおねえちゃんを、『磨けば光る』って言ってくれてるんだし、
ルイズおねえちゃんももっと自信をもっていいと思うんだけどなぁ……
「いやいや、トリステインの男もそう捨てたものでは――」
「あら、私はあんたと寝るぐらいなら――」
突然キュルケおねえちゃんにギュッと抱きしめられたんだ。
「え、ちょ、きゅ、キュルケおねえちゃん?」
「ビビちゃんを抱き枕にして寝た方がいいわ♪ん~、相変わらずかわい~♪」
う、ちょっとキュルケおねえちゃんお酒臭い……酔っ払っちゃった?
「きゅ、キュルケおねえちゃん~……」
「ねぇねぇ、ビビちゃん、好きな子とか、いる?」
「え」
な、何を突然聞いてるの?
「い、いないけど?ど、どうして?」
なんだろう、この変な感じ……タバサおねえちゃんもずっと読んでた本を置いてこっちを見てるし……
「ふ~ん、女子寮に住んでて、可愛いおねえさん達に囲まれてるのに、ねぇ?」
妙な迫力が、妙な圧力がボクにかかってくる……ど、どうしたらいいんだろう……
「全くだ!僕と代わってほしいぐらいだよ!」
「ギーシュ、あんたはしょっちゅう夜這いしてるじゃない」
「な!?なんでそんなことを!?」
「乙女の耳は地獄耳~♪なんちゃって♪あはは♪」
キュルケおねえちゃん、本格的に酔っ払ってきてるなぁ……
「じゃぁね、じゃぁね、ビビちゃん♪――好きな子のタイプは?」
「え」
さらなる圧力がボクにかかる……ベヒーモスよりも重そうな圧力が……
抱きしめる力もそれと一緒に強くなる……頭の上に柔らかいものが当たってる気もするけど、何だろう?
「きゅ、キュルケおねえちゃん、やめてよぉ……」
「いいじゃないのよぉ~!キュルケおねえちゃん嫌い?ね、ビビちゃんはどんな子が好きなのよぉ~♪」
「ぎ、ギーシュ、助けてぇ……」
「うーん――どうしようかなぁ、結構、おもしろいし――」
「そ、そんなぁ!?」
貴族の人って、ときどき、ひどいなぁって思うんだ……
ニヤニヤしながらギーシュがこっちを見ているだけ……
「夜はまだまだこれからよ~♪今日はビビちゃんのこと細かに聞きだしちゃうわよっ♪」
「わー、パチパチ」
「た、タバサおねえちゃんまで!?」
な、なんでこんなことになっちゃうの?
ルイズおねえちゃん、誰か……
「誰か助けて~……」

ラ・ロシェールの眠らない夜は、まだまだ続きそうだったんだ……


ピコン
ATE ―深夜の邂逅―

「今すぐに返事をくれとは言わないさ。とりあえずはこの旅の間に、僕を見ていてくれればいい」
「ワルド様……」

「きゅいきゅい~」
青い龍は、その芝居を特等席から見物していた。
窓の中では、お髭の男の人と、おねえさまの友達が恋のお話をしている。
しかし、なんというか、男の方の台詞は白々しいというか、強引すぎるというか。
龍とはいえ心は乙女。
彼女がもしいつかこのような告白をされ方をされたとしても、
あまり乗り気がしないな、と思ってしまう。

「それじゃあ、もう寝ようか。疲れただろう」
「え、えぇ……」

どうやら面白いお話はもうおしまいのようだ 。
しかし、彼女はまだ眠る気はしない。
仲良しの精霊さんのお手伝いに、というおねえさまの言葉に従って遠出してきたということもあり、
少々気分が高揚している。疲労感もなんのそのだ。
ちょっとぐらい夜の空中遊泳を楽しんだ方がよく眠れる。

そんな考えの下、ラ・ロシェールの空に飛ぼうとした、そのときだ。
「明日の幸せを願って人は眠る……
 昨日の不幸をすべて忘れてしまうために……」
どこからか声がした。変だ。人の声らしいのに、空を飛ぶ自分よりも上から声がする。
「そして喜びに満ちた夢を見ることを願う……
 そう……つらく苦しい現実を忘れてしまいたいから」
宿屋の屋根の上、奇妙な服装の人間が詩を吟じるように独り言をつぶやいている。
しかも大仰な身振り手振りまでつけて、である。
龍である身から見ても、危ない人とか変な人としか思えない行動だが、
不思議とその光景は神秘的で、目が釘付けにされてしまう。
「……至って静かな、いつもの夜だね。深夜の散歩かい?シルフィード君」
「きゅい!?」
何故この人は私の名前を知っている?シルフィードの本能が警戒音を発する。
それと同時に、この人物を探ろうとありとあらゆる感覚が緊張状態に入る。
「フフフ、そんなに警戒しなくていいよ、僕は君と戦うつもりはない。
 何より、今回、僕は表立って手出しをするつもりは無いんだ」
月光に照らされた白銀色の髪の毛をはかきあげながら、その人物が言う。
ご丁寧に「何も持ってませんよ」とでも言いたいのか、両手を自分に見せながらだ。
ふと、この人物の中身を探っていた感覚の1つが奇妙な既知感を覚える。
「それに、君はしゃべれるのだろう?独りで月下の散策にも飽きてたんだ。お話しでもしないかい?」
「きゅ!?」
そうか、ビビちゃんと会ったときに感じたあの感覚だ。
色々な属性が、それぞれが強い力を持ったまま、ごちゃ混ぜになってこの人の中に存在している。
でも、ビビちゃんとは何か違う。もっと、荒々しくて、もっと――悲しい?
「――あ、あなたは、誰なのね?」
慎重に、慎重に口を開く。
「あぁ、自己紹介が遅れたね。クジャだ。よろしく、可愛らしい風の子よ」
「――なぜ、あなたはシルフィのことを?」
あぁ、おしゃべりしているなんてバレたらおねえさまにお仕置きされるだろう。
でも、この人は何か不思議。ビビちゃんや精霊さんに似ているけど、何か違う。
この人をもっと見定めなくてはならない。問いたださなければならない。
理性と本能が合致し、普段はのんびりとした思考しか行わない頭脳が冷静な対処を行わせようとする。
「フフフ、ちょっとした手品とでも言っておこうか?君のご主人様、シャルr――おっと、いけない、いけない、タバサ君、だったかな?の知り合いと知り合いでね」
「!?」
この人は、この人はおねえさまのことまで知っている!
それも、秘密にしているところまで知っている!
どうする、この人は敵か?倒さねばならないか?使い魔としての義務感と、冷静に対処しようとする知性が葛藤をはじめる。
「まぁ、ここに僕が来たのは、何も君たちをどうこうしようという訳じゃないから安心してくれたまえ。
 恋愛劇の自称主役の演技を見にきた、とでも言おうか――とんでもない三文芝居だったがね!」
恋愛劇?さっきのお髭の人とルイズの話だろうか?
三文芝居?確かに、龍である自分から見ても、あの口説き方は無理があるとは思ったが――
何故、何故この人がそのことを気にする必要がある?
「さてと、今日の公演は済んだようだし、この辺で帰るとしようか――あぁ、そうだ。君に伝言を頼むとしようか」
「な、何なのね!?い、言っておくけど、シルフィ達は脅しには屈しないのね!」
重なりつつある双月に背を向けて、立ち去ろうとした人は、先ほどまでの幽かな笑顔をきっとひきしめる。
まさか、姿を見られた自分を殺そうとでもするのか?ならば全力で臨んでやろう。
「――とんがり帽子の男の子がいるだろ?彼に伝えておいてくれるかい?――“お久しぶり、『虹』が見えたときにまた会おう”とね」
とんがり帽子?ビビちゃん?この人、ビビちゃんのことまで知っている?
「あなた、何を言いたいのね!?あなた、結局何者なのね!?」
「フフフ、手品師とはやすやすとタネを見せないものでね――それでは、良い夜を!」
フッとその人が空中に足を踏み出した途端、
まるで幽霊みたいに消えてしまった。
「きゅいっ!?」
屋根から落ちた?いや、そんな様子は全くない。
まさか、本当に幽霊?精霊さんと似ている感じもしたし、そうなのかもしれない。


――おねえさまには黙っておこう。幽霊だとしたら、おねえさまが怖がってしまうから。
青い龍は銀髪の人物が去った場所をじーっと見つめながらそう心に誓った。


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