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ゼロの黒魔道士-19


「くっ、流石にグリフォンは速いなっ!ちっとも追いつけない!」
ギーシュが思いっきり馬を走らせるけど、グリフォンについていくのがやっとだ。
「え、あ、う、あ、む、無茶、しな、く、て、いいか、らっ!?」
そして、ボクは、そのギーシュにしがみつくのがやっとだったんだ……
「もう少し飛ばすよっ!このままじゃ見失うっ!」
「え、う、う、うわぁぁぁっ!?」
……馬よりチョコボの方が、捕まるところが多くてよかったなぁ……羽とか……


―ゼロの黒魔道士―
~第十九幕~  幸運の帯虹


普通、トリステイン学院から、ラ・ロシェールっていう港町へは馬で3日かかるらしいんだ……
でも、グリフォンはとっても速いし、ギーシュも馬を宿場町で何回も乗り換えたし、
(ものすっごく馬は疲れてた……ゆっくり、休んでほしいなぁ……)
ここの街道は昼間はモンスターとかが現れないみたいだし、
(安全な旅でよかった、と思うんだ)
ラ・ローシェルの町並みがうっすら見えたのはまだお日さまが地平線にかからないくらいのときだったんだ……
うーん、急ぐ理由は分かるけど……
「い、いたたた――ビビ君、君、腰とか痛くないかい?」
「ぜ、全身が痛いよ……」
……馬でここまで急ぐことないと思うなぁ……
グリフォンはずっと前を飛び続けていた。
さっきの宿場町で休憩したときに、ワルドおじさんが言っていたのは、
「この分なら、今夜はラ・ロシェールで一泊し、明朝の船だな」
っていう予定らしい。
(ボクとギーシュは疲れててちゃんと聞けなかった気もするけど……)
そのとき、ルイズおねえちゃんは「今夜の船は無理なの?」って言ってたけど、
夜は危ないから船は出ないって……岩とかに、ぶつかるから、かなぁ?
……それにしても、ルイズおねえちゃん、張り切ってるなぁ……

「まったく、ワルド子爵ももう少しペースを落としてくれてm……あんなところに灯g危ないっ!?」ザザッ ザシュッ
突然、ギーシュが馬を止めたんだ。(おかげでギーシュに頭をぶつけちゃった)
「え?ど、どうしたの?」
「しゅ、しゅ、襲撃だっ!!」
「え!?」
馬の目の前に、火矢が刺さっていた……
「ど、どういうこと!?」
「おそらく、追剥の類だろうね――ほら、またきたっ!?」
火矢が何本も、何本も、雨みたいになってボクたちに降り注ぐ!
慌てて馬から降りて避けるボクたち。
「く、くそっ追剥にしては手際がいいなっ!?」
岩陰に隠れるボクたち……そういえば、グリフォンに乗っているルイズおねえちゃんたちは?
まさか、だけど……今の火矢で……
「お、おい、ビビ君、どうするつもりだい?」
「……矢だと、グリフォンに届くかもしれないよね?」
「そ、そりゃね?――ま、まさか、ビビ君!?」
「……ギーシュは、『錬金』で身を守ってて!」
デルフを鞘から出して、(ギーシュに作ってもらったんだ。パカッて縦に割れて開く鞘……これなら、ボクでも何とかなるよね?)
岩陰からそっと向こうを見る。
間違いなく、火矢は向こうから飛んできた。
「よぉ、相棒!危険な目万歳だな!おれっちの出番だっ!」
「あんまり、万歳って思わないけど……行くよ!」
「び、ビビ君?本気かい?ワルド子爵ならきっとだいじょうb」
「ルイズおねえちゃんを危ない目に合わせるかもしれない敵は、放っておけないから!」
岩陰から、ボクは跳びだした。

思いっきり、走る!相手は火矢を打ち込んできている。
ということは、魔法で攻撃しようとしても、
詠唱しようとしている間に攻撃されちゃったりする可能性が高い。
岩陰から魔法を打ってもいいけど、向こうの火矢はもちろん、こっちの魔法も狙いがつけられない。
だから、まずは敵陣に飛び込んで、相手の飛び道具を全部壊す!
それから距離をとって魔法で攻撃するなり、
あるいはそのまま敵陣でデルフで全部なぎ払うだけ。
ギーシュとの特訓のお陰か、戦い方の使い分けが冷静にできるようになってきている、と思うんだ。
「よーっしゃ、相棒ぉっ!見せ付けてやんぜぇぇっ!!」
「うんっ!」
何本もの火矢が飛んでくる、相手の居場所はもう分かった。
「えいっ!」キィンッ
火矢をデルフで叩き落しながら前へ、前へと走る。
敵は岩に囲まれた藪の中、間違いはない。
「お、敵さんじれて出てきやがったぜ!」
距離が近くなると相手は火矢を打つのをやめて、藪の中から敵が姿を現したんだ。
相手は……4人、みんな剣や斧を抜いている。
受けてたつつもりだ!
「デルフ、行くよっ!」
「いつでも来いやぁっ!!」
敵の中で1番体の大きな人に狙いを定める。1人ずつ、確実に、だ。
「とりゃぁっ!!」ギィィンッ
「ぬんっ!」
デルフには、何の魔力もこめないで、かついだ肩から一気に振り下ろす。
相手はそれを重そうな剣でガッチリと受け止める。ここまでは予想どおりだ。
「せいっ!」ダットトトンッ
「な!?」
デルフを止めたその剣を駆け上り、空へ。
「おほっ!相棒、この高さは新記録じゃねぇか?」
「暗雲に迷える光よ……」
一瞬の空白、狙いはシンプルだったんだ。
肉弾戦と思わせてから、魔法による全体攻撃……
詠唱を唱える時間も十分、
「このガキッ!なンつー飛びっぷりだァ!?」
「プププ、オデが殺る!オデが殺る!アハ!」
「落ちてきたとこを狙うヨォ!」
敵が斧や剣を持って狙いをつける、この動きも予想どおり。
……だったんだけど……

「『ファイア・ボール』!!」ボゥッ
「あだづづづあぢぢぢぢぢ!?」
「え!?」
……突然、敵の1人が炎に包まれちゃったんだ……
「ち!新手か!!」
「オデ、ドラゴン見るの久しぶり、アハ!」
「ちょっとちょっと、相手が増えるなんてアタシゃ聞いてないヨォ~?」
火の玉が飛んできたほう、に落ちながら頭を向けると……
「ビビちゃ~ん、怪我ない~?」
「きゅい~♪」
……見覚えがあるドラゴンと、その上に乗るおねえちゃんたちがいたんだ……
「キュルケおねえt」ドサッ「あたっ!?」
……驚きすぎて着地失敗……うーん、この戦法はもうちょっと考えなきゃダメだなぁ……
「抵抗しなければ、殺さない」
タバサおねえちゃんが短く、用件だけを伝える。
「くっ、お前ぇらっ!こりゃ無理だ!武器棄てとけ!!」
拍子抜けするほどアッサリ、敵は武器をガチャガチャとその場に投げ捨てる……
え、えーと、勝った……のかなぁ……?
って、いうか……なんでここにシルフィードやキュルケおねえちゃん達がいるの!?

「――ちょ、ちょっと、ビビ!?大丈夫!?あとついでにギーシュも!!」
そうこうしていると、ルイズおねえちゃんとワルドおじさんがグリフォンに乗って降りてきたんだ。
良かった、無事だったんだ……
「い、いや、ついでかい、僕は――まぁ、隠れていただけだし、しょうがないか」
傭兵達を錬金で作ったロープで縛りながらギーシュが文句を言う。
「いやいや、君達の姿が確認できなくなったから、ルイズが戻ろうと言ってn」
「あらぁ!ダンディーな殿方!」
……キュルケおねえちゃん、いつもだけど、元気だなぁ……
「キュルケ!?なんであんたがここにいんのよっ!?」
「あらあらあら、昨日、自分の部屋で散々大声出してたのはどなたかしら?」
「あ、あんたまさか――また!?」
「またって、人聞き悪いわねぇ~、2回目よ?盗聴『は』」
「『は』!?他に何かあるの!?」
……元気、だなぁ、ホント……
「ルイズ、その――ご学友、かな?」
「学友!?冗談じゃないわ!ただの同級s」
「ルイズの同級生のキュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーと申しますの!以後お見知り置きを、いえ、むしろそれ以上になりません?貴方、“微熱”にご興味は?」
「ちょ、ちょっとキュルケ!?」
ワルドおじさんがちょっと困った顔をする。
「こ、これは丁寧にどうも。僕はジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルドだ。ふむ――残念だが、婚約者が誤解すると、困るんでね」
そう言ってルイズおねえちゃんを抱き寄せる……あ、ルイズおねえちゃん顔真っ赤になった……
「あら、ルイズの婚約者?ざーんねん!あ、でも、ルイズに飽きたときにはお申し付けくださいませ、私はいつでもお待ちしておりますわよ?」
「は、ハハハ……えーと、そちらの君は?」
「タバサ」
……タバサおねえちゃんの挨拶って、いつもすぐ終わるなぁ……分かりやすくていいけど……
「そ、そうか、よ、よろしく……あぁ、ギーシュ君、やつらの目的は?」
……さっきまで敵だったヤツらの尋問をしてたらしいギーシュに、ワルドおじさんが聞く。
「やはり、ただの物取りだそうです!」
……物取り?うーん、そうなのか、なぁ……?

「よし、それならばもう捨ておいても大丈夫だろう!急がねば!ラ・ロシェールまではもう近い!」
……あれ?もう行くの?
「あ、あの、ワルド子爵?僕達の馬は、その――」
あ、そういえば……さっきの騒ぎで……逃げちゃった……?
「しかし、グリフォンには乗りきらんしな――」
「あら?シルフィードに乗ればいいじゃない!」
「おぉ、この風龍は君の使い魔かね?」
「私の」
……タバサおねえちゃんが、いつになく強く主張する……
「そ、そうかね――まぁ、渡りに船ならぬ風龍というわけだ!それでは、急ぐぞ、諸君!日没前にラ・ローシェルに辿り着く!」

「ビビちゃ~ん、もっと中の方乗っていいわよ~♪」
……結局、こうなるのかぁ……
「へぇ、意外に乗り心地がいいんだねぇ」
「出発」
「きゅい~♪」
「う、うわぁぁっ!?」
た、高い所はやっぱり怖いなぁ……

「ほら、ビビちゃん、あれ見て!」
……出発して間もなく、キュルケおねえちゃんが空を指さしたんだ。
「『幸運の帯虹』」
「こんな時間に見るのは初めてだなぁ、これは任務もぶz……しまった!?」
「あら、任務内容はまぁ、知ってるけど……ややこしいし、聞かなかったことにするわ、貸しよ、ギーシュ」
「そ、そうかい――ビビ君、大丈夫かい?」
……空におっきく広がる虹を見てると、ちょっと気分がまぎれるかなぁ、と思ったけど、
やっぱり全然だった。
……『幸運の帯虹』っていうけれど……
色々、不安になるのは、なんでだろう?
……何か、見落としているような……


「あ」
「あら、どうしたの?ビビちゃん?」
「……忘れてた」


ピコン
ATE ―おいてけぼり―

「あ~、ちきしょ~!」
その剣は、地面に突き刺さっていた。
「ちきしょー!おれっちを置いていくな~!そしておれっちの出番つか見せ場奪うな~!!」
その剣が、鞘におさまるのは、それから10分ほど後だった。




ピコン
ATE ―オーディション番号142から145―

青龍が2度目の離陸をしてから半刻ほど、
4人の傭兵は両手両足縛られたまま放置され、
日もほぼ落ちており、いくらか冷静にもなってくる。
「うぅ、まだヒリヒリしやがらァ――バッガの兄ィ、なンだってアッサリ捕まっちまたンですかィ?」
「ギジュー、お前そんなんだからバカって言われんだよっ!戦力差考えろ!メイジはともかく、龍まで出ちゃお手上げだろが!」
「プププ!ホンド、ギジューはマヌケだなぁ、アハ!」
「てめ、ブワジッ!後でてめェはぶン殴るっ!この縄解けたらぶン殴るっ!」
「つか、早く縄解いてヨォ!アタシゃ帰りたいヨォ!」
「ブワジの次はてめェだ、このオカマ言葉のリノ助ッ!キンキンキンキンうるせェってのっ!」
「なっ!アタシャね、オカマじゃなくて乙女だっつーのヨォ!この脳みそトカゲ野郎っ!」
冷静になってくる、とはいえ、仕事が失敗した後は大抵こんなもんだ。
口喧嘩にはじまり、殴り合いに発展し、飲んだくれて、そのまま雑魚寝して、次の朝から別の仕事を探す。
これがこのチームのいつものパターンだ。
ただ残念なことに、今は手足が縛られていて、酒も無いので口げんかは終わる気配を見せなかった。
「だぁまれっ!お前ぇらちったぁ頭冷やせこのバカ野郎どもっ!」
仕方なく、リーダーのバッガモナンが場をおさめる。
いい加減町にでも帰らないと、夜になれば街道とはいえ獣が出るだろう。

全く、この仕事はハズレもいいところだ。
『所詮、魔法学院の子供メイジとそのお供』だと?あの馬に乗った貴族のガキ1人ならなんとかなったろうが、
とんがり帽子のガキは4人がかりでやっと倒せるかぐらいだった、とバッガモナンは分析する。
仮にも剣だの斧だので食ってる身だ。
武器を交えりゃ相手の力量も自ずと分かろうというもんだ。
そんなやつ相手にしているときに龍に乗った新手、しかも2人だ。
戦うだけバカバカしいというもんだ。
金も大事だが、それを使う我が身はもっと大事。
バッガモナンは自分の判断を冷静に分析し、ある程度の満足をしていた。
しかし、今回の依頼は何なのだ?足止めにしても様子がおかしい。
第一、『グリフォンの連中は無視』というのもおかしな指示だ。
グリフォンに乗ってたのもメイジ、しかもコイツは最上級クラスの腕ききと見えた。
そんなヤツらが加勢する可能性があり、その存在を知っておきながら、無視とはどういうことなのだ?
バッガモナンの頭がフル回転する。

「戦力はイマイチ、しかし不意への対応は冷静、戦力の見極めも上々――悪くないチームだねぇ、一応合格点、かな?」
ギジューとリノがバッガモナンにどちらが悪いかの裁定を求め、バッガモナンがそれをワザと聞き逃していると、
線の細い男が不意に現れた。音や影もなく、である。
銀髪とあいまって幽霊のように薄気味悪いヤツだ、と前々から思っていた。
今回の仕事、その前金を手渡し、指示を出したのはこの男だ。
「――てめぇか、依頼主さんよぉ……どういうこった!?今回の仕事は何もかもおかしいじゃねぇか!」
バッガモナンが、吼える。
仕事が失敗した鬱憤を全て吐き出すように、吼える。
「フフフ、まず訂正から。今回の脚本家は僕じゃなくてねぇ――実に雑なスジだったろ?その件については深く謝罪しよう!」
ムカつくぐらい嫌味ったらしい笑みとお辞儀、
不機嫌なところに嫌悪感がさらに重なる。
「あぁ?てめェもその脚本に乗っただけってか?ざけンじゃねェよっ!」
「そぉヨォ!アタシ達をなめるんじゃないヨォ!」
「プププ、オデ達なめたヤツ、いつもあの世逝き、アハ!」
部下3人もキレている。当然だ。元はといえばこいつの依頼があって――

「――謝罪はしたろう?いいから口は閉じたまえ、脇役諸君。主役より目立つんじゃないよ」
笑みを消し、銀髪の男がガンを飛ばす。
瞬間、冷気が、鋭く身を貫くような冷気が顔から体から服を通り抜け刺さる。
傭兵達は黙った。
ギジューは目を点にして冷や汗をダラダラと流している。
ブワジの顔からはいつものニタニタ笑いも消え去った。
リノに至っては失禁までしている。
こいつは――危ない。
強い弱いじゃない、危ない、とバッガモナンは判断する。
4人がかりでこいつに挑んだとして、何分持つ?
いや、秒か?ロープで縛られていて良かったと安堵してしまう。
誰か、部下の誰か1人でもこいつに殴りかかっていたら、
全員が死んでいただろう。それも罵声の1つも言い終わらぬ内にだ。
それ程の残忍さを今のガンから感じ取ってしまった。
故にこいつは危ない。

「――安心したまえ、別の仕事を持ってきてやったんだ」
再び顔に笑顔を浮かべなおし、男が懐から紙切れを取り出す。
「――仕事、だと?」
油断はできない。間違ったことを口走った時点で自分の首は胴から離れてしまいかねない。
「そう、君達はオーディションに合格したんだ!だから、時期こそ未定だが、僕の劇場に案内しようと思ってねぇ」
そんな心情を無視したまま、男は優雅に身振り手振りを交えつつ『僕の劇場』という部分を強調した。
「この紙に書かれた場所に行き、『4Aのポーン行き』と言われた、と言えばいい。舞台がはじまるまでの賃金と身柄は保証しよう」
前髪をかきあげつつ、男が言葉を続ける。額に巻かれた布の奥が仄かに光った気がした。
「というわけで、この紙を持ちたまえ――おっと、これは失敬、両手が縛られていたようだね」
男が右手をサッと振ると、バッガモナンの両手がいとも簡単に自由になった。
一体、何をした?ナイフを持っているでもない、杖を持っていた風でもない、こいつはマジに何なんだ?

「なるべく早く行きたまえ、明日に始まってもおかしくない舞台だし――何より『虹』が出てきたようだ」
両手首を訝しげにさするバッガモナンに、男――クジャが天を仰ぎながらそう忠告をする。
それに倣い、視線を上空に向けると、そこには幅の広い帯状の虹が出ていた。
「あ、あ、あぁ……『幸運の帯虹』だろ?それが、どうかしたか?」
クジャはその返答に妙な笑みを浮かべる。
クジャの目には見えていた。
その『虹』がいわゆる太陽光と水分の衝突によって生じた光の絵画などではないものだと。
その証拠に、『虹』の色と色が互いを憎みあい、潰し合ったかのような斑模様をわずかながら描いていることを。
「いや――今回は『不幸の』だろうね。急いだほうがいいよ、君達も――僕もだ」
クジャは来たときと同じく、音も影もなくその場から消え去った。
バッガモナンの見ている目の前で。
まるで、最初から存在そのものが無かったかのように、忽然と。
あっけに取られているバッガモナンの手には、ガリアのとある村の名前が書かれた紙切れが残っていた。


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