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ゼロの使い-13



「悪党はお互い様じゃないか?隊長殿。」

その言葉に思い当たる節があるのか、コルベールは顔をしかめた。

「まあ、村一つ焼いた程度の事で戦場から身を引く程度じゃあ、俺のが悪党としては上か・・・」

言いながら、メンヌヴィルの姿が変容していった。
盛り上がっていく肉体が身に着けていた衣服を引き裂き、全身は赤い体毛に覆われ、額が裂けて目玉が現れた。
変容が終わった時、そこに立っていたのは2メイル程のグリフォンを直立させたような炎のように赤い化け物である。
彼が元は人間だったと言われたとして、信じる者は皆無であろう。

「さあ隊長殿、あんたが焼ける匂い、たっぷりと嗅がせてもらうぜ。」

言い終わると、化け物は息を大きく吸い込み、激しい炎を吐いた。
先程同様、魔法で相殺しようとするがドラゴンのものに勝るとも劣らぬそれを受け止めるのはいかに彼とて無理な注文であった。
やがて炎が直撃し、その場に倒れてしまった。

「おいおい、こんなに簡単にくたばっちまうのかよ?」

拍子抜けしたメンヌヴィルがゆっくりとコルベールに歩み寄り、彼の襟を右手で掴み、持ち上げる。

「焼き加減は・・・レアか?ミディアムか?・・・聞くまでもなくウェルダンだよな!!」

止めを刺そうと息を吸い込む彼を、気絶したかに思われていた『炎蛇』が突如睨んだ。

「慢心は・・・あの頃のままだな!!爆炎!!」

その瞬間、コルベールとメンヌヴィルの周囲の酸素が見る見る減少していった。

「なるほど・・・範囲内の生物を窒息死させる魔法で道連れにしようって寸法か・・・だが残念。俺に空気は必要ない。」

魔物が再び火を吹こうとする。コルベールがニヤリと笑うが、魔物は嘲るように言った。

「バックドラフト・・・と言ったか?それを狙ったとしても無駄だ。炎の扱いに慣れてる俺が、そんな馬鹿な真似をやるとでも思ったか?」

呪文の範囲外まで飛んでいってから焼き殺すことにした魔物が翼を広げる。
だが、飛び立とうとした瞬間、彼の後頭部に大きく重い何かが直撃した。
魔物は衝撃でコルベールを落とし、同時に、辺りの空気が元に戻った。

「ゴホゴホ・・・爆炎は囮だ。本当の狙いはその斧だ。」危うく窒息死しかけたコルベールが咽ながら言った。

「な・・・に・・・」と血を吐きながら呟きつつ、彼は斧の飛んできた方向を見た。その先には研究所の破れた窓から顔を覗かせている青い鎧の様なものが立ち尽くしていた。

「彼女の名はエリー。私の思念で動き、争いに関する命令を一切受け付けないからくり兵の試作品で、僕の助手だ。」
「ふざ・・・けるな・・・おれに・・・こう・・・げき・・・を・・・」
「私はただ、斧を拾って僕に投げてくれと命じただけだ。命令を実行したら、お前が斧の軌道上にいただけのことだ。
貴様の炎を受けたのも、倒れる場所も計算ずくだった。」
「ぐ・・・やっぱ・・・つえぇな・・・せめて・・・サシであんたと・・・やりたか・・・た・・・」
言い終わる前に、人であることを捨てた男は息絶えた。その瞬間、死体が塵芥となって消え失せた。

「お前が人のまま私に挑んで来たら・・・そうしたかもな・・・」
彼は生徒達の救出に行こうとしたが、どうやらかなりダメージが大きいらしく、動くことは出来なかった。

先手を取ったオスマンが老骨に鞭打って、見えざる最後の敵に放った炎の嵐は突如発生した竜巻によって弾かれた。
風の魔法かとも思ったが、魔力を感じることは出来なかったので、恐らく体を超高速回転させて炎を防いだのだろう。
無論、常人にはそのような事は出来ないが、先程からの発言等から彼が相当の猛者である事は間違いないし、
ひょっとしたら、身体能力を向上させる何らかの魔法薬を使っているのかもしれない。
と、不意にオスマンは思考をやめ、しゃがんだ。
回転しながら後方へと飛んで来る物体の『風』を感じたからだ。
続いて、オスマンは後方へと飛び、さらに100を超える老人とは思えぬ華麗な動きを披露し、不可視の剣を避ける。

「手裏剣でわしの注意を引いた後、接近戦に持ち込み、詠唱をさせぬ魂胆じゃろうが、甘いの。
そんな事ではご大層な肩書きが泣く・・・」

オスマンは最後まで台詞を言えなかった。
背中に3つの刃が深々と突き刺さり、その痛みに気をとられた隙を突き、不可視の剣がオスマンの体に大きなX字を刻んだ。

「油断したな。俺が投げたのは手裏剣ではなく、ブーメランだ。」

剣に付着した血を拭おうとして血が付いてない事に気づいた時、目の前のオスマンの姿が煙のように消え、同時に背中から強烈な炎を浴びせられた。
レイヴンは叫びを上げることも無く、床にその肉体を横たえた。

その光景を見届けたオスマンが飄々とした口調で言った。
「先の攻撃の際に、念の為と偏在を作っといたのが幸いしたわい。油断したのはお前さんの方じゃよ。」

オスマンは部屋へ視線を移した。
愛用していた椅子は真っ二つにされ、天井は崩落、内装の殆どは黒焦げ。
おまけに床に転がった見えない刺客共の死体で足の踏み場も無い状態だった。
そこまで行って、彼は深い溜息をついた。

「何という事をしてくれたのじゃ全く。これならいつもの書類整理や、
在りし日のロングビルの折檻の方がよほどかマシじゃわい・・・」

半分以上は自分がやった事などと言う事実は棚に挙げて、学院長は侵入者に愚痴を零した。
と思いきや、突如入口に炎の球を投げつけた。

炎球は何も無いはずの空中で爆発し、死んだ筈の人間・・・レイヴンに止めを刺した。

「確かに致命傷を負わせたはずなのに大した執念と生命力じゃ。じゃがの、そんなに殺気を漲らせては寝ている子供にも気付かれてしまうぞ。」

オスマンは無益な殺生を好む人間では無い。
この老体はうすうす、敵が息を引き取っていないことに感付いていたが任務を諦め、退散するなら見逃すつもりでいた。

ふと、彼は妙案を思いついた。
この見えない鎧や剣をアカデミーに差し出せば、謝礼として部屋や内装品の修理代が出るかも・・・と。

今、ニューカッスル跡ではメディルが予想外の苦戦を強いられていた。
開戦早々、敵は予想外のスピードでメディルの懐に飛び込み、嵐の様な槍捌きで彼を攻め立てた。
辛うじて、直撃は避けてはいるが、いつまでもそれが続くかといえば答えはNOとなる。
いかにあらゆる魔法に精通したメディルとはいえ、疲労の概念はある。
対して、敵であるグレートライドンはアンデッド故に疲労の概念は無い。
肉体を破壊されない限り、何年でも戦い続けることが出来るのである。
この世界の詠唱を必要とする魔法に比べれば、メディルの魔法は言葉だけで繰り出せる分相当速い。
しかし、それをもってしてもこの状況下での反撃は無理だった。
メラゾーマが槍で弾かれることは以前のやり取りで明白だったし、至近距離でイオナズンやベギラゴンを使えば自身もただではすまない。
マホカンタはあくまで、他者の魔法を跳ね返すので、自分の術を防ぐのは無理だった。
かといって、距離を置こうにも敵の方がこちらより素早く、八方塞な状態であった。

「どうした!?いかなる雑魚が相手でも、逃げるだけでは勝てぬぞ!?」

と、不意にグレートライドンの体が傾いた。いつの間にか、地面が凍らされており、乗っていた馬が足を滑らせたからだった。
すかさず、メディルが距離をとってベギラゴンを放つ。
しかし、呪文は凍える吹雪・・・単なる乗り物だと思っていた馬の吐き出した冷気のブレスによって防がれた。
その上、流石は魔界の馬というべきか、転倒すると思ったメディルの思惑を裏切り、
馬はすぐに体勢を整え再びメディルの懐に飛び込んで来た。
不意を突かれたメディルの胸に、吸い込まれるようにランスが突き刺さった。
槍の主は殺ったと言わんばかりの笑みを浮かべるが、すぐに驚愕に染まった。
突き刺さった筈の槍に、ヒビが入っていき、粉々に砕けた。
次いで、二発のメラゾーマが彼の胴体と馬を粉微塵に吹き飛ばした。
普段なら槍で、距離さえあれば馬の吹雪で防げた技だった。

「何故・・・槍が砕けたのだ・・・どうやって・・・そんな真似を・・・」
凍らされた様子は無かった。にも拘らず、得物が砕けた理由が理解できぬ彼はおもむろに言った。

「先程脱出する際にかけたスクルトのお陰だ。」その問いに、仮面の魔術師はいつもと変わらぬ口調で答える。
「いかに体を硬化させたとはいえ・・・槍を脆くでもしない限り・・・」
言いながら、彼は何かを思い出した。彼の知る限り、武器を脆くする術は無い。
だが、似た効能を持つ術ならば知っていた。

「ま、まさか・・・」
「そう。先程の攻撃の中で槍にルカニをかけておいたのだ。本来防具を脆くする術だが、
武器に使えるよう改造されたものがこちらの世界に来て読んだ書物に記されていた。
考案者は術の名前まで考えてはいなかったようだから、あえてルカニと呼んでいる。」
「ははは・・・いるものだな、そういう凡人の知恵の及ばぬ事をする奴が・・・完敗だよ・・・」
「お前は凡人ではなかった。世が世なら、私の下で有能な部下として召抱えられていただろう。」
「・・・そうだな・・・お前の様な奴が上司なら、私も喜んで仕えただろう・・・
さらばだ・・・最後に良い冥土の土産が出来たよ・・・」

メディルという偉大な魔族の名という土産がね・・・
と言い終える前に最後に残された頭蓋骨が、塵となって消えた。

それを見届けると、メディルは飛翔呪文を唱え、軍と繋がっている魔力の根源を目指して飛んでいった。




ルカニ武器バージョンはここのオリジナルです。




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