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ゼロの使い-12



「奴らに狙われて、次の朝日を拝んだ者はいない。どうだ、納得したか?オスマンは終わりだと。」
メンヌヴィルの挑発に、コルベールは冷静に答えた。
「貴方がその暗殺部隊を評価するように、私もオスマンを評価している。彼は絶対に負けない。」
「ほざいてろ。今回の隊長はかつてアルビオン王家が飼っていた三人のスクウェアメイジを仕留めた実力者だ。」
「たとえ、相手が神であろうとも、私は彼の勝利を信じる。そして・・・」

コルベールはかつての部下に、強力な火炎魔法を見舞った。
「我が学院の生徒の誰一人の命も貴様らには渡さん!お前を殺し、私が助ける!」
コルベールが2発目の発射体勢に入った瞬間、我が目を疑った。
あろう事か、メンヌヴィルは今の魔法を美味そうに吸い込み、軽くゲップをした。
「ククク・・・元隊長殿の炎・・・実に美味いな・・・俺が光を失ったあの日を思い出す味だ・・・」

「貴様・・・まさか・・・」
コルベールの顔に戦慄が走る。メンヌヴィルは下卑た笑いを浮かべながら答えた。
「ああそうだとも。売ったのは魂だけじゃない、奴らのお陰で俺は生まれ変わった!!
人類を遥かに超越した新しい血肉を、力を得たのだ!!」
「あの頃からそうだったが、救い様の無い悪党だな。お前は。」

「それ、学院長に引導を渡せ!!」
指令を受けた10程の不可視の剣士が音も無く突撃する。
しかし、オスマンが自分の周囲に発動させた炎の壁に、焼かれてのた打ち回る羽目となる。

「確かに、君らの暗殺者としての能力は高い。じゃが姿や音、殺気は消せても、
物が動くときに必ず発生する微かな風までは消せなかったようじゃの。並の者ならともかく、わし相手では部が悪いようじゃの。加えて・・・」
オスマンが天井に向けて、錬金を放つ。瓦礫が降り注ぐが、先の火炎を避けた男達は平然と立っていた。
それがわかるのは彼らに降り注いだ粉塵を被った事によって姿が丸見えになっていたからである。

「これで誰の眼にもお前達の姿が分かるようになった。そして・・・」
部屋に炎の嵐が吹き荒れ、室内に残っていた暗殺隊員達はその場に崩れ落ちた。
「その鎧、先程より砕けたり溶けたりせぬ所を見ると、かなりの強度と耐熱性を持つようじゃが、
内部に熱を伝えやすい性質があるようじゃな。鉄鍋と同じ原理で中の人間は丸焼けじゃて。
一発で仕留められなかった時点でお前さん達の負けは確定じゃ!」

言いながら今度は廊下にまだいるであろう敵に向けて、炎を放つ。立て続けに暗殺隊に炎の嵐を叩き込んだ所で、さしものオスマンもゼエゼエと息を切らした。

「やっぱり年は取りたくないのう。」と愚痴をこぼしながら、部屋を出る。

「やってくれるな。俺の部下を瞬く間に全滅とは。」

咄嗟に距離をとって、炎の嵐をかわしたのだろう他の者とは明らかに別格の気が近付いてきた。先程からの声の主だ。
「お前さんが透明人間の親玉か。」
「いかにも。俺は暗殺剣士隊隊長、コードネーム・レイヴン。噂に違わぬ実力、見事といいたい所だが。配下をうまく使う俺を仕留める事は出来なかった様だな。」
その言葉が意味することは簡単だった。彼は部下達を矢面に立たせ、先程の炎を凌いだのだ。

「何という事を・・・自分の部下を・・・」
「俺は自らを高めるだけでなく、同僚や部下をうまく使うことで名を上げてきた。
だがまだ足りない。オールド・オスマン、貴様の首で、俺は更なる高みへ達する!!」

学院の一階で、教師と生徒達は亜人達と決死の攻防を繰り広げていた。
幸い、侵入してきた連中の殆どが力は強いが、頭が弱い連中だったため、簡単なトラップで撃退することが出来た。
ギーシュを筆頭とする土のメイジ達が落とし穴を作り、水のメイジ達はその穴を強力な酸で満たす。
これを至る所に設置した結果、面白いように侵入者の体はドロドロに溶かされ、
穴を飛び越えたり、全部溶ける前に脱出した者にはキュルケら火のメイジが止めを刺す。
風のメイジは火のメイジの援護に回っていたのだが、その代表たるタバサは白目を向いて気絶していた。
彼女は元々、幽霊の類が大の苦手で、かつてキュルケが闇の中、
蝋燭で現代人・・・つまり我々が懐中電灯でやるような事をして見せた時も股間に洪水を発生させたほどだ。
そんな彼女が群れに混ざっていた死霊の騎士やキラーアーマー(異界の魔物ゆえ、当人達は名を知らない)
を見れば気絶するのは当然であった。
しかし、敵もそれなりに知恵が働いた・・・のではなくその嗅覚で人間の匂いが最も強い場所を探り当てた。
それは食堂であった。そこは学院のメイジ達の本拠地であり、学院で働く平民達の避難所でもあった。
数に物を言わせ、幾重にも仕掛けられた落とし穴を仲間を橋代わりにして渡り、魔物の群れは食堂へたどり着いた。
だが、そこで亜人達がいぶかしんだ。部屋は蛻の殻だったのだ。
部屋に次々と亜人が雪崩れ込み、満杯になった瞬間、突如天井がひび割れ、崩れ落ちてきた。
逃げようとするが、鮨詰め状態になった彼らは身動きがとれず、天井の下敷きとなった。

「やった!」
「大成功ね、ギーシュ。」
全てはこの二人が発案した作戦だったのだ。
まず、ギーシュの使い魔・ヴェルダンデが穴を掘り脆弱なメイジと平民達を遠くへ逃がし、
『香水』のモンモランシーが速攻で調合した人間の体臭がする香水を食堂に大量にぶちまけた。
案の定、臭いに釣られてやって来た連中をギーシュら穴を作り終え、手の空いた土のメイジ達が
力を合わせて食堂の天井を崩し、押し潰す。
タイミングはヴェルダンデの視界をギーシュが共有することで計り、彼女は崩れる寸前に地に潜って逃げた。
落とし穴はただの時間稼ぎに過ぎなかったのだ。

「さあ、結構片付いたと思うけど、他にもいるかもしれないから、狩の続きと行こうか。愛しのミス・モンモランシー。」
「はいはい。」

ついにレコン・キスタの軍勢が見え始めた頃、学院襲撃の知らせが入った。
しかし、今は目の前の大軍を抑えなければ大勢の民が犠牲になるため、泣く泣く女王は救援を突っぱねた。
「これは・・・想像以上だな・・・」
「本当に勝てるのか・・・?あれに・・・」

兵士達が不安になるのも無理は無い。
空を埋め尽くすような大量の軍艦と竜騎士隊。数は五桁は下らないであろう。
大してこちらは長い平和ゆえに、すっかり衰えた寄せ集めの兵が数千と百の魔物。
メディル以外のこの場の者にとって、それはこの世の終わりとも思える絶望的光景であった。

「メディル、まだ!!?」
焦りと恐怖で身を震わせたルイズが、メディルにきつい口調で問う。

「騒ぐな。恐れるな。心を静めろ。戦の最大の敵は、焦燥と恐怖。焦った者、恐れる者は必ず死ぬ。」
百戦錬磨どころの次元ではないメディルの言葉には、絶対的説得力があり、ルイズを黙らせ、震えを止めた。
「初めて撃つ呪文だからな。出来る限り引き付けて、そしてこちらが巻き込まれぬギリギリの距離で撃つ。」
「そんなに凄い物なの?」
「あの書物が真実ならばな。」

「あらかた片付いたわね・・・」
この期に及んで生き延びていた手負いのトロールを火葬したキュルケがぼやく。

「そうだね。うんざり・・・するぐらいの・・・数だったけど、何とかなって・・・良かったよ・・・」
今七体のワルキューレを駆使し、虫の息のオークを成仏させたギーシュが、息も絶え絶えに言った。

「あれ?タバサは?」
キュルケの傍で気絶していたはずのタバサがいつの間にかいなくなっていた。

「動く鎧や骸骨は数が少なかった分、全滅するのが早かったから、目を覚まして獲物でも探しに行ったんじゃないの?」
「幾らタバサでも、この状況下での単独行動は危険よ。」
「しょうが・・・ないなぁ・・・レディを・・・救う役は・・・僕・・・」
言いかけて、ギーシュは昏倒した。精神力が尽きたからだ。

「タバサ探しはあたし達がやるから、あんたはそこで寝てなさい。」

「そろそろやるか。」
呟くや否や、メディルの体から絶大な魔力が放出された。ルイズを始めとした、トリステイン軍全員が固唾を呑んだ。

「超高密度魔法言語・りゅうせい!」

すると、メディルの叫びに応え、天が無数の星を投げて寄越した。
星は、次々と敵軍に降り注ぎ、掠めただけで戦艦は大破し、
一発目をすんでの所で交わした竜騎士が2発目の直撃を喰らい、海の藻屑となる。
それでもなお、隕石は降り続け、星の嵐が止んだ時には類稀な強運で回避した僅かな竜騎士が残っているだけだった。

その光景に、トリステイン軍は息を呑んだ。
「凄ぇ・・・敵軍が・・・一瞬で壊滅だ・・・」
「まるで、神か悪魔がほんの一時、俺たちに味方したようだ・・・」
まんざら間違った比喩ではない、とルイズは心の中で思った。

「皆の者!メディル殿のお陰で、敵は壊滅状態です。残党を一気に・・・」
「いや、待て!!」
軍に命令を下そうとするアンリエッタの言葉を、メディルが遮った。

「どうしたの!?」
ルイズの問いに、メディルは信じられぬ答えを返した。

「これを見ろ。」
突如目の前の何も無い空間に巨大な画面が現れた。先程海中に送り込んだ魔物の視界を共有した映像だが、そこでは信じられぬ現象が起こっていた。
海底に横たわっている星に押し潰された者の体が風船のように膨らんでいき、粉々になった肉体は吸い寄せられるように復元して行った。
海面からは次々と、撃ち落された竜が飛び立ち、何事も無かったかのようにそれぞれ進軍を再開した。
この世ならざる光景に、寄せ集めの兵の恐怖は最高潮に達し、軍は阿鼻叫喚の騒ぎとなった。
平民の兵はまだしも、事もあろうに貴族の身分も誇りも忘れて敵前逃亡する輩まで出る有様だった。

「どうなってるの!!?」
「何かの魔法がかかってるのは気づいていたが、よもや不死身の魔法とはな・・・だが問題ない。」

言うが早いか、メディルは再び先程の様な魔力を放出した。
「超高密度魔法言語・ひょうが!」

先程の魔法と比べると、いささか見劣りするが、これも凄まじい威力を発揮した。
まるでそこにだけ氷河期が訪れた様に、不死の軍隊は海ごと氷漬けになった。
「なるほど殺せないなら、動きを止めてその間に大元を・・・」
ルイズは言いかけた台詞を止めた。あのメディルが・・・ガクリと膝を折り、ゼエゼエと息をしていた。

「メディル!大丈夫!!?」
「流石は・・・古の魔神が使用したという魔法・・・大した消耗だ・・・この私でも2発が限界とは・・・」
言いながら、メディルはアンリエッタからもらった魔法薬を一瓶取り出し、一気に飲み干す。
見る見る魔力が回復するが、完全ではない。

「八割という所か・・・だが、ぐずぐずしてはおれん。すぐに次の手を・・・」
「おい、あれを見ろ!!」
場に残っていた兵が声を上げた。地響きと共に、次々と大爆発が起こっていた。これでは、せっかくの氷も形無しだ。
「まさか・・・ワルドを爆発させた・・・」
「ルイズ、ここからは二手に分かれよう。」
「何ですって!?」
「奴らの大元の居場所は分かっている。奴らの体から細い糸の様な魔力が同じ方向に伸びているからな。
ルイズ、お前はここに残り、連中を食い止めろ。」
「無茶よ、そんなの・・・私、あんな連中を止める方法なんて・・・」
「私の考えが正しければ、私かお前の技でしかあの連中を殺すことは出来ない。
そして、大元の場所へ飛んでいき、それを抹殺するのは私にしか出来ん。」
「でも・・・」
不安のあまり、メディルの主君は涙目になっていた。
「お前は曲がりなりにも私の主君だろ。主君なら、主君らしくしろ。」
「・・・わかったわよう・・・やればいいんでしょ、やれば!!」
吹っ切れたルイズは涙を袖でぬぐい、杖を構えた。
「言っとくけど、止められなかったらごめん。」
「私にとっては関係の無いことだ。」
「そうだったわね。」

そんなやり取りが終わり、メディルは魔力の大元の居場所・・・現・神聖アルビオン共和国へと飛び立った。

「さあ、女王陛下。メディルの働きを無駄にせぬためにも!」
「ええ、わかっています。」

かつてニューカッスル城の存在した荒野に、白面の魔導師は降り立った。
「どうやらルーラは使えるようだ。・・・それにしても、準備がいいな。」

メディルの周囲には、数百の兵と、髑髏の騎乗兵がいた。
そいつはメディルの知る、ここで初めて出会った彼であって彼ではない「何か」になっていた。
「君とは、またこうして出会うことになると思っていたよ。」
「奇遇だな。私もだ。」
「この姿を見て驚いただろう。ウェールズ殺しの褒美に、更なる力を授かったのさ。」
「大方、そんな事だろうと思ったよ。」
「者共かかれ!!」

死神君主の号令と同時に、周囲の兵が一斉に襲い掛かってきた。

「そいつらは不死身ではないようだな。生憎と時間が無いので、一気に行かせてもらう。」

言いながらメディルは、左に旋風・右に冷気の魔法を発動させた。
「氷刃嵐舞・マヒアロス!!」

突如、氷の嵐が吹き荒れ、メディルに斬りかかった40程の兵が一瞬で凍りつき、砕け散る。
メイジ達が火や風の魔法を放ったが、彼のマホカンタに返され、事態を理解出来ぬまま冥土に旅立つ。
殴りかかるオーガやオークの息の根をザラキーマで止め、間髪いれずにイオナズン3発を敵陣に叩き込む。
メイジ達は攻撃魔法が効かぬと悟り、補助魔法を肉弾戦を担当する戦士や亜人にかける。
だが、それも無駄なあがきに終わった。

「最後はお前だ。」

気が付けば、数百の兵は全て息絶え、残ったのは指揮官のグレートライドンだけだった。
「その様だな。」言いながら、冥府の騎士は槍を構える。




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