あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロの黒魔道士-17


「――かかってきたまえ、風こそが最強であるということを証明しようではないか」
今日の授業はギトー先生、風の授業。
どの先生もそうだけど、自分の属性が一番って言うんだ……
ハルケギニアの魔法使いの人たちって、あんまり仲よくないのかなぁ?
回復や防御の魔法だって大事だし、植物みたいなモンスターが相手なら炎が効くと思うけど……
「よろしいですわ、火傷してもしりませんわよ?――『フレイム・ボール』!」ボウッ
キュルケおねえちゃんがおっきな炎の球を打ち出す。
「ぬるい!その程度かね?」フォッ
ギトー先生がそれを風で弾き返して、キュルケおねえちゃんの机に炎の球が返ってきて弾ける。
うーん、危ないなぁ……こんな授業やってて机とか燃えちゃわないのかなぁ?

「ファファファ!さて、諸君、わたしは“疾風”のギトー!すべての属性を圧倒し、すべてを葬る魔法をお見せしよう!『ユビキタス・デr』」
……ギトー先生が最終形態にでも変わっちゃいそうなセリフを言って魔法を唱えていると、
突然教室の扉がガタッと開いて、コルベール先生が、入ってきた。
「諸君っ!授業は中断ですぞっ!!」
……貴族の人ってやっぱりどこか変なのかなぁ?
服のセンスとか……ついていけないや……


―ゼロの黒魔道士―
~第十七幕~ 真夜中の芝居


ゴッテりとした服に、目がチカチカするぐらいの色づかい、
それでもいつもより目に優しい気がするのは……カツラ、かなぁ……?
金色で、クルクル巻いてて……うーん、舞台衣装だったらこれぐらいの方が目立つんだろうけど……
「なんですかな、コルベール先生。今は私の授業中ですが?」
ギトー先生があからさまに、不満そうにコルベール先生を下から頭のてっぺんまで移したところでプッと吹き出しそうになる。
あ、やっぱりおかしいって思うんだ……ボクだけじゃないんだ。
「あぁ、すいません!しかし、当学院に喜ばしい事態が――」ファサッ「あ」
コルベール先生の頭から毛の塊が落ちて、キラキラとまぶしい光があたりにこぼれる。
教室はもう笑いに包まれる寸前みたいで……

「滑りやすい」
タバサおねえちゃんの一言、それがトドメになっちゃったんだ。
教室が笑いの渦に包まれる……
……あ、そっか、コルベール先生、笑いを取るためにワザワザあんな格好を?芸人さんだなぁ……
「えぇい!静まりなさい!静まりなさい!静まれぇっ!」
……やっぱり違うのかなぁ?

「――それで?『喜ばしい事態』とは?コッパg、コホン、コルベール先生?」
あのぶあいそうなギトー先生まで頬がピクピクしてる……なんか、すごいなぁ、コルベール先生……
「あんた今絶対コッパゲって……えぇい、ままよろしい!諸君!本日、アンリエッタ姫殿下がゲルマニアご訪問からの帰りに、学院に行幸なされます!よって本日の授業は全て中止!」
今までの笑い声とはまた違うざわめきが、教室にザザザって広がっていく。
お姫様かぁ……やっぱり、きれいな人、なのかなぁ?ダガーおねえちゃんを思い出してそう考える。
「ということで、諸君達は直ちに身だしなみを整え、お出迎えの準備をして玄関前に集合すること!」
教室が慌ただしくなる……身だしなみかぁ、ボクこれしか服無いし、どうしよっかなぁ……


「きゅきゅきゅい~♪」
「し、シルフィード?も、もうちょっと低く飛んでいいからね?うん、そんなに高くなくていいよ?」
ルイズおねえちゃん達は玄関前に集合だけど、ボク達使い魔は別にいいって言われた。
でも、お姫様の姿をいっぺん見てみたかったから、シルフィードに乗って見ることにしたんだ。
……正直、何度乗っても怖い……
でもこうしないと、あの人の多さだったら背伸びしても見れなかったと思うからしょうがない、かなぁ?
「あ、シルフィード、あれがお姫様かなぁ?……綺麗な人だねぇ……」
「きゅい!」
シルフィードがコクンって頷く。
アンリエッタ姫は、ダガーおねえちゃんとおんなじぐらい綺麗な人だった。
ちょっと遠くて分かりにくいけど……
「そういえばルイズおねえちゃんは……あ、いたいた……」
ルイズおねえちゃんは、他の人が拍手したり、歓声を上げている中、じーっと何かを見ていた。
お姫様を見てる……?うーん、それにしては向きがちょっと違うような……
「きゅいきゅいっ!」
「え?どうしたの、シルフィード?」
「きゅい~……」
シルフィードが首でさししめした方向、そっちには髭のおじさんがいて、ボクたちの方を睨みつけているみたいだった。
「う……ぼ、ボクたち、悪いことしてないよね?」
「きゅい~!!」
「え?ちょ、ちょっと待って!うわ、うわぁぁぁぁっ!?」
……シルフィードは、その視線が気持ち悪かったのか、その場から逃げてしまった……
おかげで、ボクは……う~、やっぱり高い所は怖いなぁ……


「ルイズおねえちゃ~ん?どうしたの?……具合でも悪いの?」
今日のギーシュとの特訓を終わって、ルイズおねえちゃんの部屋に戻ってきても、
ルイズおねえちゃんがなんかボーっとベッドに座って、全然ボクに反応してくれなかったんだ。
あんまりにも様子がおかしいから、今日のお話し会は中止になっちゃったんだ。
(タバサおねえちゃんが珍しくガッカリした顔をしてたなぁ……)
キュルケおねえちゃんが言うには、
「大方、お姫様の付き人の誰かにでも一目惚れたんじゃない?確かに、そこそこの粒は揃ってたものね~」
ってことらしい。うーん、分かるような、分からないような……
「デルフ、分かる?」
「おれっちに聞かれてもなー?まぁ、ほっといても大丈夫じゃね?」
「うーん、そうかなぁ……?」
こういうときに、見てるしかできないってちょっと悲しい気がするなぁ……

コン、コン、コンコンコン
そんなルイズおねえちゃんが、ノックの音にハッとする。
こんな夜中にお客さん?キュルケおねえちゃんが忘れ物でもしたのかなぁ?
「はーい、今開けます……」ドンッ「わたたたっ!?」
ドアを開けようとしたら、ルイズおねえちゃんに突き飛ばされちゃったんだ。
どうしたんだろう?いつもはドアを開けるのもボクの仕事なのに……
入ってきたのは黒いローブを着た怪しい人、
その人は入ってくるなり杖をふって光の粒を出す……あ、前に見た『ディテクト・マジック』かな?

「どこに目が、耳が光っているかわかりませんからね」
怪しい人がローブを脱ぐ。綺麗な女の人だった。
綺麗だけど……どこかで会った気もする、どこだったかなぁ……?
「姫殿下!」
ルイズおねえちゃんが慌ててひざまずく。
あ、そっか、お姫様か。それでどこかd……え?おひめさ……
「えぇぇぇっ!?」
「おいおい、娘っ子の部屋になんだってお姫さんが来やがんでぇ?」
びっくりした。ものすっごくびっくりしたんだ。
まさか真夜中にルイズおねえちゃんの部屋にお姫様が来るなんて……
「ルイズ、そんなかしこまらないで、私と貴女の仲でしょ?」
「姫殿下…」
「それよりも、そこの方々はどちら様?お人形さんにしては……よく動いてますけど?」
ぼ、ボクたちのことかな?う、うーん、どうしていいか分からない……
「この子は私の使い魔のビビと申します……こら、ビビ!姫殿下に挨拶っ!!」
「は、は、はじめましてご、ごごごごきげんうるわしゅー?」
ものすっごく緊張する。偉い人、なんだもんね?お姫様なんだし……
「ふふ、そんなにかしこまらないでいいですわよ、貴方も……しかし、使い魔、ですか?」
「は、はいっ!」
あれ?結構優しそうな人だなぁ……
「ルイズ、貴女昔から変なところがありましたけれど、おもしろい使い魔を召喚しましたわね?」
「お、お恥ずかしい限りですわ……」
「あら、私は何もそんな意味では……個性的で可愛らしい使い魔さんだと思いますわよ?ビビさん、これからもルイズをよろしくお願いいたしますわね?」
「は、はいっ!!」
そう言って、にっこり笑うお姫様……あ、そっか、お姫様ってことはダガーおねえちゃんやエーコと同じなんだ。
ん~、じゃぁ優しくてきれいなのも当たり前、なのかなぁ?

「ほら、ルイズ、もうここには枢機卿も、母上も、友達面した宮廷貴族もいないのですから、頭をおあげなさいな!私たちは友達、でしょ?」
「姫殿下、まだ私めを友達、と?」
「もちろんですわ!幼い頃、一緒に遊んだではないですか!」
「姫殿下……もちろん覚えておりますもの!あれは――」

そこからは長い長い昔話のはじまりだったんだ。
お姫様と、その友達であるルイズおねえちゃんのおしゃべり。
どこかお芝居でも見ているような感じがする。
おもしろいんだけど、何か、普通の会話じゃないって気がするのは、なんでなんだろう……?

「――『アミアンの包囲戦』!あぁ、もう懐かしいですわ!昔は、良かったですわねぇ……」
「えぇ、本当に……あの、姫殿下、どうなさいました?」
お姫様が悲しそうな笑顔を浮かべる。どうしたんだろう……?
なんか、本当にお芝居でも見ている気分だなぁ……

「――ルイズ・フランソワーズ。結婚するのよ、わたくし」
「…おめでとうございます」
あれ?結婚するっていうのに、二人とも悲しそう……どうかしたのかなぁ?
「――ゲルマニアに、嫁ぐことになりました」
「ゲルマニアですって!あんな野蛮な成り上がりどもの国に!」
あ、キュルケおねえちゃんの国だったっけ?
……うーん、じゃぁそんなに悪くないと思うんだけどなぁ……?
「そうよ。でも仕方ないの。同盟を結ぶためなのですから」
「同盟、ですか?」
あ、“せいりゃくけっこん”ってことかなぁ?『君の小鳥になりたい』も似たような筋だったっけ……
ホントにこういうのあるんだなぁ……
「えぇ、アルビオン王朝が貴族派の手に落ちるのはもう時間の問題だそうです。そうすると、次に狙われるのはほぼ間違いなく我がトリステイン……」
「そんな!貴族は王あってのもののはず!アルビオンの貴族は一体何を!」
……戦争か、ハルケギニアにもあるんだ……
ちょっとボクは悲しくなった。
「悲しいことに、最早アルビオン王朝に味方する貴族はごくわずか。私は、侵攻が予想されるアルビオン貴族派の防波堤として、ゲルマニアと同盟を結ぶため、結婚せねばなりません……」
「そうだったんですか…」
「いいのよ、ルイズ。物心ついたときから覚悟はしていました」
……なんか、悲しい話だなぁ……悲劇のお芝居って、本当にあることなんだ……

「あの、姫殿下?その……私の部屋に参られたのはゲルマニアへの婚姻の話のためだけですか?」
「あら、どうしてそう思われるの?ルイズ……」
「いえ、姫殿下……その、私は、姫殿下の友達です!隠し事をしていらっしゃるというときの癖は知っております!ですから、どうか隠し事などせずに……」
「い、いけませんわ、ルイズ!その大切なお友達にそんな危険な目に合わせるなんて!」
なんか、話が変な方に広がっていくなぁと思ったんだ。
「姫殿下!ご報告が上がっているとは存じますが、私どもはこれでも、かの“土くれ”を捕まえた実力を持ちます!ですから、危険な目など!」
……ルイズおねえちゃんが何か張り切ってる……すっごく嫌な予感がしたんだ……
「あの“土くれ”を?ルイズ、貴女が!?……分かりました、それでは……話しましょう、ですが、くれぐれも他言無用ですわよ?」

その後、お姫様が話した内容に聞き入っちゃって、全然気付かなかったんだ……
他にも、この話を聞いている人がいるなんて……
それも、何人も……


ピコン
ATE ―月なきみそらの役者たち―

「この程度の酒場にしては、なかなかの味だね!特に蜂蜜焼きの香ばしさといったら、天使達が天界の暮らしを忘れ口に舞い降りたかのようだよ!」
銀髪の男はいつもこうだ。水が流れるように芝居がかった台詞を長々と続ける。
マチルダはこの男が嫌いだった。
余計な言葉を紡ぐ男は大抵、虚栄心の塊だと知っているからだ。
その上で女性のような所作を見せ、自己愛の独白をさせればキリが無い。
しかし仮面の男の助言で(むしろ命令や脅迫とでも言うべきものだったが)、
ラ・ロシェールの安酒場をこの男と転々としているといった次第だ。
はぁ、とまた一つ大きなため息を。
己の所業のツケとはいえ、悔いずにはいられない。

「おやおや、マチルダ君、君は食べないのかい?命は短いよ、大いに楽しまなくては!」
この銀髪の男、クジャと言ったか。
レコン・キスタとやらの正式な構成員では無く、『ガリアやゲルマニアで暗躍する異国の武器商人』という触れ込みだ。
それもどこまで本当だか、と男にしては妖しく艶やかすぎる顔を見ながらそう思う。
いっそそういった特殊な趣味を持つ貴族相手の“ウリ”でもやってると言われた方が信じやすいかもしれない。

「あたしゃ結構だよ。さっきの店でたらふく飲んだし、まだ気分が悪い」
さっきの店、とは傭兵達のたむろする、ここ以上の安酒場。
ご丁寧にも「殴るときは椅子で」などと荒くれ共の溜り場であることを主張する店だった。
そこにたむろしている傭兵共を雇ったはいいが、そのときに言い寄られたことですこぶる気分が悪い。
いい女とでも思われたのはまだいいが、それが「いい女2人づれ」と思われたのがまた腹立たしい。
しかもこの男に言い寄られた数では負けたというのが、わずかにある女心に傷を与え、ついつい酒をあおってしまった。
だから、実際に契約した際はクジャに任せっぱなしだった。
そのとき初めてクジャが男と分かった傭兵共の顔が実に滑稽だったのがわずかな慰めである。

「そうかい?ならいいさ。籠から出て、主の目が届かぬ今、せいぜい羽根を伸ばすのが正解だと僕は思うけどね!」
そういってこの店では上等の部類に入るワインをクイっと飲み干す。
嫌らしいくらい優雅で様になっているその姿に、また少し気分が悪くなる。

「で?その主様はどうしたってんだい?私達にこんなに雑用させてさ、仮面のダンナは高みの見物かい?」
皮肉の1つも言いたくなる。報酬と言えば自らの秘密の隠蔽ぐらい。
この男といるだけで苦痛というのに、割に合わない仕事にもほどがある。

「フフフ、焦ることはないさ。所詮、浅知恵の仮面舞踏。その準備を真面目にやったところで仮面はすぐ舞台に散るだろうしね……」
毒をもった美しい蛇、それが楽曲として表現されるのであればこのようなものになろうか。
そういった響きを持つクジャの言葉。
それは紛れも無い協力者に対する裏切りの言葉。
しかも主と呼ぶべき相手に対し、さも天上からでも見物するかのような物言いだ。
自分は全てを知っている、そうだとでもいうのか?

「……あんた、ホントに何者だい?」
何度もしたこの質問。
いつだって答えは違っていて、いつもマチルダを惑わせる。
だが聞かずのはいられなかった。

「僕は博徒だよ。最も、赤が勝とうが黒が勝とうが、利を得るような賭けをする、とびっきりの博徒だけどね……フフフ」
今日の答えは「博徒」ときたもんだ。
昨日は何だった?「演出家」か?「指揮者」か?もはや何でもいい。
問題は、この男、「博徒」と名乗るならば何を賭けるつもりなのか。金か?それとも?

「待たせたな、マチルダ……」
仮面の男が突然背後に現れる。嫌なタイミングで登場するもんだと常々思う。
「おやおや、僕には挨拶無し、かい?君も出世したねぇ?恋愛劇の主役になる目処でも立ったのかい?」
クジャが額の羽根飾りをいじりながらつぶやく。
額全てを覆うように布が巻かれてあり、その上に色とりどりの羽根をあしらったもので、この男の妖しさをより引き立てる。
「黙れ、クジャ。貴様如きに我等の理想は分かるまい!」
仮面の男が怒気を隠そうともせず言葉を紡ぐ。この男は心底クジャを嫌っているようだ。
マチルダはこの男も嫌いだった。
怒りすら制御できない器の小さな男。
仮面で自分を隠したつもりの愚かな男。
人を脅迫し、自らは理想の為などと嘯く、感じの悪い男。
嫌いになる条件は揃っている。

「あいにく、理想なんて不確かなものには頼らない主義でね。僕は常にテーブルに上がったカードしか見ないのさ!」
両手を必要以上に広げて、ますます舞台役者といった風情だ。
この男、あらゆるものを見下しているとしか思えない。
それがまた仮面の男の感情を逆撫でる。
「フン、言っていろ。ターゲットの動きが変わった。予定を繰り上げ、明朝に状況を開始する。傭兵共の準備は?」
「できてるさね、当然」
もうこの男達に付き合うのはゴメンだ、とばかりにマチルダがため息をつく。
この仕事が終われば、アルビオンにでも渡って故郷に帰ろうか、などと考える。
「よし、ならば手はずどおりにやれ。裏切りは、許さんぞ、クジャ」
仮面の奥から怒気が漏れ出る。
「フフフ、分の悪い賭けはしないさ。お手並み拝見と参りましょうか、今は貴方が主役なのだから……今はね」

二人の男の狭間にて、マチルダはまた、ため息をつく。
こいつらと付き合っていたら命がいくつあっても足りやしない。
賭け金だけ回収してすぐ逃げよう。そう誓いつつ麦酒をちびり。

二人の男と一人の女。
恋愛劇とはほど遠く、不協和音の狂想曲がもうまもなく。



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