あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

デモゼロ-08



 馬鹿力のルイズ
 土くれのゴーレムの片脚切り裂いた

 けれど残念
 ゴーレムを操っていた土くれのフーケは逃げてしまった
 宝物庫に収められていた「悪魔の種」を持ち出して…


 今、ルイズの目の前で、責任の擦り付け合いと言う名の醜い争いが繰り広げられている
 やれ、その日の当直は誰だった、だの、見張りの兵は何をしてたんだ、だの
 誰もかれもが、自分は悪くない、自分に責任はないと罪を擦り付け合っている
 コルベールはその争いに加わらず、残り少ない髪の毛の残り残量に頭を抱えてはいるが
 …全く、貴族たるもの、こんなありさまでどうするのだ!
 教師たちの貴族らしからぬ様子に、ルイズはぷんすか、不機嫌だ
 フーケの犯行を目撃した、という事で、呼び出されていたルイズたち
 生徒の前で、こんな醜い争いをするなんて
 あぁ、もう、キュルケは退屈になってきたのかうとうとしているし、タバサはさっさと本を読み始めているし
 シエスタも、初めはこんな場に呼び出されてびくびくしていたのが、今は目の前の争いを見てオロオロし始めている
 結局、その醜い争いは、オールド・オスマンのお叱りの言葉が響くまで続いた
 本当に、貴族としてあるまじき醜態である

「オールド・オスマン!」
 ばん!
 そこに、扉が開いてミス・ロングビルがやってきた
 そう言えば、呼び出されてここに来た時から、姿が見えなかったような
「おぉ、ミス・ロングビル。一体、どこへ行っておったのじゃ?」
「土くれのフーケの居所を調べておりました……重要な証言を、得る事ができましたわ」
 ざわ
 再び、教師たちがざわめきだす
 …フーケの居所が、わかった!?
 ルイズはじっと、ロングビルの報告に耳を傾ける
「近隣の農民に聞き込んだところ、近隣の森の廃屋で、怪しい人物を見かけたそうです。黒づくめのローブを着た、男だったとか」
 ざわ…ざわ…

 間違いない、フーケだ
 ぎり、とルイズは拳を握り緊める
 フーケに逃げられた悔しさが、再び強くなる
「徒歩で半日、馬で四時間の距離ですか……オールド・オスマン!王室に報告を…」
「そんな事しとる間に逃げられてしまうわい。それに…魔法学院の問題は、学院で解決すべきじゃ」
 ざ、と部屋の中を見渡す、オールド・オスマン
 フーケの捜索隊を編成する、と言い出した
 なるほど、自分たちでフーケを捕まえる、という事か
「我を、と思う者は杖をあげよ!」

 …しぃん
 気まずい
 気まずいほどの、思い沈黙
 誰かがサイレンスの魔法を使ったのか、と錯覚するほどに、部屋の中は静まり返った
 誰一人、手をあげようとしない
 一人、コルベールは悩んだ表情を浮かべて…杖をあげようとして、しかし、何かの思いに、後悔に邪魔されているように、あげられないでいる
 ……この学院の教師たちは、こんなにも腰抜けなのか!?
 むかむか、むかむか
 ルイズの苛立ちは、最高潮に達しようとしていた

 こうなったら
 いや、違う
 …最初から、決めていた

「ミス・ヴァリエール!?」
 杖を掲げるルイズ
 その瞳に秘めるのは、決意
 …シエスタとキュルケを危ない目にあわせたフーケを…自分の手で捕まえてみせる!!
「あ、あなたは生徒ではありませんか!そんな危険な事…」
「誰も、杖をあげないではないですか」
 ルイズの言葉に、何やら口うるさく言おうとしてきた教師たちは押し黙った
 そう、ルイズ以外、誰も杖を掲げようとしない
 ……いや、違う
 ルイズの後を追うように、二人、杖を掲げた
「ヴァエリエールの者だけに、いい顔はさせませんわ」
「……心配」
 キュルケとタバサ
 二人も、揃って杖を掲げてきた
 結局、他に誰も杖を掲げる事はなく……三人が、フーケ捜索隊に任命される

「ミ、ミス・ヴァリエール…大丈夫なのですか?」
 おろおろ、心配そうに見つめてくるシエスタ
 …あぁ、そんな、泣きそうな顔をしないで
 あなたを心配させたかった訳じゃ、悲しませたかった訳じゃないのだから
「大丈夫、心配しないで」
「で、でも…」
「あなたは安心して、美味しいクックベリーパイでも、用意しておいてくれる?たっぷりおなかを空かせて帰ってくるから」
 安心して、と
 そう言って、シエスタに笑いかけるルイズ
 シエスタは、まだどこか心配そうな表情を浮かべながらも…はい、と頷いてきた
 道中の道案内などは、ミス・ロングビルが担当する事となった
 …待っていなさい、土くれのフーケ
 ぎったんぎったんにしてやるんだから!!
「うむ、では、魔法学院は諸君らの努力と貴族の義務に期待する!!」
「「「「杖にかけて!!」」」」
 ぐぎゅるるるるるるるるるるるる!!!

 ………
 …………
 ……………


 い、痛い
 沈黙が、視線が痛い!!

「…ま、腹が減っては戦が出来ぬというからの。しっかり食べてから出発するんじゃぞ」
「………はい」
 馬鹿馬鹿、私のおなかの馬鹿!!
 ルイズはこっそり、自分のおなかの空気の読めなさに涙を飲んだのだった


 がたごと、がたごと
 馬車が揺れる
 がたごともぐもぐもぐもぐもぐもぐ
 …ちょっと、お行儀悪いかもしれないけれど
 食事をとるための時間すら、惜しくて
 ルイズは、馬車の中で食事をとっていた
 シエスタ特製・ドカ盛り弁当
 本当に、シエスタは大食漢向けの食事をよくわかってくれている
 なんて素敵なボリューム!今のルイズにぴったりだ!!
 傍らに、鞘に収めたデルフを置いて
 もぐもぐ、ひたすら食べていく
「本当、よく食べるわねぇ」
「し、仕方がないでしょう。おなかが鳴っちゃうんだから!!」
 うぅ、キュ、キュルケにはわからないわよ、この悩みは!
 もぐぐ、サンドイッチを頬張りつつ、ちょっぴりいじけるルイズ
 二人のどこか仲の良い様子を見て、ロングビルは微笑ましそうに笑みを浮かべている
 タバサは、ルイズのお弁当に入っていたハシバミ草サンドイッチを分けてもらって、むぐむぐ、食べていたが…

「………」
 つ、と
 不意に、杖を握った
「タバサ?どうかしたの?」
「…………何か、いる」
 つい、と杖を振るタバサ
 ちゅちゅーーー!?と悲鳴が上がる
「…あら?」
「鼠?」
 じたばた
 空中でじたばたする一匹の鼠
 どうやら、馬車に乗り込んでいたらしい
 なんだろう、鼠の癖になかなか毛並みが良くて、可愛らしい
 何で、馬車に鼠が乗り込んでいるんだろう?
 ……あれ?
 でも、ちょっと待て
 この鼠、どっかで見た事あるような?
 じたばたばたた
 空中でもがく鼠の様子に、ロングビルが驚いたように、目を見開いたのだった


 …一方、その頃
「全く、ミスタ・コルベールは事情があるから仕方がないとして、他の教師たちは…のう、モートソグニル?」
 …………
「おや…モートソグニルや?また、散歩に行ってしまったのかの?」
 きょろきょろ
 姿の見えない己の使い魔
 どこに行ってしまったのかと、オールド・オスマンは一人、首を傾げていたのだった


「どうして、オールド・オスマンの使い魔がここに…」
 ちゅう
 念力の魔法から解放され、ほっと一息吐いているモートソグニル
 ルイズの手の平の上で、可愛らしく声をあげる
「…もしかしたら、あなたたちを心配して。オールド・オスマンがお目付け役につけてくださったのかもしれませんね」
 そう言ってくる、ロングビル
 使い魔とは感覚が共用できる…つまり、使い魔が見ている光景を、メイジは見る事ができる
 なるほど、このモートソグニルがルイズたちの危機を見たら、魔法学院から、すぐに増援を寄越せる、という事か
 …あの状況で、誰か来てくれるのか、あんまり期待はできないが
「そうだとしても…戦いに巻き込まれたら大変だわ。離れた所にいるのよ?」
 ナデナデ、モートソグニルを撫でてやると、モートソグニルはちゅちゅう、と嬉しそうに声をあげてくる
 …う~ん、鼠って、こんなに可愛らしい生き物だったっけ?
 首をかしげるルイズの前で、モートソグニルは愛らしい仕草を見せる
 ころん、とおなかなど見せてきて
 …な、何たる無防備
 これは、おなかを撫でてあげないといけない気がするではないか
 そ~っと、優しく、指先で撫でてやると、ちゅうぅ~、とくすぐったそうに身を捩る
 その可愛らしい仕草に、緊張していた一行は、少し、緊張をほぐしたのだった


 ……ルイズは、まだ知らない
 己の身に、待ち受ける運命を
 これから先、ルイズの日常は粉々に壊されて
 もはや、日常に戻る事のできぬ運命が、己に待ち構えている事を
 ルイズはまだ、知らない



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