あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

第1話「召喚」


人は過ちを繰返す。いや、繰返さなければならない運命なのかもしれない。
己らがいかに酷く傷つき、もうするまいと誓おうとも、やがてそれを忘れ、同じ愚を冒す。
そうして歴史は作られて、そしてこれからも作られる。
さながらメビウスの輪の如き道を、止まることなく進み続ける。


ここはアスラギウス銀河、ギルガメス連合星域のとある惑星。
現在この惑星を含む一帯は、ギルガメス連合がバララント同盟に宣戦布告したことで勃発した、第4次銀河大戦の真っ只中にある。
今ここを、一人の男が一機のAT―アーマードトルーパーで放浪していた。
かつては異能生存体と名づけられ、異能者と呼ばれ、今は触れえざるものと恐れられながら。

男は、ただひたすらに逃れたかった。
醜い争いの戦渦、染み付く硝煙の匂い、罪咎の証の血潮、それらから全て。
だが現実はそれを許さない。
逃れても逃れても、気づけばそれらは自分の背後を付いて回る。
それならば、決して逃れることができぬのなら、せめて一時の安息だけでも男は欲しかった。

そんな望みを抱きながら放浪しているとき、男は道すがら何かを見つけた。
見れば光る円がある。あるのだが、どこか奇妙に思えた。
よく見ると何もない空間に、そこだけ切り取ったみたいにその円はあったのだ。
なぜこんなところで、その前にこれは一体何であろうか。
いささか不可解ではあったものの、とりあえず調べてみようと近づいてゆく。
そしてATの手が触れようとした、瞬間。
「・・・・・・!」
強烈な勢いで円に吸い込まれていく。それはATの全力をもってしても、後退すらできずにいるほどであった。
男は機体から脱出を図るが時既に遅し、ハッチすら開けるまもなく機体ごと円の中に飲み込まれていく。

そのさなか、声が聞こえた気がした。何かを呼ぶような、ともすれば消え入りそうな声が。
「誰だ・・・俺を呼ぶのは、一体・・・・・・!」
やがてATが完全に飲み込まれると、その直ぐ後に円は跡形もなく消えさった。
最初から何ごともなかったかのように・・・。






―ハルキゲニア大陸の小国、トリステイン王国。
その中のトリステイン魔法学院からほんのすこし離れた場所では、使い魔の召喚、及び契約の儀が行われていた。
この行事は毎年、一年の生徒が二年への進級するために行うもので、これができなければ進級することができないのだという。
とはいっても普通ならばまず失敗はしないので、今では殆ど通過儀礼のようなものと化していた。
生徒たちが次々と契約を済ませていく様子を、担当の男性――コルベールは微笑ましく見ていた。
あぁ、今年も順調なようだ。ここのまま何事も無く終わるだろうと・・・思ったがただ一点、不安要素が彼の中にはあった。
今まさに召喚を・・・しようとして爆発を起こした少女のことである。

「何度失敗すれば気が済むんだよー、ゼロのルイズ!」
「やっぱ、ゼロはゼロでしかないな。」
「るっさいわね!黙ってみてなさいよっ!」
嘲りの言葉を、少女――ルイズは、怒気をはらんだ台詞で返す。
しかしその実、内心は焦りで満たされていた。いつもいつも、自分が魔法を唱えれば爆発ばかり。
進級にかかわる大事なこの日も、既に計二十近くは起こしただろうか。

だが一向に成功の気配は見えない。
「(なんで・・・なんでいつも・・・・・・こんな日にまで!)」
次第に表情にも焦りが現れ始めていた。見かねたコルベールが提案する。
「ミス・ヴァリエール、今日はもうこの辺にしましょう。また後日に行えば・・・」
今日できなくても明日出来るという保障はないが、他の生徒のこともあるのでこう言う他ない。
「そんな・・・!待ってください!あと一回、あと一回だけやらせてください!」
ここでできなければ、自分はこのさきもずっと「ゼロ」と嘲笑されるだろう。恐怖にも駆られたルイズは懇願した。
・・・もっとも、古今東西「もう一度」だの「一回だけ」などと頼み、できた試しはあまり無いのがお約束であるが。

ともかく、そこまで必死にされれば、コルベールとしても無下にはできないようで。
「うーむ・・・わかりました。そこまで言うのならば仕方ありません・・・ですが、本当にあと一回だけですぞ?」
チャンスを求めるルイズに、「これが最後」と同義の最後通告が言い渡される。
「はい!これで必ず召喚してみせます!」
言い切った以上もはや後は無く、まさに崖っぷち。今度こそとルイズは全力で集中し、魔力を杖にこめる。
「(こうなったらもう贅沢なんていわない!なんでもいいからお願い、答えて!)」
召喚の呪文を唱え、杖を振るう。そして本日のうちでも、ひときわ大きな爆発が起こった。
今日一番であろう爆発は、その爆風も煙の量もまた多かった。

とばっちりをくらった生徒はその原因たるルイズに罵倒の言葉を浴びせ始める。
「まーた失敗しやがった!」
「これで何度目だよっ。いい加減にあきらめろ。」
「こっちにまで迷惑かけるなよ、ゼロ!」
爆発ばかり何度も起こされ、いい加減他の生徒もうんざりしていた。
そこに自分たちまで巻き込まれそうになれば、文句の一つも出てくるだろう。



「あ~あ、やっぱり駄目だったみたいね。」
炎にも似た赤髪に、思わず男の眼が行くほどのスタイルをもつ少女―キュルは言う。
「一回ぐらいならゼロのルイズでも成功するかと思ったけど・・・そう上手くはいかないわよね、やっぱ。」
どこか諦めにも似た調子でそう語る。
だがそれを否定する言葉がすぐ隣から発せられた。
「・・・違う、いる。」
キュルケとは対照的な、小柄で青い瞳と髪を持つ少女―タバサだった。
「え?何かって?」
「煙の中。何かがいる。」
その体にはおおよそ不釣合いな大きさの杖で、煙のほうをさして答える。

一方ルイズも、晴れていく煙の中に何かを見つけた。
「(何かいる・・・成功したの・・・?)」
そして煙が全て晴れる。そこには、大きな鋼の人型が座っていた。
立てば4メイルはあるだろうか。全身は緑系色、頭の顔と思しき部位には、恐らくは眼であろう3種のレンズ。
手には見たこともない種類の、巨大な銃のような物を持ち、肩や脇にはよくわからない箱や筒らしきものをくっつけている。

ルイズが呼び出したであろうそれを見て、周りの生徒がざわめく。
「おい、ゼロのルイズが成功したぞ!」
「まさかホントに召喚できるなんて・・・」
「しかもあれはゴーレム・・・いやガーゴイルか!?」
ハルキゲニアの定義に当てはめるならば、この人型はそのどちらかに属するだろう。
しかし、こんな珍妙な人型のゴーレムもガーゴイルも、この場にいる者の誰一人としてみたことが無かった。

「おぉ・・・これはなんとも・・・。」
コルベールは感嘆しながら召喚された人型に近づき、まじまじと眺める。
全体を見渡していくと、まず頭部がいささか奇妙な造りだが、それ以外の形状は限りなく人間に近い。
腕や足といった部位がハッキリとわかるよう区別され、一つ一つにきちんと間接まで設けられている。
よくみれば、所々何かしらの機械仕掛けが施されている箇所も覗き、それがコルベールの好奇心を一層刺激する。
「ミス・ヴァリエール、これは大成功ですぞ!」

目の前の物体を把握するだけで頭が一杯だったルイズは、自分の事を呼ばれてハッと我に返る。
「あ、え?その、成功・・・なんですよね?」
「そうですとも!ゴーレムかガーゴイルかはわかりませんが、これはそれらを遥かに上回る、
 非常に高度な技術で作られているのです!これほどのものを呼んだのですから、大成功ですよ!」
やればできるじゃないですか、などとコルベールはまくし立てる。




正直なところ、小動物程度のものが来ると思ったが、まさかこんなゴーレム(ガーゴイルかも?)らしきものが現れるとは完全に想定外であった。
「(望んでたのとはかけ離れてるけど・・・でも召喚できただけ、全然いいわよね)」
そう、自分は成功したのだ。それだけでも心が満たされていくようだ。
よく見れば、確かにコルベールのいうとおり複雑な造りをしているように思える。金属でできたその体も、どこか頼もしそうに見えた。
顔に関しては、まぁよくわからない造形だと思ったが、あまり贅沢も言えまい。

とにかく「召喚できた=魔法が成功した」という事実を証明する証拠が目の前にある。
今のルイズにとっては、それが何よりも嬉しいことだった。
「では早速契約しましょう、さぁ早く!」
いい年の大人がなにかはしゃいでる様が、少々滑稽に映る。が、今のルイズにとってはどうでもよかった。
ともかく言われたとおりにまずは契約だ、そう思って人型へと近づく。
そしてルイズが目の前まで近づいた時、召喚されてから微動だにしなかった人型―型式番号:ATM-09-STTC、
機体名称「スコープドッグターボカスタム」は沈黙を破り、鋼鉄の体を立ち上がらせた。


ATに搭乗している男―キリコ・キュービィは、自分が今おかれている状況がわからなかった。
光の円に引きずりこまれ、爆発が機体を襲う。その衝撃で気を失い、外部の喧騒で眼を覚まし、周りを見れば見知らぬ土地。
さっきまでいた場所とは、全くもって異なっていた。
「(ここは・・・一体?)」
ふと近くを見れば、ATのすぐ足元に桃髪ブロンドの少女が、驚いた様子でこちらをみつめ立っている。
その斜め後方には禿頭の男、さらに遠巻きに見るようにして散り散りと見える少年少女。
禿頭の男を除けば、男女で分かれてこそいるものの、皆ほぼ同じ服装をしている(一人センスのないヤツがいたが無視しておく)。
制服の類であろうか。ならばここは何かの施設で、彼らはその所属だろうか。

そんな考えを巡らせていると、なにやら遠巻きから騒いでいるのが聞こえてくる。
「(・・・ゴーレムだの、ガーゴイルだの。ATを見たことが無いか、珍しいのか・・・?)」
アストラギウス銀河ではどこでも存在してるであろうAT、ましてやスコープドッグタイプなら、それこそどこでも目に付きそうなものだ。
しかし彼らの反応をみるにそうではないらしい。よほど偏狭の星であろうか。

「(とりあえず、話をしてみるしかないな。)」
ATを少女から少し離し、降着状態に移行、コックピットハッチを開け、外に出る。
その一連の動作一つごとに、周りが騒がしくなった。
「(どうも・・・面倒なことになりそうだ。)」
心の中でつぶやく。
ATから降りたキリコはヘルメットを外し、目の前の少女ことルイズと対面した。


予告

出会いは、常に唐突だ。
好む好まざるは意味を成さず、前触れもなしにやってくる。
それがどんな姿であろうと、拒むことはできない。
誰が仕組んだこの運命。何が望みかその意思は。
キリコとルイズ、両者の出会いは果たして。

次回「接触」
行方は、神すら知る由もない。


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