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ゼロの使い-07



アルビオンへの船が停泊すると言う桟橋は天にも届こうかと言う大樹だった。
どうやら敵はこちらの動きを読んでいないようで、これと言った苦もなく、船にたどり着くことが出来た。
船主には黄金並みの値が付くと言う積荷の硫黄と同額の運賃を払い、ワルドが動力の風石代わりをするという条件で、出発を早めてもらった。

「へへ・・・ざまあみやがれ・・・」

傭兵達の前にはついさっきまで『女神の杵』亭だった瓦礫の山が積まれていた。
とても生存者がいるとは思えなかった。
瓦礫の下にぽっかりと開いた、巨大な土竜が掘ったような穴を見るまでは。

「取り逃がしたか・・・」
「ど・・・どうする・・・追うか?」
「その必要はない・・・」
傭兵達の頭の中に、忘れたくても忘れられぬ悪霊の声が響いた。

「こちらの目的は果たされた。これをもって君たちを解任する。既に金貨の呪いは解除した。
大砲に関しても適当に処分してくれたまえ。」
それだけ言い残して悪霊の声は消えた。
それと同時に、天から滝の様な雨が降り注いだ。

「ふう・・・助かったわね・・・」とキュルケ。
「間一髪・・・」
「どうだい?捨て駒と言われた僕だけど、こうして君たちの役に立っただろ?」
と傍らの巨大土竜・ジャイアントモールを撫でながらギーシュが自慢げに言う。
「そうね。でも・・・」
キュルケは天を疎ましげな目で見た。

「天候は最悪ね。」

アルビオン行きの貨物船の中で、船員達は大混乱に陥っていた。
「くそ!よりにもよってこんな嵐の中を飛ぶ羽目になるとは!!」
「ぐずぐずするな!死にたくなかったら急げ!!」
その時、船に爆音が轟き、地震にも似た衝撃が襲い掛かった。

「何事だ!!」
「落雷です!右船腹に着火しました!!」
「急いで消火に当たれ!墜落するぞ!」

まさに空の地獄と呼ぶべき空間を船は進んでいた。
怒涛の如き雨、風神が暴れているような暴風、雷神の怒りそのものの様な無数の雷。
まるで天までもがアルビオン貴族派に手を貸しているかのようだった。

「このままじゃ船が持たないぞ!!ん?」
船員が怪訝そうな声を上げる。
客人のはずの白面の男が甲板に立っていた。

「おい、あんた。死にたいのか、早く船室に・・・」
言いかけて船員は言葉を呑んだ。男が掌をこちらに向けたからだ。

「メラミ!!」
船員は目を瞑った。後方で爆音が響いた。

「私が呪文で雷を弾く。その間に何とかしろ。」
「わ・・・わかった。」そう言い残して船員はそそくさと立ち去った。


メディルは意志でもあるかのように、次々と船に降り注ぐ雷を火炎呪文で弾いていった。
「凄ぇな・・・あの客人・・・」
「全くだ。雷を弾くなんざ人間業じゃねぇ・・・」
「だがこれじゃキリがねぇ・・・」
そんな船員達の言葉に応じるかのように、メディルは言い放った。

「目には目を。嵐には嵐だ。バギクロス!!」
数本の巨大竜巻が発生し、船の軌道上と周辺にある雷雲を根こそぎ吹き飛ばしてしまった。

「すげえすげえ!!」
黒い雲海を吹き飛ばすと、そこには澄み切った青空が広がっていた。

「いやぁ、客人。あんたのお陰だよ。」
「あんた、城お抱えの魔術師か何かか?その腕、只者じゃない。」

質問攻めにする船員達を無視して、メディルは船室へと戻った。

「聞いたわよ。メディル。あなたのお陰なんですってね。」ルイズが嬉々として迫る。
「主を守るため、任務達成の為当然の事をしたまでの事。」相も変わらず淡々とした口調で答える。
「謙遜することないわよ。でも、あなた一体何者なの?」
「と言うと?」
「幾らなんでも雷を弾いたり、嵐を吹き飛ばしたり、そんな芸当人間に出来るはずないからよ。」

 ・・・

暫しの沈黙

先に口を開いたのはメディルだった。

「別に隠していた訳ではないが、私は魔族だ。」
「ま・・・魔族・・・?魔族なんて・・・御伽噺だと思ってた・・・」
「私から見ればオークやオーガがその辺の森にうろついて、竜まで存在する世界で、
魔族が空想の産物に過ぎないことに驚いたよ。」
「そ、そう・・・でも・・・本当・・・なのよね・・・?」
「ああ。そして、お前達がイメージしているのと概ね同じものだ。」
「じゃあ、前の主君って言うのは・・・」
「・・・かつて世界の殆どを封印した、大魔王オルゴ・デミーラ様だ。
私はあの方の片腕として仕えていた。」
「魔王の・・・片腕・・・」
「私はあの方の配下の中で最強の呪文の使い手だった。だが、お前に召還されたあの日、
魔王様共々敗れ去ったのだ。」
ルイズは只黙っていた。
「だが、ルイズ。お前に誓った忠誠は本物だ。信じろとは言わぬ、どうするかはお前が決めるといい。」

砲撃音の後に、空賊襲撃の報せが船員達の阿鼻叫喚という形で船内にけたたましく響いたのはその直後だった。




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