あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

死人の使い魔-03


第三話

 グレイヴを召喚してから数日が過ぎた。ルイズとグレイヴの生活にも
一定のパターンができあがってきていた。
 朝、ルイズがベットで目覚めるとともにグレイヴは初日に与えられた
イスで目を開く。特に本人からの要望はなかったのでイスが彼の寝床と
なった。寝床兼生活スペースかもしれなかった。ルイズの部屋にいる間は、
ほとんどをそこに座って過ごしている。
案外気に入っているのかしらね。そんな風に思う。
 グレイヴとの生活が始まってからルイズの目覚めはよくなった。
一度寝坊しかけて彼に起こされたときは心臓が止まるかと思った。
割と本気で。それ以来、彼より早く起きるように心がけている。
 朝の準備を終えるとルイズは朝食をとるために食堂へと向かう。
グレイヴは食事をとらないため、授業まで部屋で待機させている。
授業の時間になると教室でグレイヴと合流する。
 恐らく、グレイヴは教室に移動するときまで、部屋のイスに
座りっぱなしのはずだ。確認したことはないが正しいと思う。
 もしかして私が部屋を出たあと、私のベットでゴロゴロしてたりして。
そんなことを想像する。
……ありえないわね。万が一それが真実だったとしてもその場面だけは
目撃しないようにしないと。私の今後のために。
 グレイヴは喋らない平民の使い魔として学院で少し知られてきた。
ときどき、本当にときどきだが彼の正体について言ってやりたくなる
ときがある。
 昼食の時間になると再びグレイヴと別れる。部屋で午後の授業まで
待たせているのだが、コルベールに呼ばれ彼の研究室、もしくは
トレーラーに行くことがある。少しでも手掛かりが欲しいらしいが
結果は芳しくないようだ。

 そんなある日、コルベールは彼の左手に目をやる。
召喚されたものにばかり気を取られていましたが、珍しいルーンですね。
一応メモしておきましょう。
 その日の夜、彼はそのルーンが伝説の『ガンダールヴ』のルーンと
同じであることに気づく。すぐにオスマンに知らせたが、彼も頭を
抱えていた。
『ガンダールヴ』とは始祖ブリミルの使い魔であったされるものだ。
あらゆる武器をつかいこなし、その強さは並みのメイジでは歯が
立たないくらいだったとされている。
「ただでさえ厄介なのにこのうえ『ガンダールヴ』じゃと」
「とりあえずこれも秘密じゃな、ミス・ヴァリエールにもな」
「彼女にもですか?」
「これ以上秘密を抱えさせるのもかわいそうじゃろ、それに、この問題は
ひょっとしたらガーゴイルということよりもやっかいかもしれんしな、
他言無用じゃ」
「わかりました」

 最近というかグレイヴを召喚してからルイズは、彼のことを考える時間が
多くなった。もちろん、恋などではない。グレイヴの正体についてだ。
 彼はなんのために作られたのだろうか?そう彼が人為的に生み出されたの
ならきっと何か目的があるはずだ。それも並大抵ではない。なんせ人の血で
動くのだ。家事などをするために作られたのだとしたら、ちぐはぐ過ぎる。
人の生き血をすする召使い。ありえないわね。
 しかし想像はつく。ミスタ・コルベールも気づいているだろう。
彼は戦うために生み出されたのではないか?その想像はきっと正しい。
想像を裏付けるものの一つとは彼の持っている鞄と棺桶だ。
非常に重いのだ。それを軽々と持ち運ぶ怪力。鞄の中に入っている二つの
ものは鈍器なのでは?棺桶もなんらかの武器かもしれない。
 そう考えると彼が鞄を手放さない理由もわかる。戦うために生み出された
彼が武器を手放すわけにはいかないのだ。
 両手にあの鈍器を持って戦う彼を想像する。少し、いや大分かっこ悪い気がする。
ちゃんとした武器を与えたほうがいいかしら?見栄えのする大剣とか。
でも買う前にミスタ・コルベールに相談したほうがいいかもしれないわね。
剣を持たせるなどとんでもないと反対されるかもしれないし。
しかしそれは杞憂に終わった。彼は特に反対しなかった。
 コルベールは相談されたことについて考えていた。グレイヴに剣を持たせる。
彼は『ガンダールヴ』でもあるのだ。どんな反応をするか、持ち前の好奇心が
うずいた。
 彼が剣を持つ危険についても考えてみたが、剣を持たせるくらいは
大丈夫な気がする。ここ数日、彼と付き合ってみての印象だ。少なくとも
学院の人々に危害は加えないと思う。もしかしたらこの学院で一番
グレイヴを信用している人物は彼かもしれなかった。

 虚無の曜日になりルイズはグレイヴを連れ剣を買いに出かけた。
遠出をするとグレイヴに伝えると、彼はいつもの鞄に加え棺桶まで
持っていこうとした。あんなもの馬に乗せられるわけないと置いてこさせたが、
鞄はしっかり持ってきている。
 トリステインの城下町を武器屋に向けて歩いているが、グレイヴはやはり
目立っていた。長身に加えてあの格好である。かなり目を引く。
 それに彼の雰囲気を感じてか、微妙にだが周りの人が道を譲ってくれている
ように思える。見た目だけでも護衛の役目を果たしているわね。そんなことを
考えながら歩いていると、武器屋に到着した。

 どんな剣がいいか分からないので、グレイヴに選ばせてみる。
「グレイヴ、好きな剣を選んでいいのよ」
しかし彼は何も選ばない。イライラし声をかけようとすると、不意に声が
聞こえた。
「迷っているなら俺を買え、おめえさん『使い手』だろう?体格も立派だし、
雰囲気もただもんじゃねえ。是非とも、おめえさんに使って貰いてえ」
 グレイヴは声のほうを向く。ルイズには彼が驚いているようにみえた。
そこには一本のボロボロの剣があった。ルイズも最初驚いたが
インテリジェンスソードと知って納得する。
 それよりもグレイヴの反応が気になった。いつもと明らかに違う反応。
もしやあの剣の言ったことに何か関係しているのだろうか?確か『使い手』
とか言っていた。
 本当はインテリジェンスソードの存在を知らなかったからの反応だったの
だが、ルイズには分からなかった。まさかインテリジェンスソードの存在を
知らないとは思いもしなかったのだ。
よし、これにしよう。
 見た目はみすぼらしくグレイヴに持たせたくはなかったが、彼の正体を知る
きっかけになるかもしれない。インテリジェンスソードを買い、グレイヴに
持たせる。デルフリンガーというらしい。
 帰る道中デルフリンガーにグレイヴのことや、『使い手』のことを尋ねて
みるが、どうにも要領を得ない。
グレイヴも特に反応はしないし、あの剣を買ったのは失敗だったかしら?

 学院に着くとルイズはグレイヴを連れて中庭に向かう。そこでルイズは
グレイヴにデルフリンガーを抜かせてみた。詳しいことは分からないが様に
なっているようにみえる。するとデルフリンガーが気になることを言う。
「おでれーた、相棒、おめえさん人間じゃないな?それに心も感じられねえ」
ルイズが驚きながらに言う。
「あんたグレイヴのことが分かるの?教えなさい。今すぐ、できる限り詳しく」
「待て、待て、落ち着け、俺もそんなに詳しく分かるわけじゃねえ。
ただなんとなくそう感じただけだ」
「なによ、当てにならないわね。でもグレイヴが人間じゃないってことは
秘密だからね、誰にも言うんじゃないわよ。それからグレイヴのことが何か
分かったらすぐに教えなさい。いいわね」
「いいともさ、俺も相棒のことを言いふらしたりはしないよ」
そんな会話の中、グレイヴは突然デルフリンガーを地面に突き立てる。
「おーい、相棒?」
アタッシュケースを開けケルベロスを手に取る。
何をしたいのかしら?ルイズは疑問に思うが、デルフリンガーは気づいた
ようだった。
「そりゃないよ、せっかく俺を買ったんだから俺を使ってくれよ。銃より剣の
ほうがいいぜ」
「あれって銃なの?」
あんな形の銃など見たことがない。そういわれてみれば引き金らしきものがある。

「ねえ、グレイヴ、一発撃ってみなさい。どれくらいの威力があるか
見てみたいわ」
 横でデルフリンガーが銃なんて邪道だ、などと言っているが無視する。
しかしグレイヴは撃たない。何故かしら?目標を決めてないから?
 周囲を見ると丁度いい目標があった。本塔の壁である。確か固定化の魔法が
かかっていて、そのうえ厚みもあり凄い丈夫なはずだ。いい的だと思ったのだ。
そのときは。
 変な形をしているし片手で扱う銃のようなので、かなり距離のある的まで
届きすらしないかも、そう思い気軽に言う。
「ほら、撃ってみてって」
グレイヴが本塔の壁に銃を向ける。
せめて届いてほしいわねなどと考える
引き金が引かれる。
轟音が響き、思わず耳を押さえる。本塔に近づき銃弾のあとを確かめようと
する。しかしそんなに近づかずとも本塔の壁にヒビが入っているのが見えた。
「嘘……」
思わず声が漏れる。あれがあの変な銃の威力?信じられない威力だ。
「おでれーた、これが相棒の銃の威力かい?」
デルフリンガーも驚いている。
 突然、グレイヴの気配が変わった。持っていたデルフリンガーを投げ捨て、
先ほど撃った銃を一丁ずつ両手に構える。下からデルフリンガーの苦情が
聞こえてくる。
 どうかしたの?と聞こうとするが、その言葉を発する前に巨大な土ゴーレムが
現れた。ゴーレムはルイズ達のことなど気にもせず、本塔のヒビの入っている
壁を殴り、穴を開ける。
 ルイズはあまりのことに頭がついていってなかった。グレイヴも銃を構えた
まま動かない、様子をうかがっているのかもしれない。
それからゴーレムは学院の外へと歩き出す。
我に返ったルイズがあわてて言う。
「あそこは確か宝物庫だったはずよ、急いで追いかけないと」
「もう無理だ、追いつけないって。ずいぶん離されちまった」
 デルフリンガーが引き止める。しかし追いつけなくとも、何か手がかり
くらいは見つけられるかもしれない。ゴーレムの逃げたほうへ走り出す。
グレイヴもついてくる。
「お~い、置いていかないでくれえ」
後ろでデルフリンガーが叫んでいたが気にしている余裕はない。
 上空には何か飛んでいるのが見える。あの盗賊の使い魔だろうか?
空を飛んで逃げられたら絶対に追いつけない。焦りながら懸命に走る、
すると遠くでゴーレムが突然崩れるのが見えた。
 空を飛んでいた何かも、いつの間にかいなくなっていた。崩れたゴーレムに
追いついたが、そこには土の山があるだけだった。
 こういうときこそ、落ち着かなくては。そう自分に言い聞かせ事態を
整理する。
 あのゴーレムは本塔にあったヒビを殴っていた。その結果穴が開き、
宝物庫が襲われた。つまり襲われた原因、少なくとも穴が開いた原因は
あのヒビのせいということになる。あのヒビの原因は考えるまでもない。
 盗賊について思いだそうとするが離れていたこともあり、黒いローブに
すっぽり身を包んでいたことくらいしか分からない。
盗賊には逃げられ、手がかりもない。ルイズは頭を抱えた。



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