あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

死人の使い魔-02

第二話

 翌朝、目覚めたルイズは寝ぼけながらみたグレイヴに驚いた。
一瞬、何故部屋に死体がなどという考えが頭に浮かぶ。
そんなルイズの考えを知ってか知らずかグレイヴも目を開ける。
私が起きたのがわかったのかしら?
着替えながらそんなことを思う。手伝ってもらうという考えも
浮かんだが、彼をみるとそんな気持ちなどなくなる。
 昨日寝る前に家事をさせてみようかなどとも考えていたのだが、
そんなものは似合わないし、自分の目の届かないところで
何かをさせるのは不安な気がした。
着替えが終わったあと改めて彼を観察する。
 見た目は二十歳代の後半くらいに見える。
黒髪は肩まで伸びていて肌は浅黒い。服装も変わっている。
少なくともトリステインでは見かけない。
 目に付く特徴の一つとして眼鏡もあげられる。眼鏡じたいは珍しい
ものではないが、左目のレンズは 黒く、白い十字が描かれている。
伸びた前髪がレンズにかかっていることもあり左目を見ることはできない。
 ただそのレンズの奥をのぞこうとは思わなかった。
その目を通るように大きな傷跡が縦に刻まれていたからだ。
もしかしたらレンズの奥の左目は無いかも。
頼んでみれば眼鏡を外してくれそうだったが、確かめる勇気はなかった。

「ついてきて」
朝の準備を終えたあと、彼に声をかける。
彼が立ち上がり鞄を手に持つ。
かなりの長身だ、そして猫背で歩いている。
それがまた多少の不気味さを出していた。
「それ持っていくの? まあいいわ、よっぽど大事なものなのね」
アタッシュケースの中身を理解せずに気軽に許可を出す。
ケルベロスがどういうものかを知っていれば
許可は出さなかったかもしれないが。

 ルイズとグレイヴが部屋を出るとちょうどキュルケが部屋から出てきた。
キュルケにグレイヴのことを平民の使い魔だとからかわれる。
「なんであんたは私が、へ、平民を呼び出したのを知っているのよ」
本当は平民じゃないのにと真実を言えない悔しさを混ぜながら答える。
それにグレイヴのことは学院長とコルベール先生しか知らないはずだ。
「あら、結構うわさになっているわよ。ゼロのルイズが平民を召喚したって」
ゼロと平民を強調しながらキュルケが答える。
「昨日あなたが呼んだ箱の中身を気にしている人が結構いてね、こっそり
のぞいていたらしいわよ。立派なのは入れ物だけだったわね、残念ねルイズ」
そんな言葉のあとにキュルケの使い魔の自慢が始まった。
サラマンダーでフレイムというらしい。悔しいが立派だ。
彼女の属性にも合っている。素直に認めるのはしゃくだが。
不意にキュルケがグレイヴに名前を尋ねた。
「あなた、お名前は?」
「……………………」
答えはない。
あわてて答える。
「彼グレイヴっていうの、それと喋れないの」
キュルケは驚いた顔をしたあと、残念ねと言い、 お先に失礼と
サラマンダーを連れて去っていった。
「なによあの女、自分がサラマンダーを召喚したからって」
一人で愚痴る。グレイヴは相変わらずだった。

 食堂に着きグレイヴに声をかける。
「そういえばあんた何を食べるの?」
人と同じもの?それとももっと別の何かだろうか?
そもそも食事は必要なのか?
とりあえず隣の席に使用人用の食事を用意してもらっている。
その席にグレイヴを座らせるが食事をする気配はなかった。
「喋れないのって本当に不便ね」
私の言っていること理解しているのかしら?
たまたま従っているように見えるだけで実は、
意志の疎通はできていないのではと不安になる。

 授業が始まる前ミセス・シュヴルーズがグレイヴについて指摘したせいで、
またゼロのルイズだの平民の使い魔だのとからかわれた。
からかった生徒に反論しながら思う、彼はただの平民じゃない! と。
彼が喋れて自分の正体を説明できれば、きっとゼロの二つ名も
平民の使い魔という評価も返上できるのに。
 ミセス・シュヴルーズが騒ぎを収め授業を始めた。
先生の『錬金』の授業を聞き流しながらグレイヴのことを見る。
私は魔法を使えない。正確には使おうとすると爆発が起きる。
そのためゼロと呼ばれているのだがその分、いやそれ故に
座学のほうは頑張っているのだ。今日の講義も予習は済んでいる。
 そもそもグレイヴは何者なんだろう?
ミスタ・コルベールが言うには魔法以外の技術で作られた
ガーゴイルらしいが、実際はどうなんだろう?
案外ただの平民だったらどうしよう。
などと考えていたらいつの間にか授業は終わっていた。

 その日のコルベールは興奮していた。まだ触れたことのない未知の技術、
それも非常に高度な。その技術に触れることができるのだ。
 そのための準備は昨日のうちにしておいた。といってもトレーラーを
自分の研究室の近くに運んだだけなのだが、それが非常に大変だった。
タイヤがついているからと馬でひいてみたが 馬ではひけないくらい重く、
学院の教師達に応援を頼みやっと運んだのだ。
 はやる気持ちを抑えトレーラーに乗り込む。
やはり素晴らしい。
目を輝かせながら中を調べ始めるのだった。

 昼食の時間になりグレイヴと食堂に向かうルイズだったが、
ふと思いついたように言う。
「あんた食事はいらないんでしょう?」
うなずくグレイヴ。
「なら部屋で待ってなさい。あとで迎えにいくから。部屋まで一人で帰れる?」
再びうなずき、グレイヴは部屋の方へ歩き出した。
 一人で行動させるということに多少の不安はあったが、部屋に戻るくらいは
大丈夫だろう。 食堂にいて何も食べないのは不自然だ。周囲の人にとって彼は
ただの平民なのだから。
 食事が終わりデザートを食べているが、またグレイヴのことをぼんやりと
考えていた。
 最後の一口をというとき、何やら後ろが騒がしかった。少し耳を傾けて
みるとギーシュが一年生の女子と揉めているらしかった。
頬をひっぱたく音が聞こえたが、ルイズにはどうでもよかった。
 最後の一口を食べながら再び考えに沈む。ふと目をやるとギーシュが
モンモラシーに 頭からワインをかけられていた。
そのあとギーシュの友人らしき人物がギーシュに謝っているのが見えた。
「すまないギーシュ、壜を拾ったばかりに」
心底どうでもよかった。
デザートを食べ終えたのでルイズは食堂をあとにした。

 ルイズがグレイヴを迎えにいくとグレイヴが部屋の前に 立っているのが
見えた。
もしかして扉開けれないのかしら?
そこで気づく、鍵をかけていたことに。
でも鍵がかかっていたなら私のところに来ればいいのに。
しかし扉を開けようとして開かずに立ち尽くすグレイヴを
想像して、少し可笑しくなった。
 よく見れば少し不機嫌なようにも見える。
部屋の鍵くらい持たせていいかしら?
食事のたびに部屋の前で立たせるのは可哀想な気がした。
言うことには素直に従うし、鍵くらいなら渡してもいいだろう。
あまり考えずに決断する。
 時間を確認すると授業にはまだ時間があった。
ミスタ・コルベールに会いに行こうかしら。何か分かったかもしれないし。
「グレイヴ、ついてきなさい」

 トレーラーの中にコルベールはいた。
朝からずっと休憩も取らずに中を調べていた。
中に入ってきたルイズとグレイヴをみて、ため息をついて言う。
「素晴らしい技術です。いったいどこで作られたのか、想像もつきません」
それからいかにこれらが素晴らしいかを興奮しながら語り始める。
 ルイズには難しいことは分からなかったが、とにかく凄い ということは
伝わった。
改めてみると使い方の分からないものばかりだ。
奥のイスを見る。
あそこにグレイヴは座っていたのよね。
するとコルベールが気になることがありますと イスまで二人を連れて行く。
 コルベールの顔を見ると強ばった顔をしていた。
このイスに繋がっていたパイプを覚えていますか? と尋ねられる。
このパイプがはずれグレイヴは目を開いたのだ。
記憶に強く残っている。
「私もパイプのことは記憶に残っていて調べてみました。
そうするとそのパイプの先には血液、それも恐らくですが人間の
血液がありました。彼は血液で動いているのかもしれません」
 それはチェンバーと呼ばれるもので、血液を補給するものではなく、
交換するための道具だったのだが、コルベールにもそこまでは
分からなかった。
 ルイズの頭の中には吸血鬼という考えが浮かぶ。
しかしその考えが聞こえたかのようにコルベールは否定した。
「元が吸血鬼という可能性はありますが、彼は吸血鬼ではないと思います。
少なくとも一般に知られている吸血鬼ではありません。吸血鬼の特徴と
あまりにかけ離れすぎています」
「じゃあ、彼は一体なんなんです?」
「分からないですが、ガーゴイルのようなもので間違いはないと思います。
人の血液で動くというのがつきますが」
「グレイヴは人間を襲うんですか?」
怯えながら尋ねる。
「分かりません。ただ当分は大丈夫だと思います。
まだここに大量の血液が残っていますので。
どうやって集めたのかは分かりませんが」
ルイズには嫌な考えがというか、嫌な考えしか浮かばない。

「まあこれからも彼と付き合っていくなら、何らかの方法を考えなければ
ならないでしょう」
しかしと続けまたこの技術に対する賞賛になる。
「新鮮な血液を長期にわたり保存する方法はないのですが、
これはそれを可能にしています」
血液のパックをみながら言う。
「本当に彼が喋れないのが残念です、是非とも話を聞きたかった」
ルイズはコルベールの態度が気にかかり尋ねる。
「あのグレイヴのことは恐くないんですか?」
彼は人間の血液で動く、いわば化物のようなものだ。
それなのにあまりに能天気なようにみえる。
「まったく怖くないといったら、嘘になりますがね」
少し微笑みながら言う。
「しかし私は彼に何かをされたわけではないし、
これからも何かをされるとは思えない」
でもとルイズが言う。
「言いたいことは分かりますよ、しかしですね、この技術をみてください。
血液を新鮮な状態で保存する。確かに気持ちのいいことではありません。
しかしこの技術が実用化されたら将来多くの人が助かる可能性が出てきます。
技術というのは扱う人しだいです。彼についても同じことが言えるのでは
ないでしょうか?」
それを聞いてルイズは思う。
そうよ主人の私がしっかりグレイヴの手綱を握っていればいいのよ。
気持ちがかなり楽になる。
しかしそのためには人間の血液、もしくはそれに代わるものを
見つけなければならないのだ。そこで気づく。
「あのグレイヴはいつ、どれくらいの血液を必要をしているのですか?」
「分かりません」
答えはあっさりしたものだった。
「必要になったら彼が教えてくれるでしょう。量については一度目の
ときに計測しましょう。あと、このことについても皆には秘密ですよ、
私も学院長にしか報告しません」
「分かっています」
うなずきながらルイズは答える。
しかし秘密ばかりが増える。
 それもこれもみんなグレイヴのせいだと、少し疲れた顔をしながら
彼のほうをみる。
すごい重要な話をしていたのに相変わらずの無表情だった。
しかし釘だけはさしておかなければ。
「いい、あんたの血液に関しては私が何とかしてあげるから、
絶対、ぜ~ったいに人を襲ったら駄目だからね」
グレイヴはうなずく。
 本当に分かってんのかしら。ため息をつきながら思う。
しかし正体はどうであれ、彼は私の使い魔なのだ。
私がしっかりしなくては。
再びそう強く思った。


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