あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

零姫さまの使い魔 第九話


「あっしは手の目だ 今は喋ってる時間は無ェ!
 とっとと本編に行っとくれ!」





「ふっふっふ ついにこの時が来たな!
 この前の宣言通り 貴様は俺の手で八つざ……」

「うおォッ どいた どいた どいた どいたァ――!」

「え……? な! なんどゥわあああアアァァアァ――!」

次々に襲いかかってくる新手を蹴散らし、モンスターマシンが天空を駆ける。
零戦が制空権を奪い返した事を契機に、死に体だったトリステイン軍が息を吹き返す。

「ちょっと! 今の ワルドじゃない?」
「知るかッ あっしは今 それどころじゃねェ!」

ルイズの言葉に短く応じつつも、手の目は意識は、佐々木氏の一挙手一投足へと向けられていた。

戦闘開始から、およそ二十分。
異世界の科学技術が生み出した、空戦芸術の結晶に加え
神の如き繊細な業と、烈火の如き大和魂を併せ持った青年士官。

一対一の状況ならば、ハード、ソフト両面で死角を持たない零戦であったが
ここに来て、敵の無限にも思えるほどの物量作戦の前に、徐々に動きが抑えられつつあった。

状況を覆す術があるとすれば、敵の旗艦・レキシントン号を始めとした主力艦隊を撃破する事のみであったが
単独でそれを行なえるほどの火力を、零戦は有していない。
のみならず、このまま消耗戦が続けば、敵よりも先に銃弾が尽きるであろう事は明白だった。
コルベールとの約束もあり、手の目も引き際を考え始めてはいたものの
敵の増援に包囲されつつある現状では、氏の悪魔の如き操縦技術について行くだけで精一杯だった。

「……ッ! やべェ お嬢 そこらにしがみついとけッ!」
「ヒイィッ!」

主を気遣う言葉とは裏腹に、手の目は勢い良く機体を起こすと、スロットル全開で上空へと駆け上がる。
尚も追いすがる敵の裏をかき、鮮やかにトンボ返りを決めると、逆光を武器に急降下を始め
慌てふためく敵勢に掃射を浴びせつつ、凄まじい勢いで突き抜けてく。
一団を振り切った二人の眼前に、今度は恐るべきスピードで大地が迫る。

「手の目ッ! 前 まえ!」
「しゃべんなッ! 舌噛むぞ!」

「イヤアアアアァァァ!」

本能的に、ルイズが体を丸め、御守り代わりの山高帽を抱え込む。
地表が目と鼻の先にまで迫った瞬間、ルイズは自分の中で、鼓動が一つ、どくん、と大きく脈打つのを聞いた……。



墜落の衝撃に備え、その身を強張らせていたルイズだったが、やがて異変に気付いた。

最初に感じた違和感は、周囲の静寂だった。
機内に響いていたエンジン音も、機銃に撃ち抜かれた飛竜の叫びも
戦場にあった筈の全ての音が、いつの間にかすっかり消え失せていた。

空気抵抗を受け大きく軋んでいた機体の振動も、静止したかのように治まっている。
落下中に感じていた、恐怖をともなう浮遊感も無い。

眼前に迫る、炎に巻かれた大地も、
目端に捉えた、必死の形相の手の目も、
状況を確認しようとするルイズ自身の動きすらも、

気が付いた時には、彼女の周囲の、ありとあらゆる物体が、その動きを静止させていた。

(これは…… 何が 何が起こったというの?
 私の体が動かない 指の一本も いえ 声すらも上げることが出来ないなんて
 それに この周りの有様は何なの? これじゃあ まるで時間が……)

『いえ 時間が止まっているのではありません
 貴方は今 眼前に迫った危機に対して 高速で思考を回転させている最中なのですよ』

(! ――誰)

突如、耳元に響いてきた男の声にルイズの思考が驚きに満ちる。
背後に何者かの気配を感じてはいるが、確認しようにも、体を動かすことが出来ない。

『人は死の間際に 自身の生涯を走馬灯のように追体験する という話を聞いた事がありませんか?
 今 貴方が体験しているものも それと似たような状態なのです

 刹那の刻の内に 己が生涯全てを振り返る事が出来る程の 濃密な思考体験……
 それ故に 今の貴方には周囲の動きが 相対的に緩慢なものへと感じられているのです
 時間が止まってしまったのかと 誤解をしてしまう程にね』

あまりにも突飛で難解な男の説明。
今のルイズには即座に理解できる話ではなかったが、
その中に出てきた単語の一つが、彼女の心を強く締め上げた。


(走馬灯…… それじゃあ わたしはこのまま死んでしまうの)

『いいえ そうならないように 私をこの場に呼んだのでしょう お姫様?』

(私が 呼んだ……? どういう事なの?
 そもそも あなたの言うように この状況が一瞬の出来事に過ぎないと言うのなら
 あなたは何故 私の思考と当然のように会話出来るの?) 

『その答えは簡単です
 僕もまた 貴方の思考の一部なのですよ』

ルイズの視界の端に、上等そうな黒の外套がちらりと映る。
男の言葉は、相変わらず理解不能な事ばかりであったが、
何故だか彼の声は、ルイズの心に、形容しがたい安心感をもたらした。

『かつて手の目から 手にしている【破壊の帽子】の持ち主の話を聞いた事がありましたね?
 この土壇場にきて 貴方は咄嗟にその事を思い出した
 そして そのイメージを かつて夢の中で出会った【彼】と重ね合わせ 僕と言う仮想人格を想像した

 僕が言うのもおかしな話だが 実際 面白い手だと思いますよ
 ホームズ役とワトソン役を一人でこなして 目の前の事件を解決しようと言うのだからね』

(……ホームズ? ワトソン?)

『さて…… 状況の説明も終わったところで 早速出掛けるとしましょうか』

(え……?)

男の突然の言葉に、ルイズが思わず呆然とする。
その様に、ルイズの背後で、男が笑ったように感じた。

『先ほど言ったでしょう? 
 走馬灯―― 記憶の中へのタイムトラベルですよ

 ああ 先に言っておきますが 今回ばかりは 目の前の小娘に期待するのは無駄と言うものです
 今のそいつは 操縦桿を握り締めながら喚くだけで精一杯のようだ
 それでも 目の前に迫った衝突の危機くらいは避けられるかもしれませんがね

 ともかく 敵の大軍を撃退し 愛する母国を救う方法は 
 これから体験する過去への旅の中で あなた自身が探し出すしか無いようです……』



「――皆さん 春の使い魔召喚の儀式は 大成功のようですね」
「はっ!」

再び気付いた時、ルイズは零戦の操縦席ではなく、魔法学院の教室にいた。

「おやおや 変わった使い魔を召還したものですね ミス・ヴァリエール」
「ゼロのルイズ! 召喚できないからって その辺歩いてた平民を連れてくるなよ!」

風邪っぴきの罵倒に合わせ、ゲラゲラと教室中の生徒が笑う。
周囲の反応から嘲笑の一言一句に至るまで、何もかもが記憶の通り、
彼女はいつしか、在りし日の授業の光景へと跳んでいた。

……ただ一つ違ったのは、彼女の傍らにいた使い魔が、手の目ではなかった、という事である。

「ふむ 見たところ かつての授業のワン・シーンといったところですか
 成程 現状を打破するために 先ずは魔法のおさらいをしておくのも悪くないでしょう」

「あなたは……」

ルイズが瞠目する。
彼女の横にいたのは、切れ長の瞳に、何処か儚げな光を宿した黒衣の青年。
外套に山高帽という黒づくめの異装と、白い肌とのコントラストが、
青年の超然とした様子を印象つける。
その姿は、ルイズの記憶の片隅に鮮明に焼き付いていた【彼】の姿そのものであった。

「知っている…… 私は 確かにあなたの事を知っているわ!」

「勿論そうでしょう 
 僕は【彼】の影…… かつて貴方の見た【彼】のイメージそのものなのですから」

「それって……」
「ミス・ヴァリエール!」

男の言葉の意味を問う暇もなく、ルイズが記憶の中のシュブヴルーズの咎めを受ける。

「授業中の私語は慎みなさい
 おしゃべりしている暇があるのなら あなたに『錬金』の実演をしてもらいましょうか」

シュヴールズの提案に、教室にざわめきが走る。ルイズにとっては体験済みの事態ではあったが。

「不思議ね これだけ生徒がいるというのに
 誰一人 あなたの存在を気に留めやしない」

「当然ですよ ここは既に過ぎ去った 貴方の記憶の中の世界
 私たちが ここで何をしようとも 既に起こってしまった出来事が変わる筈がありません」

「でも それじゃあ……」

教壇に立ったルイズは、一つ深呼吸をすると、卓上の石ころ目掛け、勢い良く杖を振るう。
結果はやはりあの日と同じ。
杖先から生じた閃光とともに、石ころは机ごと爆発した。
爆風に驚いた使い魔達が暴走を始め、教室が阿鼻叫喚の大騒ぎになる中、
全身を煤だらけにしたルイズは、かろうじて立ち上がると、再び男の方を見つめた。

「やっぱり こうなってしまうのね……」




「やっぱり 私には魔法なんて使えないんだわ……」

いくつもの記憶を飛び移りながら、ルイズが必死に詠唱を紡ぎ、幾度となく杖を振り下ろす。

――火球、錬金、疾風、治療、飛行、ゴーレム精製、製氷……

結果は悉くが失敗。
規模の大小は違えども、ルイズの『魔法』は常に爆発を生み出し
辺りに多大な被害をもたらす。
そして、その度に居合わせた人々の失望、嘲笑、罵倒の仮面が彼女を襲った。

劣等生であるルイズを執拗に罵る同級生の顔。
大きくため息をつく教師達の顔。
無言で冷厳な眼差しを向ける母の顔。
愛娘のために、眉間に悲しげな皺を寄せる父の顔。
強い言葉で突き放す長姉の顔。
ただ、優しい微笑みをもたらす次姉の顔。

彼らの視線に耐えられず、ルイズは逃げ出すかのように、
記憶の大河を過去へ過去へと遡っていく……。



「あなたは私自身の記憶の中から 解決の糸口を探し出せと言ったけれども
 そんなものは 初めから存在しなかったんだわ
 私は魔法の使えない 出来損ないのメイジだから……」

いつの間にか、ルイズは小船の上で、懐かしい香りのする毛布にくるまって泣いていた。

うらぶれた中庭、セピア色の空に、大きく清澄な池
そこは、幼いルイズが母に叱られた際に良く逃げ込んだ『秘密の場所』だった。

「そんな事はありませんよ お姫様」

小島の霧の中から現れた【彼】が手を差し伸べ、童女へと帰ったルイズの小さな体を、優しく抱えあげる。

「これまでの旅の中には 現実を打ち破るためのヒント……
 いえ 答えそのものが示されていました
 貴方はただ その事に気付いていなかっただけです」

「現実を打ち破る 答え……?」

「ええ」

青年はそこで言葉を区切ると、いつの日かルイズに見せた無邪気な笑みを浮かべた。

「貴方の【魔法】
 人々が失敗と称したあの爆発を 敵の旗艦にぶつけてやりましょう」



「えっ?」

驚いたルイズが振り向いた先には、月明かりに黒煙を浮かべる搭の一角が見えた。

思い出の小船は既に無い。そこは魔法学院の中庭。
怪盗フーケが破壊の帽子を狙い、学院に乗り込んできた晩の記憶であった。

「まったく 見事な力ではありませんか
 強固な魔法の防護を無力化し ゴーレムすらたじろく分厚い外壁を丸ごと吹き飛ばす
 この凄まじい現象 失敗などという言葉だけで取り繕えるものではありませんよ」

遥か搭の最上段に立った彼が、中庭のルイズに言葉を投げ掛ける。

「これこそ間違いなく貴方の力 貴方の持つ個性そのものです
 尤も 貴方自身 この現象を失敗と信じ 事実から目を逸らしていたようですが……
 でも 眼前の圧倒的な兵力差を打破するには 最適な魔法だとは思いませんか?」

「そんな…… でも だとしても無理よ!
 私はこの爆発をコントロールする術を知らない
 それに あの巨大な戦艦を落すためには どんな詠唱を唱えればいいのか……」

「どうしてです?
 実践ならばつい先程 何百回何千回と積んできたばかりではありませんか?
 どのような条件で どの程度の爆発が起こるのか
 貴方が知らずとも 貴方の本能が覚えています
 それに 紡ぐべき詠唱を知らないのなら これから探せば良いだけの話です」

男の言葉に合わせ、周囲の風景が大きく揺らぎ、
巨大な本棚が次々と立ち上がっては、ルイズを圧迫してくる。

「何……? ここは 学院の図書館……?」

「貴方の図書館ですよ お姫様
 貴方は魔法が使えない分 誰よりも深く魔法について学んできた

 詠唱を構成する 個々の単語の根源的な意味
 それらの組み合わせによって期待できる 副次的な効果……

 貴方が積み重ねてきた努力の全てが この部屋にはあります
 あの爆発を使いこなすのに最適な呪文の組み合わせを この中から作り出すのです」

「……出来るの そんな事が?」

「出来ますよ 魔法とは 人間の持つイメージの力
 杖も詠唱も イメージを現実の形にするための手段に過ぎないのですから
 尤も これは【彼】からの受け売りですがね」

男は手元の分厚い書物を手に取ると、フッと息を吹きかけ埃を払った。

「さあ 分かったら早速始めましょうか
 何せ 考える時間は無限にありますが
 実際に行動に移るには 少しばかり遅すぎるのですから……」



「南無三ッ!」

手の目は一声叫ぶと、視界に被る少尉の動きを必死で追い掛けた。
刹那に見せた神業により、機体は地表スレスレで持ち直し、高速を維持したまま一直線に駆け出した。

「怪我は無ェかッ? おじょ……」

振り向いた手の目がルイズの異変に気付く。
狂乱寸前の慌てた姿は既に無く、代りに彼女は、俯きながら何事かブツブツと呟いていた。
更に呼びかけようと、手の目が口を開きかけたが、
そこで彼女は、ルイズが件の山高帽を強く握り締めているのに気がついた。

「……若旦那…… か?」

だが、手の目に思索に耽る時間は無い。
前方には、既に包囲の輪を縮めつつある竜騎士の一団が迫っていた。

「ええい! 仕方ねェ」

もはや腹も決まったとばかりに一声叫ぶと、手の目は再び操縦桿へと意識を戻した。


――エオルー・スーヌ・フィル・ヤルンサクサ……


機内にルイズの澄んだ声が響く。
初めは意味不明だった単語の羅列が、徐々に流暢な詩へと変わっていくのが分かる。
魔法の素養を持たない手の目であっても、その詠唱が、ただの魔法とは異質なものである事を感じ取っていた。
ルイズの周囲が、殻を内側からつつく卵を見るかのような、奇妙な高揚感に包まれていた……。

「女は度胸だ! やってくれ 佐々木の旦那!」

手の目の咆哮に合わせ…… という訳でもないのだろうが、
零戦はタイミング良く機首を返して、高速で旋回しながら敵の囲みを突破する。
大きく開けた視界の真下に、アルビオン軍の旗艦・レキシントン号の姿が現れる。


――ジェラ・イサ・ウンジュー・ハガル・ベオークン…… イル


最後の詠唱を完成させると、ルイズはカッと両目を見開き、敵艦目掛け杖を振るった。
一瞬、タルブの大地が静寂に包まれる。

直後、白色の光球がレキシントン号を包み、眩い輝きが周囲に満ちる。
生ける者の一切を傷つける事無く、ただ、敵艦に対し圧倒的な破壊を刻む、奇跡のような光。
その凄まじいまでの光景を、衝撃波で木の葉のように舞う機体の中で、二人は見た。

光が収まり、再び大地に静寂が戻る。
巨大な風穴を開けたレキシントン号は、緩やかにタルブの地へと沈み
やがて、ズンッ、と一つ轟音を響かせた。



「…………」
「……やった の?」

眼下に広がる信じがたい光景を、二人はしばし呆然と眺めていたが、
直後、喜びに満ち溢れた顔のルイズが、勢い良く手の目に抱き付いた。
反動で、機体が大きくバランスを崩す。

「うわっ! 何しやがるッ!」

「手の目! 見た 見た? 見たッ!
 私 出来たの! 魔法が使えたのよッ!」

「あ ああ 魔法があれ程凄ェもんだとは……」

「でしょ でしょ でしょ!
 私ももう 本当にこのまま死んじゃうのかと思って
 でも その時 時間が止まって 
 それで あたしの前に【彼】が現れて!」

「【彼】?」

「そう! 出会ったことは無いけど でも知ってる人よ
 黒髪で 黒のコートで それで…… とっても素敵な人!
 【彼】が私の魔法を教えてくれたの
 そういえばあの人 帽子の持ち主が何とかって……」

「…………」

手の目は興奮冷めやらぬルイズを無視すると、勢い良く操縦桿を傾けた。
反動でルイズは後方に大きく倒れこみ、風防に強かに頭をぶつけた。

「なッ! 何すんのよ?」

「五月蝿ェ 佐々木の旦那に聞いてくれ……」

「……だから ササキって誰よ……?」




戦場に響くトリステイン軍の歓声を聞きながら、手の目は村の外れへと機体を着陸させた。
ようやく地獄から開放された二人の前に、見覚えのある影が一つ、息せき切って近付いてくる。

「手の目~! ミス・ヴァリエ~ル~!」
「シエスタ……」

シエスタは大きく深呼吸すると、手の目の両手を強く握り締めた。


「見てたわ 手の目! 
 凄いわ この竜の羽衣が 本当に空を飛んだのね!」

「あ ああ……」

「スゴい スゴい!
 良かった…… ひいおじいちゃんは 嘘吐きじゃ無かったのねッ!」

「そりゃあ勿論さ
 あんたの曾祖父は…… 曽祖父は り 立派な軍人だったよ……」

「うん…… 本当に良かった」

喜びの余り、両目を濡らして俯くシエスタ。
普段の彼女からは想像もつかない興奮ぶりに、思わず二人が顔を見合わせる。
やがて、顔を上げたシエスタが、希望に満ちた瞳で手の目を覗き込んだ。

「ねえ 手の目 この羽衣 私にも操縦できる?」
「何…… だって……?」

その時、喜色満面のシエスタに対し、手の目の眼前から一気に血の気が引いていくのが
傍らで見ていたルイズには分かった。

「この飛行機の事 一度はあなたに頼んだのだけど
 実際に飛んでいる姿を目の当たりにして
 出来る事なら 私自身の手でひいおじいちゃんの遺言を叶えてあげたいって思ったの だから……」

「……駄目だ」
「えっ?」

予想外の手の目の拒絶に、シエスタが思わず聞き返す。

「こいつを乗りこなせるのは 一部の選ばれた人間だけだ
 一つの失敗が空の上じゃあ 死につながるんだ
 女子供が手軽に操れると思うんじゃねェ!」

「えっ! で でも 手の目は
 それに ミス・ヴァリエールだって……」

「ダメったら ダメったら ダメェ!
 曾祖父の愛した機体を テメェの棺桶にしようってのか?
 大空を舐めるなッ ファンタジー!」

「……そう」

手の目の剣幕を目の当たりにし、
シエスタは大きく肩を落すと、トボトボと村人達の所へ戻っていった。
だがルイズは、見送る手の目の両足が、ガタガタと震えているのを見逃さなかった。

「……ナイスな判断だわ 手の目
 状況はよく分からないけど 今のは私も嫌な予感がしたわ」

「ああ…… 血は争えない ってな
 こんなのは 先を見るまでも無ェ事だ……」




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