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超時空放浪の使い魔

 薄暗い部屋の中、外から聞こえてくる剣戟と魔法による爆音に、そこにいる子供たちは、ただ脅え震えていた。
 その部屋にはメイジもいたが灯りの魔法をかけようとはしない。灯りに気づいた外の怪物が襲ってくるのを恐れているから。
 本当に灯りをつければ怪物が襲ってくるのかと言えば、そうさせないために外ではメイジたちが怪物と戦っているのだが、恐怖は人の冷静な思考を奪う。

「どうしてこんなことになったんだろう?」

 ポツリと呟かれた子供の声。
 それは、このハルケギニアの誰もが一度は抱く答えの出ない疑問。
 その言葉に、部屋にいるピンクブロンドの髪の少女がビクリと震えたことに気づいた者はいない。



                           超時空放浪の使い魔



「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール!五つの力を司るペンタゴン! 我の運命に従いし"使い魔"を召喚せよ!」

 それが何度目の失敗を経た詠唱なのかは、もはや本人にも分からない。しかし、何度もの失敗の後ついに召喚の門は開き彼女の前に使い魔となるべき存在が現れる。だが……。

「あんた誰?」

 自分で呼び出しておいてコレはないだろうと思うが言わずにいられない。
 使い魔といえば、普通に思い浮かぶのは黒猫かカラス。凄いものならドラゴンなどの幻獣。しょぼくてもネズミ辺りの小動物だろう。しかし、自分の目の前に現れたのは何なのか。
 自分はメイジだと言わんばかりに手には杖を持ち、マントを身につけた冴えない顔に頼りない表情。
 粗末と言うほどではないにしろ薄汚れボロボロになった、貴族ならまず着ないような服装の少年。
 そんなものが現れて冷静でいられる者がいるわけがない。

「誰って、ヘインって名前の魔導師だけど……」
「魔導師? ってメイジよね。アンタ貴族なの?」

 人間を、しかも貴族を使い魔にしたメイジなど聞いた事もない。いったいどういう事なのかと困惑するルイズだったが、ヘインと名乗った少年もまた困惑の極みにあった。

「メイジにはなったことがあるけど、貴族になったことはないよ……」

 デーモンロードの召喚に失敗して魔界に連れて行かれなければ、貴族にくらいなれてたかもしれないけど。一応英雄の仲間だし。
 呟いた後半の言葉が届く前に、ルイズは怒鳴るように背後に声をかけた。

「ミスタ・コルベール!」
「なんだね。ミス・ヴァリエール」

 答えたハゲ頭の中年男子にルイズは要求する。

「召喚のやり直しを要求します!」
「何故そうなるのかね?」
「だって、人間ですよ! それにコイツ貴族の地位を剥奪されたメイジですよ。そんな奴を使い魔にしろって言うんですか!?」

 貴族はすべからくメイジであるが、メイジが全て貴族というわけではない。そして、貴族でないメイジはかなりの確率で犯罪に携わっている。そんな者を使い魔にすることを潔癖な少女は容認できない。どうせ使い魔にするなら自分に相応しい神聖で美しくそして強力なヤツがいい。

 まくし立てるが現実は無常である。コルベールはやり直しを認めない。
 そんな2人のやり取りを見て、少年はふと思いつく。

「えーと、ルイズだっけ? その子は使い魔を召喚したかったんだけど、出てきたボクに不満があるってことだよね?」

 横から口を出され不満になるルイズだが、その通りだと頷く。

「それなら、ルイズに召喚されたボクが更に召喚して、それを使い魔にすればいいんじゃないかな?」
「そんなことができるのですか?」

 信じられない。と言うコルベールに少年は頷き、「神聖で美しく強力なのがいいんだよね?」と懐から召喚のための道具を取り出す。

「それは?」
「ワセリン」

 ペタペタと何かを体中に塗りたくり、今度は鉄アレイを取り出しなにやら呪文を唱えると少年の前方に光が満ち、ソレが現れた。



「これが……神聖で美しく強力な使い魔……?」
「うん」

 答える自信満々な少年の前に立つ生き物。それは体長3メイルを超える巨人であった。
 ソレはいい。ソレはいいのだが……。
 筋骨隆々とした体躯を包むのは、パンツただ一枚。体は何かを塗っているらしくテカテカ艶光り、スキンヘッドの頭を乗せる顔は、何か言いようのない笑みを浮かべている。あと丁度、股間がルイズの顔の高さにあるのがかなりイヤだ。

「却下」
「えー!? 何が気に入らないって言うのさ」
「全部よ。全部! こんなの連れて帰って使い魔だって紹介したら何を言われるか分からないわよ。いっそ、召喚に失敗したって馬鹿にされる方がマシよ!」
「しょうがないな。じゃあ、とびきり最強のヤツを召喚するよ」

 不満たらたらの様子で、少年はまた何かを取り出し呪文を唱える。
 と、今度は黒い煙が生じ、それが集まり形を作る。そして現れたのは……。

「何……これ……?」

 側頭部に曲がった角を生やし、赤く輝く三つ目を持つ髑髏。そんな頭と猛禽のような爪を生やした両手以外を赤き衣で隠した禍々しき巨人。人の身では、けっして抗えない力を内包していることが見て取れるそんな存在。

「混沌の王カオス。分かりやすく言うと全てのモンスターの親玉ってことになるのかな?」
「とんでもないもの召喚するんじゃないわよ! そんなの使い魔にできるわけないでしょ!」
「もう、わがままだな。分かったよ。ボクが召喚できるモンスター全部出すから、好きに選んでよ」
「ちょっ」

 止める間もなく、少年は次々と召喚していく。



 小さな妖精、巨大な蜘蛛、美しき天使、神々しいドラゴン。他にも様々なものを召喚したあと少年は言う。

「これだけいれば、一匹ぐらい気に入ったのがいるよね。じゃあ、ボクは行くから」
「行くってドコに?」
「生まれ故郷の大陸を探してる旅の途中なんだ。じゃあね。
 行くよ兄貴!」

 最初に召喚したスキンヘッドの巨人に声をかけると、巨人はイイ笑顔をして少年を持ち上げ。そして飛んだ。
 そうして、少年が巨人と共に飛び去り。彼が召喚したモンスターが残され「ちょっと、これどうするのよ」という少女の声は虚空に消えた。


 どうしたものかと、少年が召喚したモンスターたちを見回して、ルイズはイヤなことに気づいてしまった。
 少年が兄貴と呼んだ巨人以外は皆、虚ろな目でただそこに鎮座していたというのに、彼が去った途端モンスターたちの目に正気の光が戻りはじめたのだ。




 光の女神ルシリス。それは、混沌の王と対極に位置する存在である。
 ふと気づくと、彼女は見知らぬ地に立っていた。何故こんなところにいるのかと疑問を抱いたが、その疑問はすぐに吹っ飛んだ。
 彼女のすぐ側には、自身の大敵たる混沌の王が存在していることに気づき、あちらも彼女を認識してると知ったからである。


「カオス。何故あなたがこんなところに?」
「さあな? しかし、そんな事はどうでもいいことではないのか?」

 その通りだ。光の女神と混沌の王は決して相容れない存在であり、お互いを容認することはない。

「そうですね。見れば、あなたは現身のようです。聖剣などなくとも、ここで打ち滅ぼしましょう」
「それは、お互い様だろう」


 自分や混沌の王は、簡単に召喚できるような存在ではないが、召喚魔法の使い手が特定のアイテムをそろえた場合、その術者に分身である現身を送ることがある。そうして召喚された存在は普通術者の命令を聞くだけの傀儡のような物なのだが、どうやら今の自分達は、術者の制御を離れ本体の自我を得た状態らしい。
 見回すと、同じように召喚されたらしい者達が周囲におり、光の眷属はルシリスの闇の眷属はカオスの周りに集って行き、お互いの王の号令を待っている。


 そうして、この地での光と闇の戦いが始まった。


 結論から言うと、ここでの戦いは決着がつかなかった。ルシリスにしろカオスにしろその本質は、自身の元で戦う者に力を与える者であって己が戦う存在ではないのである。どれほどの力を持っていても、自身と同格の力を持つ者を倒すことは出来ない。
 故に彼らは、この場での決着をあきらめ、自身の加護を受けるに相応しい勇者を求めて去ることになった。


 そして、両者が立ち去ったその場には、何事が起こったのか理解できていないルイズたち学院の生徒と、何体かのモンスターの屍が残され、学院はいくらかの調査を行ったが、その時に作られた書類には、ルイズの使い魔召喚の失敗と落第の結果だけが記された。




 その後、しばらくしてハルケギニアの様々な地で多くのモンスターが現れ人を襲うようになる。それを指揮していたのは、ガリアの軍であった。無能王と呼ばれた男が、混沌の王と手を組んだのだ。
 その強大なモンスターたちの力にハルケギニアは即座に制圧されるかと思われたが、そうはならなかった。
 ガリアが混沌の王の力を得たように光の女神の力を得た者もまた現れたのだから。

 アルビオン王国皇太子ウェールズ・テューダーである。
 貴族派との内乱でもはや風前の灯だと思われた王党派であったが彼らは光の女神の加護を受け力をつけ、またハルケギニア中を襲ったモンスターの標的にはアルビオンも含まれていた。
 アルビオンのほとんどを制圧していた貴族派はモンスターの対応に追われ、いつしか光の女神の加護を受けた王党派に押し返され王国の支配権を奪い返されていた。

 そうして、ハルケギニアは、光の女神の加護を受けたアルビオンと混沌の王と契約を結んだガリアの二国による戦場になるかと思われたが、そこにロマリアが横槍を入れる。
 ブリミル信仰以外を認めないロマリア教皇は、光の女神を認めず、アルビオンもガリア同様滅ぼすべき敵だと断じたのだ。
 こうしてハルケギニア全土を巻き込む戦争が始まり、三国以外の国は、モンスターに襲われてもブリミルを信仰するが故にアルビオンに助けを求めることができず、自国の軍にのみ頼り脅える生活を強いられることになったのであった。

 ぶっちゃけルイズのせいである。




 その後、トリステイン王女アンリエッタがウェールズ王子と結ばれ、アルビオンとトリステインが同盟を組んだり、ルーンストーンを使いまくって火水土風の全ての属性のスクウェア・スペルを使いこなし1人でヘクサゴン・スペルだって使えるようになったウェールズがカオスを倒し、最終的には滅んだロマリアやガリアを支配する偉大な王になるのだが、それは別の機会に語られることもあるだろう。



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