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異世界BASARA-59



タルブの村へ向かう山道。
村の人々が作った農産品を町へ売りに行ったり、町から帰郷する者が利用する道である。
その道…………の上空を、シエスタと利家を乗せた忠勝が高速で飛行していた。
「うわぁ……初めて乗りましたけど、こんなに速いんですね!」
忠勝の背中に乗ったシエスタが、眼下の風景を見下ろして言った。
「それでシエスタ、ザビーはどうやって帰って行ったんだ?」
利家がそう尋ねると、シエスタは向き直って言った。
「月です」
「月?」
シエスタの口から出た言葉に、利家は首を傾げる。
「はい、ザビーさんは2つの月が重なった時、フネで飛んで行ったんです。まるで月に吸い込まれるみたいに」
「月が……重なって1つになった時に飛び込めばいいのか……」
「あの……それとトシイエさん。言ってなかったんですけど」
と、シエスタが申し訳なさそうに口を開いて言った。
「実は、その時に帰ったのはザビーさんだけじゃないんです」
「何だって!?」
その言葉に利家は驚き、思わず身を乗り出した。
まさかもう1人いたとは……
「シエスタ、その話を詳しく聞かせてくれないか?」
「は、はい」
シエスタは一度目を閉じ、昔を思い出すように話し始めた。

「……私がその、お兄ちゃんと出会ったのは子供の頃……7歳の頃でした」


それは、10年前。シエスタがまだ7歳の子供だった頃に突如現れた。
その日、シエスタが寝床に着いていると、外からズドーン!!という音と共に、振動が伝わってきたそうだ。
あまりの大きな音に村の人々が音のした方に向かってみると、見た事のない大きなゴーレムと……奇妙な形の槍を持ち、見慣れない……しかし綺麗な服を着た少年が倒れていた。
そして、その少年の介抱をしたのがシエスタの家だったのだ。
「最初見た時は女の子だと思いましたよ。本当に綺麗で可愛かったんです」
シエスタはそう言うと、話の続きを語り始めた。

翌日になると、少年は目を覚ました。
領主がどこから来たのか尋ねたが聞いた事のない国で、その少年もタルブはおろか、トリステインすら知らなかったそうだ。
ただ、『早く自分の国に帰らないと、みんなが心配する』と言っていたらしい。
そこで帰る方法はあるのかと聞くと、少年はこう答えた。

『月が重なった時に、あっちに帰る入り口が現れるかもしれない』と。

聞けばタルブの村に落ちる前、重なって1つになった月に彼の住んでいた国の光景が見えたらしい。
しかし次第にそれが見えなくなり、2つになった時には完全に見えなくなっていたそうだ。
そこで少年は気を失ってしまったのだという。
だから、月がまた1つになる時までに何とかして空へ昇る方法を考えなければならないと少年は言った。


しかし、空に上がるには風石を積んだフネに乗るか、空を飛べる幻獣が必要であった。
少年と共に落ちてきたゴーレムのような物は、動く事は出来たが、飛ぶ事が出来ない。
そこで、お金を貯める為に彼はタルブで働く事にしたのだ。


少年は必死にお金を貯めていった。
農村の仕事の手伝いだけでなく、時には盗賊の討伐にまで出かけて稼いだのである。
「それである日、オーク鬼の討伐に出かけて行こうとしたんです。そこに……」
「そこに?」
「そこにあの人が……歌いながらやって来たんです」


『ザ~ビザビザビ異国の子~♪愛の国からやって来た~♪』


そう、ザビーがタルブにやって来たのである。


ザビーはオーク鬼退治に行く事を知るとこう言った。
『いけまセ~ン。何でも力で解決するのはダメヨ、先ずは話し合う事が大切ネ』
そう言うと、ザビーは一緒にオーク鬼退治について行く事になったのであった。

オーク鬼とは、人の体躯に豚の顔をもつ怪物である。
人間の、特に子供の肉が大好物という厄介なこの連中が、タルブの南にある森に住み着いてしまったのだ。
これではいつ村に被害が出るか分からないと、領主が傭兵を雇い、討伐隊を結成したのである。
そしてその中に、少年とザビーもあった。

討伐隊が森をしばらく進むと、何やら豚の鳴き声が聞こえてきた。それを耳にすると、草むらに息を潜め、慎重にその声の方に近づいていく。
そして草陰から覗き込むと……オーク鬼の集団がいた。
オーク鬼達は、森の一角で食事中だったらしく、何かの生肉を貪っていた。
一体何の肉なのか……それを考えた討伐隊の面々は震え上がる。
先ずは慎重に行動しなければと誰もが考えた。


『オーク鬼の皆サン!ワタシがぁー、ザビーデ~ス!!』


しかしこの男の言葉で、討伐隊全員に戦慄が走った。


突然オーク鬼に呼びかけ、草むらから飛び出していったこの男に皆焦りを感じた。
だがザビーが次に発した言葉に全員が驚愕した。
『ダイジョウブネー、他の皆サン隠れてるけど攻撃はしてこないヨ~』
よりによって隠れている事をオーク鬼達にバラしたのである。
しかし、当のザビーは気にしていないのか、まだオーク鬼に話し掛けていた。
『ホーラ怖くないヨ怖くナーイ』
笑顔で近づいてくるザビーを、オーク鬼達はギロリと睨んでいる。
その内、ボスである1匹が持っていた棍棒をゆっくりと持ち上げ、そして……

『怖くナ』

笑顔で近づいてきたザビーの顔を、横殴りに振り払った。

ザビーを殴り飛ばしたオーク鬼は、次に隠れていた討伐隊の傭兵に襲い掛かろうとした。
オーク鬼の力は1体が屈強な戦士5人分に相当すると言われている。
まともに戦って勝てる相手じゃないと、全員が慌てて逃げようとした。

しかし、そんなオーク鬼の集団に立ち向かったのが、例の少年だった。
彼は的確にオーク鬼の目や足を、持っていた槍で攻撃していったそうだ。
その立ち振る舞いは凄まじく、見ていた他の討伐隊の話によれば、「オーク鬼も怯んだ程の戦い振り」との事だった。

そしてそこへもう1人……
『この……ブタヤロウ共ガァ!ヒトが下手にでれば調子に乗りヤガッテエェーー!!!!!』
殴られたザビーが本性を表したのである。
「こうなれば交渉の余地はアリマセーン!!ザビイィィィィーー!!ショーウタァァーーイム!!!!」
ザビーはオーク鬼に負けない程の形相で、両手に持った鈍器を使って殴り飛ばしていった。
後に、討伐隊の面々はこう語った。


『オーク鬼よりも、あの2人の方が鬼みたいだった』と……


翌日、オーク鬼退治で活躍した少年とザビーは、領主から貰った報酬で風石を買う事が出来た。
2人はその風石を例のゴーレムに詰め込むと、月が重なった晩に飛び立っていったという。


「あ、トシイエさんあれです!あそこが私の故郷ですよ!」


話が終わった頃、一行はタルブの村に到着した。
利家はシエスタの家で「それ」を、黙って見つめていた。
それは、大きい布で、1つの模様が大きく描かれていた。

「不思議な模様でしょう?お兄ちゃんが帰っていく時に私にくれたんです」
「……そうか、あいつもこっちに来た事があるのか」

利家がそう呟いた時、シエスタが口を開いた。
「やっぱりトシイエさんと同じ世界の人だったんですね。あんな綺麗な服、トリステインじゃ見た事ありませんから」
シエスタは思い出すように言うと、利家に問い掛けた。
「その、どうでした?元気でしたか?」
「ん?おう、あいつなら元気だぞぉ!」
それを聞いたシエスタは、安心したように微笑んだ。
「良かったぁ。ほら、最初見たとき女の子みたいって話したでしょう?だからちょっと心配してたんです」
「それなら大丈夫だ!あいつはお前がびっくりする程男らしくなったからな」


そう言うと、利家は再びその布の模様を見た。





七つ片喰の、四国の鬼と呼ばれたあの男の家紋を。


「でもシエスタ、お前それがしやあいつが違う世界から来たと知ってもあまり驚かないな」
「それは、私のお父さんも自分は違う国から来た……っていつも言ってたんですよ。」

「何いぃぃ!?」

まさかまだいたのか!?
利家は驚き、思わず大声をあげた。
「で、でも誰も信じていませんよ!?私のお父さんってちょっと変わっている人なんです」
シエスタも弁解するように言った。


「もう本当に変な父親なんですから……オーク鬼が森に住み着いた時だって……
“わしは無敵だ!!豚人間などに負ける訳がない!!”と言って飛び出して行ったり、
“わしの生まれた国に置いてきた息子もなぁ、無敵なんじゃぞ!!”とか……あれ?」
シエスタはふと、利家が口をポカーンと開けているのに気づいた。
「トシイエさん?どうしたんですか??」


(嘘だ……信じられん……)
利家は目の前にいるシエスタが、名のある家系の血筋である事を信じられなかった。



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