あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロのノブレス・オブリージュ-2

さわやかな朝の風が、髪の毛を揺らす。同時に、眩い朝の光が顔に当たり、ルイズは目を覚ました。
 久しぶりの、気持ちのいい目覚めだった。寝ぼけた頭のまま、目をこする。
「おはよう、ル・イーズ!」
 訂正、最悪の目覚めだ。寝ぼけた頭はこの声に、一瞬で覚醒する。
 昨日、召喚したばかりの使い魔はやけに眩しい笑顔を向け、対照的にルイスの表情は渋いものとなった。
「あ、あんた……。やっぱり昨日のは夢じゃなかったのね」
 落胆し、ため息をつく。そんなルイズの目の前に、新しい制服が差し出される。
「ル・イーズ、着替えだ!」
「洗濯は?」
「先ほど終わらせた。メイドの娘に教わった。ショ・ミーンの仕事を学ぶ、いい機会だったぞ」
 服も、下着も力を入れすぎたのか、ぼろぼろになっている。汚れが落ちていないどころか、どういうわけか泥汚れがついている。
 あまりの惨状に、口が引きつる。怒りのボルテージがいきなりクライマックスに達した。拳を振り上げ、怒鳴りつけようとした瞬間、
「こ、の……」
「どうした、ル・イーズ。あまりの素晴らしさに声も出ないか!」
 本気か、こいつは。
 怒鳴りつけるタイミングを失ったルイズは拳を震わせ、口をパクパクさせた。こんなタイミングで今さら怒鳴りつけたところで、
間抜けなだけだ。
「洗濯は今度から……メイドにやらせるわ」
 そう呟くのが、精一杯だった。

寝巻きを脱ぎ捨て、クローゼットから持ってこさせた新しい下着を身に着けたルイズはさも当然、とばかりにツルギに命令した。
「着せて」
「着せて、とは俺がル・イーズに服を着せる、ということか?」
 ここぞとばかりに、ルイズはえらそうな口調で宣言する。
「そうよ。下僕がいる場合、貴族は自分で服なんか着ないのよ」
 特に『下僕』という単語を強調して言った。さらに、拒絶したら食事抜きと言う罰も用意してある。
これで、今度こそ自分の立場というものが……
「女性を大事にするのも高貴なる者として当然のことだからな。任せろ! 俺は女性の扱いでも頂点に立つ男だからな」
 ルイズはがっくりとうなだれた。だめだ。全然分かっていない。
 この調子では、示しをつける前にこっちがどうにかなってしまいそうだ。
 そうなる前にこいつを殺して、新しい使い魔を召喚しようかしら。
 ルイズはツルギに背を向けるようにして、半分本気の目を光らせ、隠れるように杖を構えた。

 憔悴したまま、食堂に行こうと部屋を出る。後ろの剣はやけに明るい笑顔をしており、ルイズはジト目で彼を睨みつける。
だが、ツルギには全く応えなかった。
 そこへ、バカにするような声が投げかけられて彼女はさらに不機嫌になる。
「おはよう、ルイズ。それが噂の使い魔ね?」
「そ、そうよ」
「あっはっは!ほんとに人間なのね!すごいじゃない! 『サモン・サーヴァント』で平民を呼んじゃうなんて、
あなたらしいわ。さすがゼロのルイズ」
「う、うるさいわね!」
 そしてキュルケは、ツルギの頭の上から足の先までを値踏みするように見回した。
「あら、こうしてみると意外といい男ね。あなたにはもったいないぐらいじゃない。けど、使い魔じゃねぇ」

「あたしも昨日、使い魔を召喚したのよ。誰かさんと違って、一発で成功。どうせ使い魔にするならこういうのがいいわよねぇ~、フレイムー」
 キュルケが呼ぶのに答えて、彼女の部屋から巨大で真っ赤なトカゲ、サラマンダーがのっそりと現れる。
「火竜山脈のサラマンダーよ~、好事家に見せたら値段なんかつかないわよ?」
 すると、先ほどまで黙っていたツルギが一歩前に出た。
「何者だ、貴様! 怪しい奴、ワームか!?」
 どこから取り出したのか、紫色の剣を構え、目の前のサラマンダーに突きつける。
「ちょ、ちょっと! 何のつもりよ!」
「全てのワームは俺が倒す!」
「ああ、あたしのフレイムに何するつもりよ! 」
「やめなさい、ツルギ! 何のことかは知らないけど、こんなところで騒ぎを起こさないで!」
 殺気を感じ取ったサラマンダーも臨戦態勢に入っているが、キュルケが止めている。
 ルイズも小さな身体で必死にツルギを押さえようとするが、いかんせん体力が違う。剣はじりじりとフレイムに迫り、突然剣を納めた。
「いや、よく見るとワームではないようだな。俺の勘違いだったようだ。すまなかった」
 頭を下げ、そのまま先に進んでいく。やけにえらそうな足取りだ。
 あまりのマイペースっぷりに、ルイズもキュルケ呆気に取られている。
 一足先に立ち直ったキュルケは脂汗を流し、こんな危ない奴にかかわっていられるかとばかりに、フレイムを連れてそそくさと後退する。
「ゼ、ゼゼ、ゼロの、ルイズにはお似合い、かもね!」
 反論できずに立ち尽くすルイズに、ツルギが声をかけた。
「おい、食堂へ行くのではないのか?」
「い、いい今行くわよ! 主人より先に行ってじゃないわよ!」

 食堂では、テーブル一杯に豪勢な食事が並んでいた。
 今度こそ、今度こそは!
 ルイズは決心も新たに、拳を握り締める。粗末な食事を与えるということで、主従関係を思い知らせるのだ。
 まずはイスを引かせようとするが、
「さあ、ル・イーズ。座るがいい。俺はレディファーストでも頂点に立つ男だ」
 先手を打たれた。早くも崩れかけた決心を気力で持ち直させ、当然のように隣の席に座ろうとした剣を手で制止する。
「あ、あんたはこっちよ!」
 床を指差す。ほとんど具もないスープの入った、皿が一枚。その端っこに、申し訳程度のパンが二切れ。
「これが、俺の食事か?」
「そうよ! 本当なら使い魔は外なんだけど、あなたは私の計らいでっ、特別にっ、入れてあげたんだからねっ!」
 ところどころを、目一杯強調。ハアハアと息をつきながら、ルイズは今度こそ勝利を確信する。
 だが、剣はそんなことはお構いなし、といった様子で床に座り、スープ皿を手に取る。
「ふむ。ショ・ミーンはこうやって食事をするのだな」
 そして一口。剣はスープ皿をおき、手を震わせ、目を見開く。
「こ……、これは!」
「どう? 食べさせてもらえるだけ……」
 文句が出るであろうところを、機先を制した、つもりだった。
「これは、なんと言う料理だ? 初めての味だぁ~」
 しかも、食堂に響くような大声で。
「どんな田舎者だよ~」「やっぱ、ゼロのルイズの使い魔だな~」周りの貴族たちからの忍び笑い。
 ルイズは恥ずかしさのあまり、顔を真っ赤にさせた。

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