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お前の使い魔 14話



「お前ー、これどこに捨てればいいですか?」
「そうねぇ、ゴミに出して誰かが拾っちゃうとマズイしなぁ。」
「鋳溶かす。」
「タバサ頭いいわね。じゃああたしの魔法でいい?」
「駄目よキュルケ。このボロ剣、魔法吸っちゃうらしいし。」
「私がぶっ壊しましょうか?」
「やめてやめて許して。」

 ひとしきり驚いた後、訳のわからない事を言い出したデルフリンガーに対し、わたし達は破壊の剣なんて見なかったことにしちゃおうという結論に至り、どう処分するか話し合っていた。
 でも、あまりにもデルフリンガーが情けない声を出すので、わたしはちぃねえさまのような慈愛と優しさで一応聞いてやることにした。

「仕方ないわね。じゃああんたをわたしが使わなくちゃいけない理由を言ってみなさい。手短にね。」
「俺を使えば、魂の融合だっけか? そいつが少し遅れるかもしんね。」

 デルフリンガーの言った驚きの内容に、わたし達は真剣な表情になる。

「それ本当?」
「さぁ?」
「ダネット、こいつ叩き折っちゃって。」
「任せてください。」
「折らないで! 任されないで!! 仕方ねえだろ! 俺だって確証ねえんだもん!」
「確証もないのに無茶させようとするあんたが悪いんでしょうが。第一、あんたに黒い剣が封印されてるのに、それをわたしが使っちゃ逆効果でしょ。」

 わたしの意見に、キュルケとタバサだけではなく、ダネットですらもっともだという顔をする。

「お前、凄く失礼な想像をしていませんか?」
「き、気のせいよ。」

 ジト目でわたしを見るダネットから視線を外すと、デルフリンガーが弁解をしだした。

「つうか、俺と離れたら逆に融合が早くなるかもしんね。」
「はぁ!? それどういう事よ!?」
「どういう事って聞かれても、俺も何となくしかわかんねえんだけどよ。ここに来てから、俺からおめに流れてる何かが緩やかになってる。」
「その何かって、あんたに封印されてる剣の中の魂?」
「多分な。」

 わたしとデルフリンガーのやり取りを聞いていたキュルケが口を挟む。

「さっきから『何となく』とか『多分』とか確実性のない話ばかりしてるけど、デルフリンガーだっけ? あなたをルイズが使ったら、またあなたは黒い剣になっちゃうんじゃないの?」

 言われてみればそうだ。
 抑制のために使ったら、やっぱり逆効果でしたじゃ済まされない。

「普通に使ってる分にゃ大丈夫だと思うぜ。ほれ、さっき娘っ子が俺をぶん投げたろ? あの時も大丈夫だったし。」

 そう言えばぶん投げたわねわたし。よーく考えたら背筋が寒くなってきた。

「そうなると一つ疑問が残るのよねえ。」

 キュルケの言葉に、わたしが首を傾げると、タバサが横から入る。

「破壊の剣が黒い剣に変わる条件。」

 タバサの言葉に、キュルケが頷く。
 確かにそうだ。っていうか、付いてきてるダネット? あ、結構限界っぽい。



「むむむ……乳でか、もっとわかりやすく言いなさい。」

 耐えかねたのか、ダネットが眉間にしわを寄らせながらキュルケに聞く。

「つまり、ルイズがデルフを持っただけで変化はしない。でも、あの時は違った。その違いは何? ってことよ。」
「それはこう……何かの力みたいなのが、こう、ぎゅわーっと?」
「何かの力とかって何?」
「うう……お前! 乳でかに説明してやりなさい!!」
「わたし!? そんなこと言われてもわかんないわよ!! 第一、あの時は必死で……必死に……」

 わたしは必死に何をしようとしたんだっけ?

「娘っ子、おめ、心を震わせなかったか?」

 割り込んできたデルフリンガーの声を聞き、あの時の事を思い出す。

「うーん……心を震わせるっていうのはよくわかんないけど、凄く怒ってたと思う。」
「お前、何をそんなに怒ってたんですか? 第一、怒るだけならさっきも怒ってたじゃないですか。」

 キュルケとタバサは合点がいった顔をしているが、ダネットだけは皆目検討が付かないといった表情で指を頬に当てて首を傾げる。
 う……そう言えば、ダネットは気絶してたんだっけ。かといって説明するのは恥ずかしい。ってキュルケ? 何その悪戯を思いついた子供みたいな顔は!?

「あのねダネット、ルイズったらねー」
「わー! わー! わーー!! とととともかく! わたしが凄く怒ったらデルフリンガーが黒い剣になるということね!! うん! そういうこと!!」
「全くわかりません。乳でか、説明してください。」
「えっとねー」
「ああ!! 空飛ぶホタポタが窓の外に!!」
「どこですか!? 今すぐ取ってきます!! お前、待ってなさい!!」

 苦し紛れのわたしの言葉を聞くが早いか、ダネットは窓を開けて飛び降りた。……飛び降りた?
 慌ててわたしとキュルケとタバサが窓の下を見ると、ダネットは器用に身体を回転させて着地し、走り出していた。

「なあ、話続けていい?」

 少し疲れた声のデルフリンガーが話を続る。

「しっかし、わかんねえのが、娘っ子は使い手じゃねえってことなのよ。」
「使い手? 何それ?」

 聞き覚えのない言葉に、わたしは首を傾げる。



「良く覚えてねえんだけど、何となくわかるのよ。俺を使いこなす使い手が。でな、さっき飛び出した嬢ちゃんいたろ? あの嬢ちゃんが使い手っぽいんだよね。」
「はあ? ぜんっぜん意味がわかんないんだけど?」

 わからない話だらけでイライラする。あーもう!

「ガンダールヴ……ミス・ダネットはガンダールヴではないのでしょうか?」

 突然横から入った声に振り向くと、先ほどタバサのエア・ハンマーを受けて気絶していたミスタ・コルベールが頭を振りながら起き上がっていた。
 あ、タバサが顔を横に背けた。流石にちょっと悪いと思ったみたいね。

「ガンダー……おお! それそれ!! あの嬢ちゃんガンダールヴだわ!!」
「やはりそうでしたか!! おお……これは歴史的発見ですぞ!!」

 興奮する一人と一本を、しらけた顔で見るわたし達に気付いたのか、ミスタ・コルベールは苦笑で返す。

「ミスタ・コルベール、そのガンダールヴって何でしょうか?」

 わたしの言葉に、複雑な表情を返すミスタ・コルベール。

「答えてください。ダネットに一体何があるのでしょう?」
「教えてあげなさいコルベール君。」

 これまた気絶から回復した学院長が口を挟んだ。

「しかし学院長!!」
「構わんよ。それにじゃ、ミス・ヴァリエールの安全に関わることかもことやもしれん。ああ君たち、話は大体聞いておったよ。」

 わたしは、起きてたんかいあんた。というツッコミを心の中で入れつつ、わたしの事を出され、仕方なく話し始めたミスタ・コルベールの話を聞く。

「皆さんは始祖ブリミルの使い魔の話は知っていますか?」
「はあ、一応はおとぎ話ぐらいで聞いたことはありますが、それが何か?」

 ミスタ・コルベールはわたしの返事を聞くと、口元に笑みを浮かべ、嬉々としながら話し出した。
 渋ったわりに、話したくて仕方ないようだ。

「では、ミス・ダネットの手に浮かんだルーンが、始祖ブリミルが使役したという使い魔のルーンと一致したとしたらどうします?」
「はい?」

 えーっと? ダネットがなんですと?

「始祖ブリミルの使役した、神の盾ガンダールヴと呼ばれる使い魔のルーン。このルーンはミス・ダネットの持つルーンと同一のものです。」
「待ってくださいミスタ・コルベール、頭がパンクしそうです。」



 つまり、ダネットは実は凄い使い魔で、わたしはそんなんを召喚したメイジってこと?
 ありえないでしょ、だってわたしはゼロなダメメイジで、ダネットはダメ使い魔で、ダメが二つでダメダメで、あー、訳わかんなくなってきた。
 わたしが頭を抱えて考え込んでいると、どたどたという足音が聞こえ、凄い勢いでわたしの部屋のドアが開いた。

「お前!! 私を騙しましたね!! どこにもホタポタ飛んでないじゃないですか!! そこに直りなさい!! 首根っこへし折っ……て? あれ? 何でみんなそんな変な目で私を見てるんですか?」

 無理だ。ありえない。こんなお馬鹿な奴が、そんな大層な存在な訳が無い。

「はっ!? さてはお前たち、私に内緒でこっそり空飛ぶホタポタ食べましたね!! むむむ……許せません!! 出しなさい!! 今すぐ出しなさい!!」
「恥ずかしいから黙りなさい!!」

 言うが早いか、わたしはダネットの頭を引っぱたく。

「あいたぁっ! 何をするんですかお前!!」
「空飛ぶホタポタなんかどこにも無いわよ!! わかったら黙りなさい!!」
「じゃあやっぱり私を騙したんじゃないですか!!」
「そんな話はどうだっていいのよ!! それよりあんたがガンダールヴってどういうことよ!! わたしに内緒でそんなもんになってたの!?」
「何ですかそのガンなんちゃらとやらは!! そんなものよりホタポタの方が重要です!! 出しなさい! 今すぐ出しなさい!!」

 こんな感じでいつもの喧嘩が始る寸前、キュルケのげんこつが頭に落ちた。
 最近、この流れが一連のものになりつつある気がする。というか痛い。

「私がそのガンなんちゃらだって言うんですか?」
「らしいわよ。これっぽっちも信じられないけどね。」

 ダネットは頭のこぶをさすりながら、自分の左手に浮かんだルーンを見つめてた。

「最近、やたら身体が軽かったのは、これと関係あるんですか?」
「何よそれ? 初耳なんだけど。」
「言ってませんでしたっけ? 最近、糸凪の刃を握ると力が湧くんです。」

 そう言って、短剣を取り出してくるくると器用に回すダネット。

「聞いてないわよ! 何でそんな大事なことを言わないのあんたは!!」
「修行の賜物で特別な力が、こう……ぎゅわーっ!!と湧いたのかと思ったんです。」
「そんな都合のいいもんがポンポン湧くわけないでしょうが。」

 身振り手振りでぎゅわーっと感? みたいなのを表そうとするダネットにツッコミを入れると、ミスタ・コルベールが興奮がちにダネットに話しだした。

「力が湧くというと、どのような感じなのでしょうか!?」
「えっと……ぎゅわーっときて、むむむーっとなって、おりゃーって感じです。」
「ほうほう! ぎゅわーにむむむーにおりゃーですか……実に興味深い!!」

 以降もダネットによる、子供のような湧き出す力の説明が続き、ミスタ・コルベールがいちいち大げさに驚くという時間が流れた。
 ちなみに、わたし達にはさっぱりわからない。だって、むーとかそりゃーなんてどうやって理解しろというのだ。



「大体こんな感じです。何かわかりましたか?」
「いやはや! これは大発見ですぞ!! 今後も何かあれば、是非とも話をお聞かせください!!」
「いいですよ。ハゲのオッサンはいい奴です。」
「出来れば……コルベールと呼んでもらえると……」
「何ですかハゲのオッサン?」
「い、いえ……何でもないです。」

 邪気の無い笑顔でハゲと言われたミスタ・コルベールは、諦めたように返した。
 まさかあのミスタ・コルベールに直接ハゲと言って、更に今後も呼び続けるとは……ダネット恐るべし。

「話をまとめるわ。」

 脱線しまくりな上、意味不明のダネット語とでも言うべきガンダールヴの力の説明を聞いたせいか、少々疲れた顔のキュルケが話をまとめにかかった。

「取り合えずダネットの力については、破壊の剣と直接の関わりがあるのか無いのかわかるまで保留。デルフはルイズの近くに置けるなら置く。」

 そこまで言い、学院長の方を見て、最後にこう付け加えた。

「よろしいでしょうか学院長?」

 緊張で手をぎゅっと握り締める。
 この部屋ではぞんざいな扱いをしたものの、破壊の剣は宝物庫に入れられるような品であり、中にはあの黒い剣を封印している危険な代物だ。
 貴族とはいえ、ただの生徒が持つような物ではない。わたしだって持たなくていいなら持ちたくはない。
 だけれど、破壊の剣をわたしが持つことによって、みんなの安全が少しでも保証できるというのなら、わたしは破壊の剣を手にしたい。
 少しでも魂の融合とやらを遅くし、その間に止めるすべを探したい。
 しかし、学院の長である学院長が首を縦に振らなければ、生徒であるわたしは従うしかない。
 そんな思いを込め、わたしは学院長を見る。

「構わんよ。もって行きなさいミス・ヴァリエール。」
「し、しかし学院長! 破壊の剣は危険な品では!?」

 教師という立場からか、ミスタ・コルベールが口を挟む。

「じゃが、持たなければもっと危険かもしれん。違うかの?」

 学院長の言葉に、無言で返すミスタ・コルベール。
 教師という立場はあれども、ミスタ・コルベールもわたしの身を案じてくれているようだ。
 最終的にミスタ・コルベールも折れ、デルフは魂の融合を止めるすべが見つかるまで、一時的にわたしが預かることになった。



「よろしくな娘っ子。」
「あんた重いからちょっと削っていい?」
「よくねえよ!!」

 わたしとデルフの軽口に安心したのか、学院長とミスタ・コルベールはわたしの部屋を後にし、続いてキュルケとタバサも部屋を後にしようとした。
 ふと、キュルケが立ち止まり、わたしの方を見ずに言う。

「ルイズ、あたしもタバサもあんたなんかより上のメイジよ。」
「はあ!? 喧嘩売ってるのツェルプストー!!」

 怒りで立ち上がろうとしたわたしを、ダネットが押さえ込む。
 何で止めるんだと思いダネットを見ると、優しい顔で笑っている。
 意味がわからず、ダネットに言う言葉を考えていると、キュルケが言葉を続けた。

「だから、あたしもタバサも簡単にはやられない。だからあんたは、あたし達なんか気にせずに元に戻る方法を探しなさい。あんたが変になったらあたし達が止める。いいわね?」

 キュルケの言葉にタバサも頷き、わたしの方を見る。

「それだけよ。じゃあおやすみ。」

 わたしの方を見ないまま、キュルケは片手を振り、わたしの部屋を後にし、タバサもキュルケの後について部屋を出た。

「いい奴だなあいつら。」

 デルフの言葉に、ダネットは自分のことのように喜ぶ。

「さ、さっさと寝るわよ!! ほら、ダネットも!!」

 何だか恥ずかしくて、わたしは服を適当に着替え、ベッドに顔をうずめた。

「あ、私はもう少し後に寝ます。お前は先に寝ててください。」
「そ。明かりだけ消すわね。じゃあおやすみ。」
「はい。おやすみなさい。」

 顔が赤くなっているのが自分でもわかるので、顔はうずめたまま明かりを消す。
 音でダネットが部屋を出たのが聞こえたが、散歩かなにかだろう。
 そんな事を思っていると、疲れが出たのか急激な眠気が襲い、わたしはその眠気に抵抗することなく眠りへと落ちていった。



「サビ剣を持ったままあまり離れる訳にはいきませんから、この辺で話しましょう。」

 ルイズの部屋からサビ剣を持ち出して外に出た私は、ルイズの部屋の窓が見える場所で腰を下ろしました。

「んで? 話ってなんだ?」

 私は、どうしても聞きたかった事を口にしました。

「あの黒い剣の持ち主は、本当に消えたんですか?」

 言いながら、胸がドクドクしました。
 砂漠の中で見つかった、持ち主の消えた黒い剣……つまり、持ち主だったお前は……。

「ああ。間違いない。」

 駄目です。まだ我慢です。
 ぐっと唇を噛み、確認しました。

「生きてる可能性は……ありますか?」

 お前が生きているかもしれない。
 私が知らないお前かもしれないけれど、生きているかもしれない。

「……ねえな。黒い剣が見つかった時点じゃ生きてたかもしんね。だけどな、あれから6000年経ってんだ。生きてたとしても寿命で死んでるだろうな。」

 足元がぐらぐらしました。胸が痛くなって熱くなりました。必死に堪えてたものが溢れました。

「うっぐ……ひぐ……」

 ルイズはとてもいい奴です。乳でかやタバサもいい奴です。他のみんなもいい奴ばっかりです。ここにはいい奴ばかりいます。
 ギグも変になってたけどいました。黒い剣だってあります。私だっています。無いのはホタポタぐらいです。

「なのに……なんでお前はいないんですか……」

 お前は私が見張ってるって言ったじゃないですか。お前とずっと一緒にいるって言ったじゃないですか。お前は私のパートナーじゃないですか。

「……すまねえな。」

 サビ剣のせいじゃないのはわかってます。悪い奴なんて誰もいません。わかってます。わかってるんです。

「なんで……なんでですか……」

 サビ剣を握り締めて泣く私を慰めるように、赤と青の月が私をずっと照らしていた夜の事でした。


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