フーケの身柄確保から数時間後、学院長室でオールド・オスマンは戻った一行の報告を聞いていた。
「ふむ……、まさかミス・ロングビルが『土くれのフーケ』だったとは……。美人だったので何の疑いも無く秘書に採用したのがまずかったのう……」
髭をも弄りつつ返答するオールド・オスマン。
「……少しは反省してください。いったいどこで採用されたんですか?」
「町の居酒屋でまあいろいろと……おっほん、まあ深い詮索は人間としては恥ずべき事じゃ。何はともあれ君達がフーケを捕まえた事に変わりは無い、本当にありがとう。ミスタ・ヨゴシュタイン、命と引き換えにゴーレムを倒した貴方の部下・ドリルバンキには謹んでご冥福をお祈りしようぞ」
誇らしげに礼をする一同。
「フーケは城の衛士に引き渡した。これで一件落着じゃ。ミス・ヴァリエール、ミス・ツェルプシュトー、ミスタ・グラモンにはシュヴァリエの爵位申請を、既にシュヴァリエであるミス・タバサには精霊勲章授与申請を宮廷に出しておこう。追って沙汰があるじゃろう」
「……本当ですか……」
「もちろんじゃ、君達はそれぐらいの事をしたのじゃからな」
「あの……、オールド・オスマン。ケガレシア達には何も無いのですか?」
「……残念ながら彼女達は貴族ではない……。じゃがわしは彼女達の働きにとても感謝している。代わりと言っては何じゃが、わしから個人的に謝礼をさせてもらえぬか?」
「それなら、『ルサールカの鎧』が欲しいでおじゃる」
「ミス・ケガレシア、何やら『ルサールカの鎧』について知っているようじゃな。すまぬがミス・ヴァリエール達以外は席を外してもらえぬか? 今日はフリッグの舞踏会じゃ、存分に楽しんでくれ」
キュルケ・タバサ・ギーシュ・コルベールの4人は、一礼して学院長室を出ていった。
「ふむ……、まさかミス・ロングビルが『土くれのフーケ』だったとは……。美人だったので何の疑いも無く秘書に採用したのがまずかったのう……」
髭をも弄りつつ返答するオールド・オスマン。
「……少しは反省してください。いったいどこで採用されたんですか?」
「町の居酒屋でまあいろいろと……おっほん、まあ深い詮索は人間としては恥ずべき事じゃ。何はともあれ君達がフーケを捕まえた事に変わりは無い、本当にありがとう。ミスタ・ヨゴシュタイン、命と引き換えにゴーレムを倒した貴方の部下・ドリルバンキには謹んでご冥福をお祈りしようぞ」
誇らしげに礼をする一同。
「フーケは城の衛士に引き渡した。これで一件落着じゃ。ミス・ヴァリエール、ミス・ツェルプシュトー、ミスタ・グラモンにはシュヴァリエの爵位申請を、既にシュヴァリエであるミス・タバサには精霊勲章授与申請を宮廷に出しておこう。追って沙汰があるじゃろう」
「……本当ですか……」
「もちろんじゃ、君達はそれぐらいの事をしたのじゃからな」
「あの……、オールド・オスマン。ケガレシア達には何も無いのですか?」
「……残念ながら彼女達は貴族ではない……。じゃがわしは彼女達の働きにとても感謝している。代わりと言っては何じゃが、わしから個人的に謝礼をさせてもらえぬか?」
「それなら、『ルサールカの鎧』が欲しいでおじゃる」
「ミス・ケガレシア、何やら『ルサールカの鎧』について知っているようじゃな。すまぬがミス・ヴァリエール達以外は席を外してもらえぬか? 今日はフリッグの舞踏会じゃ、存分に楽しんでくれ」
キュルケ・タバサ・ギーシュ・コルベールの4人は、一礼して学院長室を出ていった。
――トリステインゼミナールー1――
「さてミス・ケガレシア、君が『ルサールカの鎧』について知っている事を言える範囲でいいから教えてくれんかね? わしも力になれる事があれば出来るだけ力を貸そう」
「『ルサールカの鎧』をどこで手に入れたかは後で聞くとして、それが勝手に動いているところを見た事があるでおじゃるか?」
「うむ! 勝手に動くという事はガーゴイルの一種かとも思ったのじゃがな……」
「あれはわらわ達の仲間と言うべき存在、害水機士ウズマキホーテに間違い無いでおじゃる」
「ウズマキホーテ? 害水機士? とにかく生きているという事じゃな。それがなぜ鎧に……?」
「『ルサールカの鎧』を手に入れた経緯を聞かせるでおじゃる」
「あれはそう……、30年以上も昔の事になるか。森の中を散策していたわしはワイバーンに襲われてな。そこを助けてくれた騎士が纏っていた鎧じゃった。不思議な事にワイバーンを倒すと突然苦しみだして姿が消え、『ルサールカの鎧』だけが残されたのじゃ」
「やはり『ルサールカの鎧』は、仮死状態になったウズマキホーテでおじゃるな」
「仮死状態? つまりミスタ・ウズマキホーテはまだ生きているというのか?」
「おそらくワイバーンとの戦いで重傷を負ったのか、鎧のようになって生きながらえているでおじゃる」
……それは嘘だった。おそらくウズマキホーテはマジックワールドの清浄な環境に耐えられず仮死状態になったのだろう、とケガレシアは予想をつけていた。
しかしここでそれを言うわけにはいかない。ルイズならともかく、オールド・オスマンにまで真意を知られたくは無いのだ。
「そうか……。まだ生きているというのならばいつか蘇る日も来るのじゃろうな……」
「わらわ達も何とかしてウズマキホーテを復活させたいでおじゃる」
「頼んだぞ、ミス・ケガレシア。わしもいろいろ調査してみよう」
「『ルサールカの鎧』をどこで手に入れたかは後で聞くとして、それが勝手に動いているところを見た事があるでおじゃるか?」
「うむ! 勝手に動くという事はガーゴイルの一種かとも思ったのじゃがな……」
「あれはわらわ達の仲間と言うべき存在、害水機士ウズマキホーテに間違い無いでおじゃる」
「ウズマキホーテ? 害水機士? とにかく生きているという事じゃな。それがなぜ鎧に……?」
「『ルサールカの鎧』を手に入れた経緯を聞かせるでおじゃる」
「あれはそう……、30年以上も昔の事になるか。森の中を散策していたわしはワイバーンに襲われてな。そこを助けてくれた騎士が纏っていた鎧じゃった。不思議な事にワイバーンを倒すと突然苦しみだして姿が消え、『ルサールカの鎧』だけが残されたのじゃ」
「やはり『ルサールカの鎧』は、仮死状態になったウズマキホーテでおじゃるな」
「仮死状態? つまりミスタ・ウズマキホーテはまだ生きているというのか?」
「おそらくワイバーンとの戦いで重傷を負ったのか、鎧のようになって生きながらえているでおじゃる」
……それは嘘だった。おそらくウズマキホーテはマジックワールドの清浄な環境に耐えられず仮死状態になったのだろう、とケガレシアは予想をつけていた。
しかしここでそれを言うわけにはいかない。ルイズならともかく、オールド・オスマンにまで真意を知られたくは無いのだ。
「そうか……。まだ生きているというのならばいつか蘇る日も来るのじゃろうな……」
「わらわ達も何とかしてウズマキホーテを復活させたいでおじゃる」
「頼んだぞ、ミス・ケガレシア。わしもいろいろ調査してみよう」
溜め息はそのまま夜気に溶け込んだ。
「よくやったなギーシュ! パーティーなんだから楽しんだらどうだ?」
いつも通りの軽い口調でマリコルヌが言った。
皿の上の料理を1口食べてから再度の再度の溜め息と同時に答える。
「楽しんでるさ」
そう言いつつも、ギーシュの心の中にはコルベールの言葉が焼きついたまま離れなかった。
「よくやったなギーシュ! パーティーなんだから楽しんだらどうだ?」
いつも通りの軽い口調でマリコルヌが言った。
皿の上の料理を1口食べてから再度の再度の溜め息と同時に答える。
「楽しんでるさ」
そう言いつつも、ギーシュの心の中にはコルベールの言葉が焼きついたまま離れなかった。
ケガレシアがオールド・オスマンに『ルサールカの鎧』ことウズマキホーテについて説明していた頃、キュルケ・タバサ・ギーシュはコルベールの研究室に呼ばれていた。
扉の鍵を閉めたコルベールは開口一番、
「ミス・ツェルプシュトー、ミス・タバサ、ミスタ・グラモン。これからあなた達にはある大任を果たしてもらいたいのです」
「大任……ですか?」
ただならぬ雰囲気に緊張するキュルケ。
「ええ。……皆さん、ミス・ヴァリエールの使い魔をどう思いますか?」
「……只者じゃない……」
「僕もそう思います。特にミスタ・ヨゴシュタインは何と言うか……危険だと」
「私はそこまで思わないけど、蛮機獣だったかしら? あのゴーレムは凄いわね」
「やはりそう思いますか……。実際ここしばらくトリステインでは怪事件が頻発しています。国内の主要河川で原因不明の泡汚染が発生したり、モット伯邸が正体不明の溶解液に沈んだりと」
「……それとルイズの使い魔に……何か関係が……?」
「……いえ……、私の思い過ごしならばいいのですが、皆さんにはミス・ヴァリエールの友人として彼女が道を誤らないように注意を払ってもらいたいのです」
「ルイズが?」
「はい。……そしてもし私の危惧が現実のものになろうとしたら……」
「………」
「……いかなる手段を駆使してでも最悪の事態の回避を」
『はい……』
「いかなる手段」、それには当然ルイズ達の命を奪う事も含まれている。コルベールの言葉が苦渋に満ちた決断である事は表情から容易に伺う事ができた。
扉の鍵を閉めたコルベールは開口一番、
「ミス・ツェルプシュトー、ミス・タバサ、ミスタ・グラモン。これからあなた達にはある大任を果たしてもらいたいのです」
「大任……ですか?」
ただならぬ雰囲気に緊張するキュルケ。
「ええ。……皆さん、ミス・ヴァリエールの使い魔をどう思いますか?」
「……只者じゃない……」
「僕もそう思います。特にミスタ・ヨゴシュタインは何と言うか……危険だと」
「私はそこまで思わないけど、蛮機獣だったかしら? あのゴーレムは凄いわね」
「やはりそう思いますか……。実際ここしばらくトリステインでは怪事件が頻発しています。国内の主要河川で原因不明の泡汚染が発生したり、モット伯邸が正体不明の溶解液に沈んだりと」
「……それとルイズの使い魔に……何か関係が……?」
「……いえ……、私の思い過ごしならばいいのですが、皆さんにはミス・ヴァリエールの友人として彼女が道を誤らないように注意を払ってもらいたいのです」
「ルイズが?」
「はい。……そしてもし私の危惧が現実のものになろうとしたら……」
「………」
「……いかなる手段を駆使してでも最悪の事態の回避を」
『はい……』
「いかなる手段」、それには当然ルイズ達の命を奪う事も含まれている。コルベールの言葉が苦渋に満ちた決断である事は表情から容易に伺う事ができた。
「……ギーシュ」
「………」
テラスでぼんやり2つの月を眺めていたギーシュに、キュルケが声をかけた。後方にはタバサもいる。
「キュルケか。それにタバサも。どうしたんだい?」
「ミスタ・コルベールに言われた事、どう思う?」
「まだミスタ・コルベールの考えが正しいと決まったわけじゃないだろう。どうもこうも無いさ。だけど……」
「……覚悟はしておいて……キュルケ……」
「ええ……、いざという時には私がルイズを止める……!」
「………」
テラスでぼんやり2つの月を眺めていたギーシュに、キュルケが声をかけた。後方にはタバサもいる。
「キュルケか。それにタバサも。どうしたんだい?」
「ミスタ・コルベールに言われた事、どう思う?」
「まだミスタ・コルベールの考えが正しいと決まったわけじゃないだろう。どうもこうも無いさ。だけど……」
「……覚悟はしておいて……キュルケ……」
「ええ……、いざという時には私がルイズを止める……!」
一方その頃、もう1人の主役達であるルイズは舞踏会会場の喧騒を嫌い、ヘルガイユ宮殿で2度目の祝勝会……といきたいところだったが神妙な表情で画面に映ったキュルケ達を見て会話を聞いていた。
「……ふむ、勘付き始めたかもしれないぞよ」
「可能性としては大いにあるでおじゃるな」
「念を入れておいた方がいいかもしれんなり」
「お嬢、お嬢はどうするんだ? 何か不穏な事になってるけどよ」
「決まってるわ。私はケガレシア達の力になりたい。……どこまでもついていくわ、邪魔なんて気にせずに」
「……ふむ、勘付き始めたかもしれないぞよ」
「可能性としては大いにあるでおじゃるな」
「念を入れておいた方がいいかもしれんなり」
「お嬢、お嬢はどうするんだ? 何か不穏な事になってるけどよ」
「決まってるわ。私はケガレシア達の力になりたい。……どこまでもついていくわ、邪魔なんて気にせずに」
――ガイアークゼミナールー1――
『ガイアークゼミナール!!』
「害悪(ガイアーク)エゴラップって、炎神エコラップの替え歌なのよね?」
「その通りでおじゃる」
「じゃあ全部の歌詞ってどんなのなの?」
「そ……、それは……」
「答えはエンディングなり!」
「害悪(ガイアーク)エゴラップって、炎神エコラップの替え歌なのよね?」
「その通りでおじゃる」
「じゃあ全部の歌詞ってどんなのなの?」
「そ……、それは……」
「答えはエンディングなり!」
「害悪(ガイアーク)エゴラップ Pollution-Custom」
悪役ナンバー1 蛮機族ガイアーク
バン(バン)バン(バン)君の番 そう明日のために
ブン(ブン)ブン(ブン)ゴミ処分 エゴな投棄GO!
電気はやたらにスイッチオンだぜ スモッグ青空汚してGO-ON!
買い物スマイルほらレジ袋 ドキドキ資源は使い捨て
ダッシュで自然をブレイクだ 海・空・大地をメチャメチャに
汚染が大好き 蛮機族ガイアーク
リデュース・リユース リサイクルやめちゃおう
絶望させたいから頑張れる GO-ON!
悪役ナンバー1 蛮機族ガイアーク
バン(バン)バン(バン)君の番 そう明日のために
ブン(ブン)ブン(ブン)ゴミ処分 エゴな投棄GO!
電気はやたらにスイッチオンだぜ スモッグ青空汚してGO-ON!
買い物スマイルほらレジ袋 ドキドキ資源は使い捨て
ダッシュで自然をブレイクだ 海・空・大地をメチャメチャに
汚染が大好き 蛮機族ガイアーク
リデュース・リユース リサイクルやめちゃおう
絶望させたいから頑張れる GO-ON!