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ゼロの社長-16


深夜。
村人達はそれぞれ自分の家に戻り、屋敷に集められた人たちも部屋で寝静まった頃、海馬は窓から屋敷の外を眺めていた。
カミューラが過去の通りに今晩現れるとするならば、屋敷の正面から堂々と現れるだろう。
海馬が今いるのは、まさにそこを監視するに絶好の場所であった。

屋敷は静寂に包まれていた。
嵐の前の静けさとはいうが、こうも静か過ぎると、何も起こらないのではと思わずにはいられないものだ。
と、そのとき、その静寂の中で海馬の背後から靴音が聞こえてきた。
海馬が目を向けると、そこにはタバサがいた。

「…………」

タバサは無言のまま海馬の横に並び、窓の外を眺め始めた。

「…………」

海馬も視線を一瞬タバサに送っただけで、また外を見ていた。

暫くの無言の空間。
先に口を開いたのは意外にもタバサのほうだった。

「エルザのこと。聞いた。」
「そうか。」

表情も変えず返事だけを返す海馬。

「なぜ、彼女の復讐に手を貸すの?」

それは自然な疑問だった。
プライドが高そうに見える海馬が、そうそう人に手を貸すようには見えない。
そして何より、復讐という単語はタバサにとって深い意味を持つものであった。

「別に大した意味などない。だが、復讐などに時間を費やすなど愚かな事だ。
復讐などそうそうに終わらせるべきものだと、俺は思っている。故に手を貸してやるに過ぎん。」

それは海馬の本心だった。
復讐とは自らの未来を見つめる目を曇らせ、それに固執してしまう呪いだ。
そして、そのために周りが見えなくなり、その先には奈落しかない。
DEATH-Tでの遊戯との戦いは、海馬にとって遊戯への復讐心から生み出されたものだった。
その結果は力に溺れた海馬の敗北に終わった。
そして海馬は知った。
復讐という小さい概念だけでは勝利という未来を…いや、未来そのものをつかむ事ができないという事を。
だが、タバサにとってみれば、海馬の先ほどの言は復讐を否定するものと取れた。

「復讐が…無意味な事だと?」

遠目にはわかりにくいが、タバサの内心には怒りが秘められていた。

「…ふん、貴様も同類か。いや、違うな。エルザには自らの無力に対する嘆きと
諦めと悔しさがあった。
が、貴様は別だ。顔には出さないが対象者に対する怒りが満ちている。
復讐だけを考えて行動しても、その先には何もないぞ?」
「…………」

タバサは答えなかった。
そんな事はわかっていた。
自分の復讐は自己満足であると。
たとえ果たしたとしても、失ったものは戻らない。
失ったときは戻らない。
だからこそ復讐は私の手だけで行う。
なにも得るものがないからこそ…誰かを巻き込む事はしない。
そう、思っていた。

「……ふん。どいつもこいつも…なぜ復讐を終着点において発想するのだ。
それが未来へのロードへの通過点と、どうして考える事ができないのか…
いや、そもそも自分の未来にその復讐が必要なのかと、冷静に考えるべきだと俺は思うがな。」
「未来への…ロード…」
「貴様が何を思っているかは知らん。
だが、もし、貴様を心の底から信じ、貴様が信じてやれる相手がいるというのならば、そいつにくらいは話してやっても良いんじゃないか。」
「…………」

タバサの脳裏の一人の人物が浮かぶ。
褐色の肌と燃える炎のような赤い髪の少女、自分をはじめて「友達」と呼んでくれた彼女のことを。





「…どうやら、おしゃべりの時間は終わりのようだな。」

ハッと窓の外を見ると、そこには屋敷の正門。そしてその前に続く道にまるで似つかわしくない真っ赤な絨毯が伸び始めていた。

「間違いない…」

と、二人とは別の声が窓辺に響いた。
エルザであった。
恐怖と怒りの入り混じった表情を浮かべ、赤い絨毯を睨んでいた。

「タバサ、村人に決して部屋から出ないように伝えろ。俺は先に向かう。」
「……」

少しの沈黙の後、タバサは小さく首を縦に振った。
そして海馬とエルザは正門の前へとやってきた。
不気味なほど静かな道に連なる赤絨毯。
そして、薄く霧がかかった道。
そして、その静寂を破る声が響いた。

「凝った趣向をするじゃない。あなたがそんな演出家だとは思わなかったわ、エルザ。」

霧が晴れてゆき、吸血鬼カミューラが姿を現した。
異常なまでに白い肌の上に、血を思わせる紅い衣装、そして長い髪に目を奪われるような美貌の女性がそこに立っていた。
だが、外見の美しさとは別に、恐ろしいまでの緊迫感がそこにあった。

「50年前の再現。そこにいるのがあなたの騎士って所かしら?
全くあなたは楽しませてくれる……って、デュエルディスク!?
…その顔、知っているわ。海馬コーポレーション社長にして最強のデュエリストといわれる、海馬瀬人!!
なぜハルケギニアに!?」

カミューラが驚くのも無理はなかった。
カミューラ自身、幻魔の扉の中に吸い込まれて偶然たどり着いた異世界、ハルケギニア。
そこにまさか同じようにたどり着いたものがいるなど。

「……フフフ。アッハッハッハッハッハ!エルザ!あなたは本当にいい!こんな巡り合わせなんて思いもしなかった!」

そのカミューラの姿は本当に楽しそうで、愉しそうで。
自分の仇にこんなに愉快な顔をされるなど…。
エルザは悔しさを隠す事ができなかった。

「ふん、気にすることはない。奴は、おれが倒す。」

そう言うと、海馬はデュエルディスクを展開した。
その様子を見ると、カミューラも真剣な表情になった。

「知っているでしょうけど、この世界でのデュエルの敗北は死につながるわ。
ライフは命に置き換わる。やめるのならば、今のうちよ?
もっとも、デュエルでなくても、この場にいる全ての命を奪う事に替わりはないけれど!」
「俺が敵を前に逃げ出すとでも思ったか?命乞いをするのは貴様のほうだ。」

二人の視線が交わり

『決闘―デュエル!―』

文字通りの決闘が始まった。

「先攻は私がもらうわ。ドロー!不死のワーウルフを攻撃表示で召喚!
更に、リバースカードを2枚セット!ターンエンドよ!」

カミューラの前に、二足で立つ狼の姿をした獣人が姿を現した。


『不死のワーウルフ 効果モンスター 闇属性 アンデット族 星2 攻1200 守0
このモンスターが戦闘で破壊された場合、デッキから同名カードを1体特殊召喚する。
この効果で特殊召喚されたカードは攻撃力が500ポイントアップする。』

「ふん、たかが攻撃力1200の犬っころモンスターか。それをブラフに罠で攻める気か?」
「そういって易々と攻撃してきたのが、あなたの作ったデュエルアカデミアの教頭だったわよ。
もう少しマシな教師を雇った方がよくなくって?」

カミューラは、デュエルアカデミアで最初に闘った、奇妙な喋り方をする教師のことを思い出した。
だが、「今の」海馬は、そもそもデュエルアカデミアを立ち上げる計画段階でしかない。
つまり、彼女の言を信じれば、カミューラのいた「現代」と海馬のいた「現代」は少なくとも時間軸が数年ずれている事になる。

(なるほど…時間さえも捩れてこの世界に召喚されるということもあるのか。
コルベールのデュエルディスクも見知らぬ形だった。
あれもまた、別の時間軸からこの世界に飛ばされた人間のものだったのかも知れんな。)

などと考えているうちに、カミューラがターンエンド宣言をした。

「俺のターン、ドロー!ふん、うっとおしいモンスターだ。
俺はモンスターを召喚!カイザーシーホースを攻撃表示!」
「ふっ!かかったわね。リバーストラップ!連鎖破壊!」

フィールドに現れたカイザーシーホースに、ドクロの形をした鎖が巻きつき、更に海馬のデッキへと繋がる。
そしてその鎖は連続して爆発していき、デッキの中のカイザーシーホースが墓地へと送られる。

「連鎖破壊の効果!攻撃力2000以下のモンスターが召喚されたときに、そのモンスターと同名カードをデッキから墓地に送るわ!」
「くっ!だが、カイザーシーホースで、不死のワーウルフへ攻撃!」

カイザーシーホースの槍が、不死のワーウルフへと突き刺さる。
カミューラ LP4000→3500
だが、カミューラのデッキから、新たな不死のワーウルフが、より力をつけて召喚される。
カミューラは、自らの策が成功した事で満足そうだった。

「俺はリバースカードを2枚伏せて、ターンエンドだ。」

二人の1ターン目が終わった頃、タバサとシルフィードも正門前へと駆けつけた。

「うわ、もう始まってるのね。」
「……っ!」

目の前の獣人とカミューラを目にしたタバサが杖を構え、呪文を唱えようとしたところを、海馬が叫んだ。

「余計な事はするな!デュエルは1対1が原則だ!」
「なに言ってるのね!そんな奴皆でまとめてかかれば…」
「貴様はデュエリストを愚弄する気か!貴様らはおとなしくそこで見ていろ!」

海馬の恐ろしいまでの怒気にその場にいた全員が、相手のカミューラまでもが怯んだ。

「……海馬瀬人、後で仲間に助けを求めても遅いわよ。ドロー!フィールド魔法!アンデットワールド発動!」

不気味なフィールド魔法の発動により、周りの世界が侵食されていく。
闇の世界が、夜空の双月をも包み込み、草木は枯れ死の世界が訪れた。

「フィールド魔法、アンデットワールドは全ての場と墓地のモンスターを不死のアンデット族に変えるフィールド魔法。
私の場だけでなく、あなたの場と墓地のカイザーシーホースもアンデット族へと変わるわ!」
「なんだと!?墓地のモンスターをも変化させるフィールド魔法だと!?」

海馬の危惧はただ単にこのカードの効果だけではなかった。
相手の墓地をも変化させる魔法カード。
何らかのコンボがからんでくるのは間違いなかった。

「ふふ、手札から、愚かな埋葬を発動!墓地にゾンビキャリアを送るわ!そして更に手札を1枚デッキの上に送り、
墓地のゾンビキャリアの特殊効果発動!」

フィールド上に不気味な形をしたアンデットモンスター、ゾンビキャリアが現れる。
『ゾンビキャリア チューナー(効果モンスター)星2 闇属性 アンデット族 攻 400 守 200
手札を1枚デッキの一番上に戻して発動する。墓地に存在するこのカードを自分フィールド上に特殊召喚する。
この効果で特殊召喚されたこのカードは、フィールド上から離れた場合ゲームから除外される。』

そして、ゾンビキャリアが輝きだし、二つの光の玉が輪を描き、不死のワーウルフを包み込む。
そして不死のワーウルフが光り輝き、見る見るうちにその姿を変えていく。

「なにっ!?それはチューナーモンスター!まさか貴様っ!?」

海馬は驚きを隠せずに入られない。
海馬のいた『現代』ではまだ開発段階であるシンクロモンスターを、なぜカミューラが持っているのか。
しかもカミューラはさも当然のようにそれを使いこなしていた。


「さすが、最強と名高いデュエリスト、博識ね!そう、チューナーモンスターを別のモンスターとチューニングし!
更に強力なモンスターを召喚する!これこそシンクロ召喚!」

不死のワーウルフが、光の輪をくぐり巨大な翼を広げた漆黒の死の龍へと姿を変える。

「地獄の業火が死人で世を埋める。轟け、シンクロ召喚!デスカイザー・ドラゴン!」

おぞましい叫び声をあげ、デスカイザー・ドラゴンがフィールドへと降り立った。

『デスカイザー・ドラゴン シンクロ・効果モンスター 星6 炎属性 アンデット族 攻2400 守1500
「ゾンビキャリア」+チューナー以外のアンデット族モンスター1体以上
このカードが特殊召喚に成功した時、相手の墓地に存在するアンデット族モンスター1体を選択し、
攻撃表示で自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。
このカードがフィールド上に存在しなくなった時そのモンスターを破壊する。』

更にデスカイザー・ドラゴンが大きく吼えあがると、カミューラのフィールド上に先ほど墓地に送られたカイザーシーホースが姿を現した。

「なにっ!?」
「デスカイザー・ドラゴンが召喚されたとき、相手の場の墓地のアンデット族モンスターを、私のフィールドに特殊召喚することができるわ!」

うめき声をあげる2体の不死者たち。

「更に私は、ヴァンパイア・バッツを通常召喚するわ。
これにより、私の場のアンデット族モンスターの攻撃力は、200ポイントアップする!」

巨大な蝙蝠の姿をしたモンスター、ヴァンパイア・バッツが場に召喚されると、フィールドのモンスターたちは、更に強力になった。

デスカイザー・ドラゴン 攻撃力2600
カイザー・シーホース 攻撃力1900
ヴァンパイア・バッツ 攻撃力1000

「くっ…さっきの連鎖破壊は、これが狙いだったのか!」

一気に3体ものモンスターを展開し、更に攻撃力も強化する。
カミューラのアンデットデッキの扱いは、並みのものではなかった。
このまま海馬が攻撃を受ければ、一気にライフが削られてしまう。
だが、カミューラがとった行動は、全く別だった。

「……フッ…フフ…デスカイザー・ドラゴン!あの屋敷を焼き払いなさい!デスフォトン・スタンピート!」
『!?』

そこにいた全員が凍りついた。
デスカイザー・ドラゴンは大きく口を広げ、巨大な火球を村長の屋敷に向けて吐き出したのだ。
火球がものすごい勢いで突き抜け、そして屋敷に当たる直前に雲散霧消した。
よく見ると、火球のあった位置に黒い鎖がぶつかり、火球を打ち消していた。
そしてその鎖はデスカイザー・ドラゴンの体に絡みつき、動きを奪った。

「リバーストラップ…闇の呪縛を発動した。貴様のモンスターの攻撃と表示変更を封じ、攻撃力を700下げる…。」

海馬の機転により、屋敷への攻撃は防がれた。
だが、海馬の怒りはそんな事では収まるはずもなかった。

「貴様!どういうつもりだ!?」
「アッハッハッハ!あら?どうかしたかしら?別に私がどこを攻撃しようと勝手じゃないかしら!?」
「屋敷の人たちを狙う事で、強制的に海馬にカードを使わせた…?」
「俺の伏せカードを確認するためだけに、後ろの屋敷の人間を盾にしたということか…。
貴様!それでもデュエリストか!正々堂々と闘う気がないのか!?」

海馬は殺意すらもこめた視線でカミューラを睨んだ。
だが、その視線すらどこ吹く風と笑いながら、カミューラは返した。

「正々堂々?馬鹿馬鹿しい。こっちじゃデュエルはただのカードゲームじゃない。
この世界に実際にモンスターが現れ、魔法が、罠が発動する!
普通にルールどおりやる必要がどこにあるの!?オッホッホッホ!」
「汚いのね!この卑怯者!」

堂々と戦う気もなく、ルールを守る気すらないカミューラに、溜まらず声を上げるシルフィード。
だが、その批判すらも笑顔でカミューラは流した。

「さて…カイザー・シーホース!海馬瀬人のカイザー・シーホースに攻撃!」

カイザーシーホースが、その手に持った槍で海馬のカイザー・シーホースに襲い掛かる。
当然、攻撃力の勝るカミューラのカイザー・シーホースが勝利し、関通ダメージを海馬は受ける。
海馬 LP4000→3800

「更にヴァンパイア・バッツのダイレクトアタック!舞え!ブラッディスパイラル!」

ヴァンパイア・バッツが無数の蝙蝠へと姿を変え、海馬へと襲い掛かった。
タバサはそれを見ると同時に走り出し、海馬の盾になろうとした。
直接彼が受けるよりも、自分が杖で捌けば…!
だが、目の前に立ちふさがったタバサを強引にどけ、海馬は自らでのその攻撃を受けた。

「ぐおあっ!!」

LP3800→2800
蝙蝠たちは海馬の体を数度切り裂き、いくつもの傷口からは血が滲んでいた。
海馬はガクッと膝をつき、痛みをこらえた。
これにはタバサも…いや、カミューラでさえも驚いた。いや、理解できなかった。

「どうして…?先にルールを破ったのはあっち。なら、私が受け止めても問題はないはず。」
「……そんな事は決まっている。」

海馬は肩で息をしながら、ゆっくりと立ち上がった。

「俺は…決闘者だ。その俺が、デュエルのルールを守らなくてどうする。
そんな事をすれば、俺も奴と同じ卑怯者だ。
そして、俺は…正々堂々と戦わない卑怯者を、決して許すわけにはいかん!」

あれだけ大きな傷を負っていても、海馬の目は全く死なない。
眼前の敵を倒す…決して負けるわけにはいかない!という強い意志をその瞳に詰め、輝かせていた。

「くっ!死に損ないが!!ターンエン――」
「リバースカードオープン!砂塵の大竜巻!アンデッドワールドを破壊!これにより、貴様のカイザー・シーホースはもとの種族に戻り、攻撃力がダウン!」

突如吹き荒れる嵐が、死の世界を打ち破っていく。
そして、元の双月輝く夜空が戻ってきた。

「俺のターン…ドローッ!」

海馬の手札は4枚。
相手の場には3体のモンスターに伏せカード。
まだカミューラを打ち倒すにはカードが足りていない。

「俺はモンスターを場にセット、更にカードを2枚伏せターンエンドだ!」

3枚のカードが場に伏せられる。
そしてターンが移る瞬間に、カミューラが伏せていたカードを発動させる。

「調子に乗るんじゃないよぉ!罠カード、バスター・モード発動!
デスカイザー・ドラゴンを、デスカイザー・ドラゴン/バスターへと進化!!!!」

デスカイザー・ドラゴンに禍々しいドクロの鎧が装備される。
カミューラはシンクロモンスターを生け贄にし、更に強力なモンスターまでも召喚してきた。
今まで以上に死のイメージを具現化したような姿をしたモンスターへと変化した。

「デスカイザー・ドラゴン/バスターが召喚されたとき、相手か自分の墓地から任意の数特殊召喚することができる。
蘇れ!デスカイザー・ドラゴン!不死のワーウルフ!」

フィールドに、デスカイザー・ドラゴンと不死のワーウルフが召喚される。
だが、先ほどのデスカイザー・ドラゴンが場を離れた事で、カイザー・シーホースは海馬の墓地へと戻った。

「ひぃ!あの不気味なドラゴンが2体なった上に、あの狼まで増えたのね。」
「複数のカードを連続させる…これがコンボ。あの数を防ぐには…」

タバサも、シルフィードも海馬とカミューラのフィールドの差に危機感を感じる。

「くっ…やっぱり、だめなの?」

エルザは絶望した。
あの悪魔のような龍が2体もいる上に、カミューラには他にも2体のモンスターが場に勢ぞろいしている。
もし、あのモンスターたちで村に攻撃を始められたら…本当に50年前の惨劇の再現になってしまう。
…だが。

「諦めるな、エルザ。どんなに不利に見える状況だろうと、覆せない事などない。」
「無理よ!こんな…」
「無理ではない!俺の宿敵は、三体の神すらも打ち破ったのだ。俺がこの程度で屈してなるものか!」


そう、かつて自分の目の前で行われた戦いの儀
その際に、フィールドに三幻神が揃うと言う絶望的な状況から、遊戯は必殺のコンボでそれを打ち崩した。
ならば、この程度のモンスターごときに、自分は負けるわけにはいかない!

「ふん!粋がるのも今のうちよ。ドロー!…バトル!まずはその邪魔なモンスターを蹴散らしてくれるわ!
デスカイザー・ドラゴン!デスフォトン・スタンピート!」

先ほどの火球が伏せモンスターへと向かい、こなごなに蹴散らした。

「ふん!かかったな。貴様が攻撃したモンスターは、メタモルポッド!
このモンスターのリバース効果により、お互いは全ての手札を捨て、5枚になるまでドローする!」
「今更手札を増やそうが、あなたの次のターンはないわ!これで終わり!デスカイザー・ドラゴン/バスターの攻撃!
デスフォトン・スタンピート・ブラスター!」

地獄の炎のような熱線が海馬へと向かってなぎ払われる。
だが、その炎は大きな渦に包まれて消え去った。

「カウンタートラップ、攻撃の無力化。これにより貴様のバトルフェイズは強制終了だ。」
「くっ…カードを1枚伏せて、ターンエンドよ。」

海馬を仕留めきれなかった悔しさを顔に滲ませながら、カミューラはターンを終了させた。

「俺のターン!ドロー!」

ピカッと、海馬の指が輝いたように見えた。
そう、海馬の全てのピースは揃ったのだ。

「…どうやら貴様は、このハルケギニアで暮らしている間に、デュエリストとしての腕がさび付いたようだな。
俺の前に、たかが攻撃力1000のモンスターを攻撃表示で放置するとはな。」
「ふん!そう思うなら攻撃すれば良いわ!ただし、生半可なモンスターじゃ、ヴァンパイア・バッツは倒せても
、デスカイザー・ドラゴンたちの餌食にしかならないわよ。」

(それに…この伏せカードは『聖なるバリア・ミラーフォース』
これでどんなモンスターを出そうとも、返り討ちにしてあげる。
…海馬瀬人。何の因果かこんな異世界の果てで出会うとは思わなかったけれど、このデュエルもこれでおしまいよ。)

「そうだな。このターンで終わりにしてやる。」

カミューラの心を読んだかのようなタイミングで、海馬はモンスターを召喚した。


「俺は、墓地より光属性のカイザー・シーホースと闇属性のブラッド・ヴォルスのを除外し、モンスターを特殊召喚する!」
「なにぃっ!?そのカードは…まさか!それは禁止カードのはず!いや…それよりいつブラッド・ヴォルスが墓地に…ハッ!
さっきのメタモルポッド!たった一枚墓地に送ったあの時にっ!」

そう、海馬はあの時既に、ブラッド・ヴォルスを墓地に送っていた。
この状況を打破するためには、モンスターを丸ごと除去するしかない。
そして、それができるカードが、海馬のデッキの中には眠っていた。
海馬の墓地より、白い光と黒い闇が混ざり合いながら空へと登り、巨大なドラゴンがフィールドへと降り立った。
そのドラゴンの存在感は圧倒的で、ブルーアイズホワイトドラゴンよりも禍々しいオーラを放っていた。

「そうだろうな、このカードはあまりに強力だ…。だが、俺の世界では1枚制限カードだ!
そう!混沌帝龍―終焉の使者―召喚!!!」

ガクッと膝を突くカミューラ。
禁止カードが召還された事へのショックではない。
そのカードが禁止になりうるほどの恐ろしいモンスター効果。
その効果がもたらす結果が、見えてしまったからである。
そして何よりも、そのカードを引き込む海馬のデュエルタクティクスに絶望した。

「メタモルポッドで墓地に闇属性を送ったのうえに、お互いの手札を増やし…
全てはこのために…狙っていたというの…?」
「……貴様はカードを使い人を殺め、その上俺のとのデュエルすらも卑劣な手段で汚した。
俺にもはや慈悲の心などない。」
「くッ…モンスターたち!奴を…海馬瀬人を殺せぇ!」

カミューラが叫ぶと同時に、モンスターたちが飛び掛った。
もはやカミューラにデュエリストとしての誇りも矜持もない。
死ぬ前に殺す、まさに吸血鬼…人でない悪そのものであった。
だが、もはや時は遅かった。

「ライフを1000払い、カオス・エンペラー・ドラゴンのモンスター効果発動!セメタリー・オブ・ファイヤー!」

カオス・エンペラー・ドラゴンの口から放たれた灼熱の炎が、遅い繰るモンスターたちを飲み込み一瞬で灰にした。
そしてその炎は海馬とカミューラの手札、伏せカードをも飲み込み、大きく膨れ上がってカミューラへと突き進む。

「あ…あ…ああああああ!!」
「セメタリー・オブ・ファイヤーは、場の全てのカードと手札を墓地に送り、その枚数×300ポイントのダメージを与える。
墓地に送ったカードは全部で16枚。4800ダメージで…」

灼熱の業火は、カミューラの体をも飲み込み、上空へと舞い上がり消失した。

「俺の勝ちだ!!!」

ハルケギニアで最初のデュエルが、終結した。



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