あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

とある魔術の使い魔と主-28


「失礼します」
ルイズは学園長室の扉をこんこんと叩いた。

とある魔術の使い魔と主

次の日、いつも通り授業を受けていたら、オスマン氏に呼ばれたルイズはハラハラどきどきしていた。
なにせ学園のトップからご指名を受けたのだ。なにかよくない事が起こしたのでは? と嫌でも思ってしまう。
「鍵はかかっておらぬ。入ってきなさい」
威厳ある声に、ルイズの心臓が飛び上がる程激しく動く。
本当は可愛い秘書を雇わないとなー、とルイズが聞いたらブチ切れてもおかしくない事を思っていたりするオスマン氏。
すーはー、と体を落ち着かせる為深呼吸を数回した。よし、大丈夫。イケる。
扉をノブをゆっくり回して、そのまま押す。ギィィィと悲鳴をあげながら、オスマン氏のシエルエットがはっきりと現れた。
ルイズは落ち着いていた鼓動が再び激しくなってしまった。なんというか、やるだけ無駄であったのだ。
ルイズは一歩二歩と踏み込み、扉を閉める。
「わたくしをお呼びと聞いたものですから……」
若干怖がっていたので、言葉に自信がなかった。
そんなルイズの心情を察したのか、オスマン氏は両手を大の字に広げて、立ち上がる。
歓迎の意を体全体を使って表したのだ。
「おお、ミス・ヴァリエール。旅の疲れはいやせたかな? 思い返すだけでつらかろう。だがしかし、おぬしたちの活躍で同盟が無事締結され、トリステインの危機は去ったのだ」
優しい声でいわれて、ルイズの気持ちは幾分か落ち着いた。では悪い事でなければ一体何なのであろうか?
「そして、来月にはゲルマニアで無事王女と、ゲルマニア皇帝との結婚式が執り行われることが決定した。きみたちのおかげじゃ。胸を張りなさい」
しかし、その言葉に対しては、胸を張れなかった。
アンリエッタとウェールズが愛し合っていたのだと知っている今、姫が望まない結婚はやはり喜べない。

たとえ同盟の為であろうとも、幼なじみである姫が政治の道具として扱われるのは悲しかった。
一昨日彼女が見せた哀しい笑みが思い出される。
そんな風に思いながら、ルイズは黙って頭を下げた。
オスマン氏はしばらく黙りこんだ。思わずルイズがあの……、と不安になって声をかける程黙っていた。
すると、オスマン氏は何か思い出すように手に握っていた小さな本をルイズに差し出した。
「これは……?」
「始祖の祈祷書じゃ」
「始祖の祈祷書? これが……ですか?」
名前ならルイズも聞いた事がある。王室に伝わる、伝説の書物。
一冊しかないはずだが、国宝という事もあり、沢山の偽物が存在していると。おそらく、これが本物であるようたが……
「トリステイン王室の伝統で、王族の結婚式の際には貴族より選ばれし巫女を用意せねばらなんのじゃ。選ばれた巫女は、この『始祖の祈祷書』を手に、式の詔を詠みあげる習わしになっておる」
「は、はぁ」
適当な相槌を打つ。あまり宮中の作法に詳しくないからだ。
「そして姫は、その巫女にミス・ヴァリエール、そなたを指名したのじゃ」
「姫さまが?」
オスマン氏が頷く。
「その通りじゃ。巫女は式の前より、この『始祖の祈祷書』を肌身離さず持ち歩き、詠みあげる詔を考えねばならぬ」
「ええ!? わ、わたしが詔を考えるのですか?」
「そうじゃ。もちろん、草案は宮中の連中が推敲するじゃろうが……。伝統はちとめんどくさいもんじゃのう。だがな、姫はミス・ヴァリエール、そなたを指名したのじゃ。
 これは大変に名誉なことじゃぞ。王族の式に立ち会い、詔を詠みあげるなど、一生に一度あるかないかじゃからな」
ルイズは昨日の夜、当麻に言われた事を思い出しながら頷いた。
「わかりました。謹んで拝命いたします」
ルイズは、オスマン氏の手から『始祖の祈祷書』を受け取った。オスマン氏は笑みを浮かべて、ルイズを見つめた。
「快く引き受けてくれるか。よかったよかった。姫も喜ぶじゃろうて」

「いやー、ごえもん風呂を考えた人は天才ですなー」
当麻は上機嫌になっていた。パチパチと下で炎が燃え、水の温度がちょうど心地よい辺りに上昇していく。
一日を疲れを取る、数少ない当麻の楽しみであった。

その日の夕方、当麻は自作のごえもん風呂に身を浸かっていた。
トリステイン魔法学院にも風呂はあるのだが、当然貴族にしか許されない場所である。
一応平民用の風呂もあるが、日本人の当麻には合わないサウナ風呂であった。
だから、当麻は自分で作る事にした。コック長のマルトーさんに頼み、古く、使われていない大釜を一つもらった。
その下にくべた薪を燃やし、蓋を沈めて床板にして入るのである。
その風呂場をヴェストリ広場の隅っこにぽつりと置いたので、他の人に見られる事はなかった。
「上条当麻さんもこれには癒されますな」
頭にタオルを乗せて、鼻歌を歌う。
しかし、隅っこに置かれてたとしても、その広場に人があまり出入りしなくても、見られてしまう事はあったりするのだ。
当麻からは注意して見ないとわからない場所にて、この学院に仕えているメイド達がいた。

シエスタと、その友達二人である。
三人は当麻の存在を確認すると、喋り始めた。
「チャンスよチャンス! 今こそトウマ君と話すべきよ!」
金髪の子がシエスタを促す。
「で、でも……なんか今は一人のんびりとしているようだし……」
「何を言っているのシエスタ! これじゃあ何の為に後をついていったのかわからないじゃない!」
オレンジ色の髪を持った子がシエスタに迫る。
「で、でもやっぱり緊張するよー……」
シエスタは顔を俯いてしまった。

当麻に少なからず恋愛感情を抱いたシエスタは困っていた。好きになってしまったが、なにぶん出会う機会がほとんどないのだ。
たまに、偶然寮で会う程度である。そして追い討ちをかけるかのように、この数日学院を留守にしていたのだ。
ルイズ、キュルケ、タバサといった貴族達といなくなっていた間、シエスタは仕事に集中できない程気になっていた。
その様子に気付いた二人は、シエスタに脅迫がまいの尋問をして、見事彼女の秘密を引き出したのだ。 「なにいっているの! こうしている間にも他の子は好感度を上げているのよ!?」
シエスタの体がぴくっと反応する。それだけは、やっぱり恋する女の子としてあって欲しくない事である。
「それにトウマ君って結構人気あるわよ?」
「へ……? そ、そうなの?」
「私たちの中ではやっぱり好感触だし、ギーシュを倒してフーケも捕まえたし貴族からはひそかにあったりするんじゃない?」
シエスタは肩をがっくりと落とした。貴族が相手なら敵うはずがない、と思っているシエスタにとって今の言葉はショックである。
「わたし……なんの取り柄もないし……」
「なぁに言ってるのさ! シエスタには胸があるでしょうか!」
「ひゃい!?」
金髪の子に胸を突かれて、シエスタは悲鳴をあげる。オレンジ色の子がそれに続いた。
「そうです。男の子はやはり胸がある子の方が好きになると統計学的にも証明されてるのです!」
「どこの統計ですかー!?」
もー、と顔を赤くしながら一歩二歩と下がる。しかし、金髪の子が、代わりに一歩二歩と進んでくる。
そしてガシッ! と肩を掴む。
「大丈夫だって、結局最後に決まるのはどれだけ勇気を出したかによるんだから! あんたならやれるって!」
「勇気か……、うん。頑張ってみる!」
シエスタはようやく決心した。したのだが……
これほど大きな声をあげると、やっぱりとある少年に聞こえちゃったりする。
「誰かそこにいるのかー?」
当麻の声が、自分らに向けたものだとわかって、シエスタはびくっ! と体が震え上がった。
「わわわ、どどどうしよ。まままだ心の準備ががががが」
「えぇい落ち着け! このお茶をトウマ君に渡すのでしょーが! もうちゃっちゃといってこーい!」
オレンジ色の子がティーポットとカップが乗っているお盆を渡し、金髪の子がシエスタの背中を思いきり押した。
「シエスタ……?」
月が照らしていない所であったので、当麻には掠れた声と人影しか見えなかった。
しかし、人影がこちらに進んできて、月明かりに照らされた為、その人物の名前を当麻は呼んだ。
(もうこうなったら当たって砕けろー……かな?)
「えええええと、ちょ、ちょっとトウマさんの姿が見えたのでお声をかけようかな? って思ったりしなかったり……」
最初は震えたが、後半は一気に喋りきった。それでも、徐々に小さくはなっていったが。
「あ、そうなの。つか誰か一緒にいなかったか?」
「ああ! はい! わ、わたしの友達です! なんか用事があるとか言って去っちゃいましたアハハ!」
「そ、そか」
シエスタのテンションについていけない当麻は、お盆に目を注ぐ。
「それ、持ってきたのか?」
指を指してくれたので、シエスタも何を聞いてきたのかすぐにわかった。
「あ、はい! ええと、あれです! 今日とても珍しい品が入ったんです! だからトウマさんにご馳走しようかなー思って持ってきたんです!」
会話に慣れてきたのか、シエスタに笑みが浮かぶ。
一方の当麻もちょっと興味が沸いたのか、詳しく聞いた。
「へー、どんなのなんだ?」
「えと……。東方、ロバ・アル・カリイエから運ばれた『お茶』というものです」
「お茶……?」
って普通に売ってあるお茶の事だよな?
確かにここはどちらかというと西洋の感じがするから、きっと珍しいのだろうと一人で納得した。
「はい! よかったら……飲んでくれますかね?」
お盆を隣の地面に置いて、手をもじもじしている。
ここまでわざわざ自分の為に持ってきてくれたのだ。断らない理由がない。
「もちろんです、もちろんだ、もちろんなの三段活用! てかぜひぜひ飲んでみたいです」
そう言うと、シエスタの顔がパーッと明るくなる。サッとカップにお茶を入れて、当麻に渡そうとしたのだが、
当麻のカミジョー属性はなめてはいけない。もといフラグ立て能力と不幸属性に幾多の女性が敗れ去った。
この子もまたしかり――
瞬間。いきなり何の前触れもなくシエスタが盛大にぶっコケた。
「わっ、わっ、わぁぁぁあああッ!」
どぼーんと釜の中にシエスタが飛び込んでいった。

「さすがシエスタ、ドジッ娘巨乳メイドさんの称号を与えるわ」
「ドジッ娘ではない気が……」
と、遠くで眺めている二人の感想。

「あー、えとー、大丈夫? そしてごめん……」
こういう展開は多々体験した当麻はすぐに自分のせいだと感じて謝った。ぶくぶくぶくと泡ができた後、バシャッ! とシエスタの顔が出てきた。
「だ、だいじょうぶですけど……。わーん、びしょびしょだぁ……」
メイド服がずぶ濡れで悲惨な事になっている。ちなみに、お茶を入れたカップは見事当麻がキャッチ……しているわけがない。
取ろうとしたが、手を滑らしてしまい、地面の栄養剤へと変貌してしまった。
と、シエスタは気付く。当麻が裸である事に。
ボン! と爆発したかのように真っ赤に染まるシエスタ。さすがの当麻にもこれには察した。
「待ってください! ここはお風呂だから仕方なかったりしちゃうんですからどうしようもないです。許してくださーい!」
「い、いえ。悪いのわたしですし……その、すみませんっ!」
謝りながらも、シエスタは風呂から出ようとはしない。
(ってなんですか、こんなイベント一枚CG絵ってありました? 上条当麻はこの前代未聞な出来事に戸惑いを隠せない所存で……)
一言で言うと、当麻は混乱するとあほになる。

「うふふ」
途端、お風呂にメイド服で浸かったまま、シエスタは笑い出した。
「えっと……シエスタさん?」
大丈夫ですか? と思わず聞いてしまう。どこか頭をやられたのかもしれない。
「あ、いえ……。き、気持ちいいですね! これがトウマさんの国のお風呂なんですか?」
「まぁ、ちょっと違うけど似たもんだなー。まあ普通は服を着ながら入ったりはしないけど」
「あら? そうなんですか?」
シエスタはそこである言葉を思い出す。
『大丈夫だって、結局最後に決まるのはどれだけ勇気を出したかによるんだから! あんたならやれるって!』
(勇気……うん、頑張らなきゃ!)
出す所が違うのだが、間違えるのもまた一興である。

「そ、そうですよね。じゃ、じゃあ脱ぎますね」
「はい?」
当麻は目を丸くしてシエスタに尋ねた。
「ひめ、今なんとおっしゃいました?」
シエスタの顔は未だに茹卵のように湯気が出そうな程真っ赤にしているのだが、何か開き直ったらしい。
唇をキュッと結ぶと、決心したように当麻を見つめた。
「脱ぎます、と言いました」
「えとー、ちょっと色々まずい気がするのですが……ほらフラグの数だってそこまで立ってないし、少年漫画誌に載れないような表現が――」
「トウマさんなら、そ、そんな事しないでしょ?」
そんな事を言った時だけ妙に声が小さかった。
「いや、そうでございますが……」
「ですよね。わ、わたしもこの『お風呂』にちゃんと入ってみたいんです。気持ちいいし」
言うや否や、行動に移すのは早かった。シエスタはお湯から出ると服を脱ぎ始めた。
当麻は慌てて目を逸らす。
「マジで? いや、待って……くれませんよねはい」
「だ、だって、びしょびしょだし……、こ、このまま帰ったら部屋長に怒られちゃいます。火で乾かせばすぐに乾くと思うし」
当麻は観念したらしく黙ってしまった。

「おぉ! シエスタが遂にアタックしたぞぉぉおおお!」
「なんと大胆な! やはり私たちの教育のおかげですな!」
こんなシエスタにした犯人である二人のテンションは上がっていった。

シエスタは脱いだメイド服や下着を、薪を使って火のそばに干した。それから、再びお湯の中に入ってきた。
「あー、気持ちいい! あの共同のサウナ風呂もいいけど、こうやってお湯につかるのも気持ちいいですね!」
恥ずかしい感情もあるシエスタだが、予想外に気持ちがよく、また勇気を出すんだという脳の命令がそれを上回った。
シエスタはいつまでたってもこちらに振り向かない当麻に、はにかんだ笑みを浮かべて言った。
「これじゃあなんだか寂しいです……。大丈夫です。む、胸は腕で隠していますし……、それに水の中は暗くて見えないから平気ですよ」
言われて当麻は前を向いた。まぁ見えないなら……という言い訳を作って欲望に負けたのであった。
シエスタは当麻の前にちょこんと座っていた。前に出している足が白くて、とても健康的であった。
(って待て、これきつい! 色々きつい!)
当麻は命を懸けた戦いは今まで多々やってきたが、実はラブコメ的な展開はほとんど体験したことがない。
だからこれに関しては健全なる未経験者の一高校生となってしまうのだ。
自分と一緒にお風呂に入っている。顔だってかなり可愛い部類に入る。
あ、シエスタルート突入も悪くないかもと考えてしまう程、今の当麻は無防備であった。
そんな事は知らず、何か話題はないかな? と考えるシエスタは、とりあえず口を開いた。
「……えっと、ト、トウマさんの国ってどんなところなんです?」
「え? 俺の国?」
「はい。聞かしてくれますか?」
シエスタが身を乗り出して、無邪気に聞いてくる。マテマテ、身を乗り出すな約束が違うってー、と当麻はパニックに陥った。
「え、えっと……月が一つで、超能力者がいて、魔法はあんまり身近な存在……ではないよな?」
当麻がうまく説明できないでいると、シエスタはプクーと頬を膨らませた。
「いやだわ。月が一つだの、超能力者がいるだの、わたしをからかってるんでしょう。村娘だと思って、バカにしてるんですね」
「えーと……違うんだけど聞いてくれないよね?」
言いながら当麻は思った。ホントのことを言ったら混乱させるだけだ。何せ、当麻が異世界からやってきたことを知っているのは僅かだけなのだから。
まあ混乱する以前に信じないと思うが
「じゃあ、ちゃんとほんとのこと言ってくださいな」
シエスタの勇気は正直半端なかった。純粋が故に成せる技なのかもしれない。
シエシタは、当麻を上目遺いで見つめた。あ、とあることに当麻は気付く。
日本人に似ているな……と。

「あー……食生活がまず違うな」
当麻は習慣や生活において話した。これなら異世界だと思わせる事はない。
シエスタは目を輝かせて、その話を聞き入った。
当麻にとって当たり前な分、一生懸命に聞くシエスタが新鮮であった。当麻自身も、時間を忘れる程であった。
しばらく経つと、シエスタは胸を押さえて立ち上がった。ガバッ! と再び視線を逸らす当麻。
そんな当麻を気にせずに、シエスタは乾いた服を身につけ、当麻にぺこりと礼をした。
「ありがとうございます。とても楽しかったです。このお風呂も素敵だし、トウマさんの話も素敵でしたわ」
シエスタは思い返し、嬉しそうに言った。
「また聞かせてくれますか?」
ああ、こんなんでよかったらな、と当麻は頷く。
シエスタはそれから、頬を染めて俯くと、はにかんだように指をいじりながら言った。
今日のシエスタはとにかく突っ切るだけ突っ切ろうという気持ちである。
「えええと、お、お話も、お風呂も素敵だけど、一番素敵なのは……」
「シエスタ?」
「あああ、あなた、だったり……」
「え……?」
そ、それでは! と言い残し、シエスタは駆けていった。
いったぁぁあああ!! と叫び声がしたが、今の当麻には聞こえなかった。
ポカンと口を開けたまま、のぼせてしまった。


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